ヒペリカムとは
オトギリソウ属の総称
ヒペリカムは単独の植物を指すのではありません。昔から日本で薬用として重宝されてきたオトギリソウと海外からの品種も合わせた総称を「ヒペリカム」と呼びます。ヒペリカムは300種類以上あり、代表的なものはカリシナムやキンシバイ、ビヨウヤナギなどです。
花の色はどれも黄系統ですが、その後つける実は品種によって赤や白、ピンク、緑、などがあります。なかでも艶やかな赤やピンク色は女性に人気です。
一般的なのはアンドロサエマム
日本の園芸店で販売されるのは、主にカリシナムとモゼリアヌム、アンドロサエマムです。カリシナムやモゼリアヌムは常緑で花や斑入りの葉を楽しみます。一方、主に実を鑑賞し、切り花としてアレンジメントや花束によく利用されるのはアンドロサエマムで、世間でヒペリカムといえばこの花を意味します。
今回は花束の脇役に欠かせないこの種の花を中心に花言葉をご紹介します。
ヒペリカムの花言葉
花言葉「きらめき」
花言葉「きらめき」は輝くような花姿に由来しています。ヒペリカムの長くたくさんの繊細なおしべと、鮮やかな黄の花びらはキラキラしており、見る人を惹きつけるようです。日光に当たるとさらに花全体が明るく目立ってみえるので「きらめき」という花言葉がつけられたのでしょう。
また、花は一斉に咲くのではなく次々と咲くので、赤い実と黄の花、緑の葉とのコントラストが美しく見応えがあります。この様子も花言葉に合いますね。
花言葉「悲しみは続かない」
花言葉「悲しみは続かない」は、花期が終わってもすぐに赤やピンクの色鮮やかな実をつけることに由来しています。花が散って残念だと思っても、すぐに実が花のように美しく楽しめるのは嬉しいですね。
花のこのような様子を、花言葉によって人の心情や生き方に重ねられるのは面白いです。悲しみはいつまでも続かず、生きていれば気持ちが落ち着いたり前向きになったりするものだと花言葉が励ましてくれているのではないでしょうか。
ヒペリカムの強さが花言葉に
ヒペリカムは日当たりの良い環境を好みますが、半日陰でも育ちます。また、耐寒性や耐暑性があり、冬越しや夏越しの準備は特に必要ありません。害虫もつきにくく育てやすい植物です。
そのような強さからも「きらめき」や「悲しみは続かない」という花言葉の明るいイメージを感じることができます。植物の生命力は強いです。ヒペリカムのように、人も辛いことに負けない強さを持って生きていきたいですね。
種類による花言葉
オトギリソウとビヨウヤナギの花言葉
他のヒペリカムの種類の花言葉もご紹介します。オトギリソウ全般の花言葉は「迷信」「敵意」「秘密」「恨み」です。なんだかマイナスなイメージを持つ花言葉ですね。これは、後でご紹介するオトギリソウ(弟切草)の民話に由来しています。
ビヨウヤナギ(美容柳)の花言葉は、「気高さ」「多感」です。花言葉「気高さ」は美容柳の花の美しく品がある花姿に由来しています。「多感」の花言葉は長いおしべの様子からきているようです。
カリシナムの花言葉
ヒペリカム・カリシナムの花言葉は「元気」「きらめき」「有用」です。花言葉は黄の花の美しく咲く姿からきています。花言葉「有用」はカリシナムが病気や暑さ寒さに強く雑草対策やグランドカバーとして役に立つことからきているようですよ。
カリシナムの別名は「セイヨウキンシバイ」「ヒメキンシバイ」です。たくさんの花のおしべが放射状に広がり、先が赤っぽくなっているのでアクセントになりとても綺麗ですね。
美しいキンシバイ(金糸梅)の花言葉
キンシバイ(金糸梅)の花言葉は、「きらめき」「太陽の輝き」「秘密」です。太陽のようにキラキラと輝く花姿は大変美しく、見ていると元気になるので花言葉がよく似合っていますね。
また、キンシバイの花は完全に開花しない特徴があり、それが隠すような秘密めいた意味をもたせているように捉えられて「秘密」という花言葉になりました。キンシバイは花がやや大きめで花びらも広い丸い花姿です。
ヒペリカムが古くから愛されている理由と由来
古代ギリシャの魔除け
学名である英語「Hypericum(ヒペリカム)」はギリシア語の「hyper(上に)」と「eikon(像)」を語源としています。これは、古代ギリシャにおいて悪魔よけとして像の上にこの花が捧げられたことからつけられました。黄の花は悪霊を追い出すとされたようです。
ギリシャ神話でもヒペリカムがアフロディーテに捧げられたとか。また、この頃には傷薬や多くの病気の治療薬として用いられたのも愛された理由の一つでしょう。
弟切草(オトギリソウ)の民話
オトギリソウの漢字「弟切草」は古い民話からきています。平安時代中期に、鷹匠の兄弟がいました。ヒペリカムは鷹の傷を治す薬だったのですが、この兄弟しか知らない秘薬だったのです。それを弟がうっかり人に話してしまいます。怒った兄は弟を切りつけたという話です。花言葉の「秘密」「恨み」の意味もなるほどですね。
民話は怖いですが、オトギリソウを含むヒペリカムは薬効も高く古くから日本でも愛されてきたようです。
ヒペリカムの特徴
ヒペリカムの和名と英語名
オトギリソウ科オトギリソウ属の総称をヒペリカムといいます。流通の多いアンドロサエマムの和名は「ヒペリカム・アンドロサエマム」で、和名の別名は「コボウズオトギリ(小坊主弟切)」です。
英語名は「Tutsan」や「Hypericum androsaemum」となります。アンドロサエマムは南ヨーロッパが原産で、切り花の利用が多いほか、庭や公園で栽培され楽しめる植物です。
ヒペリカムの花や実の時期
ヒペリカムは6~7月の時期に、5枚の鮮やかな黄色の花びらをつけます。たくさんの長いおしべが特徴です。アンドロサエマムの花は1,5~2cmで、他の種類より小ぶりになり、おしべは線香花火のように元気よく放射状に広がります。
誕生花は8月27日です。実をつけるのは秋の時期までで、実は赤色から徐々に黒っぽい色に変化していきます。その様子は1~2カ月くらいを通して楽しむことができるんですよ。
ヒペリカムの実の楽しみ方
ヒペリカムは花言葉にもあるように綺麗にきらめく花ですが、花自体を楽しむというよりは実になった状態で切り花として利用されることが多いです。可愛く光沢のある実は鑑賞用として楽しみ、他の花との共演でさらに可愛さが引き立ちます。
ヒペリカムの実は通年出回りますが、その多くは輸入品です。国産のヒペリカムの実は秋頃の赤が多く、品質も優れています。クリスマスの時期には、花束のアレンジメントにヒペリカムが人気です。
ヒペリカムの花言葉を添えてプレゼントしよう!
一般的に流通する和名ヒペリカム・アンドロサエマムの花言葉は「きらめき」「悲しみは続かない」です。英語名は「Tutsan」となります。ヒペリカムの花は、種類によって花言葉も異なるので、気になる花と比べてみてはいかがでしょうか。
花姿や色から見てわかるように元気な花と明るい花言葉なので、友人へのプレゼントにも最適ですね。プレゼントする際は、花束と一緒に花言葉を添えて贈りましょう。
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