八海山の概要
新潟県の地理は「上越」「中越」「下越」の3エリアに区分されており、八海山(大日岳・標高1,770メートル)は中越エリアに属しています。越後駒ケ岳や中ノ岳と合わせて越後三山に数えられる八海山は、日本二百名山の一つでもあるのです。
八海山は、地蔵岳・不動岳・七曜岳・白河岳・釈迦岳・魔利支岳・剣ヶ峰・大日岳の八ツ峰が八海山の本丸となり、八海山登山とは、この八つの峰を制覇することを意味しています。(この記事の情報は2021年3月11日時点のものです)
山岳信仰の山
里からも特徴的な山容が眺められる八海山は、古くからあがめられてきました。農作物の神様が山にいると考えられていたのです。神様が鎮座する山に入るのは恐れ多く、登山はタブー視されていました。代わりに、里に鳥居や小さい祠を祀って遥拝してきたのです。
大崎口・大倉口・城内の各登山口の神社の里宮では、一般も参加可能な、炭の上を素足で歩くことで家内安全と無病息災を願う火渡祭が一年に一度開催されています。
八海山の登山コース概要とレベル
八海山登山の5コースは南魚沼市にあり、八海山スキー場ロープウェイルート(ゴンドラは廃止)の他、大崎口・大倉口・城内口(屏風道ルート・新開道ルート)の5つが設定されています。
3登山ルートは四合半(標高1,100メートル付近)で合流。ロープウェイで標高1,370メートルの女人堂までは、初心者でもトレッキング気分で登山できます。レベルが高いのは、山小屋の千本檜小屋までの薬師岳の急登と山頂部の八ツ峰です。
最難関レベルの「八ツ峰」
八海山登山の最難関レベルは本丸の、山名の由来でもある山頂部の「八ツ峰」という切り立った岩の峰々なのです。八海山を象徴する部分であり、古くから信仰の対象ともなってきた部分です。
十合目の大日岳(標高1,770メートル)までは、19もの鎖とハシゴを使って険しい岩を登下降しなければいけません。レベルが低い初心者はトレッキング気分での登山はできず、上級者であっても非常に緊張を強いられる登山となるのです。
迂回ルートもある
八ツ峰部分は約1時間の迂回路もありますが、決して簡単な一般の登山道ではありません。斜面上の幅の狭い登山道のため、八つ峰ほどの高いレベルではありませんが、決して気が抜けない登山道なのです。
行きでも帰りでも八ツ峰に自信が少しでもなくなった場合は、迂回ルートを使うようにしましょう。
八海山登山時の装備や服装
装備と食事
極めてレベルの高い八海山の登山には、一般的な登山装備と服装、ヘルメットや登山マップ・コンパス・グローブ・軍手も必要です。非常食と飲料水も少し多めに持参したほうが安心です。アイゼンも時期によっては必須の装備です。
1泊の場合は、寝袋・マットも必要です。山小屋の千本檜小屋は、要予約で食事も用意してくれます。素泊まりは各自持参してください。テント場はありますが、10張くらいしかできません。
プラスαの装備と服装
念のために、健康保険証も装備品の中に用意しておきましょう。ファーストエイドやガーゼ・包帯などの医療品もあると安心します。
服装は、日帰り登山コースやトレッキングの晴天時でも一般的な服装の他に、雨具・防寒具の用意もしましょう。一泊するときの服装は着替えも必要です。夜間は山小屋でも冷えるため、寝るとき用の暖かい服装の用意もおすすめします。
最新の天気予報を確認
山頂部の八ツ峰が高いレベルとなる八海山の登山は、天気予報も最新の情報が必要です。山頂まで行かないトレッキングも含め、登山前に天候は必ず確認しましょう。
山小屋の千本檜小屋に宿泊する場合は、常駐している管理人さんに最新の情報を教えてもらうとよいでしょう。
八海山の登山コース6選
①初心者向け【女人堂往復コース】
女人堂往復の登山コースは、八海山スキー場のロープウェイで山頂駅(標高1,160メートル ※ゴンドラは廃止)までアクセスします。八海山の山頂よりかなり下にある「女人堂」(トイレあり)で折り返す日帰り登山コースです。
初心者でもトレッキング気分で、八海山の登山の雰囲気を軽く味わえます。ロープウェイ山頂駅近くの整備された道や平坦な道がほとんどで、1時間半ほどで女人堂に到着できます。
ルートの見どころ
ロープウェイ山頂駅近くの階段を上がったところに、「八海山遥拝所」があります。左手の展望台から八海山手前の薬師岳や千本檜小屋、八ツ峰を望めます。四合半(標高1,100メートル付近)を少し進んだ場所にあるのは、モリアオガエルの生息地「コギ沼」。6月末までは卵を観られますが、年々草地化が進んでいるそうです。
女人堂は女人禁制の時代に、女性が八海山の山頂を遥拝してから下った場所と伝えられています。
標準コース時間
八海山スキー場ロープウェイ山頂駅(40分)→四合半(大倉口分岐:50分)→〈池の峰・岩峰下〉→女人堂(標高1,370メートル:1時間10分)
登山口へのアクセス
八海山スキー場のロープウェイ山麓駅へは、車の他にバスでもアクセスできます。車の場合は、関越自動車道を六日町ICで降りて国道17号経由で五日町を右折して到着。六日町ICから八海山スキー場までは約12キロメートル。
バスは、JR上越線六日町駅から南越後観光バスの八海山スキー場行に乗車し、約30分で到着。鉄道は、上越新幹線越後湯沢駅から上越線か、ほくほく線に乗り換え、六日町駅からはバスを利用します。
②初級者向け【千本檜小屋往復コース】
八海山手前の薬師岳までの、初級者向け日帰り登山コースです。千本檜小屋は薬師岳(標高1,654メートル)を下りた所にあります。八海山登山は、八ツ峰手前の薬師岳までは初級者でも無理ではありません。女人堂までは初心者コースと同様にロープウェイ利用です。
薬師岳へはハシゴや鎖のある急登のため、充分に注意して登ります。石仏群がある薬師岳の八合目からゴールの千本檜小屋(管理人常駐)と八海山の八ツ峰が望めます。
標準コース時間
八海山スキー場ロープウェイ山頂駅(40分)→四合半(大倉口分岐:50分)→〈池の峰・岩峰下〉→女人堂(標高1,370メートル:1時間10分)→〈薬師岳:標高1,654メートル〉→千本檜小屋(1時間20分)
登山口へのアクセス
八海山スキー場のロープウェイ山麓駅へは、車の他にバスでもアクセスできます。車の場合は、関越自動車道を六日町ICで降りて国道17号経由で五日町を右折して到着。六日町ICから八海山スキー場までは約12キロメートル。
バスは、JR上越線六日町駅から南越後観光バスの八海山スキー場行に乗車し、約30分で到着。鉄道は、上越新幹線越後湯沢駅から上越線か、ほくほく線に乗り換え、六日町駅からはバスを利用します。
③級者向け【ロープウェイコース】
八海山の上級者向けロープウェイコースですが、日帰り登山は可能です。千本檜小屋で1泊して八ツ峰を制覇するのおすすめですが、いずれも上級者でも悪天候は避けたほうがよいでしょう。
千本檜小屋にメインリュックを預け、必要最低限の装備を入れたアタックザックで登山開始です。天候が急変したり体調が悪くなったりした場合は、途中の地蔵岳か不動岳で引き返すか、先の釈迦岳の中間点から迂回路に戻ることをおすすめします。
標準コース時間
八海山スキー場ロープウェイ山頂駅(40分)→四合半(大倉口分岐:50分)→〈池の峰・岩峰下〉→女人堂(1,370メートル:1時間10分)→〈薬師岳1,654メートル〉→千本檜小屋(1時間20分)→〈八ツ峰〉→大日岳(1,770メートル)
気力・体力・技術力が揃っていれば、大日岳の先にある入道岳(1,778メートル)を目指すのもおすすめ。※歩行距離7.8㎞、歩行時間6時間40分。
登山口へのアクセス
登山口となる八海山スキー場のロープウェイ山麓駅へ、車の他にバスでもアクセス可能。車は、関越自動車道を六日町ICで降りて国道17号経由で五日町を右折して到着。六日町ICから八海山スキー場までは約12キロメートル。
バスは、JR上越線六日町駅から南越後観光バスの八海山スキー場行に乗車し、約30分で到着。鉄道は、上越新幹線越後湯沢駅から上越線か、ほくほく線に乗り換え、六日町駅からはバスを利用します。
④上級者向け【大崎口コース】
八海山スキー場ロープウェイ利用コースよりも長い距離を歩きますが、上級者であれば日帰り可能。ロープウェイ山頂駅到着までは、八海山への信仰心に深く触れられます。山頂駅からのルートはロープウェイコースと同じで、山頂駅までは以下の通り。
登山口は里宮の石段を登った地点にあります。杉林を経て、急坂や鎖場とハシゴも超えて二合目から金剛霊泉に。ブナの植生地や展望のよい三合目を超えてロープウェイ山頂駅到着です。
標準コース時間
八海山入口バス停(30分)→里宮(45分※駐車場)→二合目(40分)→金剛霊泉(霊泉小屋:標高719メートル、40分)→三合目(1時間10分)→ロープウェイ山頂駅(1,160メートル)
→(40分)→四合半(50分)→女人堂(1,370メートル:1時間10分)→〈薬師岳:1,654メートル〉→千本檜小屋(1時間20分)→〈八ツ峰〉→大日岳(1,770メートル)※歩行距離17.9㎞、歩行時間13時間。
登山口へのアクセス
大崎口登山コースへのアクセスは、車とバスの2つあります。車は、関越自動車道を六日町ICで降りて国道17号を経て国道291号から大崎で市道へ。駐車場は、八海山尊神社の下にあります。市道の終点まで行くと、里宮と登山口はすぐです。
バスは、JR上越線六日町駅またはJR上越線浦佐駅から路線バスに乗車し、八海山入り口で下車。八海山尊神社の先にある里宮の登山口までは車道から徒歩約30分です。
⑤上級者向け【大倉口コース】
大倉口コースも、かなりの歩行距離がある上級者レベルですが、八海山の日帰り登山は可能です。茶店の裏にある八海山神社里宮や大岩に彫られた赤不動尊、猿田彦神社などの篤い信仰心に触れながらの登山となります。
尾根道を進むと三合目の風穴に出て、越後駒ケ岳やオツルミズ沢、魚沼平野などを眺めながら進みます。急坂を登ると大崎口コースの四合半に到着し、この先から大崎口コースなどと同ルートです。
標準コース時間
大倉入口バス停(標高187メートル:1時間)→八海山神社里宮(坂本神社:1時間)→二合目(647メートル:1時間)→三合目(風穴:1時間30分)→四合半(大倉口分岐:50分)→
→女人堂(1,370メートル:1時間10分)→〈薬師岳:1,654メートル〉→千本檜小屋(1時間20分)→〈八ツ峰〉→大日岳(1,770メートル)※歩行距離17.9㎞、歩行時間13時間20分。
大崎口コースへ縦走
大倉口の駐車場から大崎口コースの駐車場は、国道291号利用で距離2.5キロメートルほどのため、元気があれば歩いて移動するのもおすすめです。両コースを縦走することで、八海山登山を充分に堪能できることでしょう。
登山口へのアクセス
大倉口登山コースへのアクセスは、車とバスの2つあります。車は、関越自動車道を六日町ICで降りて国道17号を経て国道291号から県道234号へ向かいます。水無川の手前で右折すると八海山おおくらの森の駐車場です。近くに「八海山大倉山・坂本神社入口」があります。
バスは、JR上越線六日町駅またはJR上越線浦佐駅から路線バスに乗車し、大倉入口か荒金入口で下車して約1時間徒歩で八海山神社の登山口へ。
⑥超・上級者向け【屏風道~新開道コース】
屏風道~新開道コースは、八海山登山の中で極めてレベルの高い登山コースです。岩稜、鎖場やハシゴ、渡渉もあり、ルートを読み取る能力も求められます。上級者レベルでも日帰り登山ではなく、山小屋で1泊がおすすめ。万が一のことも想定してマップは実需品です。
初日は上り専用の「屏風道」で、清滝のある四合目までは渡渉もある山道です。そこから千本檜小屋までが緊張感の絶えない、35ヶ所もあるという鎖場が連続します。
標準コース時間
1日目/芝原二合目登山口(1時間)→清滝・四合目(50分)→五合目(2時間)→ノゾキの松・七合目(1時間)→八合目(30分)→千本檜小屋
2日目/千本檜小屋(1時間)→新開道分岐(50分)→入道岳(50分)→新開道分岐(1時間30分)→カッパン倉・七合目(1時間)→稲荷清水・四合目(1時間30分)→芝原二合目登山口
登山口へのアクセス
駐車場は八海山スキー場ロープウェイ山麓駅になり、登山口まで2.8キロメートル。
バスは、JR上越線六日町駅から南越後観光バスの八海山スキー場行に乗車し、途中の山口で下車。鉄道は、上越新幹線越後湯沢駅から上越線か、ほくほく線に乗り換え、六日町駅からはバスを利用します。
八海山の登山おすすめシーズン
春から夏の高山植物
八海山の登山おすすめシーズンは、ロープウェイが運行している4月下旬から11月中旬です。ロープウェイ山麓駅付近のカタクリの群生や山桜のほころびを皮切りに、ブナが新緑になる6月初旬の高山植物のシーズンには、イワウチワやタムシバが咲き始めます。
6月中旬には、登山道全体でシラネアオイやタテヤマリンドウ、サンカヨウ、ヒメシャガ、7月~8月にはトキソウなどがシーズンとなり、登山者の目を楽しませてくれます。
秋の紅葉
9月から10月にかけての高山植物はツリガネニンジンが見もの。青空に映えるススキも秋の風情で美しく感じられることでしょう。
紅葉のシーズンは9月下旬からで、八ツ峰の狭い岩稜がきれいに彩られるのを皮切りに、カエデやブナなどが色づき始めます。11月の冬期シーズンには、見事な冠雪の白と紅葉のコントラストを堪能してください。
八海山登山の本丸は上級者レベル!
八海山の登山ルートで初心者におすすめなのは、ロープウェイ(ゴンドラは廃止)を使っての女人堂往復コースです。一般的な登山道のため危険個所はほとんどありません。女人堂から千本檜小屋までは初級者向け、八ツ峰制覇は上級者向けとなります。
八ツ峰は上級者でも滑落の危険性があり、非常に高いレベルのため八海山登山は充分に気を付けましょう。時間に余裕があれば、登山マップで位置を確認しながら登ると、より楽しめます。
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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4408797