はじめに:自然の力あふれるコウヤマキ
コウヤマキの特徴や育て方・風水を紹介
コウヤマキという植物をご存知でしょうか。神社などに多く植えられており遠くから見ると杉と似ている針葉樹ですので見ていても気づいていなかったということも多いかも知れませんね。
実はよく見かけるため珍しい植物ではないという印象もありますが、知る人にはありがたいご霊木であり水や火に強いことから木棺や神社の建築などにも使われているのがコウヤマキという植物です。
盆栽でも人気のコウヤマキ
コウヤマキの木は杉よりも葉がぷっくりと太く盆栽などにもその樹形の美しさは重宝されます。また松ぼっくりができる木として庭に植えると毎年季節感を楽しめむこともできるでしょう。盆栽や庭木としてコウヤマキを育ててみたいと思った方へ、その育て方をご紹介します。
ガーデニング前に知りたいコウヤマキのこと
コウヤマキの育て方の前にもっとコウヤマキのことを深く知っていただくために基本情報や特徴・コウヤマキの楽しいうんちくをご紹介しましょう。
何も手を加えなくても形が整いますが盆栽などではさまざまな形に美しく整えられてわたしたちを楽しませてくれる古くから日本人に親しまれてきた植物です。
コウヤマキの基本情報
科・属 | コウヤマキ科コウヤマキ属 |
原産地 | 野生種は日本にのみ存在 |
英語名/学名 | Japanese Umbrella-pine/Sciadopitys verticillata |
育て方難易度 | 普通 |
コウヤマキ(高野槇)の名前の由来
コウヤマキは高野山から名前が付けられた植物です。高野山ではコウヤマキは霊木でありありがたい木として扱われています。
また基本情報からもわかるとおりコウヤマキはコウヤマキ科コウヤマキ属に属する他に同じ種類のない珍しい木です。
コウヤマキの特徴
コウヤマキの一番の特徴は自然界に自生するのは日本にしか残っていないということです。古くは世界中にコウヤマキの自生地があったのですが長いあいだかけて気候の変化や伐採などで消えてしまいました。
ガーデニングに役立つコウヤマキの特徴としては成長速度が遅い植物であるということ。この性質によってこの木なら植えてもすぐに大きくなって近隣の日あたりが悪くなるという心配がありません。
有名な世界三大庭園木とは
ヒマラヤスギとアローカリア(ナンヨウスギ)・コウヤマキの3本の有名な針葉樹が世界三大庭園木といわれています。なぜこの3本が有名になったのかというとその樹形の美しさにありました。
針葉樹の特徴ともいえる三角錐の形が少しの剪定で整うことから、植えて手間がかからず美しい風景が手に入るとしてこぞって大きな庭園や公園に植樹されています。コウヤマキについては自然樹形でも美しい形が整いやすいです。
コウヤマキの育て方・必要な道具類
それでは早速コウヤマキの盆栽や苗から植え付けて育てる場合に気をつけたい栽培ポイントをご紹介しましょう。成長速度が遅い木で気にならないとはいえ何も考えなしに植えてしまうと最終的には高木になる植物ですので植え付けには特に気をつけて下さい。
栽培に用意するもの
コウヤマキは樹木なので苗木を植え付けて育てましょう。植え付けにあたりまず用意したいものは苗木・シャベル・腐葉土や堆肥・敷きわらです。
コウヤマキの苗は園芸店・ホームセンターのほか通信販売でも購入することができます。大きく成長した木はプロでないと扱いが難しいため、自分で植え付ける場合は小さな苗木をご用意ください。
コウヤマキの日あたり
コウヤマキはできるだけ日あたりのよいところに植え付けるとよいでしょう。盆栽の場合も日あたりのよいところに設置してください。また土質にはあまりこだわらない樹木ですが水はけがよいが土が乾燥しすぎないのが理想的な場所。
そこで役に立つのがご用意いただいた敷きわらです。コウヤマキの苗の株元に土を寄せてその周りに乾燥よけの敷きわらをしいておくことでこの条件に近い環境を簡単につくることができますよ。
コウヤマキの植え付け・植え替え
コウヤマキは苗を手に入れたらすぐに植え付けてください。真夏(7-8月)か真冬(11月以降)でなければ植え付けに適した時期です。すっぽりと根巻きが入る大きさ(目安として幅3倍高さ2倍)の穴を掘りその土と腐葉土・堆肥を混ぜたもので高さを調整します。
コウヤマキは一度植え付けたら植え替えは不要。大きな木になると植え替えがそもそもできなくなりますので、植え替えが必要にならないような周りが日かげになってもよい(近くに低木や花壇などがない)・近隣の家に影を落とさないような場所を選ぶとよいでしょう。
コウヤマキの水やりと肥料
コウヤマキは地植えであれば水やりの必要はありません。鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷりとあげる一般的なやり方でOKです。
また肥料はあまり必要としませんが、葉が黄色くなってきたら肥料不足が懸念されます。追肥時期は2月ころ。寒肥としてコウヤマキの株元に有機肥料か化成肥料をばらまいておきましょう。
コウヤマキの自然樹形を活かした剪定方法
コウヤマキは基本的に剪定しなくても樹形が整う木です。剪定する場合は高さを制限するために芯を切るかあばれている勢いのよい枝を取り除く程度でよいでしょう。
剪定に適した時期は肥料やりの後3月ころから。また芯を止めてしまうと2本に枝分かれしておかしな形になってしまいますのでこの2本の幹のうちのどちらかも剪定して取り除いてください。
樹形を整える剪定のやり方
樹木全体に均等に日が当たるようにコウヤマキなどの針葉樹は自然と枝の長さや向きなどを自分で調整してそれ以上は伸びにくくなっています。勢いのある枝とはこのルールからはずれた枝こと。
植木職人さんがやっているように全体のシルエットから飛び出たところをカットするだけで十分です。もし少し透かしたいとお考えであれば内側に向かって生えている枝・混み合った枝を狙って剪定してください。
コウヤマキの増やし方
コウヤマキは花が咲いたあと松ぼっくりができ熟すると笠が開いて種を取り出すことができます。この木の増やし方はこの種をまくやり方と挿し木の2通りとなるでしょう。
種まきの時期と方法
採取した種はタッパーなど密封できる容器に入れて冷蔵庫で2ヶ月ほど低温保存してから種まきをすると発芽率があがります。時期は春3月ころが適期。
市販の種まき用の養分のない土に植え付けるか小粒の赤玉土に種をまき発芽したらその年の夏前までは油かすなどの肥料を株元に混ぜて成長を促しますが夏以降は肥料は一切与えないで植え付けできる大きさの苗まで育てましょう。
挿し木の時期と方法
挿し木の時期は種まきよりも1ヶ月ほどおそい4月の中-後半くらいが適期となります。
比較的若くて健康そうな穂先を選んで切り口を鋭利な刃物でななめにカットしたらネメデールなどの発根剤を付けて1日置きそのあとに湿らせた挿し木用の土に差して日かげで管理します。
縁起のよい木とされるコウヤマキと風水の関係
コウヤマキの使われ方
コウヤマキの木はよい材木となりいろいろな木工製品にも加工されます。コウヤマキの木を玉状に加工して作ったブレスレットはパワーストーンのように活力を与えてくれる開運のお守りとしても人気がある木工製品です。
コウヤマキが縁起がよいとされる理由
コウヤマキは前述でも少し触れましたが高野山の寺院ではご霊木として大切に扱われています。関西地方ではお盆にご先祖様にこの木の若枝をそなえる風習も残っているのは有名な話でしょう。
枯れにくく火や水にも強いため不浄の木・災害から守ってくれる木としてコウヤマキは縁起のよい家の守り神であると考えられているのです。
風水を考えたコウヤマキの植樹
コウヤマキだけでなくマキの仲間の植物は風水では縁起のよい木とされており、植えるとよい方角も決められています。コウヤマキを植える(鉢植えを置くのでも)には南と西側。その中間の南西に置いてもよいです。
縁起がよいとされるだけで特に何に効くとは決められていませんが、庭のこの方角に開いているスペースがあるならば悪い運気を家に入れない蓋の役割としてもマキの木を植えることをおすすめします。
まとめ:コウヤマキで庭木のガーデニング
苗木からコウヤマキを育てよう
自然樹形のままでも美しく手間のかからない植物・コウヤマキ。その魅力と育て方を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。古くから丈夫で扱いやすい木材として建築や木工にも活用されてきたコウヤマキという植物。
今では自然に生えているものは日本にしかないという貴重な樹木であり世界中でも美しいとされる庭木としてトップ3に数えられる木です。興味をもたれた方はぜひ庭で育ててみてはいかがですか。
コウヤマキが気になる方はこちらもチェック
今回はコウヤマキの特徴と育て方・開運を考えた植える方角などご紹介してきましたが、暮らしーのではコウヤマキのほかにも庭木の植え方・育て方についての記事をご用意しています。気になる方はあわせてこちらもぜひ見てくださいね。

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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4272587