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2021!トムラウシ山のおすすめ登山コースを解説!秘境に眠る絶景を見に行こう!

日本百名山のトムラウシ山は気軽に日帰り登山できる山ではないため、山小屋などに宿泊して縦走を楽しみましょう。登山口は8つほどあり、すべて長距離で中・上級者向け。今回はトムラウシ山の6つのおすすめ登山口&縦走コース、注意点やおすすめ時期などについてご紹介します。
2021年2月19日
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目次

トムラウシ山の概要

出典:ライター撮影

道央の新得町にあるトムラウシ山(とむらうしやま)の標高は2,141メートル、道内4番めの高さです。高さの他にトムラウシ山は奥深い場所にあることが最大の特徴

古来、アイヌ民族は「カムイミンタラ」(神々の遊ぶ庭)として、容易に近づけない聖なる山と認識してきました。現在トムラウシ山は多くの登山者から憧れの山として愛され、さまざまなコースからトムラウシ山の頂が目指されています。

トムラウシ山の意味

Photo by Kumpei Shiraishi

トムラウシ山の「とむらうし」とは、北海道の多くの地名と同じくアイヌ民族の言語が由来になっており、意味は諸説あります。一説は「花の多いところ」を意味しており、トムラウシ山にはチングルマなどの群生地が多いことからも納得です。

別説では「緑色の藻類が群生するところ」や「水垢の多いところ」という意味も。国土地理院による一等三角点の名称の記載は、当て字の「富良牛山」(とむらうしやま)となっています。

トムラウシ山の難易度

トムラウシ山のグレードは4

出典:ライター撮影

大雪山国立公園連絡協議会は、登山の目安として、大雪山国立公園の登山道の区間ごとに、自然環境を5段階レベルに分類した「大雪山グレード」を設定。

トムラウシ山は登山口が「グレード4」の設定で、さらに前トム平付近は山開き後の天気の良い日でも、極めて厳しい登山ルートとして最高難易度の「グレード5」の設定です。トムラウシ山の難易度は、充分な体力と技術が求められる上級者レベルなのです。

トムラウシ山の登山時の注意点

出典:ライター撮影

難易度の高いトムラウシ山の登山には、2つの重要な注意点があります。まず山小屋が少ないという点です。さらに山小屋は有人の山小屋ではなく、設備の少ない無人の避難小屋なのです。

次の注意点は、野営指定地におけるトイレの問題です。排泄物は放置せずに携帯トイレを持参して持ち帰りましょう。トムラウシ山に限らず、登山は難易度などの技術的レベルだけではなく、自然に対するマナーも求められます。

トムラウシ山のおすすめ時期と見所

出典:ライター撮影

トムラウシ山の魅力は、山開き後の7月頃から咲き始める高山植物、沼や池塘、ナキウサギの生息地などの原生的な自然が残っている点です。

特に7月のお花畑や9月の紅葉が有名で、山腹北面にある溶岩台地の「日本庭園」や「ロックガーデン」ではチングルマとエゾノツガザクラ、山頂直下の「北沼」や「南沼」でのエゾコザクラとコマクサ、南沼より下の「トムラウシ公園」はエゾノハクサンイチゲと9月の紅葉が見事です。

トムラウシ山おすすめ登山コース6選

東大雪トムラウシ温泉登山コース

東大雪トムラウシ温泉登山コースは、トムラウシ山の日帰り登山をしたい人におすすめの最短コース。登山口は標高650メートルにある国民宿舎「東大雪荘」入口近くにあります。登山前後に宿泊して時間を節約するのもよいでしょう。

標高差は1,491メートルで、目安時間は登りが6時間10分、下りは4時間10分。トムラウシ山コースの中では最短ですが、長距離歩行のため上級者向け。装備をして天人峡温泉への縦走もおすすめ。


コースの見所

山頂からの池塘や山々の景色の他に最短コースの見所は、トムラウシ山まで1時間ほどの距離にある「トムラウシ公園」です。岩と高山植物の自然庭園で、特にエゾノハクサンイチゲと紅葉が非常に見事です。

日帰りピストンであれば、トムラウシ山の名所「ロックガーデン」と「日本庭園」はコース上の先にありますが、南沼の野営指定地で宿泊するならば余裕があるので足を延ばしてみましょう。

コースタイム

トムラウシ温泉(1時間30分)→分岐(40分)→カムイ天上(2時間10分)→前トム平(1時間30分)→南沼野営指定地(20分※宿泊もおすすめ)→トムラウシ山

登山口へのアクセス

■鉄道・バス/夏季限定で新得駅から拓殖バスが運行。

■車/①札幌から道央道~道東道十勝清水IC~国道274号経由で約3時間30分(約220キロメートル)②新千歳空港から千歳東ICで道東道十勝清水IC~国道274号経由で約3時間。③新得~道道75号線経由で約1時間10分。

短縮登山コース

短縮コースは車でカムイ天上の近くまで行けるため、多くの登山者が利用します。最短コースよりも1時間以上の短縮ができ、東大雪荘にも宿泊せずに日帰り登山が可能です。

標高差は1,176メートルあり、目安時間は登りが約5時間、下りは約3時間30分で中級者向けとなります。温泉コースとの分岐までは笹原中の刈り分け道で、登りで約25分、下りで約20分です。

コースタイム

短縮コース登山口(25分)→分岐(40分)→カムイ天上(2時間10分)→前トム平(1時間30分)→南沼野営指定地(20分※宿泊もおすすめ)→トムラウシ山

登山口へのアクセス

登山口は標高955メートル地点で、国民宿舎「東大雪荘」奥にある砂利道の林道を進みます。少し走ると台地上までは傾斜のきつい林道になり、やがて土場の登山口に到着です。駐車スペースは10台ほどありますが、満車のときは少し戻った土場を利用してください。

天人峡温泉コース

Photo by zenjiro

標高623メートルの天人峡温泉から登山するコースは、化雲岳(標高1,954メートル)経由のトムラウシ温泉の縦走コース。化雲岳の日帰り装備でも往復10時間以上のコースのため、天人峡温泉での前泊以外にヒサゴ沼避難小屋か野営指定地での宿泊が必要。

ヒサゴ沼での宿泊翌日に約2時間30分かけてトムラウシ山到着です。標高差1,518メートル、目安時間は登りが約9時間30分、下りは約7時間かかり、上級者向けです。

コースの見所

天人峡温泉の見所は、天人峡温泉の名所である羽衣の滝を見下ろす「滝見台」です。コースの初めにある難所、ジグザグ道の三十三曲りを登りきると到着します。落差が250メートルもあり、観光客には味わえない壮観さです。

湿原地帯の「第一公園」を過ぎると、小化雲岳のコマクサや化雲岳のエゾノハクサンイチゲ、チングルマなどの高山植物のお花畑が始まっていきます。

コースタイム


天人峡温泉(1時間10分)→滝見台(2時間)→第一公園(3時間)→小化雲岳東コル(1時間)→化雲岳(30分)→宿泊:ヒサゴ沼避難小屋(2時間10分)→トムラウシ山(15分)→南沼(4時間40分 ※2日目は野営指定地での宿泊もおすすめ)→トムラウシ温泉

登山口へのアクセス

■鉄道・バス/天人峡温泉までの公共の交通機関はありません。途中の「国立公園入口」までは旭川駅前から「いで湯号」が出ています。天人峡温泉のホテルに宿泊する場合は、「国立公園入口」からの送迎バスが出ている場合もあるため事前に確認してください。

■車/旭川ICから道々37号線で東川町経由し、天人峡温泉まで約46キロメートル。

クチャンベツ沼ノ原登山口

出典:ライター撮影

クチャンベツ沼ノ原登山口からのコースはピストンではなく、五色岳と化雲岳経由のトムラウシ山登頂で、トムラウシ温泉への縦走コースです。難易度が高いため、ヒサゴ沼避難小屋かキャンプ場での宿泊が必要となります。

じっくりトムラウシ山を味わうならば、トムラウシ山から約15分の南沼キャンプ指定地での宿泊もおすすめ。標高差約950メートル、目安時間は登りが約10時間、下りが約5時間の上級者向けコースです。

コースの見所

出典:ライター撮影

コース前半は急な樹林地帯ですが、沼ノ原に出るとなだらかな地形となり、のんびり気分で歩ける大沼などの湿原地帯が見所です。五色岳を過ぎて化雲平は神遊びの庭と称される場所も池塘が美しく、天気がよければトムラウシ山を映し出してくれます。

コースタイム

クチャンベツ沼ノ原登山(2時間50分)→大沼(4時間)→五色岳(1時間)→化雲岳(30分)→宿泊:ヒサゴ沼避難小屋(2時間30分)→トムラウシ山(15分)→南沼(4時間40分 ※2日目も野営指定地で宿泊するのもおすすめ)→トムラウシ温泉

登山口へのアクセス

■鉄道・バス/なし。

■車/旭川紋別自動車道上川層雲峡ICから国道273号で大雪湖レイクサイト駐車場付近から石狩川沿の林道を走り、高原温泉との分岐でゲートがあり、事前に鍵番号を上川森林事務所(電話01658・2・2001)で確認。※縦走の場合は、一日目はハードコースのため、早朝に層雲峡温泉からタクシーで登山口に向かうのがおすすめ。

白金温泉コース

出典:ライター撮影

白金温泉コースは十勝岳連峰の美瑛富士登山口を利用するコースで、美瑛富士の山腹を巻きながらべベツ岳とオプタテシケ山を経てトムラウシ温泉までの2泊3日の縦走コース。1,500メートル台のなだらかな尾根の上下歩行の連続ですが、一日の距離が非常に長いため高い難易度です。

利用者が少ない登山コースのため、原始的な雰囲気を満喫できることでしょう。目安時間は、登りが約14時間、下りは約11時間の上級者向けです。

コースタイム

白金温泉(1時間50分)→美瑛富士登山口(3時間)→美瑛富士避難小屋(2時間50分)→オプタテシケ山(1時間20分)→宿泊:双子池キャンプ指定地(1時間50分)→コスマヌプリ(2時間40分)→三川台(2時間10分)→宿泊:南沼野営指定地(20分)→トムラウシ山(10分)→南沼野営指定地(4時間40分)→トムラウシ温泉

登山口へのアクセス

■鉄道・バス/JR美瑛駅から白金温泉まで道北バスで約30分。登山口までは徒歩約1時間30分。

■車/駐車スペースは、登山口から100メートルほどの距離にあります。登山口へと続く林道入口のゲートの鍵番号を、上川中部森林管理署(電話0166・61・0206)に事前に確認してください。

旭岳縦走コース


出典:ライター撮影

旭岳縦走コースは、旭岳・忠別岳・五色岳を経由してトムラウシ温泉か天人峡温泉に縦走する2泊か3泊の上級者向け。トムラウシ温泉に縦走する場合は白雲岳避難小屋とヒサゴ沼避難小屋に宿泊。

天人峡温泉に縦走する場合は白雲岳避難小屋とヒサゴ沼避難小屋、トムラウシ山登頂後にさらにヒサゴ沼避難小屋に宿泊します。登りの目安時間は、1日目が約7時間30分、2日目は約8時間、3日目は約4時間、4日目は約6時間30分。

コースの見所

出典:ライター撮影

姿見コースの最大の見所は、高山植物の種類が多い溶岩台地の高根ヶ原です。忠別岳は池塘と花の楽園、化雲平のトムラウシ山をバックに広がる花など、縦走による山歩きが楽しくなることでしょう。

コースタイム

姿見駅(2時間20分)→旭岳(5時間)→宿泊:白雲岳避難小屋(6時間10分)→〈忠別岳※避難小屋あり〉→五色岳(1時間30分)→宿泊:ヒサゴ沼避難小屋(2時間10分)→トムラウシ山(15分)→南沼(4時間40分 ※2日目も野営指定地で宿泊するのもおすすめ)→トムラウシ温泉

天人峡温泉縦走の場合/トムラウシ山(2時間)→宿泊:ヒサゴ沼避難小屋(50分)→化雲岳(5時間)→天人峡温泉

登山口へのアクセス

■鉄道・バス/旭川駅からの「いで湯号」利用で約2時間(始発7時)。

■車/旭川北ICから約25分、旭川鷹栖ICから約40分。※前泊で旭岳温泉のホテルに宿泊するのがベストです。ホテルの宿泊者向け送迎バスを運行している場合もあるので要確認。

トムラウシ山は縦走コースで堪能!

出典:ライター撮影

トムラウシ山の登山は、どのコースも歩行距離が長いため、山小屋か野営指定地で1泊以上の宿泊が必要になります。トムラウシ山の登山コースで日帰り可能なのはトムラウシ温泉コースですが、往復8時間半はかかります。

最短コース以外から入山する場合はピストンではなく縦走か、最短コースのトムラウシ温泉に下山するパターンが多いようです。難易度が上級レベルのトムラウシ山の登山は、無理のないコース選択をしましょう。

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大雪山のトムラウシ山は奥深い場所にあるがゆえに登山者の憧れの山ですが、手軽に登れるほかの大雪山もチェックしておきましょう。ロープウェイなどで山頂近くまでアプローチできるので初心者も安心ですよ。