タンポポの由来と基本
タンポポの名前の由来
名称の由来になった代表的な話は、「タン・ポン」と音が出る鼓に両端を裂いた茎の形がにているからという説や、中国語の【婆婆丁(ポーポーチン)】は白い綿毛のタンポポを老女に見立てていて、発音が日本で変化しタンポポといわれるようになった説になります。
また英名のdandelionは古フランス語のライオンの歯に該当し、葉のギザギザがライオンの歯とにているからという説もあります。
タンポポの品種と種類
タンポポの色は濃淡有りの黄色と白色です。中間の移行種もあり現在国内では約20種類以上、海外では約400種類以上が確認されています。代表的な国内の種類の名称を一覧にまとめました。
在来種 | モウコタンポポ節 | モウコタンポポ |
オキタンポポ | ||
シナノタンポポ | ||
トウカイタンポポ | ||
シロバナタンポポ | ||
カンサイタンポポ | ||
ウスギタンンポポ | ||
ミヤマタンポポ節 | ミヤマタンポポ | |
エゾタンポポ | ||
ユウバリタンポポ | ||
外来種 | セイヨウタンポポ | アカミタンポポ |
タンポポの名称(別名・和名)
別名 | ダンディライオン | 鼓草(ツヅミグサ) | 縁菜(フチナ) |
地方名 | デデッポ | タンポ | 田菜(タナ) |
チチグサ | フジナ(古名) | クジナ | |
和名 | 蒲公英 |
和名ではタンポポという植物に対し、在来種と外来種に相違はないですが、蝦夷蒲公英や西洋蒲公英(外来種)のように個別に和名を表記することもあります。
タンポポの部位と特徴
部位について①頭花(花序)
タンポポは【頭状花序】です。花序とは茎の花への付きかたのことで付け根1カ所ですべての花を支えるため花床があり、花序全体で一つの花を形成しそれを頭花といいます。
舌状花という小花が集まり一つのタンポポ花を形成しています。花びらがそれぞれ根元に種子をもちその上に冠毛(綿毛)があって、綿帽子に変わる時期がくると総苞はすべて反りかえります。一般的に花は直径3~6cmで茎の全長は3~7cmです。種類や環境によって初夏の茎の高さは30cm以上になることもあります。
部位について②茎と葉
タンポポの茎と葉は切ると白い液がでます。この白い液はタンポポの傷を塞ぎ病原菌を防ぐ効果があり粘り気のあるゴム質状です。花茎は写真のとおり空洞であることが特徴で、頭花1つが頂きにあります。普段は直立していますが受粉後一度地表へ倒れ、冠毛の時期になると再度直立し種を風で飛ばす状態となります。
葉
タンポポは葉の広がりかたからロゼット植物といわれます。ロゼット植物とは、地面につくように放射線状に葉を広げ冬の寒さをしのぎ乾燥(土の水分を利用して)から身を守る葉の広げ方をする植物のことです。12月や1月は葉が枯れた色(茶色)でも地下で花芽を育てて花の時期に備えています。
部位について③種と根
タンポポの種は1つの頭花から100~200個程度実ります。黄色い花の姿から綿帽子に変わるとき綿変化をするのではなく、花びらの寿命が終わりその下にある総苞に包まれていた冠毛が表にでて開き、風で種を飛ばしたあとは総苞と茎部分の寿命は尽き枯れます。
根はまっすぐに太く牛蒡のように伸びます。タンポポの葉で蓄えられた養分は根に蓄積されていて、根だけが地中に残ってもタンポポは新しい芽を出すことが可能となります。
1年周期と環境
タンポポの1年間と環境
一般的な周期は9月~11月は多くのタンポポの種は発芽をして若い苗は成長し、12月~2月は葉は地べたで重なりあい冷風と乾燥を防ぎながら過ごします。
3月~6月は花茎を高く伸ばして花を咲かせ種を作り、最盛期は春~初夏まで。7月・8月はタンポポの葉は枯れはじめ根に栄養を移しはじめる周期になります。
在来種と外来種の周期は少し違って外来種はほそぼそと1年中さいています。
タンポポが育つ環境
日当たりと水はけのよい場所を好み、在来種の多くは野原や土手などで集まって育ちます。タンポポの開花は15~25℃で気温が高くても日当たりがよくない場合や、曇りなど光の条件が合わなければ開花しません。
タンポポは被子植物です。被子植物とは種子を作り子孫を残す植物のことになります。受粉の仕方は同化受粉と隣家受粉があります。隣家受粉とは自身の花粉で受粉ができないません。そのため隣家授粉のタンポポは他のタンポポの花粉を得るために群生しています。
セイヨウタンポポとの違い
街中や単独で咲いている外来種は、花によっては虫を引きつける香りを出すことも花粉も付けずに崖やアスファルトの隙間でも花が咲きます。
総苞の外片が写真のようにそり返っていることが外来種の特徴です。少数ですが在来種の一部や雑種も同じ特徴をもっています。総苞とは蕾の時は花を包みこみ開花後は花の土台と種を外側から支えて守っている部分で花と茎の間にあります。
在来種と異なり受粉をせずに種を作る単為生殖(無融合)が可能です。単為生殖ができる植物に胞子で増えるシダ植物があります。シダ植物もまた胞子を自身・他のものでも子孫を残せる植物になります。
花言葉とまつわる話
花言葉の一覧と由来
花言葉の一覧をまとめました。信仰や祈りの気持ちから生まれた花言葉は、ヨーロッパで綿帽子の時期に綿毛を吹き飛ばしながら花占いをしていたことが由来とされています。「くる」「こない」などの言葉を使い、最後の綿毛1本になった時に言った言葉で吉凶や結果を占う方法です。
教養 | 明るい笑顔が好き |
愛の託宣 | 私を探してそして見つけて |
愛の神託 | 神のお告げ |
別離 | 素朴な神託 |
真心の愛 | 幸福を知らせる花 |
タンポポの花言葉にまつわる物語【タンポポと南風】
春のある日、野原に黄色い髪の美しい女性がたたずんでいるのを見た南風は、その女性に一目惚れをしました。その美しい女性がタンポポだと気がついていない南風は息をするのも忘れるほど夢中になり女性を見つめ続けます。
ある日美しい女性の黄色い髪が、白髪(綿毛)になり老婆になったことに南風は気がつきました。南風はとても悲しみため息をついたところ、息(風)に飛ばされ老婆は姿を消したという話(別離の由来)です。
タンポポの呼び名
タンポポの黄色い野原を眺められる時間は晴れた日の日中のみです。日が昇り始めると花が開き始め、お昼過ぎから夕方までに花が閉じますが、個体差もあるため、タンポポそれぞれに体内時計があるのではないか?と考えられています。
白や黄色のタンポポの頭花は日が照っていると朗らかに空に向いて笑っているように開いて、日が沈むと閉じる日周運動の様子からヨーロッパでは「牧童の時計」や「時計花」ともいわれています。
薬草・食用のタンポポ
薬草
薬草として和名蒲公英の名称は生薬名では蒲公英を【ホコウエイ】とよみます。葉はむくみや消化不良に効果があり、根は皮膚疾患、強壮剤や食欲不振、便秘に効果的といわれていて、乾燥させ煎用します。胆道炎や胆道閉鎖の場合使用は禁忌です。キク科にアレルギーがある場合も禁忌になります。
保管は完全に乾燥させた後、湿度の低い場所で長期保存が可能です。紙袋を天井からつるす・紙袋に入れ缶の中で保管する方法などがあります。虫や湿気が大敵なので、管理のために必ず日にちを記載しましょう。
食し方例
冬~4月頃の若葉は苦みがないのでサラダにしてそのまま食し、花びらを散らして彩りを添えられます。花はほぐして熱湯をくぐらせ三杯酢などで合えれば酢の物になり、上記以外の時期の葉と根は苦みはでますが天ぷらにする方法もあります。
花の時期の根を細かく刻んで乾燥させたあと、炒ってタンポポコーヒーとして飲用したり、全盛期の花をそのままもしくは乾燥させてお茶として飲用したりすることも可能です。
たんぽぽの育て方
種から育てる方法と根を切って育てる方法があります。根を切って育てる場合は、まず水を含ませたペーパータオルなどを敷いたお皿やシャーレの上におき、新葉が根の上部からでてきてある程度大きくなったら、土の入った植木鉢に植え替えをする方法です。種の場合も同じで芽が出てきたら植木鉢へ植え替えをする方法になります。
春に咲いた花の種は外来種はすぐに発芽しますが在来種は梅雨前頃の発芽になります。葉を食す場合には日陰で育てたほうが日なたで育てるよりも柔らかくなります。
まとめ
本記事では日本国内で身近に観察できるタンポポの情報や花言葉を集めました。今まで知らなかった内容があった方は、冬の茶色に変化している葉も、枯れている場合と春を待っている場合のどちらだろうなどと思いながら眺めて楽しんでいただだけると幸いです。
また眺めるだけでなく、タンポポには食用としての一面もありますので、栽培し体質改善の手助けや、季節の食事に取り入れる楽しみを得てみてはいかがでしょうか。
似ている花
キク科のノゲシ・オニノゲシ、ブタナ、ヤナギタンポポなどは花の姿がとてもよくにていて開花時期は重なっています。ノゲシ・オニノゲシはタンポポ花より小ぶりで葉が茎に花を抱えるように付いている点で見分けることが可能です。
ブタナは別名タンポポモドキといい葉と花だけでは見分けにくいですが茎が50cm以上になることで見分けることが可能です。ヤナギタンポポは湿った草原で茎が90cm以上の高さになり花も1つではなく複数を一つの茎に咲かせる時期に見分けることが可能になります。
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出典:ライター撮影