はじめに:カタバミとは?家紋に使われる意味
カタバミとは?クローバーとの違い
カタバミという植物はクローバーと似た野草で、自生しているところも同じ道端というのも重なり違いがわかりにくいものとされます。しかしこのふたつの植物の大きな違いは花が開花したときにはっかりとわかるでしょう。
よく見ると花の色や葉の形が違う
よくあるクローバーは和名がシロツメクサが表すように花の色は白なのに対して、カタバミの花は黄色をしているからです。またよく見てみるとハート形の葉がカタバミの特徴で、クローバーは切り込みがなく丸い葉が3ないし4枚付いている形となるのも見分ける方法とされています。
カタバミが家紋に使われる理由や種類を解説
カタバミは植物としてもかわいらしい形で目立ちますが、それ以外のところでも実は見かけることも多いのではないでしょうか。それはカタバミをモチーフとした家を表すマークである家紋です。
カタバミのデザインは家紋に多く使われており、日本十大家紋の中でも2番めに多く使われているのがカタバミ紋。なぜこんなにカタバミは家紋として人気が高いのか、その理由も解説していきます。
カタバミとは?基本情報や品種・花言葉も紹介
今回はカタバミの家紋デザインについてですが、まずその人気の理由を知るにはカタバミという植物のことを知っておくことで納得できるものとなっています。最初に基本情報や特徴、カタバミの花やその開花時期と花言葉をご覧ください。
カタバミの基本情報
科・属 | カタバミ科カタバミ属 |
原産地 | 日本 |
英語名/学名 | Oxalis/Oxalis corniculata |
カタバミという名前の由来
カタバミという名前は少し変わっていてそれだけではどんな意味であるか簡単には想像できません。この名前の由来は日没や雨の日など暗いところでは葉が半分に閉じて片方の葉しかなくなったようなところから来ています。
カタバミは片喰(片方を虫に食われたという意味・実際は閉じているだけ)という漢字で表すとその意味がわかりやすいでしょう。
カタバミという植物の特徴
カタバミの株の大きさは一派的には10cmほどの背の低い草です。主に道ばたに生えており茎自体の高さは30cmくらいにもなるのですが、まっすぐ上には立ち上がらず地を這うように伸びて、そこから頭をあげることにより株全体の日光にあたる範囲を増やすという特徴があります。
そのほかの特徴は名前のところでも解説した葉を閉じる様子ですが、これは葉だけでなく開花時期は花も夜になると花びらを閉じて眠ります。
品種
カタバミは実はいろいろな種類があって葉の色や花びらの枚数や色・大きさなどにも変化がある品種があります。
一般的な緑の葉に黄色い花のカタバミのほかに茎や葉が赤いアカカタバミやウスアカカタバミ(これらは大きさが小さめ)・毛が生えているものはケカタバミ・ホシザキカタバミは花びらの枚数が10枚ほどともなる、重弁咲きと呼ばれる咲き方の品種です。
カタバミの開花時期
この植物はいつ咲くのかというと、開花時期が長くて春から秋まで咲き続けます。具体的には4-10月くらいまでは、日本の自生している地域であれば、道端で色づくカタバミの花が簡単に見つけられるでしょう。
カタバミの花言葉は「喜び」
喜びという花言葉の由来は海外から来たもので、キリストの復活祭と深く関わりがあります。カタバミが咲く季節がこの復活祭のころと重なるため、海外ではその時期からカタバミのことをハレルヤ(神をほめたたえる言葉)とも呼ぶからです。
カタバミが家紋に使われる理由
カタバミは日本の紋様の中でも2番めに種類が多いモチーフです。ちなみに一番は藤でこちらは130種類に対してカタバミは120種類。たった10の差しかありませんので、カタバミ紋はかなり人気の高いポピュラーなモチーフであることがわかるでしょう。
多年草のカタバミには子孫繁栄の意味がある
人気紋1位の藤紋の理由
家紋数1位の藤は日本庭園に棚を作られて、多くの人が見学にいくのが流行ったほど日本人好みの花です。これは元をたどれば藤原鎌足の武家紋として天智天皇から賜ったのが藤紋で、藤原家のように大出世したいという庶民があこがれから多く使った紋としても有名です。
教科書にも乗るくらい大きな歴史上のできごとが下敷きとなっているのですから数が多いのは納得ですね。
カタバミの生命力にあやかりたい
それに比べてカタバミは道端に生えている雑草。のちに武家の紋としても人気が出ましたが、その多年草であるカタバミの踏まれても絶えないという生命力を子孫繁栄と置き換えて、こちらも庶民の間でみんなが使って数を増やしていったという経歴があります。
カタバミが身近な植物であるため
藤は棚の上から垂れ下がり咲く花を下から見上げるもので、いわば高嶺の花ともいえる植物です。
藤紋を真似した庶民も多かったようですが、それよりも身の丈に合ったものをという日本人の謙虚な気持ちにフィットしたのが、野に生えているカタバミという多年草植物の毎年絶えない雑草パワーにあやかりたいという気持ちでした。
ハートが中央で集まる形という理由
カタバミという植物の特徴的なものともいえるハート型の葉は、4枚のものもありますが多くが3枚の葉が中央でつながりひとつのカタバミの葉として認識されています。
このようにハートが中央でつながっている形は昔からシンプルでありつつも人の心をつないだ形として、家紋のモチーフとするのにぴったりな形として好まれました。
カタバミが使われている家紋の種類
それでは日本で2番めに多いカタバミ紋の中でも有名な種類をいくつかご紹介しましょう。家紋ですので色は黒がベースですが中には色を反転させた白抜きになっているデザインのカタバミ紋もたくさんあります。
子孫繁栄を願ったシンプルなカタバミ紋
カタバミ紋
カタバミ紋の中でも基本の形がこの黒い色1色のカタバミ紋(片喰紋)です。以下にご紹介するカタバミ紋のバリエーションの意味はすべて子孫繁栄となります。庶民だけでなく武家でもこのようなシンプルなカタバミ紋を使っている家系も少なくありません。
中陰カタバミ
さきほどのカタバミ紋と白黒が逆転したような紋です。反転についてはあまり意味については言及されず、単にデザイン的に好みであるかなどの理由で決められたといわれています。
四つカタバミ
植物のカタバミにもまれに4枚葉のものが出現します。四つ葉のクローバーのように特に幸運の印とするなどの有名な意味はありませんが、家紋として4枚葉のカタバミを使ったものも存在します。
三つ盛カタバミ
こちらはよほど子孫繁栄を願ったお家なのかカタバミが3つもあしらわれた家紋です。カタバミに限らず家紋には他のものと区別するために別の植物と組み合わせる、数を増やすなどしてバリエーションが増やされています。
丸にカタバミ
ベーシックなカタバミ紋を丸で囲んだのがこの家紋ですが、見比べてみるとひとつの図形としてのまとまりを感じるという方も多いでしょう。丸い図形をさらに丸で囲んで強調すると、荘厳さ・偉大さが出るとされ武家の家で特にこの丸で囲む家紋が多く使われています。
武士の家に多い剣があしらわれた家紋
中陰剣カタバミ
カタバミの家紋の中で武将をあらわす剣が取り入れられているのが剣カタバミというどがったデザインが取り入れられているものです。こちらは基本的な輪郭線だけのシンプルなものとなっています。
劔カタバミ
さきほどのものと色が反転しているような黒いカタバミに剣が入ったデザインもあります。家紋の特徴として同じカタバミと剣のデザインでも色を変えたりと少しずつ変化させ、その家独特のものとしようとする様子が見られて興味深いですね。
丸に劔カタバミ
カタバミのもと同じく丸で囲まれたデザインのものもあり、丸に劔カタバミと呼ばれています。この家紋は昔の武将ならば酒井重忠、世界のクロサワと呼ばれた映画監督の黒澤明さんもこの家紋を使っている家に生まれた有名人です。
まとめ:カタバミは十大家紋のひとつ
カタバミは鎌倉時代から使われた紋様
今回はハートの形の葉がかわいいだけでなく、昔から家紋のデザインとしても愛されているカタバミという植物の特徴や家紋の種類・クローバーとの違いなど植物雑学をご紹介してきました。育て方などとは違って楽しく読み進めていただけたのであれば嬉しいです。
カタバミは道ばたでよく見かける植物なので次に見かけたときに記事を思い出して、その特徴や開花時期・花色やその生命力の高さなどを、あなたの身近な植物好きな方と共有してみてはいかがでしょうか。
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暮らしーのでは今回のカタバミのような植物の花言葉や雑学的な記事もたくさんご用意しています。
カタバミだけでなくみんな知っているひまわりのあまり知られていない花言葉など、興味をそそられるほかの植物についても詳しく知りたい方にはこちらの記事などおすすめです。是非見てみてくださいね。

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