パンジーとは?
春〜冬のガーデニングに欠かせない花
パンジーはスミレ科の一年草。原産地は北ヨーロッパや西アジアで、花が少ない季節のガーデニングに欠かせないお花のひとつです。花色がとても豊富で、冬〜春のお花屋さんや園芸店にはたくさんの品種が並びます。育て方が簡単で開花時期も非常に長いことから、ガーデニング初心者にもおすすめのお花です。
スミレ科スミレ属の植物
スミレ科は世界中に分布し、15属以上800種以上の種類があります。その約半数がスミレ属で、日本各地にも固有種が見られます。スミレには同じ株で何年も咲く多年草が多くあります。
そのうち、パンジーは欧米で品種改良されたスミレ属の園芸品種です。本来は多年草ですが、日本の高温多湿に弱く、一年草として扱われています。
開花時期と購入時期
パンジーの開花時期
パンジーの開花時期は、10月頃から6月頃まで。切り戻しなどの基本的な育て方で非常に長く楽しめます。庭植えはもちろん鉢植え、寄せ植えなどでも育て方は簡単で、丈夫なため公園の花壇や施設のプランター植えなどにもよく使われます。
パンジーはいつ買える?
苗は10〜11月頃から出回り始め、3〜4月頃まで店頭を彩ります。園芸店やホームセンターをはじめ、町のお花屋さんやスーパーの花屋など比較的どこでも手に入ります。価格は70円代のものから400〜500円くらいとさまざま。パンジーの種も販売されています。
パンジーの購入時期はいつがおすすめ?
人気の新品種などは10〜11月頃にたくさん並び、この時期はどこのお花屋さんでも種類が豊富です。12月〜1月になると変わった品種などは減りますが、価格が安くなってきます。
気温が高い時期に植えると蒸れたり徒長したりして育て方が難しくなるため、気温が十分に下がってきた11月頃に購入するのがおすすめです。たくさんの数を植えたい人は、12月に入ってから購入するのがおすすめです。
パンジーの開花時期と購入時期
- 開花時期は10月〜6月頃まで
- 10月頃から苗が出回り始める
- 新品種や人気の品種がたくさん並ぶのは10〜11月
- 価格が安くなってくるのは12月頃から
- 植え付けるのは十分に気温が下がった10月下旬頃
植え方と選び方
1:パンジーの選び方
育て方のコツは、まずは苗選びです。パンジーの苗を選ぶときは、株がしっかりしている・茎が徒長していない・つぼみがたくさんついているものを選びます。茎が伸びているものや、葉に艶のない苗などは避けます。ポット苗を持ったときに株がグラグラするものも避けた方がよいでしょう。
苗の選び方
- ポット苗を持った時に株がグラグラしない
- 茎が徒長していない
- つぼみがたくさんついている
2:置き場所と育て方
日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。パンジーの育て方には、日光が当たらないと花芽が成長しにくいという特徴があります。しかし、丈夫な苗や品種によっては日陰でも十分に開花するものも。冬の間はひっそりとしていても、春にはお花が咲くこともよく見られます。
3:用土
水はけのよい肥沃な土壌を好みます。パンジーは過湿に弱いので、水はけのよくない土は苦手。鉢植えであれば市販の草花用土で十分です。鉢植えでの育て方の場合、用土に緩効性肥料を元肥として混ぜ込みます。
地植えでの育て方では、水はけがよくないならパーライトなどを混ぜ込むとよいでしょう。土に堆肥や腐葉土をすき込んでおくと生育がよくなります。
4:パンジーの植え付け時期
パンジーを植え付けるのは、気温が下がった頃です。10月下旬〜11月中旬頃、暑い日が続かなくなってきたら植え付けます。温暖地では霜が降りなければ真冬でも植え付けできます。雪が降る地域では雪が降る前か後に植えましょう。寒い季節に植える場合には、用土に腐葉土を混ぜ込んで根っこを寒さから守ります。
植え付け時期と育て方
- 気温が下がりきった10〜11月頃
- 温暖地では冬でも植え付け可能な地域も
- 雪が降る前、もしくは降る後に植える
5:植え方のポイント
根っこの状態を見る
パンジーをポットから出して、根の状態を見ます。白い根っこが全体にぐるぐると回って固くなっていたらはさみで底を十字に切って、優しく手で少しほぐします。
鋭利なはさみで切ることで、根の修復が早くなります。手でちぎると傷が多くつくので、はさみがおすすめです。根が回っていないものは、根鉢を崩さないようにそっと植え付けましょう。
苗を植える深さ
パンジーだけでなく、だいたいの草花は土に埋めすぎると生育が悪くなります。株元が土に埋まらないように、土の表面と株元の高さが同じくらいになるように植えます。ただし土から出過ぎていると根っこが冷えてしまうのでこれまた注意が必要です。
植え方のコツは、植えてから水やりをして様子を見ること。周りの土が沈んで根鉢が出てきてしまったらまた土をかけて調整すると、上手に植えられます。
植える間隔
パンジーは成長すると株が大きくなります。そのため、間隔を空けて植えることが大切です。地植えの場合は2株分、プランターの場合は1株分ほど間隔を空けて植えると、春にはちょうどよくなります。株の間隔が狭いと蒸れて病害虫が発生しやすくなり、育て方に影響が出る可能性があります。
気温の低い時期には
とはいえ、冬の間パンジーはあまり成長しないため、鉢やプランターがスカスカで寂しい…という問題も。プランターや寄せ植えの場合、気温の低い季節は間隔を詰めた植え方で楽しみ、暖かくなってきたら植え替えて楽しむという育て方もあります。パンジーは丈夫なので、多少の植え替えにも耐えてくれます。
6:鉢植えの植え方のコツ
春、パンジーが大きな株になると、茎が倒れてくることがあります。茎が四方に倒れて、真ん中のほうに穴が空いてしまった…なんて育て方に困ることも。鉢植えの場合、少し低めに植えることで茎が伸びても鉢で支えられ、倒れるのを防げます。大きなプランターなどに植える時もこの育て方がおすすめです。
パンジーの植え方
- 根が固まっていたらほぐす
- 株元が土に埋まりすぎないように植える
- パンジーは間隔を空けて植える
- 鉢植えは少し低めに植えると茎が倒れにくい
パンジーの種まき
種まきからの育て方
パンジーは発芽適温さえ合えば、種からの育て方も結構簡単です。また、苗で買ったパンジーから種を収穫して育てる育て方も難しくありません。
パンジーの種は種まきの時期である8月末頃から園芸店やホームセンターでも出回ります。インターネットでも販売されており、希望の花色が見つけやすいのでおすすめです。
1:種の収穫
収穫時期
パンジーの花を放っておくと結実し、種が収穫できます。ただし種を作るまで放っておくと株が消耗して花が咲きにくくなるので、種を収穫するのは開花時期の終わり頃が適しています。また、春はパンジーの受粉を助けてくれるハチやチョウが多く、結実しやすい点でもおすすめです。
収穫の方法
パンジーは種が熟してくるとサヤが茶色くなり、やがて開いて種が弾けます。しかしサヤが開いて数時間で種が弾けてしまうので、サヤが開く寸前の、サヤが茶色くなった頃に実ごと収穫してしまうのが確実です。
タイミングがいまいち分からない場合は、茶色くなってきたサヤにお茶パックなどで袋がけしておくのもおすすめ。種が弾けてしまっても回収できます。
種の保存方法
収穫したパンジーの種は茶封筒などに入れて2週間ほど室内で自然乾燥させます。種が十分に乾燥したら、密閉保存袋などに入れて保存します。カビが生えてしまうので、十分に乾燥させてから密閉しましょう。その後は、温度変化の少ない冷蔵庫の奥の方に入れておくのがおすすめです。
2:種まきの方法
種まきの時期
パンジーの発芽適温は20℃前後。地域によって違いますが、最高気温が20℃前後になった9〜10月頃が適しています。種まきしてから2ヶ月ほどでお花を楽しめるので、秋の花が終わり始めた11月〜12月頃には開花します。気温が高すぎると発芽率が悪くなるので、10月頃まで待つのが確実です。
早めに種まきしたい場合
秋の開花に間に合わせたい場合、室内で温度管理して発芽させる育て方もあります。発芽までは室内の20℃前後の場所で管理し、発芽してきたら直射日光と雨の当たらない室外に出します。外に出さないと芽が徒長してしまうので、育苗ポットの3〜4割が発芽してきたら外に出しましょう。
3:種まきの方法と育て方
鉢や育苗ポットなどに、種まきします。ピンセットがあるとよいですが、身近なものだと耳掻きなどを使うのもおすすめです。育苗ポットなら1ポットに3〜4粒入れて、のちほど間引きします。
土は市販の園芸培養土などでもOK。パンジーは発芽に光が必要な好光性種子という種類なので、まいた種の上に土は被せません。発芽までは土が乾かないように欠かさず水やりを行います。
4:鉢やプランターに移植
育苗ポットでの育て方は、芽が出揃ってきたら1ポットに1株になるように間引きます。大きな鉢での育て方では、株の間が10cm間隔くらいになるように間引きます。さらに本葉が3〜4枚に揃ってきたら、ポリポットなどに移植します。
移植してから1ヶ月ほど経つと、株もしっかりしてきてつぼみをつけるものもあります。いよいよ好みの鉢植えやプランターに植え替えたり、地植えにしたりします。
日々の育て方とお手入れ
1:育て方と肥料
パンジーを植え付ける際、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込みます。そのあと、暖かくなって花が咲き始めてきたら、液体肥料を薄めて週に1〜2回与え続けます。または固形肥料を月に1回置き肥してもOK。パンジーはあげすぎると肥料やけを起こしてしまうので、液肥はよく薄めます。
2:日々の育て方
パンジーの日々の育て方は、花がら摘みが主な作業です。しぼんだ花茎の根本からしっかり切り取ります。花がら摘みをこまめに行うことでたくさんお花がつきます。また、咲き終わった花を放置しておくと病害虫が発生する原因にもなるため、予防や観察のためにもこまめに行うのがおすすめです。
3:切り戻し
茎が間延びしてきて株が乱れてきたら、切り戻す育て方が有効です。2/3ほどの高さに切り戻し、肥料をあげます。3週間ほどでまたお花を咲かせてくれます。ただし4月を過ぎてから切り戻しを行うと株が復活しないことも。10〜11月頃に一度切り戻しを行うと、株が大きく育ちやすくなります。
4:水やり
育て方の基本である水やりですが、パンジーはやや乾き気味の状態を好みます。多湿になると病気や害虫が発生しやすくなるため、水やりのしすぎには気をつけましょう。
鉢植えやプランターの場合、土に指を差してみて土がつかないようであれば水やりのタイミング。鉢底から水が出てくるまでしっかりと水やりをします。地植えの育て方では、水やりはほとんど必要ありません。
寒い季節の育て方に注意
気温が低い季節のガーデニングは、水やりをする時間帯に気をつけます。パンジーの育て方に限りませんが、気温が低い季節は午前中の水やりがベスト。夕方に近くなると気温が下がって水が乾きにくくなり、根っこが寒さにやられてしまう可能性があるからです。
また冬は土が乾きにくいので、しっかり土が乾いてから水やりをします。ただし2〜3月になって急に暖かい日が続くときには水やりを忘れないようにしましょう。
育て方のコツ
- 薄めた液肥をあげて花付きUP
- 花がら摘みは花付きUP&病害虫予防に
- 茎が伸びてきたら切り戻しを
- 水やりは控えめに
- 気温の低い日は午前中に水やりを
パンジーのふやし方
挿し芽で株分けする育て方
パンジーのふやし方は、種を採取して種まきする育て方と、挿し芽で株分けする育て方の2種類あります。種まきは上述でご紹介した育て方ですが、挿し芽で株分けする育て方も比較的簡単です。この育て方は初心者でも挑戦しやすいので、切り戻しや剪定のついでにやってみるのもおすすめです。
目的は2通り
まずパンジーの場合、挿し芽で株分けする目的はふたつあります。まずは秋〜冬の間に1つの株からふやす目的。そのシーズン内で楽しむ育て方です。もうひとつは、冬〜春の間に挿し芽で株分けして夏越しさせ、来シーズン楽しむための育て方です。基本的なやり方は一緒ですが、夏越しさせるには管理と育て方が少し難しくなります。
挿し芽での育て方
挿し穂の準備
挿し芽とは、パンジーの茎を挿し穂にして用土に刺し、発根させる育て方です。パンジーの元気そうな茎を4cmほどの長さで切り取り、切り口を1〜2時間水につけてしっかり水揚げします。水揚げしたら、大きめの葉と花茎を切り落とします。葉っぱは3〜5枚くらいにしておきます。
挿し方と育て方
このとき、切り口に発根促進剤を塗っておくと発根する確率があがります。市販の挿し木用の用土などをポットに入れて、十分に用土を湿らせてから茎を差し込みます。この後夏越しさせる場合には、気温の高い季節は涼しい明るい場所で管理します。
秋に挿し芽する場合には、気温が15℃以下にならないうちに行うと、1ヶ月ほどで発根し、3月頃にはお花を咲かせてくれます。秋〜冬の挿し芽は比較的簡単で、挿し穂をそのまま花壇やプランターに挿しておいても花が咲いたという例がいくつもあります。
さいごに
育て方も簡単で初心者にもおすすめ
パンジーの育て方は簡単で、ガーデニング初心者にはまず挑戦してみてほしいお花。地植えや鉢植えはもちろん、寄せ植えやハンギングにも大活躍してくれます。また、本来は多年草のパンジー。弱点の夏越しができれば、毎年咲くパンジーもあるようです。いろんな育て方を楽しんでみてくださいね。
パンジーや育て方について気になる方はこちらから
パンジーの育て方は、とにかく花がら摘みと水が切れないように管理さえすれば楽しめるのが嬉しいポイント。また、ビオラやスミレとの違いなど、パンジーについてほかにも記事があります。気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。

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