はじめに
季節の山菜は山で採れる食材ですが、山菜を採る山は、春、淡い芽吹きや雪どけの季節からはじまります。樹々の葉っぱや、若草が萌え始まるころには山菜のシーズンがはじまり、2月、3月から採ることができる地域や、4月の雪解け後に山菜が地面から顔を出すところもあります。
南北に長い日本では5月、6月に旬をむかえる山菜もあり、夏を超え季節が秋になると旬をむかえる美味しい山菜もあります。人気の種類や見分け方、季節、特徴、食べ方、注意点などをご紹介いたします。
山菜採りで山に入るときの注意点
山菜が採れる山は、里山でも奥山でもいつも危険がいっぱいです。自然の中にある植物やそこに暮らす動物たちがいます。昆虫や鳥たちのすみかにもなっていますし、さわればかぶれてしまう漆の木や刺されれば危険な蜂などもいます。
春になれば、山菜の葉っぱや茎、新芽を目当てに動物たちも動き回ります。そこに人間が入っていくことになりますから、注意点として、それなりの準備が必要になります。また、食用にできる山菜かどうかの見分け方も知らなければなりません。
山菜採りでは春や夏でも長袖、長ズボン
2月、3月と季節がすすんで暖かくなると、虫たちも活動が活発になります。山には幹や枝に「とげ」を持つ樹木がありますし、人気の山菜タラの芽の木も「とげ」を持っています。笹竹の葉っぱも肌を傷つけたりします。
注意点としては「やぶ」こぎなども考え、木の枝や葉っぱから手足や顔を守ることが必要になります。そうしたことをふまえれば、服装は長袖、長ズボンが原則となりますし、山用のすべりにくい靴や長くつ、帽子、軍手などの着用をおすすめします。
山菜採りにはラジオや熊スズなども必需品
山には動物たちがくらしていますので、何人かで出かける山菜採りでも音の出るものを携帯し、鳴らしながら採ることです。木の新芽を腰より高い位置で採る山菜は、こしあぶら、木の芽(あけびの芽)、タラの芽などの数種類だけです。
そのほかの山菜は、地面を見ながら下を向いて採りますので、動物に気付かないで鉢合わせしないように、大きな音を出しながらこちらの存在を知らせておくと、動物のほうから避けてくれることが多いからです。
おにぎりや水は多めに持ちましょう
美味しい山菜は、危険なところに出てくる種類があります。たとえば「ぜんまい」などは、多くが沢沿いの湿気のある斜面に太くてやわらかくて、美味しいものがでるのが特徴です。また、「ねまがりたけ」が群生する笹やぶは方向感覚を失いがちになります。
道迷い、滑落などは登山の知識や技術がある人でもおこることですし、ビバークの準備をして山菜採りに入る方はまれだと思いますので、もしもの時のために、おにぎりなどの食料は余分に持ちたいものです。
山菜の特徴や見分け方を教えてもらいましょう
毎年、山菜を食べての食中毒がニュースになります。山菜は種類がたくさんある山で採れる食材ですが、おなじように見えてしまう種類もあります。注意点は、慣れた人でも見分け方をまちがえるときがあることです。
これから山に入り、山菜採りをはじめる方は、山菜を良く知り、山に入るのに必要な知識をもち、山菜の種類と見分け方の特徴を、採りながら教えてくれる人に同行させてもらいましょう。見分け方をまちがえないようにしたいものです。
2月~3月の人気の山菜2選!
2月~3月が旬の山菜ふきのとう
2月、3月、春一番の季節に地面にぽこんと出てくる山菜に、みなさんもよくご存知のふきのとうがあります。かれ草のほかに何もない地面に群生したり、2個3個とかたまって顔を出してくれるので、見つけやすく美味しい山菜です。
春が来た!という喜びとともに採ることができ、あの特徴ある苦みが何とも言えないふきのとうは、山菜シーズンはじめに2度、3度と食卓にのぼります。白ご飯の上ににのせて食べたいふきのとう味噌とふきのとうの天ぷらの作り方です。
ふきのとう味噌
材料(作り易い分量)ふきのとう7個(外葉取って約60g)味噌120g三温糖大さじ6 酒大さじ3 みりん大さじ2 重曹(なくても可)極々少量(好みで)唐辛子適宜
詳しい作り方はクックパッドで
お酒のおつまみとしても喜ばれます。田舎の山菜料理には、家庭ごとにちがった作り方があり、それぞれに美味しいです。ふきのとう味噌もお味噌を焼き味噌にして、さらに刻んだクルミを合わせた作り方もあり、こちらもおすすめします。
ふきのとうの天ぷら
材料 ふきのとう10個 小麦粉大2 かたくり粉大1 水大3
詳しい作り方はクックパッドで
ふきのとうは見つければ、わりと簡単に野山から採ることが出来る山菜です。もちろん、栽培物は早い時期からスーパーや八百屋さんの店頭をにぎやかにしていますので、美味しく春を感じられる食材としておすすめです。
2月~3月が旬の山菜木の芽(あけびの芽)
木の芽(あけびの芽)のおひたし
ふきのとうと同じころ、2月、3月の早い季節に、他の木や枝にからんで成長し始める山菜に、木の芽(あけびの芽)があります。採らずにそのまましておくと、夏の終わりごろにはあけびの実がつくこともあります。
木の芽(あけびの芽)は、新芽の部分の茎と葉っぱを採るのですが、茎が伸びて長いものは和え物や天ぷらなどにすると美味しいです。あけびの芽の茎(つる)のまわりには、他の植物もあり同じように新芽をつけるので、見分け方をまちがわないことが注意点です。
材料 木の芽1束 塩小さじ1 マヨネーズ適量 おかか適量 醤油適量
詳しい作り方はクックパッドで
木の芽をおひたしにしたら、ピーナツ和えやごま和え、ごまマヨネーズ和え、などのあえ物にしていただいても美味しいです。天ぷらにも出来ますし、炒め物も大丈夫ですから、お好みの調理法で春の苦みを感じてください。
4月の人気の山菜3選!
4月が旬の山菜こごみ
春一番の3月、4月に、沢や山の湿地に群生して出てきます。やらかくて人気の山菜ですが、成長が早く、ひと株に大きいものから短く丸いあたまのものまで一緒になっていることがあります。
見分け方は、少し成長して両手を挙げたように大きく開いているものは採ってもかたいので採りません。中心部に丸いまま開いていないものがあれば、それは採ります。地面から顔を出し、まだ開かずに、あたまが丸いこごみを中心に採るといいです。
こごみのおひたし
材料 (4人分 こごみ約30本(200g) 塩(茹でる際に使う)少々(1g)
詳しい作り方はクックパッドで
こごみのあくは強くないので重曹は使わなくて大丈夫です。シンプルにしょうがをのせたり、マヨネーズをかけても美味しいです。ごま和え、くるみ和えなども合いますし、おひたしにしたものを冷凍庫で長期保存し、解凍して使ってもいいですね。
4月が旬の山菜こしあぶら(タラの芽も)
とても人気のあるこしあぶらやタラの芽は、樹木の新芽を採ることになります。こしあぶらの木はスンとして、つるり、としていますが、タラの芽の木にはトゲがあります。ほかにも似たような種類の木があるのが注意点です。
タラの芽もこしあぶらと同じやり方で調理できます。下処理の簡単なこしあぶらとタラの芽ですが、おひたしやあえ物のほかにもさまざまな食べ方があります。一番人気の天ぷらにすると絶妙な美味しさになるのでおすすめです。
材料 こしあぶら(天然)90g 天ぷら粉大さじ4 水大さじ4 揚げ油適量
詳しい作り方はクックパッドで
こしあぶらやタラの芽はの天ぷらにする食べ方だけでなく、おひたしや好きなものと合わせての炒め煮なども人気があります。混ぜご飯にしたり、こしあぶらを肉巻きにするなどさまざまにお楽しみください。
4月が旬の山菜うるい
くせが少なく4月が旬の山菜にうるいがあります。最近は季節を先取りした栽培物が12月ごろから出回ります。栽培物の見分け方は、色がうすかったり丈が短いものが多く、登録商品名で出ていることもあります。
天然物のうるいは長く色も濃く成長します。まだみじかい時に根っこ近くから採っても、葉っぱが開いてから採っても、やわらかくてぬめりが多く、味も濃く感じられます。食べ方はおひたしやあえ物、お漬物でも美味しいですが、ここでは炒りものを紹介します。
うるいの炒りもの
材料 うるい1束 油揚げ1枚 塩小さじ1 サラダ油大さじ1
詳しい作り方はクックパッドで
くせがないうるいはいろいろな食べ方ができます。お豆腐との味噌汁、きゅうりとうるいのお漬物、あまり大きくない時は、やわらかいので、酢味噌がけやサラダなどでも美味しいです。炒め物ではさまざまな組み合わせで楽しむことが出来ます。
4月~5月の人気の山菜2選!
4月5月が旬の山菜ぜんまい
ぜんまいを採るときの注意点・見分け方
季節が進み、4月の大型連休が山菜採りには絶好の機会にもなります。山萌えの始まる4月5月には、ぜんまいは、沢沿いなどに一カブに何本かが束になって生えて来ます。一株見つければ近くにもありますから見逃せません。
ぜんまいは、男ぜんまい(オス)と女ぜんまい(メス)が同じカブに出てきますので、翌年につながるようにオスは採らずにメスも1~2本残すようにします。見分け方はオスが太く長くなります。食べるとぬめりがあり柔らかく美味しいメスを採ります。
干ぜんまいをもどして作る、ぜんまい炒り
ぜんまいの特徴は、茹でて、天日で干しながら手もみを繰り返し、乾燥させることで、長期保存ができるようになることです。きちんと乾燥させて冷凍したものや、乾燥させたものをジップ袋などに入れて湿気のないところに保存します。
干ぜんまいの食べ方は、水でもどして調理します。季節を問わずに使えますので、料理の幅が広がりますし、やさしい味わいにととのえれば、美味しさが増します。干ぜんまいはカビさえ生えなければ一年程度はなんともないです。
材料 (4人分 9干ぜんまい50g 油揚げ2枚 しょうゆ大さじ2と1/2 酒大さじ1 みりん大さじ1 油適量
詳しい作り方はクックパッドで
もどし方は、水をたっぷり入れた鍋に干ぜんまいをを入れ火にかける。手でもみながら熱くなったら火を止めお湯を捨てる。もういちど水を入れて火にかける。沸騰したら火を止めて一晩置いてもどします。
4月、5月が旬の山菜、山うどにはたくさんのレシピが
5月に山で採れる山うどの特徴は、食物繊維も多く軟らかくさまざまな食べ方ができることです。生でマヨネーズやお味噌をつけて食べるほか、みそ汁、ニシンやお肉との煮物、葉っぱの天ぷら、皮を使ったきんぴら、塩づけにして保存し、納豆汁などに使います。
山うどの炒め物
いろいろな種類のお料理にばひろく使うことができる山菜の山うどは、ぜんまい、わらびなどと同じくらい人気のある山菜です。栽培うども含めいろいろなレシピがあります。
材料 山うど適量 麺つゆ適量 しょうゆ適量 油少々
詳しい作り方はクックパッドで
すみそあえも美味
材料 山ウド2本 あく抜きの酢水小ボール1杯 茹でる酢水の水400ml 酢大さじ2 白みそ大さじ1 甘酢(味付け済 調味酢 大さじ2
6月の人気の山菜2選!
6月が旬の山菜わらび
ぬめりの多い山采、わらびは見つけやすい
山菜に詳しくなく、あまり多くの種類を知らない人でも、わらびは草や藪の中にツンと立っていますので、簡単に見分けることが出来ます。茎の色が薄い、濃い、うぶげがあるなどの特徴や種類があります。
一年中使えるように塩づけにすると、保存のきく山で採れる食材なので、需要がたくさんあります。栽培方法も比較的簡単なことから、山に、テープでナワバリをして栽培をしている山の所有者がいますので、注意しなければなりません。
わらびの1本漬け(めんつゆ)
深い藪の中などで見つかる、濃い色の太いわらびは軟らかく、好みにもよりますがぬめりも多く美味しいです。6月が過ぎ、夏の初めによく見る茎の先端が何本か開き、長くなっているものはぬめりもなく、硬く、食べても美味しくありません。
一本漬けは、わらびを切らずに、そのまま漬ける漬け方なので、食べる時、お皿にそのまま盛り付けると、わらび感出て見栄えがします。一本まま箸でつまんで食べることができますから食べた感もあります。
材料 わらび適量 しょうが1カケ 麺つゆワラビが半分~全て浸る位
しょっぱくなったら、少し水を足して薄めるか、つゆをすてて水を入れて塩分を抜いてください。麺つゆはわらびが半分つかるくらいにして、つかるまで何回かタッパーをふって全体にしょうが汁がかかるようにします。ジップロックの袋でもオッケーです。
詳しい作り方はクックパッドで
わらびのあく抜きの方法は、採ってきたら、鍋にわらびと重曹(タンサン)を入れ、熱湯をかけます。重曹(タンサン)を入れる時に少しもむようにすると、わらびの色が良くなります。そのまま一晩おいて水を捨て、わらびを洗って使います。
ぬめりが特徴のわらびは、お味噌と合わせたわらびたたきや、野菜と合わせて漬物にしたりします。塩づけすることで保存がききますから、みそ汁の具や納豆汁などの具としても使い重宝されます。
6月が旬の山菜細竹(笹竹)
細竹(笹竹)は4月ころから出てきますが、場所によっては5月に成長してしまい、採ってもかたくて使えなくなってしまうことがあります。太いねまがり竹や標高の高いところでは6月が旬の山菜になります。
いろいろな食べ方がありますが、細竹は煮物にすると味が良くしみて美味しくなります。もちろん、天ぷらもおいしいです。ねまがり竹や細竹(笹竹)の太いものは、焼いて皮をむき七味を加えたマヨネーズ味噌などでいただく食べ方が人気です。
細竹(笹竹)のみそ汁
材料(4人分) 細竹たくさん(多いほど )味噌 だし汁
6月~7月の人気の山菜1選!
6月、7月、夏まで採れる山菜みずは
山菜のみずは、赤みず(うわばみそう)と青みず(やまときほこり)があります。両方同じように、沢や湿気のある所などに出ますが、食べ方にも違いがあり、ここではぬめりの多い赤みずをご紹介します。
見分け方は簡単で、元の部分に赤みがあるのが赤みずです。たくさん出ますので、たくさんの食べ方レシピがあります。青みずは根元まで同じ色で、太くならず、あまり長くなりません。数はあまり多くなく、青みずはおひたしやサラダが好きという人が多いです。
もぎり(もんぎり)みず汁
材料 (4人分)みず約25本(200g) じゃがいも(中)3~4個(300g) 細筍約20本(200g) 塩クジラ(本皮)(または豚肉)50g 料理酒大さじ2(30g) 味噌大さじ4(72g) 水4カップ(800ml)
みずの葉をとり、手でねじりながら食べやすい大きさにもぎ、ちぎっておく。細筍は斜め切りにする。じゃがいもは一口大に切る。塩クジラは塩をさっと洗い流し、食べやすい大きさにスライスする。鍋に、みず、細筍、塩クジラ、料理酒、水を入れて煮る。沸騰したらじゃがいもを加えて、柔らかくなるまで煮たら火を止める。
現在は豚肉を使った、もぎりみずが一般的になっていますが、塩クジラが手に入る方には塩クジラがおすすめです。クジラがお肉やお魚の代替えとして食卓に上っているころからの作り方で、一度いただくとき癖になるおいしさです。
詳しい作り方はクックパッドで
クジラの代わりにに身欠きニシンを入れるところもあり、こんにゃくやお麩を入れても美味しいです。ほかのみずの食べ方には、みずと野菜を合わせた漬け物や煮物などたくさんあり、初夏から秋まで楽しめる山菜です。
まとめ
山には必ず所有者がいます
多くの山菜は森や沢沿いに自生していますが、所有者のいない山は存在しませんので、採っていいかどうかを見分けることが必要です。テープなどで縄張りがあるようなところでは、所有者が山菜を栽培していますので注意点です。採ってしまうと窃盗罪になります。
また、国立公園や国有林でも、山菜や植物を採ることを全面禁止にしているところもありますので、そこも注意点です。ふつうに規制がかかっていなければ、ある程度の山菜を採ることは、黙認されています。
山菜は山で採れる食材なのでずっと残したいですね
山菜の特徴としては、同じ場所に出ることがあげられます。そこを覚えますと、季節のズレはあっても、同じ場所で同じ山菜を採ることが出来ます。注意点は全部は採らず、半分程度を残すことです。そうすれば毎年楽しめます。
山での山菜の採り方や食べ方をご紹介してまいりました。ご紹介した食べ方はお家レシピもあり、簡単なものばかりです。山菜調理のアレンジレシピはたくさんありますので、美味しい食べ方を見つけ、天然物の山菜採りに挑戦なさってはいかがでしょうか。
- 最初は山菜にくわしい人に、同行させてもらいましょう
- 採ったものに自信がない時は、よく知ってる人に確かめましょう
- 毎年採れるように、全部は採らないでおきましょう
人間が食べられる山菜や野草が気になる方はこちらもチェック
多くの種類がある山で採れる食材の山菜ですが、人間には有毒なものもあります。食べられる野草やキノコの紹介があり、くわしい解説がありますので参考になさってください。
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出典:ライター撮影