はじめに:ウォータークローバーの特徴
ウォータークローバーとは
ウォータークローバーとは別名「デンジソウ」とも呼ばれる抽水植物。水草なので、根を水中に下ろし、茎と葉を空気中に出した状態で水中で育ちます。見た目は誰もが知る、あの「幸運をよぶクローバー」にそっくり。だけどそれとは異なる植物で、草体の大きさは5cm〜15cmほどです。
ビオトープとして栽培する際、水を濾過して綺麗にしてくれる効果もあるので、メダカや金魚などの可愛い水生生物と一緒に育てるのもおすすめです。
日当たりのいい場所を好む
屋外でも育てられる程、とにかく日当たりの良い場所を好みます。そして驚くほどに元気で旺盛に育成します。暑さには強く、夏の時期には耐暑性もあり、冬の時期には越冬もしっかりできる強い植物です。
またウォータークローバーの葉には面白い特徴があり、朝晩、就眠運動をして、葉自体が開いたり閉じたりする運動をします。そんな変化を眺めていると、ウォータークローバーもしっかり呼吸をして生きているのだという気持ちにさせてくれます。
和名「田字草」
野原によく咲いているクローバーに似ていますが、それとは全然異なる植物で、和名では「田字草」と書き、デンジソウと呼びます。かつては田園に多く生息し、葉の形が「田」に似ていることから、田字草と名前が付けられたそうです。
また、ウォータークローバーはデンジソウ科に属し、シダ植物の一種。そしてそのシダ植物の中でも水草というのは実に珍しいんですよ。幸福の象徴とされる四つ葉の葉姿がなんとも可愛く愛らしいですよね。
ウォータークローバーの種類
種類①ウォータークローバー・ムチカ
ウォータークローバーの中で一番ポピュラーかつオーソドックスなのがこちらのムチカ。よく「ウォータークローバー」とだけ称されて販売されているものは基本的にムチカとなります。こちらは水の中で栽培可能な種類としてよく見かけられます。
オーストラリア原産の抽水性の水草で、可愛い四つ葉の草姿から、日本ではビオトープ用の水草、また観葉植物として流通しています。寒さにやや弱い種類で、冬は屋外でも越冬可能な品種です。
種類②ウォータークローバー・ヨーロピアン
ウォータークローバー・ヨーロピアンはムチカと似ていますが、葉っぱの大きさが約半分ととても小型の品種になります。空気中に顔を出している葉はクローバーの形をしていますが、水中に埋まっている葉はスプーンの様な形状をしています。
オーストラリア原産ですが、ウォータークローバー・ヨーロピアンは日本に初めて輸入されたのがたまたまヨーロッパからであったためにヨーロピアンという名が付けられました。ムチかに比べて葉は細めです。
種類③クレナタ・ウォータークローバー
ヨーロピアンよりもさらに小型の品種がこちらのクレナタウォータークローバー。幅は約1,5cmと極小サイズ。常緑性で、九州南部や琉球列島、アジアの熱帯地域に広く分布しています。
ムチカよりも小さいサイズのウォータークローバーを育てたい方におすすめいたします。種類ですが、斑入りのものと斑が入っていないものと両方種類があります。クレナタは繊維質が非常に硬いため、枯れてもなかなか腐ることがないのが特徴の種類です。
種類④フィリピン(ベトナム)・ウォータークローバー
名前の通り、フィリピンやベトナムなどの東南アジアに多く分布している種類です。手をぱあっと広げているみたいに育つ姿がなんとも可愛く、水上葉も水中葉も四つ葉の形状をしているのが特徴。
ベトナムクローバーを栽培する際は、ある程度の程よく強い光が必要とされています。日当たりの眩しい場所で育成してあげましょう。しかし強すぎる光はおすすめ出来ません。フィリピンベトナム・ウォータークローバーは光が当たりすぎても、弱すぎても上へ上へ伸びようとする為です。
ウォータークローバーの育成にチャレンジ!
初心者でもお手入れ簡単!
ウォータークローバーはビオトープとして育てるのであればお手入れは簡単で、初心者にもおすすめです。小鉢などに植え、水中に沈めて栽培します。日当たりの良い場所に置いてあげましょう。また、増えてきたら株分けを行いましょう。
ウォータークローバーは耐寒性を有しますが、冬の寒い時期は見た目が枯れたようになります。しかし、実際に根の部分は生きているので、春が来ると再び元気に成長してくれるので安心です。越冬しやすく手入れの簡単なおすすめの植物です。
ビオトープとは
ビオトープとはbio(命)、tope(場所)を組み合わせた造語で、命が生活する場所と言ったような意味合いをもつ造語です。
本来は自然環境そのものをビオトープと呼びますが、現在では水槽に水草や水中生物を育て人工的に生命が憩う場所を造り出したものをビオトープと呼んでいます。
アクアリウムや水槽に水生生物と共に水草を育てているものをイメージしてもらうと良いでしょう。最近ではおしゃれなビオトープ作りやアクアリウム作りが人気を博しています。
ウォータークローバーの育て方
育て方①栽培場所(日当たりの良いところが一番!)
育て方は簡単で、十分な光と水があれば枯死させずに栽培することが可能です。
ウォータークローバーは、日当たりの良い環境(半日以上、日当たりする場所)、屋外の場所を好みます。ベランダなどの日当たりのいい屋外でも育てられるのでぜひチャレンジしてみましょう。
暑さには非常に耐性があり、真夏の直射日光を浴びても問題ありませんので、屋外に置いて育てることも可能です。ただし根は必ず水の中に挿しておいてあげましょう。
育て方③植え付け
真夏と真冬を除けば一年中植え付けを行うことが可能で、最適な時期は3月下旬から6月。
使用する用土は赤玉土や田んぼの土などが最適。今回は、初心者でも利用しやすい赤玉土(赤玉土の小粒)をおすすめします。赤玉土とは関東の火山灰から作った土のこと。
小鉢に株を植え赤玉土を敷き、水槽や水鉢に沈めます。葉が出てこないなという時は、水位を低くしましょう。赤玉土はホームセンターなどで気軽に手に入ります。ぜひ赤玉土を利用してみてくださいね。
育て方④水やり
根元を水に入れた状態のため、水やりをする必要はなくお手入れが簡単です。ただし、年間を通し365日常に根を水中に入れてください。
ただし、真夏は水温が40度を超えてしまう可能性があるのでその点だけは注意してください。高温になると水中の微生物が死に水が腐敗する可能性があるので、夏の暑い時期はこまめに水をかえる努力をしましょう。
ウォータークローバーの最適な水温は20度~28度程度。水質は弱酸性から弱アルカリ性の水(軟水〜中硬水)が適しています。
育て方⑤肥料
ウォータークローバーを栽培する際には、緩効性化成肥料を土の中に埋め込むのがおすすめ。肥料が水中に溶け出さないように、しっかり奥の方に埋め込みましょう。浅いと水に溶け出して、水が汚れる原因となってしまいます。
肥料を与える時期は春から秋頃、1、2か月に1回の頻度で与えましょう。
もし土に大磯砂を使っているなら、肥料不足になりやすいです。肥料は液肥よりも固形肥料がおすすめです。根から栄養を吸収することが理由です。
育て方⑥剪定
それでは、剪定についてご紹介します。
ウォータークローバーは本当によく育ちます。5月ごろになると驚くほどに葉っぱを増やし旺盛に育成します。剪定方法ですが、びっくりされるかもしれませんが、全てジョキっと切って剪定してしまっても、根がしっかり生きているため、新たに葉が伸びてくるほどに元気です。
なので、整えたいなと思った際には好きなように剪定して大丈夫です!剪定初心者でも簡単ですね。美しい見た目になるようにどんどん剪定を行いましょう。
ウォータークローバーの越冬と増やし方
耐寒温度と越冬
ウォータークローバーは耐寒性があり、越冬できるのですが、冬は空中に出している葉は枯れてしまいます。冬の間も美しい緑を楽しみたい場合には、室内で保温して育てるようにしましょう。室内であれば安心して越冬できるはずです。
耐寒温度についてですが、屋外でも越冬は一応可能な様ですので、耐寒温度は2~5度といったところでしょうか。しかし、いくら耐寒温度が低くても耐えられると言えど、気温が0度を下回り凍ってしまうことだけは避けたいものです。
株分け
ウォータークローバーの一般的な増やし方は株分けです。ウォータークローバーは本当に早くよく育つので、横方向へどんどん広がる様にして増殖していきます。地下茎が伸びてきたら、適当な大きさに切り分け、株分けを行いましょう。株分けを行うことでどんどんウォータークローバーを増やしていくことができます。
生育旺盛なので春に株分けを行えば、すぐに緑いっぱいの姿を見られるでしょう。株分けを行う時期も植え付け・植え替えと同じく春が最適です。
挿し木
ウォータークローバーは挿し木をすることでも増やすことが可能です。ウォータークローバーを根元でカットし、5.6本を束にしてゴムで止め、新たな鉢に赤玉土を入れそこに挿し木をしましょう。挿し木をした後は、次第に根をはやし新たに増殖してくれます。
とてもシンプルな方法なので、挿し木初心者にも手軽に行えますよ。
ポイントですが、挿し木をする際に、根元でカットをしますが、その際に一本一本綺麗に洗うようにしましょう。挿し木をする前に汚れを取り除くことで、健やかな生育に繋がります。
ビオトープの楽しみ方:水生生物と一緒に水槽で
金魚やメダカとウォータークローバーを一緒にしたビオトープって本当に可愛いですよね。実はウォータークローバー的には、金魚やメダカなどと一緒に育てていると、水中生物の糞が栄養になって、元気に育ちます。金魚やメダカたちにとっても心地いい隠れ家になるので、ビオトープにするとお互いにウィンウィンの関係なんです!プラスなことしかないのでビオトープを作成しインテリアとしても飾ることでお部屋の中が心地いい環境になりそうですね。
おすすめ:睡蓮花と共に美しく
こんな風に睡蓮花と共にビオトープにするのもおすすめ。睡蓮花の眩しい白や桃色の花が、ウォータークローバーやその他の抽水植物の緑に映えます。睡蓮は開花時期が数日から1週間ほどですが、その間だけでもとても風流な心地にさせてくれます。また、夜の間に開花する品種もあります。
睡蓮花は、メダカと一緒に育てたい水中植物ランキング、ナンバーワンなほどに人気があるんです。ぜひビオトープにチャレンジされる方は、睡蓮花も交えて育成してみてくださいね。
おわりに
ウォータークローバーは、見た目がたいへん愛らしいのでビオトープやアクアリウムなどに最適と言えます。寒い時期にも越冬しやすく、栽培も簡単で初心者向けなので、すぐに始められる手軽さも魅力的と言えます。環境に強く育成旺盛なのがビオトープ初心者には助かりますよね。
ぜひ初めての方も、ビオトープでウォータークローバーを育ててみてくださいね。きっと元気よく育ち、部屋やベランダを美しい緑で飾ってくれることでしょう。
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