アザミはどんな花?
多年草のアザミは草丈が1メートルを超える種類もあり、たびたび雑草扱いされることも。夏の季節、6月~7月の開花時期には赤っぽい紫や白っぽい紫色の花を至る所で咲かせます。
アザミの最大の特徴は、花びらの形とつき方、葉の形、茎や葉にあるトゲの3つです。花言葉は少し怖い意味を示すものもありますが、花言葉の前にアザミの特徴についてチェックしておきましょう。いろいろ知ると、アザミの花言葉に納得できるはず。
アザミの外見的特徴
アザミの花は管のような形をしており、雄しべや雌しべが花から棒のように突き出ている様子が針山のようです。花の色は紫や赤紫が多く、まれに白や白っぽい種類もあり、園芸用に人気です。
花のつき方は垂れ下がった種類や上向き、横向きなどと異なります。葉は深く切れ込み、花言葉の由来である、触ると痛いトゲがついています。茎にもトゲがあるので簡単に切れません。繁茂する季節に野山に入るときは、充分にご注意ください。
アザミの種類
園芸品種として人気がある主なアザミは6種類ほどあります。日本で最大の花をつけるフジアザミは垂れ下がった花の形をしており、本州中部地方の日当たりのよい山地の荒れ地や崩壊地の斜面で生えます。本種は紫色ですが白花も流通しており人気です。
見分け方は、花の大きさ・花のつき方・総苞の形・総苞片の形とつき方などがあります。実にいろいろな種類のアザミがあり、植物図鑑を見ても違いがはっきり分からないかもしれません。
アザミの性質
アザミは北半球に約300種類も分布し、日本にはそのうちの1/3ほどがあるといわれており、多くが地域固有の種類です。種類が多い理由はアザミが変異しやすい植物という点が挙げられます。種類間で雑種が生まれやすく、分類が難しいといわれる植物の一つです。
崩壊地を好む種類、湿地を好む種類、蛇紋岩地を好む種類など、環境に適応しやすいため各地で見られますが、開花時期の季節に観察すると違いを発見できることでしょう。
アザミの花言葉・色別花言葉
アザミに共通している花言葉は、少し怖い意味の「報復」や「厳格」「触れないで」「独立」などトゲを示しているものばかり。アザミを国花とするスコットランドには、ノルウェー軍の夜襲を床に撒いておいたアザミのトゲで追い払うことができたというエピソードがあります。
イギリスからの独立も果たし、厳格なプライドも持つとされるスコットランドの国花とふさわしい花言葉ですね。色によって、少し違う花言葉もあります。
紫色のアザミの花言葉
紫色はアザミの定番カラーですが、「厳格」などの本来の花言葉以外に、紫という色自体が持つイメージの「高貴」「気品」が加わります。厳格さは、卑屈ではないことや優柔不断ではないことを意味する言葉。
他人の顔色をうかがわずに信念を持って生きている人を思い起こさせます。毅然とした態度が気品を感じさせる、紫色のアザミにふさわしい花言葉です。
青いアザミの花言葉
アザミの花の色はほとんどが紫色ですが、アザミの仲間のヒゴダイ(ルリタマアザミまたはエキノプス)には青い色の種類もあります。青い色のアザミの花言葉は「安心」「満足」です。
青い色はさわやかさをイメージさせるので、紫色のアザミの花言葉とは意味が異なるのでしょうね。
赤いアザミの花言葉
アザミには赤い色をした種類もあります。赤い色のアザミの花言葉は「権威」「復讐」「報復」。トゲがあるアザミを言い表しているかのような花言葉です。
この花言葉は、アザミ全体に共通している他人とのなれ合いを許さない「厳格」「独立」などの花言葉と関連性がありそうですね。情熱的で力強いイメージがする赤い色のアザミにふさわしい花言葉といえます。
白いアザミの花言葉
アザミには意外なことに白い種類もあります。清楚で丸く愛らしい雰囲気のノアザミからは、凛としたたたずまいが感じられます。花言葉は「自立」で、やはり共通した花言葉の「独立」や「厳格」との関連性があるといえるのではないでしょうか。
アザミの英語の花言葉
アザミの英語の花言葉も、一見すると恋愛に関するものではありません。まず挙げられる花言葉は「independence(独立)」。「austerity(厳格)」と「nobility of character(人格の高潔さ)」も同じ意味といえます。
英語の花言葉「misanthropy(人間嫌い)」は日本語の花言葉にはありませんが、厳格や独立などの特徴が極端になると、人間嫌いになる傾向を示していますね。
アザミの誕生花
アザミを誕生花とする誕生日は、3月19日・4月19日・9月18日・10月21日の4日です。贈り物としては、花言葉が柔らかいイメージではないので難しいところですが、使い方を間違えなければ誕生日にプレゼントすると喜ばれることでしょう。
独立した会社経営者、厳格で少し怖い父親などの誕生日によいかもしれません。これらの誕生日の人がいたら、アザミの花言葉も添えて贈りましょう。
アザミの名称の由来と花言葉
アザミの名称は古語の「あざむ(浅む)」が由来で、「あざむ」の意味は【驚きあきれる】や【あなどる・見下す】などです。花言葉「触れないで」「厳格」が示しているように、花を折るとトゲに刺されて驚くことが由来。
別説では、沖縄八重山地方の方言でトゲを意味する「アザ」に、植物名に多い接尾語の「ミ」が付いたという説も。アザミを漢字にすると「薊」と書きますが、魚にはトゲトゲの骨があることからも納得します。
花の色が由来説もある
アザミの名称の由来は「トゲ」に関するものが多いですが、中には花の色に関する由来もあります。アザミの花の色は紫色ですが、よく観察すると白も混ざっています。紫と白が交え合わさったような色味で、「縄を糾う(あざなう)」ような花との説もあります。
いずれにしても名称の由来ははっきりしていませんが、アザミの名称の由来と花言葉の由来をいろいろ想像するのもまた楽しいものです。
アザミの花言葉とは裏腹な利用方法
ちょっと怖い意味の花言葉があるアザミは有用ではない気がしますが、アザミの新芽や根は食用になるのです。新芽は山菜として天ぷらに、根は「ヤマゴボウ」といって、みそ漬けにすると美味しいといわれています。
青森県津軽地方などのスーパーマーケットでは食材として販売されています。山間部の観光地などで販売されている「ヤマゴボウ」のみそ漬けは、ほとんどが本州で自生するモリアザミの栽培品種です。
モリアザミの栄養価
モリアザミの栄養価は優れており、タンパク質や糖分、炭水化物、食物繊維が多く含まれており、滋養強壮の効果もあるといわれています。切り口が菊の花に似ていることから「菊牛蒡(キクゴボウ)」として、江戸時代後期から食用にされてきたそうです。
しょう油や麹で漬け込むのも美味しいといわれています。もし観光地の売店などで目にしたら、ぜひ試しに買ってみましょう。花言葉の意味とは正反対の味わいをお楽しみください。
アザミではない「ヤマゴボウ」に注意!
紛らわしいのですが、「ヨウシュヤマゴボウ(別名アメリカヤマゴボウ)」という名称の有毒植物があるのでご注意ください。「ヨウシュヤマゴボウ」は北アメリカからの帰化植物で、野山などでよく見かけます。
紫色の茎に黒い実をつける様子がブドウのようにも見えるため、アレンジメントフラワーやガーデニングにも利用されることが多いのです。全草に毒があり、特に根や種子が激しく、嘔吐や下痢、けいれんなどを起こします。
アザミによく似た種類と花言葉
トウヒレン
トウヒレンは筒状のかたまりの花を2個以上咲かせるアザミの仲間。キキョウ目キク科アザミ亜科トウヒレン属で、北半球に分布することやトゲのある葉があることなどアザミと特徴が似ています。日本には約60種類ほどが分布しているとか。
漢字で書くと「唐(塔)飛廉」で「飛廉」はアザミのことを指しています。帰化植物の「ヒレアザミ」と関係しているようですが、はっきりした由来は不明です。種類が多く、分類が難しいようです。
トウヒレンの花言葉
トウヒレンの花言葉は単一のものはないようです。「飛廉」はアザミのことを指すので、アザミと同じ「自立」や「厳格」などの花言葉が当てはめられそうです。いろいろな種類があるトウヒレンなので、自分なりの花言葉を考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。
ヒゴダイ
ヒゴダイは、キク目キク科ヒゴダイ属で、花の形は種類によって筒状の花を1個または2個以上咲かせます。アザミのように深い切れ込みとトゲのある葉が特徴です。
大陸と地続きだった時代から日本に分布しているといわれ、貴重な存在とされています。高山にも「タカネヒゴダイ」や、葉が深く切れ込まない「ユキバヒゴダイ」などがあり、非常に多様な植物です。
ヒゴダイの花言葉
一般的にボールのような形の花をつけるヒゴダイの花言葉は、「実らぬ恋」とされています。アザミの花言葉「自立」「厳格」は恋とは無関係そうに思えますが、ヒゴダイの花言葉は何ともせつないですね。
ただしヒゴダイもいろいろな種類があり、花だけではなく全草の形が異なるので、この「実らぬ恋」という花言葉があてはまるかどうかは不明です。自分なりの花言葉を考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。
朝鮮アザミ
キク科チョウセンアザミ属の朝鮮アザミは別名をアーティチョークともいい、地中海沿岸が原産。花の下部のひときわ大きなトゲが特徴で、若いつぼみが食用になることで知られています。
レモンを入れて茹でるか蒸すかし、外皮を剝いて肉質部分を歯でしごくようにして食べるのです。少々面倒くさいですが、デンプンに富んでおり、イモのような食感がします。日本では常食されていませんが、多くはハーブティーで利用されています。
朝鮮アザミの花言葉
朝鮮アザミ(別名アーティチョーク)の花言葉は「警告」です。朝鮮アザミは一般的なアザミに比べるとトゲや葉っぱが大きく、アザミに共通する花言葉の「触れないで」どころのレベルではない、異常な怖さが感じられます。
しかし花言葉とは裏腹に、食用にもなることから適切に取り扱えば有益なアザミなのです。
紅花
花の色が黄色からオレンジ色、オレンジ色から赤い色に変化する紅花は、色以外はアザミの特徴とよく似ています。花のオレンジ色などの色以外に、トゲのある葉も似ています。
紅花もアザミと同じキク科の植物で、染色のほかに漢方薬や食用油などに利用されています。アザミも紅花もトゲはありますが、外見とは違って人間にとって有用な植物なのです。
紅花の花言葉
紅花の花言葉は「装い」「化粧」、「包容力」「愛する力」などで、恋愛を連想させる意味となっています。花の色以外はアザミと似ていますが、まったく正反対の花言葉でおもしろいですね。
紅花はオレンジ色が包容力を感じさせますが、紫色の花をつけるアザミは他者を受け付けない雰囲気があります。花言葉の由来は、決してトゲだけとはいえなさそうです。
実は素敵な花言葉のアザミを贈ろう!
アザミの花言葉は「報復」や「独立」「厳格」「自立」などがあります。英語の花言葉は、日本語と同じ言葉以外に「人嫌い」も加えられます。花言葉は、葉などにトゲがあることが最大の由来です。
恋愛に関する花言葉ではありませんが、実は信念を持って生きる凛とした姿をも感じさせる花言葉です。夏から秋にかけてが開花時期となるアザミは、よく見るとかわいい形をしています。父親や恩師へのプレゼントにおすすめですよ。
アザミが気になる人はこちらをチェック!
アザミはガーデニングに用いられることの多い花ですが、中には外来植物のオニアザミもあります。繁殖力が強いので在来種を駆逐する恐れが指摘されています。下のサイトをいろいろチェックしておきましょう。
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