ノウゼンカズラとは
ノウゼンカズラは古くから夏の庭木として親しまれている植物で、7月から8月にかけて夏らしいオレンジやピンクの鮮やかな花を咲かせます。花言葉の由来にもなっている大きなラッパの様な形の花が特徴で、つるを伸ばし塀や壁をつたって次々と花を付けます。
ノウゼンカズラが中国から日本にやってきたのは平安時代と言われていて、平安時代の書物にも「のうせう」として明記されているそうです。
そんなノウゼンカズラにつけられた花言葉たちについて紹介します。
名前の由来と英名
漢名は「凌霄花」と書き、空を凌ぐ花という意味です。これはつるを高いところ(空)に向けて伸ばす姿に由来しています。
元は「ノウセウ」と呼ばれていたのですが、それが訛って「ノウゼン」となったとされています。「カズラ」はつる性の植物のことです。
英名は、その花の姿から「トランペットクリーパー(Trumpet creeper)」「トランペットヴァイン(Trumpet vine)」と呼ばれています。クリーパー、ヴァインは共に「つる」という意味です。
ノウゼンカズラの基本情報
学名 | Campsis grandflora |
科・属 | ノウゼンカズラ科 ノウゼンカズラ属 |
分類 | 慢性落葉低木。花木・庭木。 |
原産 | 中国 |
花期 | 7月~8月 |
大きさ | 5m~6m(大きい物では10mになるものもある) |
花色 | オレンジ・ピンク・黄色など |
耐暑性 | 強い |
ノウゼンカズラの花言葉
花言葉①「名声」「名誉」「栄光」
ノウゼンカズラの花言葉は「名声」「名誉」「栄光」「華のある人生」で、これは花の形にちなんでいます。勝者や英雄へ向けてのファンファーレをトランペットで吹くことから連想されました。
形だけでなく華やかなオレンジやピンク色と、青空に向かって咲く姿からこのようなおめでたい花言葉がついたのでしょう。
英語の花言葉も同じく「fame」名声という意味です。日本語の花言葉に比べてシンプルですが、鮮やかで堂々とした花の姿によく合った花言葉です。
花言葉②「女性らしさ」「女性」「豊富な愛情」
ノウゼンカズラには「女性」や「女性らしさ」という花言葉もあり、この花言葉は壁や樹木に絡み伸びていくことから、誰かに寄り添い生きていく古来の「女性性」から連想されたとされています。中国では、この絡みつく様子が情熱的とされ、「豊富な愛情」という花言葉にも通ずるものがあります。
また、触れるもの触れるものにどんどんつるを伸ばす姿から「恋多き女性」のイメージもあり、花言葉の由来になった面白い伝説も存在するので紹介します。
ノウゼンカズラの花言葉の逸話
「ある松の木が、鮮やかで美しい花を咲かすノウゼンカズラに恋をしました。松が求婚したところ見事想いは伝わり、それまで地を這っていたノウゼンカズラは松に寄り沿って花を咲かせるようになりました。しかしノウゼンカズラはつる性。次第に松以外の木々にも絡みついて伸びるようになり、松は嫉妬と不安にかられる日々を過ごしました。」
ノウゼンカズラの美しさと、性質がとても面白く描かれている逸話です。花言葉の「豊富な愛情」もこのような意味でつけられました。
花言葉の起源
花言葉の起源は、17世紀頃のトルコの「セラム」という風習が始まりだと言われています。ラブレターのように花に想いを込めて贈るというロマンティックな文化がヨーロッパで流行し、花言葉として世界中に広まっていきました。
日本に花言葉が伝わったのは明治以降で、花言葉が一冊の本にまとめられたのは1910年に出版された与謝野晶子の「花」という本です。
当初は翻訳通りの花言葉を使っていましたが、徐々に日本独自の花言葉を作っていったとされています。
花言葉の付け方
花言葉には、姿形や咲き方、特徴などからつけられるものと、神話や伝説からつけられるものがあります。
例えば、向日葵の花言葉「あなたを見つめる」は、太陽を一途に見つめるような姿からついた花言葉で、水仙の花言葉「自己愛」はギリシャ神話からついたものです。
「美少年ナルキッソスは泉に映った自分の美しさに恋して覗き込んでばかりいたので、見かねた女神に水仙の姿にされてしまった(諸説あり)」という逸話から「うぬぼれ」「自己愛」などの花言葉がつきました。
ノウゼンカズラの種類
アメリカノウゼンカズラ
北アメリカ原産のノウゼンカズラ。別名「コノウゼンカズラ」はノウゼンカズラより小ぶりで花筒部分が長く、色はオレンジというよりピンクに近い色味です。ノウゼンカズラに比べると小さな花がまとまって咲くのが特徴です。
野生ではとても強く、他の木々にどんどんつるを伸ばし大木となります。日本でも育てやすい品種です。花言葉は「華やかな名誉」。
マダム・ガレン
ノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラを掛け合わせたものです。よって特性もノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラ、二種類の特性を持ち合わせていて、花筒は短く花径が広めで花が比較的落ちにくいのが特徴です。花の色は朱色です。
オランジュ・タカラヅカ
花の内側が黄色、外側が濃いオレンジの珍しいツートンカラーです。マダムガレンとノウゼンカズラの交配品種で、二つの品種の特性を併せ持っていて少し小ぶりです。
「タカラヅカ」とつく種類は他にもあり、「タカラヅカブランド」「タカラヅカシリーズ」と呼ばれています。赤と黄色の「チューチンタカラヅカ」や、鮮やかな黄色の「タカラヅカゴールド」その名の通り赤に近い朱色の「ルージュタカラヅカ」など、いずれも在来品種より小ぶりで鉢植えにも好まれます。
青いノウゼンカズラ「ジャカランダ」
濃い暖色系のイメージが強いノウゼンカズラですが、同じノウゼンカズラ科の植物では「ジャカランダ」という濃い青色の花があります。日本ではあまり見かけない品種ですが、世界三大花木の一つとされていて、ノウゼンカズラと同じようにまとまって青い花を咲かせます。
原産国はブラジルで、花期は初夏。大きい物で15mにも成長するのですが、日本では成長する温度と日差しが足りない為なかなかお目にかかれません。大木に枝いっぱいの青い花が咲いた姿は圧巻です。
ノウゼンカズラの育て方
ノウゼンカズラを植える場所
庭に植えると四方八方に伸びるといって植えない、植えないほうがいいという方も多いのですが、庭に植えても絡ませるフェンスなどを用意してあげればそれに沿って綺麗に伸びていきます。
ただし、外壁などが傷つく恐れもあるので家にあまり近づけないほうがいいでしょう。水はけ、日当たり共に良いところを好み、明るい方向へ向かって伸びる特性がありますが、アメリカノウゼンカズラなどの種類は半日陰でも育てやすい傾向にあります。
ノウゼンカズラの剪定など
ノウゼンカズラは冬の落葉している間に剪定します。春夏のシーズンに伸びすぎないように根元の2,3枚の新芽を残してかなり思いきり切り込んでしまって大丈夫です。
地植えの場合水やりはしっかり根付くまではしっかりとやり、そのあとはほとんど必要ありません。鉢植えの場合は水が切れたらたっぷりあげましょう。
害虫などの心配もなく、誘引もフェンスなどを設置すれば勝手に這って行ってくれるため、あまり手がかかりません。
ノウゼンカズラには毒性があるか?
ノウゼンカズラと検索すると必ず「毒性」という言葉が出てくるのですが、毒性があるとされているのは密に含まれる「ラパコール」という成分が理由です。昔は「ノウゼンカズラを触った手で目をこすると失明する」と言われていたのですが、そこまでの毒性はなく、仮に舐めてしまっても体に異常をきたすほどの物ではありません。
とはいっても微量な毒性をもっているので、念のため触る際には顔や目など触らないよう気を付けましょう。
ノウゼンカズラの花言葉まとめ
ノウゼンカズラは、その姿かたちから「栄光」「名声」などの祝福のイメージの花言葉がある一方、触れるものにどんどん絡んで伸びていく姿から情熱的な女性の象徴ともされてきたことがわかりました。
ノウゼンカズラは初心者にも育てやすく、害虫や病気の心配がほとんどありません。植えれば広範囲にわたってたくさんの花を咲かせてくれ庭が一気に華やぐので、夏に植える花に迷ったらノウゼンカズラを植えてみてはいかがでしょうか?
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