「シラカシ」とは?
シラカシは、冬でも青い葉をつける常緑樹です。ぶ厚くしっかりした葉をつけることが多い常緑樹の中では、シラカシは比較的薄めの葉をつけます。またシラカシは、どんぐりが生る樹のひとつでもあります。
シラカシは大木?
シラカシは、自然の中では、成長すれば高さ20メートルに達することもある樹です。 「そんな樹が庭木に向いているのか?」と思われるかもしれませんが、一般的な家の庭ではそこまで根を成長させられないため、何十メートルにも成長することはありません。 また、複数の苗を間隔を詰めて植え付けしたり、株立ちを作ったりすることで、さらに家庭向きなサイズに樹高を抑えることができます。
別名「クロカシ」
シラカシは、木材の色が白に近いことから白樫(シラカシ)と名付けられました。しかし、樹皮が黒いことから付けられた、黒樫(クロカシ)というややこしい別名もあります。
シラカシの特徴
「どんぐり」がなる木!
シラカシの最大の特徴は、どんぐりが生ることです。青いどんぐりは夏の終わりに生り始め、10月頃に熟した実を落とします。シラカシのどんぐりは、帽子の部分が広く、帽子に横縞模様があるのが特徴です。
丈夫で手間がかからない!
シラカシは、日当たりや風当たりの良し悪しをあまり選ばず、暑さや寒さにも強い丈夫な樹です。 また、水やりや肥料もほぼ必要ないことから、初心者でも比較的簡単に育てることができる樹といえます。
冬でも落葉しない!
常緑樹であるシラカシは、冬になっても紅葉や落葉をすることがありません。春夏秋冬、どの季節においても葉が青々としているのが特徴です。 しかし、冬に落葉しないシラカシの葉にも、寿命はあります。シラカシの葉の寿命は1年です。4月頃に、新葉がさかんに出始めるのと入れ替わりに、古い葉が一気に落葉します。「シラカシの落葉時期は4~5月頃」と覚えておきましょう。
シラカシのおすすめの植え方
シンボルツリーとして
家を新築したときや家族が増えたときなど、家族の記念日となる日に植え、家や家族と一緒に成長していく木。それがシンボルツリーです。 シラカシは植える場所をあまり選ばず、育て方が比較的簡単ということもあり、シンボルツリーとしても人気があります。
生垣として
シラカシは生垣にもおすすめです。どんぐりがなる樹といえば、背が高いイメージがつきものですが、株同士を50センチ程度に狭めて植えれば1~2メートル前後に抑えることができます。家の目隠しにおすすめです。
シラカシを植える前に!
シラカシを植える前に、気をつけなければいけないことがあります。それは、シラカシが移植に適さない樹だということです。 シラカシの根は、ひげ根が少ない太い根です。そのため、移植しようとすると高い確率で太い根が傷ついてしまい、枯れる原因になってしまいます。 シラカシは一度植えたら移植できないものと考えて、植える場所は慎重に選びましょう。
シラカシの育て方①植え付け
植え付け時期
シラカシの植え付け時期は、5~6月が適当です。梅雨入りの前におこないましょう。 また、シラカシが暑さや寒さに強いとはいえ、真冬や真夏は植え付けには適しません。シラカシが枯れる原因にもなってしまうため、真冬や真夏は植え付けは避けましょう。
植え付けの場所
シラカシはよく成長する植物のため、地植えにします。 日当たりや風当たりの良し悪しはあまり問いませんが、シラカシが成長できるだけのスペースのある場所を選びましょう。
植え付けのし方
シラカシを植える場所には、50センチ程度の深めの穴を掘ります。中の石などは取り除いて、根が良く成長できるようにしてあげてください。 掘り起こした土はそのまま戻さず、通気性を良くする効果があるバーク堆肥や腐葉土を、3割程度混ぜておくと良いでしょう。
生垣にする場合の植え付け方法
シラカシを生垣にする場合は、複数の苗を、間隔を詰めて植え付けします。生垣の高さを1~2メートル程度にしたい場合は50センチ程度の間隔、1メートル前後にしたい場合は30センチ程度の間隔で植え付けしましょう。
シラカシの育て方②肥料・水やり
肥料
シラカシにおすすめなのは、効果がゆっくり出るタイプの肥料です。2月に油粕を、9月に化成肥料などを与えましょう。 肥料の与えるときは、シラカシの周囲に10センチ程度の穴を掘って埋める方法が効果的です。穴を掘る際は、根を傷つけてしまわないよう十分に注意してください。 しかし、枝葉が良く成長しているようであれば、無理に肥料を与える必要はないでしょう。
水やり
シラカシに水やりは必要ありません。自然に降る雨だけで成長してくれます。むしろ、土がカラカラに乾いている場合以外は、積極的な水やりは避けましょう。
シラカシの育て方③剪定・手入れ
剪定の時期
シラカシの剪定に適した時期は、7月頃と11月頃です。シラカシは生命力が強いので、気になった都度軽くお手入れをすることも可能です。
剪定の方法
シラカシは上へ上へと成長するので、あまり樹を高くしたくない場合は、主幹の先を切って成長を抑えます。生垣は、芽がよく出るよう強めに剪定しましょう。 伸びすぎた枝や、樹の形を損なう伸び方をしている枝、枯れている枝などは、枝の付け根から切り落としてください。 樹の形や高さにこだわりがない場合は、凝ったお手入れはせず、自然に成長するままに楽しみましょう。
シラカシは「株立ち」もおすすめ
「株立ち」とは、1本の樹の根本から、何本も幹が伸びている状態の樹木のことです。1本の幹でどっしりと構えている樹に比べて、1本1本の幹が細くなるため、見た目が軽やかな印象になります。また、樹が成長しすぎるのを防げるというメリットもあります。 シラカシの高さを抑えたい場合や、1本立ちよりも株立ちのシラカシの方がいいと感じた場合は、株立ちのシラカシを購入しましょう。
シラカシのかかりやすい病気・害虫
シラカシは、病気や害虫に強い樹です。しかし、葉や枝がすすけたように黒くなってしまった場合は、「すす病」を疑いましょう。
「すす病」とは
すす病は、害虫の排泄物が原因で、すす病菌というカビの一種が増殖してしまう病気です。シラカシに限らず、さまざまな植物に発症する可能性があります。
すす病への対策
すす病にかかった葉や枝を見つけたら、黒くなっている部分は全て切り落としてください。黒い部分を取り除けたら、すす病菌を殺菌するために殺菌剤を散布しましょう。
すす病を予防するには
すす病になってしまう前に、きちんと予防をすることが大切です。すす病の原因は害虫が発生することなので、こまめに殺虫剤を散布して、害虫が発生しないように予防しましょう。
シラカシが枯れる原因と対処法
考えられる原因
シラカシは、寒さにも日陰にも強く、土壌も選ばない強い樹です。そんなシラカシが枯れる場合、以下のような原因が原因が考えられます。 ・病気や害虫の被害にあっている。 ・植え付けの時期が悪かった。 ・土の排水性が悪かった。 しかし、シラカシが枯れる原因は、特定が難しい場合が多く、また原因が複数ある場合も少なくありません。
対処法
通常、悪い葉ができればシラカシは自分で葉を落とします。枯れた葉が幹に付きっぱなしの場合は、幹自体の状態が悪くなっていると考えてください。 そのため、株立ちのシラカシの場合、一部の幹の葉だけ枯れるという状態であれば、枯れている幹を切り落としましょう。 しかし、葉が枯れる状態が、幹の一部ではなく樹全体に渡っている場合は、残念ながら植え替えがもっとも有効な対処法といえます。
シラカシと共に過ごしてみませんか?
常緑樹であるシラカシは、冬でも落ち着きのある緑色で家を彩ってくれます。どんぐりがなるというのも嬉しいポイントです。子どもはもちろん、大人にとっても、童心にかえって自然と親しめるきっかけになることでしょう。 家のシンボルツリーや生垣として、一定の人気を誇るシラカシ。家族の記念となる日に、家に苗を植えてみてはいかがでしょうか。