ヤナギラン
ヤナギランとはどんな植物?
ただ綺麗な花を育てるだけじゃなく、お茶に出来る植物を育てたいと考えている方におすすめなのが「ヤナギラン」です。こちらはピンクや白の花を咲かせる植物で、群生するととても綺麗なのですが、実はお茶にも使われていることで知られており、その効能も非常に良く、ロシア土産としても愛されています。今回はそんなヤナギランの特徴や育て方など、基本情報を解説します。
ヤナギランの特徴
ヤナギランとは?
ヤナギランとは、アカバナ科ヤナギラン属に分類される多年草の山野草です。北半球に分布している植物で、日本では本州中部以北、北海道の亜高山帯から山地帯に自生しています。夏の高原の花として知られており、野山で群生している姿はとても綺麗です。草丈は50~150㎝と高く、ヤナギに似た細い葉を持っています。
ヤナギランは初心者でも育てやすい?
初心者の方が気になるのが育てやすさですが、こちらは少しポイントを押さえて育てる必要がある植物です。北半球に自生しており、少し寒い地域に分布していますので、暑さが苦手です。工夫すれば東京などでも育ちますが、気温が暑い季節は注意して下さい。暑すぎる場所では枯れてしまいます。暑い季節に気温対策をすれば、その他の季節は比較的育てやすいと言えるでしょう。
ヤナギランの開花季節
開花する季節は夏、7~8月頃となります。季節になると、茎の上部に長い総状花序を出し、赤やピンク、白の小花を付けます。花は3㎝ほどの大きさで、花びらは4枚です。基本的には赤やピンク色をしていますが、白色の品種もあります。花後には種子を付け、この種子には白い綿毛が付いており、風に乗って飛びます。種子で増やすことも出来ますので、後述するやり方で増やしてみて下さい。
ヤナギランに似た花?
ヤナギランはランに似た花を持っていますが、その他にも似た花がある為、間違えられることがあります。例えば、画像のクサキョウチクトウも似た花として間違えられる植物です。クサキョウチクトウはハナシノブ科の植物であり、オイランソウなどとも呼ばれている、草丈40~120㎝の植物。比べると違いはすぐに分かりますが、あまり覚えていないと間違えてしまうかもしれません。
ヤナギランはお茶に出来る植物
ヤナギランのお茶
ロシアの伝統的なハーブティ「イワン・チャイ」。こんな花が一面に咲くんだ。きれい。 https://t.co/W3b7Gi1V7r
— SatokoTakayanagi (@SatokoTakayanag) July 22, 2019
少し先述しましたが、ヤナギランはお茶に出来ることでも知られています。ロシアでよくハーブティーとして飲まれており、「イワンチャイ」という名で有名です。花と葉を発酵・乾燥させてハーブティーとして飲まれています。イワンチャイは抗酸化作用や免疫力向上、解熱効果や、癌リスクまで減らすともいわれており、子供でも安全に飲めるとして愛されています。
食用や薬としての利用
りんごとイワンチャイのゼリー pic.twitter.com/YDgw6ZNkCT
— 五 (@flncyl) March 13, 2019
お茶として飲めるのはもちろん、食用にも使われることがあります。成長した葉は苦い味をしているのですが、それくらい成長したタイミングで、皮を剥いた茎が食用にされます。栄養としては、ビタミンCなどが含まれています。また、アラスカの先住民は薬草としても使用しており、ケガをした場所に当てて治療していました。
お茶の作り方は?
巻上さんのお土産、イワン・チャイ。 pic.twitter.com/HcOPDMuNos
— 吉田隆一/SF音楽家 (@hi_doi) August 22, 2019
気になるお茶の作り方ですが、発酵・乾燥させた花と葉を、紅茶のようにして熱湯をかけて10~15分程置いておきましょう。5回ほど作れますので、何度も楽しめます。お好みで、その他にミントやレモン葉を加えるのもおすすめです。
ヤナギランの種類
ヤナギランの種類①ヒメヤナギラン
Epilobium latifolium subspecies speciosum growing on the fresh moraine of the Bobaye Glacier in Far West #Nepal pic.twitter.com/5uQBj8Pk
— Alan Elliott :waving_black_flag:?????? (@alan_elliott) January 4, 2013
こちらは本種よりも小型の種類です。アラスカやロッキー山脈北部などに自生しており、草丈は10~30㎝程度と、本種に比べてかなり小さいのが特徴。対して花は大きいので見栄えします。こちらも販売されてはいますが、暑さに弱いので、植えるのは可能でも栽培は少し難しいでしょう。
ヤナギランの種類②エピロビウム・フレイシェリィ
Epilobium fleischeri (Onograceae) Alpine White, endemic to the Alps growing in glacial moraine or gritty cool soils pic.twitter.com/fg7Dg2UbVY
— Rotstuin Ber Slangen (@gardenforums) July 30, 2017
こちらもヒメヤナギランと同様に、小型の種類です。自生地は欧州アルプスで、ヒメヤナギランとして流通することがありますが、本当は別の種類になります。ピンクの花が可愛らしいのですが、茎が細めで倒れやすいので注意して下さい。
ヤナギランの種類③エピロビウム・ドドナイ
Epilobium dodonaei pic.twitter.com/bh1hZmSD4P
— cruzoe (@cruzoe1) November 10, 2015
少し面白い響きの名前をしていますが、こちらも小型の種類として知られており、欧州に広く分布しています。花はピンク色でやや小さめ、葉は細く密集しています。他の種類と比べて少し育てやすいので、初心者の方にもおすすめです。
ヤナギランの花言葉と名前の由来
ヤナギランの花言葉
綺麗な花が咲きますので、花言葉も持っています。花言葉は「集中する・焦点・一心不乱」の三つです。どれも一つのことに集中していることを表した花言葉となっているのがポイント。何かに集中して頑張っている方にピッタリの花言葉となっています。どなたかに贈られる際には、花言葉の意味も添えて贈ると喜ばれるかもしれません。
ヤナギランの名前の由来
花言葉と共に気になるのが名前の由来ですが、こちらはランに似た花を咲かせることと、ヤナギの葉に似た形をしている為に名づけられました。漢字で書くと「柳蘭」となります。似た花を咲かせるとはいえ、蘭にも様々な種類がありますので、花によるともいえます。また、学名は「Epilobium angustifolium」で、エピロビウムはギリシャ語で「スミレ色の花が長い子房の先に咲く」ことを表現した言葉が由来となっています。
ヤナギランの販売価格は?
ヤナギランの販売価格
ヤナギラン
育てる際に気になるのが販売価格ですが、ポット苗は安価に流通していますので、気軽に植えることが出来ます。ポット苗は大体400~700円で購入出来るでしょう。基本的には赤・ピンク系の花色ですが、白花品種も流通していますので、白色のものを育てたい方は探してみて下さい。ネットショップでも白花品種が流通しています。
ヤナギランの選び方
ヤナギランの苗が入りました。夏の暑さや蒸れに弱いので平地で育てるのはちょっと難しい部分もありますが、、、涼しい山の高原に群生する姿はとてもきれいです。#ヤナギラン pic.twitter.com/ndAEBKOAUg
— 野の花 司/茶房 野の花 (@nonohanatsukasa) July 3, 2017
苗の選び方ですが、特別なポイントはありませんので、調子の悪そうなものだけ避けるようにして下さい。葉の色や茎の具合など、生き生きとしたものを選ぶようにします。ネットショップではどの苗を購入するか選べないことがほとんどですので、信頼出来るお店を利用しましょう。
ヤナギランの育て方①環境
ヤナギランは地植え?鉢植え?
この写真の花は柳蘭(ヤナギラン)です。高原の湿地に思うさま群落をなして咲く美花。市街地の庭植えは何かとムツカシイですね。 pic.twitter.com/09VqRmUCXU
— 村上湛 (@PontmrcyMarius) June 26, 2015
植える際に考えるのが、地植えにするか鉢植えにするかですが、これはお住まいの地域によります。ある程度寒い地域であれば地植えにしても育てられますが、関東以南の、夏に暑くなる地域では地植えは難しいでしょう。その際は鉢植えにして育てることをおすすめします。根がよく伸びますので、深鉢を使用して下さい。また、通気性・水はけも大切ですので、釉薬のかかった鉢は避けて下さい。
ヤナギランに適した生育環境
日光を好む植物ですので、春と秋はしっかり日に当てて成長させて下さい。日当たりが悪いと育ちが悪くなってしまいますので注意しましょう。秋に日をしっかり当ててあげると、地下茎が成長してくれます。また、風通しの良い場所で管理することも大切です。
ヤナギランの夏冬の管理
暑さが苦手な植物ですので、夏越しがポイントとなります。高温多湿を避けなければいけませんので、梅雨頃から、午前中は日が当たり、午後には日陰となる半日陰に移してあげて下さい。直接土に植える場合は、最初から半日陰の場所に植えると良いでしょう。または、50%ほど遮光してあげます。寒さには強いので、冬越しはあまり心配いりませんが、根は凍結に弱いので、雪の中に入れるか、室内に入れるなどして休眠させます。
ヤナギランの育て方②用土・植え付け
ヤナギランの用土
用土は水はけが大切です。山野草用の土や高山植物用の土が販売されていますので、それらの土を使用すると良いでしょう。ご自身で混ぜる場合は、鹿沼土を5割、日光砂を2割、赤玉土を2割、軽石を1割の割合で混ぜることをおすすめします。地植えにする場合、水はけが悪い様子であれば、腐葉土や軽石などを混ぜるなどして土壌改良して下さい。
ヤナギランの植え付け
植える季節は春が良いでしょう。購入した苗をポットから出し、地下茎を傷めないようにして土を軽くほぐし、ひげ根を少し整理します。鉢には鉢底石を敷いてから用土を少し入れて、苗を置き、土を入れて水やりをしたら完了です。地植えの場合は大きめの植穴を掘って、同様に植えましょう。
ヤナギランの育て方③水やり・肥料
ヤナギランへの水やり
地面に植える場合は雨水がありますが、鉢植えの場合は水やりが必要です。水を好む植物ですので、一日一回与えると良いでしょう。春と秋は朝に水やりをして、夏は涼しくなってくる夕方以降に水やりをして下さい。夕方以降に水を与えることで、夜間温度を下げます。乾燥が酷い様子であれば朝にも水やりをしましょう。
ヤナギランへの肥料
春から盛夏前までと、秋から休眠までの時期には肥料も与えましょう。緩効性肥料を与えればあまり手間はかかりません。液体肥料であれば、月に2回ほど水やりと共に与えます。沢山の肥料を必要とする植物ではありませんので、多肥にならないよう注意して下さい。
ヤナギランの育て方④植え替え・増やし方
ヤナギランの植え替え
植え替えも植える時期と同様に、春の暖かな季節が向いています。新しい鉢と新しい用土を使って、2年に1回は植え替えてあげると良いでしょう。毎年植え替えても構いません。また、地面に植える場合も、大株に成長したら植え替えてあげて下さい。
ヤナギランの増やし方①株分け
はい。今日の花です。"ヤナギラン(柳蘭)"、花言葉は"集中する""焦点"などです。名前の由来は、葉の形はヤナギに、花はランに似ていることからきてます。特徴として、葉に柄がなく、縁がギザギザであることが挙げられます。また、繁殖方法には通常の実生の他、株分け、挿し木があります。 pic.twitter.com/SCChTa94Lv
— 名無 (@Touka_4696AkHr) July 31, 2019
ヤナギランの増やし方は、株分けと種まきの2通りがあります。株分けは植え替えと一緒に行いましょう。大きく成長した株を、芽の位置を確認してから切り分けます。細かく分けると危険ですので、大きさを保って分けて下さい。あとは別の株として育てていくだけですので簡単です。
ヤナギランの増やし方②種まき
こぼれ種でも増えることがある植物ですので、種子を使った増やし方もおすすめです。綿毛が開いて、先端に種子が付いているものを採種しましょう。ざるで少しこすると毛が取れますので、毛を取ってから種子を土に植えて下さい。毛がついたまま植える場合は、少し多めに覆土しましょう。
ヤナギランの育て方⑤摘心・手入れ
ヤナギランの摘心
本種は大きく成長しますので、あまり背を高くしたくない場合は、秋に開花するまでに摘心を1~2回しましょう。摘心をすると草丈が抑えられ、形もこんもりとしてまとまります。
ヤナギランの手入れ
茎が細く風で倒れそうになる場合がありますので、風が強く吹く場所には注意しましょう。もし倒れそうなら、支柱で支えてあげて下さい。また、種子を付けるのには養分を使いますので、種子を採種しない場合は、花後に花がらを摘んであげることで株が疲れません。
ヤナギランの育て方⑥病気・害虫
ヤナギランの病気
病気は高温多湿が原因で発生することが多いので、水やりや風通し、水はけに注意しましょう。軟腐病や根腐れ、うどんこ病といった病にかかる可能性があります。特に梅雨時期以降に注意して下さい。発生しないように予防し、発生してしまったら早めに対処しましょう。
ヤナギランに付く害虫
一般的な害虫である、カメムシやアブラムシ、ハダニなどが付きます。これらの害虫は薬剤散布を定期的に行うことで防げますので、薬剤散布を行うことをおすすめします。気軽に使える弱めの薬剤も販売されていますので、あまり使いたくない方も検討してみて下さい。上記動画でご紹介している「カダンセーフ」などは気軽に使えます。
まとめ
今回の「ヤナギランとは?お茶にも出来る薬草に使われていた植物について解説!」はいかがでしたでしょうか?お茶に出来る特徴や、似た花、花言葉や育て方など基本情報を解説させて頂きましたが、興味深い植物ですので、気になる方はぜひ育ててみて下さい。有益な植物ですので、ただ育てるだけじゃ物足りない方にもおすすめです。
ヤナギランが気になる方はこちらもチェック!
今回はヤナギランについて解説させて頂きましたが、他にも観葉植物・ガーデニングに関する記事が沢山あります。気になる方はぜひ見てみて下さい。
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