クリスマスホーリーとは
クリスマスホーリーは、常緑の葉と美しい赤い実が特徴の、耐寒性の強い常緑樹です。緑と赤のクリスマスカラーは、リース材料やクリスマステーブルの装飾に好まれます。とげのある葉が「魔除け」の効果があるという、古くからの言い伝えも有名です。
あまり知られていませんが、春に咲く薄緑色の花には芳香があります。花も実も葉もすべて楽しめるクリスマスホーリーを自分で育てたい方は、まず基本的な育て方を知ることから始めましょう。
この記事の内容
この記事では、育て方のポイントや葉が枯れる原因などについて、詳しくまとめています。市販されているクリスマスホーリー苗の樹高は、30~60cmぐらいです(※樹高とは、木の根元から、最も高い葉先までの高さのこと)が、時間をかけて大きく育てると初冬に美しい赤い実をたくさんつけ、見ごたえがありますよ。
名前の由来
クリスマスホーリーとは「クリスマスの聖なる木」という意味で、クリスマスカラーを持つことが名前の由来となっています。自家栽培のクリスマスホーリーでクリスマス飾りを作りたい方は、11月頃から実が赤く色づくことを覚えておいてください。
クリスマスホーリーの別名
クリスマスホーリーは、別名をセイヨウヒイラギ(西洋柊)、ヒイラギモチ、イングリッシュ・ホーリー、ヨーロピアン・ホーリーといいます。クロガネモチやソヨゴと同じモチノキ科モチノキ属の植物で、耐寒性の強い常緑樹です(※常緑樹とは、秋になっても落葉せず一年中緑色の葉をつける樹のこと)。
クリスマスホーリーの特徴
クリスマスの定番モチーフ
クリスマスホーリーは、英国では人気の高い庭木です。海外製のアンティーク・クリスマスカードにはクリスマスホーリーが描かれ、とげのある常緑の葉と赤い実はクリスマスの定番モチーフとなっています。
欧米では、クリスマスホーリーのリースを玄関に飾る風習があるのをご存じですか?これには魔除けや幸福を願う意味があります。とげのある緑の葉は永遠の命を、赤い実はキリストの流した血を表し、クリスマス装飾の定番です。
葉・花・実の特徴
クリスマスホーリーは耐寒性・耐暑性ともに強く樹高は3mを越えるので、地植えがおすすめです(地植えとは、庭や花壇に直接植える植え方のこと)。生け垣の場合、樹高2m前後になるよう剪定しましょう。
常緑性の葉は楕円形で光沢があり、大きさは3~7cmです。特徴的なとげがありますが、とげは成長するにつれ目立たなくなります。花には芳香があり、受粉後、秋から冬にかけて赤い実になります(注:食用には向きません)。
雌雄異株(しゆういしゅ)
雌雄異株(しゆういしゅ)とは、雌花と雄花を別々の個体につける植物のことです。簡単に言えば、オスの木とメスの木があり、クリスマスホーリーの赤い実はメスの木だけに出来ます。
ではクリスマスホーリーは、オスの木とメスの木、両方を栽培しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。クリスマスホーリーは、受粉しなくても実がなる性質があるため、雌株単独でも赤い実はつきます。
クリスマスホーリーの育て方:4つのポイント
1:植え付け時期
植え付けとは苗を鉢や庭に植えなおす作業で、クリスマスホーリーの植え付け・植え替えは春か秋におこないます。市販されている樹高30cm前後の大きさの苗は通年植え付け可能ですが、真夏や真冬は避けます。
地植えの場合、深さ30cmほどの穴に肥料と腐葉土を混ぜこんで植え付け、たっぷり水をやります。1年目は生長に時間がかかり実は少なめですが、2年目から樹高も大きくなり実が増えるので、安心して栽培してください。
植え付け用土
クリスマスホーリーの植え付け用土には、腐植土や砂質の土など、保水性のよい土が適しています。腐植土とは、20%以上の腐植質を含む土壌で作物の栽培に適しており、水はけ・水もちがよいのが特徴です。クリスマスホーリーが深くまで根を張れます。
市販の土を購入する場合、培養土を利用するか、園芸用黒土・腐葉土を混ぜたもの、赤玉土・腐葉土・川砂を混ぜたものが水もちがよくおすすめです(川砂は少なめでかまいません)。
植え替えも大切
- 鉢植えのクリスマスホーリーは2~3年に1回、一回りか二回り大きな鉢へ植え替えましょう。土の通気性がよくなり、株が元気になります。
2:開花時期
クリスマスホーリーは耐寒性常緑樹で、開花時期は春(4月~6月頃)です。花の大きさは直径1cmほどで芳香があります。花の時期に群れ咲く小さな花と常緑性の濃い緑の葉は、冬に施した寒肥が効いて株が元気に生長している証拠です。
通常、花の咲いた後に赤い実がなりますが、日光や栄養が不足すると実がならないこともありますので、日光を当てる時間を長くすることと、肥料を与えることを忘れないで栽培管理しましょう。
3:実のなる時期
クリスマスホーリーの実のなる時期は、11月頃です。5、6月に咲いた花の後に緑色の実ができ、秋から冬にかけて少しずつ赤く色づきます。
赤い実のあるクリスマスホーリーの枝はクリスマスアレンジに人気で、実のない状態より、実のついた苗の方が高い価格で市場に出回ります。樹高30cmほどの大きさの実のない苗で、約1500円ほどです。クリスマスホーリーは魔除けの意味があり、リース材料として使われます。
4:肥料の時期
クリスマスホーリーの肥料の時期は、冬です。肥料が足りないと樹勢が衰え、実がつかないこともあるので、緩効性固形肥料を株元から少し離れた所に与えましょう。この施肥により、春頃からクリスマスホーリーの樹勢が強くなります。
緩効性の固形肥料の代わりに使える肥料は、堆肥と油かすを混合したものです。株の根元から離れたところに、4、5か所の穴を掘って与えます。徒長を防ぐため、花の時期前後の施肥は避けましょう。
クリスマスホーリーの栽培:3つのコツ
1:植える場所
クリスマスホーリーは半日陰でも育ちますが、実つきを良くするためには十分な日当たりを確保して栽培することが大切です。日光不足だと実がつかなかったり、葉が枯れたりといった症状が出ます。太陽の出ている時間帯に、しっかり日の当たる場所に置きましょう。
西日が強くなる季節は、乾燥に注意して管理することがポイントです。鉢植え栽培のクリスマスホーリーは、太陽光の強い時間帯は半日陰に移動してもかまいません。
2:剪定・切り戻し作業
剪定はあまりしない
- クリスマスホーリーは生長が遅いため、剪定は控えめにするのがコツです。いつ剪定をしても花芽は落ちるので、強剪定はできるだけ控えましょう。風通しをよくするため、枝が極端に混みあっていたら、葉のとげに気をつけながら剪定してください。
剪定とは、枝の一部をはさみで切ることです。クリスマスホーリーは秋・冬に花芽が分化し、春に開花、実のなる11月には花芽も同時に形成しています。つまり、いつ剪定しても花芽か実が落ちるのです。
実を食べにくる野鳥の数が多くて困るという方は、赤い実のついた枝を中心に剪定するようにしましょう。また、地植えのクリスマスホーリーは放置すれば樹高が大きくなりすぎるため、春と秋に剪定し、樹高を調節します。
3:増やし方
挿し木での増やし方
挿し木の時期
- クリスマスホーリーの挿し木の適期は6~7月です。発根するまでは日陰で、土が乾かないよう水分調節をして管理しましょう。
クリスマスホーリーの増やし方には、挿し木という方法があります。挿し木とは、植物の一部を土に挿し、発根を促す植物の増やし方です。樹高の調節も兼ねて状態のよい枝を切り取り、挿し穂(大きさは15cm程度)を用意します。カッターなどで斜めにカットした切り口を、水に浸して1時間ほど吸水させましょう。
挿し木用土は赤玉土がおすすめです。2、3ヵ月で発根しますので、根が伸びてきたら鉢などに植え替えて栽培しましょう。
種まきでの増やし方
種まきで増やす方法もあります。赤い実から採取したクリスマスホーリーの種は、すぐに種まき用土(赤玉土など)にまきましょう。クリスマスホーリーの種まきの時期は4月上旬頃が適期です。
種まき後は植え替えをせず、放置してください。最初の年は生長に時間がかかりますが、2年目から樹勢が強くなり、樹高も伸びてきます。種まき後2、3年経って苗木が樹高30cm以上に大きくなったら、春(4〜5月)に地植えしましょう。
枯れる?心配な3つの症状:原因と対策
強剪定にも耐え、耐寒性・耐暑性ともに比較的強いクリスマスホーリーですが、枯れるのでは?と心配になるような症状が出ることがあります。この章では、クリスマスホーリーの症状別に、その原因と対処方法についてまとめています。
大切なクリスマスホーリーが本格的に枯れる前に、なるべく早めに対処するようにしましょう。早期に適切な処置をすれば、時間はかかっても枯れることなく必ず復活しますので、慌てず根気よく管理します。
1:葉が落ちる
葉が落ちる症状は、地植えより鉢植え栽培のクリスマスホーリーによく見られます。これは、水不足や水のやりすぎが原因です。常緑樹なのに葉が落ちると、枯れるのかと心配になりますが、あきらめずまず土の状態を確認します。
葉が落ちる原因として加湿が疑われる場合は、クリスマスホーリーの株を掘り起こし、根や周囲の土を日光でよく乾燥してから戻す、または新しい土を足すと元気になります。時間をかけて慎重に見守りましょう。
2:葉が黄色く枯れる
クリスマスホーリーの葉が黄色く枯れるのは、地植えより鉢植え栽培によくみられる症状で、根詰まりを起こしているサインです。根詰まりを起こすと水分や肥料分を十分に吸収できなくなるので、葉の色が薄くなってきたら、株が枯れる前に早めに植え替えを行ないましょう。
対処法
植え替えの際には新しい土を足し、古い土とよく混ぜて空気を含ませます。黄色くなった葉は思い切って剪定し、時間をかけて回復させましょう。完全に株が枯れる前に、できるだけ状態のよい枝を切り取り、挿し木しておくのも一つの対処法です。根詰まりが解消されたら、葉の色が常緑樹らしい濃緑色に戻ります。
3:実がならない
原因①:日光不足
クリスマスホーリーの実がならない原因として考えられるのは、日光不足です。日光が不足すると花の数が減り、結果として実も少なくなります。完全に枯れる前に、地植え・鉢植えいずれも日光に当てる時間を増やし、風通しのよい場所で栽培しましょう。実の色が悪い場合も、日光不足が考えられます。
原因②:肥料不足
もう一つの原因は、肥料不足です。春以降のクリスマスホーリーの生長のために、冬に寒肥として緩効性の固形肥料を与えましょう。11月頃に実がつかなければその年の実はあきらめ、翌年の実のために再び施肥を試みてください。
まとめ
クリスマスホーリーとは、日光と適度な水分を好む、耐寒性のある常緑樹です。地植え・鉢植えともに、太陽の出ている時間帯はできるだけ長く日の当たる場所に置き、冬に寒肥を施し、極端に土が乾燥しないように気をつけて夏越しすれば、枯れることなく元気に生長します。赤い実と濃い緑色のとげのある葉が特徴のクリスマスホーリーは、リースやオーナメントのアレンジに使うととてもおしゃれです。
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