ギンヨウアカシアは関東以南でよく育つ!
マメ科アカシア属のギンヨウアカシアの最大の魅力は、鑑賞価値が高い"銀灰色"の葉だけではなく、株を覆うようにたくさんつける球状の黄色い小花にあります。ガーデニングでシンボルツリーとして地植えされることが多いほどです。
オーストラリア原産ということが示しているように、耐寒性は-5℃くらいまでのため、関東以南の温暖な地域でよく育ちます。寒冷地域では、屋内でも育てられる鉢植えがおすすめ。増やし方などもチェックしてギンヨウアカシアを育ててみましょう!(この記事は2021年5月9日時点の情報です)
「ミモザ」との違い
ギンヨウアカシアは、黄色い小花をたくさんつける他の種類のアカシア属と同じように「ミモザ」として流通されていることが多い樹木です。しかし"本来のミモザ"は、南アメリカ原産のマメ科ネムノキ亜科オジギソウ属の「オジギソウ」となります。
ギンヨウアカシアなどのアカシア属の葉や花の形が、オジギソウのと似ているためイギリスでの誤用が定着してしまったようです。今では本家のオジギソウではなく、他の種類も含めたアカシア属がミモザとして一般的になっています。
ギンヨウアカシアはフサアカシアと似ている
さらにギンヨウアカシアは、同じくオーストラリア原産ですが、別の種類であるマメ科ネムノキ亜科アカシア属の「フサアカシア」と混同されやすい点もあげられます。別な種類ですがフサアカシアもミモザとして流通しており、やはりガーデニングで人気の種類です。
しかしガーデニングで地植えする場合はギンヨウアカシアのほうがよいでしょう。ギンヨウアカシアのほうがフサアカシアよりも葉と花がやや小さめで、高さも少しコンパクトなのです。
「ミモザ」は国際女性デーのシンボル
イタリアでは毎年3月8日は、女性に感謝を伝える記念日「Festa della Donna(=女性の日)」とされています。世界各国にアメリカが発祥の女性のための日「国際女性デー」がありますが、ミモザを女性に贈る花として決めたのはイタリアです。
男性たちは日ごろの感謝を込めて身近な女性たちにミモザの花束などをプレゼントします。最近の日本でもイタリアをお手本にし、国際女性デーや母の日などにミモザを贈ることが人気になっているのです。
ギンヨウアカシアの花言葉
ギンヨウアカシアの花言葉は「感謝」「真実の愛」「ひそかな愛」「感受性」「友情」「思いやり」「エレガンス」「堅実」などと数多くあります。
「感謝」は、男性が身近な女性に日頃の感謝の気持ちを込めてミモザの花を贈る習慣が由来のようです。「真実の愛」「ひそかな愛」の由来は、かつてネイティブアメリカンがアカシアの花を愛の儀式に男性から女性に贈ったことにあるといわれています。複雑な花の形をしながらも愛くるしい、ギンヨウアカシアならではの花言葉ですね。
ギンヨウアカシアの育て方
ギンヨウアカシアの特性
ギンヨウアカシアは、日当たりがよくて水はけのよい場所が好きな特性があります。耐寒性は-5℃くらいまでといわれており、地植えの場合は、関東以南の地域でないと上手に育てられません。
高さは5~10メートルになりますが、成長速度が速いので、剪定をしないと枝を広げながらどんどん伸びてしまいます。地植えでコンパクトに育てたい場合は、成長速度に合わせて小まめに剪定しましょう。地植えで大きく育てたい場合は、ある程度の広さがあるスペースに植えてください。
関東以南でもご注意!
ギンヨウアカシアの栽培は関東以南であれば問題ないといわれていますが、まれに関東以南でも雪が降ることがあります。雪が降るほどの気候は気温も低下し、柔らかいギンヨウアカシの枝が雪の重みで折れてしまう心配も。
雪が降りそうな年は菰(こも)で雪囲いをするなどの対策が必要です。翌年の春にきれいなギンヨウアカシアの花を咲かせるために、少し手間がかかっても臨機応変な育て方をしましょう。
ギンヨウアカシアを植える場所
ギンヨウアカシアはオーストラリア原産ということが示しているように、ガーデニングでも日当たりのよい場所を好みます。日当たりがよくないと花が咲かないため、なるべく日当たりのよい場所を選んで地植えしてください。強風が吹くと枝が折れることもあるため、風が直接当たる場所は避けて地植えしましょう。
耐寒性はそれなりにありますが、鉢植えは暖かい時期には日当たりのよい屋外に置き、寒い時期は屋内の日当たりのよい場所に移動してください。
ギンヨウアカシアの土
ギンヨウアカシアは水はけのよい土を好みますが、やせ地でも成長速度も遅くならずによく育つため、ガーデニングでも土質に神経質になる必要はありません。
鉢植えにするときは、赤玉土中粒と腐葉土を2:1の割合でブレンドした土か、市販の培養土を使ってください。
ギンヨウアカシアの植え付けと時期
ギンヨウアカシアの植え付け時期は、成長期の4月から9月となります。地植えの場合はギンヨウアカシアの移植は難しいため、日当たりがよくて水はけのよい場所などのように、植える場所を考えてからにしてください。
植える穴は根幹の2倍ほどの大きさにし、掘りあげた土に腐葉土をブレンド。苗木を置いたらブレンドした土で埋め戻します。ギンヨウアカシアの幹や枝は柔らかくて折れやすいため、必ず支柱を立てて固定しましょう。仕上げに水やりをたっぷりしてください。
ギンヨウアカシアの水やりと時間
ギンヨウアカシアの水やりは、植え付けて1年未満の株の場合は、土の表面が乾いてからたっぷりの水やりをしてください。根付いた後の水やりは、日照不足などでよほどの乾燥状態が続いていない限りは必要ありません。鉢植えの場合も地植えと同様で、乾いてから水やりします。
水やりの時間は、暖かい時期の場合は朝や夕方などの気温が低めのころにしましょう。真夏などは土中の気温が高くなっているため、水やりはお湯を与えているのと同じことになるのでご注意ください。
ギンヨウアカシアの肥料
ギンヨウアカシアの肥料を与えるときの注意点は、窒素を控えることにあります。ギンヨウアカシアなどのマメ科植物は窒素が多いと、葉や茎が弱くなったり葉が変色したりします。土中にある根粒菌に作用して空気中の窒素を取り込む性質のため、肥料などの土中からの窒素の吸収は少なくてもよいのです。
肥料の三大要素である「窒素」「カリウム」「リン酸」を配合してある肥料の中で、窒素が少量でカリウムとリン酸の多い"即効性化成肥料"がおすすめです。
ギンヨウアカシアの植え替え
地植えしたギンヨウアカシアは植え替えができないため、地植えする前に必ず栽培にふさわしい場所を考えてからにしてください。日当たりや水はけのよさ以外に、ガーデニングでは高さのあるギンヨウアカシアの陰になってもよい場所を選ぶことも考えておきましょう。
鉢植えの場合は、根が詰まってきたときが植え替えのタイミングとなり、ひと回りほどの大きさがある鉢に植え替えましょう。根詰まりのサインは、水やりをしてもすぐに土が乾いてしまうときです。
ギンヨウアカシアの植え替えの方法
鉢植えをしたギンヨウアカシアの植え替えの方法は、根鉢を崩さないようにしながら、根の土を丁寧に軽くほぐして落とします。
次に、枯れている根や長過ぎる根をハサミなどでカットします。幹や枝は柔らかいので必ず添え木などの支柱を立てましょう。
ギンヨウアカシアの剪定
ギンヨウアカシアは成長速度が速いため、株を大きくしたくない場合は剪定の必要があります。樹形を整えるためにも剪定の方法を覚えておきましょう。剪定のタイミングは、花が咲き終わって茶色くなり、花粉が飛散しない時期となります。
花芽は秋につくため、夏以降の剪定は花芽を落とすことになるのでご注意ください。剪定する箇所は、大きさ調整の芯止め、伸びた枝や分枝して込み合った枝の間引きです。枝を切り戻す個所は必ず新芽、葉、小枝を残した位置にしてください。
ギンヨウアカシアの増やし方
ギンヨウアカシアの増やし方は種で行います。少し面倒かもしれませんが、庭の周りを明るくしてくれるギンヨウアカシアの増やし方をチェックしておきましょう。
増やし方:種の採取方法
花の後に、茶色く熟したギンヨウアカシアのさやから種を取り出し、9月から10月の間に蒔きます。種は乾燥してしまうと発芽率が下がるため、なるべく種の採取後はすぐに蒔いてください。
翌年の3月から4月に蒔く場合は、種の乾燥防止のために湿らせた砂に混ぜ、ファスナー付きのビニール袋などで密閉して冷蔵庫で保管します。
増やし方:種まき
発芽温度は15~25℃となり、適期は9月から10月、または翌春の3月~4月です。種を小粒の赤玉土に蒔いたあとは土で1センチメートルほど覆い、仕上げに水やりをたっぷしりします。
1週間から3週間ほどで発芽しますが、発芽率を上げるために吸水作業が必要になります。
増やし方:発芽のための吸水作業
ギンヨウアカシアの種は硬い殻で包まれているため、発芽率を上げるために吸水作業が必要になります。
15分ほど70~75℃のお湯に浸し、すぐに引き上げて冷水につけ、1~2日ほど放置しておきます。こうすることでギンヨウアカシアの種の発芽率が上がるのです。
ギンヨウアカシアの病気・害虫対策
ギンヨウアカシアの病気
ギンヨウアカシアの病気は、特に必要以上の心配をしなくてもよいですが、うどんこ病には注意しなければいけません。風通しが悪いとカビが発生してしまい、うどんこ病にかかってしまうこともあります。
カビが発生しやすい梅雨や湿度の高い初夏は、枝が混みあわないようにしっかり剪定をして風通しをよくしてあげましょう。
ギンヨウアカシアの害虫
ギンヨウアカシアで心配な害虫の種類は、他の植物にも多いカイガラムシがあげられます。カイガラムシはギンヨウアカシアの樹液を吸うことと、排せつ物が葉に付着してカビが発生し、"すす病"も誘発してしまいます。
排せつ物は白い筋の付いた柔らかい卵のうが目立つように枝に付くので、簡単に見つけられます。卵のうは数百匹もの幼虫がふ化してしまうと大発生するので、すぐにブラシで削り取るなどの対処をするようにしましょう。大量の場合は薬剤を活用します。
ミノガ類にも注意
ミノガ類(ミノムシ)は、幼虫が7月から8月に発生して葉を食べ、秋になると枝にミノを作り越冬します。翌春になると再び葉を食べて成虫となるのです。
ミノガ類の雌はミノの中に産卵するため、ミノを見つけたら必ず対処しましょう。放置しておくと数が増え、年々ミノガ類の被害が大きくなってしまいます。スプレータイプの殺虫剤を散布するなど、早めに対処しましょう。
コガネムシにも注意
ギンヨウアカシアの根が大好きなコガネムシにも注意しましょう。コガネムシの幼虫は食欲旺盛で、2匹しかいなくても3メートルもの大きさがあるミモザの根を食い尽くしてしまいます。
木の周りにはコガネムシの成虫がいるはずなので、見つけたらすぐに害虫駆除用の粒剤などの殺虫剤を地表に撒き、土中に浸透させることで根に食いついたコガネムシを駆除してください。
ギンヨウアカシアの"花"の特徴
複合花序と球状花序
ギンヨウアカシアの花は少し下向きの枝先に豪華に見える「複合花序」を付け、小さな花をたくさん咲かせます。複合花序とは、小さな花序がたくさん集まってできる花序のことをいいます。
球状に見えるものは単体の花ではなく、さらに小さい花が5~11個集まったもので、「球状花序」といいます。
複合花序には最大30個の球状花序が付く!
ギンヨウアカシアの花は、長く突き出したたくさんの雄しべの中に、隠れるように「花冠」と「萼(ガク)」があるのが特徴です。
ギンヨウアカシアの一つの複合花序には、最大で30個もの球状花序が付いているものもあるため、10センチメートル以上の大きさになる複合花序もあります。このような特徴的な花のつき方が、ギンヨウアカシアの魅力を際立たせているのです。
ギンヨウアカシアは鉢植えでも楽しめる!
ミモザとして流通しているギンヨウアカシアの耐寒性は-5℃ほどなので、地植えするならば温暖な関東以南となります。寒い地域では鉢植えにして楽しみましょう。低温に注意する点と日当たりと水はけのよい場所で育てるという点に気を付ければ、育て方は難しくありません。
成長速度が速いのでコンパクトに育てるならば剪定が必要です。植え替えはできないので地植えは栽培環境を考えてからにしましょう。春を明るくしてくれるギンヨウアカシアの栽培をお楽しみくださいね。
黄色い花の樹木が気になる人はこちらをチェック!
ミモザ以外で春に黄色い花を咲かせる樹木は、エニシダや蠟梅(ろうばい)などが挙げられます。育て方や増やし方などをいろいろ調べて、これらの樹木もガーデニングで楽しみましょう。

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出典:photo-ac.com