南アルプスには魅力ある山がいっぱい!
「南アルプス」は、長野県と山梨県、静岡県に跨って連なる山脈で、「明石山脈」とも呼ばれ、飛驒山脈の北アルプスや、木曽山脈の中央アルプスと共に日本の三大アルプスとなっていて、登山者の人気となっています。
南アルプスの山には、日本で第2位の高さの北岳の他に、間ノ岳や仙丈ヶ岳、聖岳など標高が3000メートル級の高峰が9山も集まっており、また北や中央アルプスに比べ、奥まった山が多く、登山者も少ない静かな登山ができる山が多くなっています。
南アルプスは、登山の初心者からベテランまで楽しめる!
南アルプスには、甲斐駒ヶ岳や北岳など「日本百名山」に選ばれている山が10もあり、それぞれが独自の山容を持ち、雄大でなだらかな姿や荒々しい景観など、どの山も個性的です。また夏は新緑、冬は雪に覆われ季節によっても表情が違い興味深いです。
さらに登山道や山小屋、キャンプ場も整備され、初心者から中級、上級者まで挑戦できる山が多く、同じ山でも複数の登山ルートがあり、いつでも登山者を迎え入れてくれます。今回は、南アルプスの山々を初心者から上級者向けの難易度に分けて、9選ご紹介していきます。
南アルプスで人気の登山ルート【初心者向き3選】
南アルプスでおすすめの登山ルート①:仙丈ケ岳(せんじょうがたけ)
「仙丈ヶ岳」は、長野県と山梨県の県境に長く伸びる「南アルプス国立公園」内の北端にあり、すぐ東にある「甲斐駒ヶ岳」が荒々しい男性的な山容に比べ、なだらかで女性的な姿から「南アルプスの女王」とも呼ばれています。
「日本百名山」や中高年が登り易い山という点を加味して選定された「新日本百名山」、「花の百名山」、「山梨百名山」、「信州百名山」などの多くに選定され親しまれている人気の山で、南アルプス登山で最初に登る山として選ぶ人も多いようです。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
「仙丈ヶ岳」という山名は、長さの単位「1丈」が約3mであり、仙丈ヶ岳の標高3033mを「丈」に換算すると約1000丈となり、そこから「千丈」転じて「仙丈」になったという説や、頂上部のカールの広さが千畳ほどもあることから、「仙丈」に変わったという説もあります。
登山ルートとしては、「北沢峠バス停」を出発して大滝ノ頭へ進み、小仙丈ヶ岳、仙丈ヶ岳の頂上で素晴らしい景観を眺め、帰りは馬ノ背ヒュッテェを経て北沢峠バス停まで戻ってくる日帰りコースです。また標高が3000m以上あるので、気圧に慣れながらゆっくり登りましょう。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 日帰り |
登山難易度 | 初心者 |
仙丈ヶ岳
- 住所〒400-0241
長野県伊那市芦安芦倉 - アクセス「伊那市駅」前から路線バスで「高遠」まで行き、長谷循環バスに乗り換え「仙流荘」で下車。そこから「南アルプス林道バス」で「北沢峠バス停」まで約60分。
南アルプスでおすすめの登山ルート②:甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)
「甲斐駒ヶ岳」は、山梨県と長野県にまたがる標高が2,967mの山で、男性的で峻厳なほぼ独立峰のような山容で立っている日本アルプスでも屈指の名峰です。また山梨県側からは一気に2500mほど立ち上がっている山の全体像が見えて壮観です。
「日本百名山」や「新日本百名山」、「新・花の百名山」、「山梨百名山」、「日本百景」にも選定されていて、「日本百名山」を選定した登山家・深田久弥氏は「もし『日本の十名山』を選べと言われても、この山は落とさないだろう」と述べたとされ、その山容を絶賛しています。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
この山は中腹までは緑の樹林で覆われ、その上部は岩が露出した荒々しい山容が特徴で、山頂に近づくと、いくつかの巨岩を乗り越えさらに急坂が続きますが、山頂下の脇には、なだらかならせん状のルートもあり、初心者でも無理なく登頂できます。
登山ルートとしては、「北沢峠バス停」から双児山方面に進み、駒津峰を通り、山頂まで行き、頂上からは富士山の雄姿も楽しめます。帰りは駒津峰に戻り、仙水峠に抜けて「北沢峠バス停」まで戻るコースです。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 日帰り |
登山難易度 | 初心者 |
甲斐駒ヶ岳
- 住所〒396-0403
長野県伊那市長谷黒河内 - アクセス「伊那市駅」前から路線バスで「高遠」まで行き、長谷循環バスに乗り換え「仙流荘」で下車。そこから「南アルプス林道バス」で「北沢峠バス停」まで約60分。
南アルプスでおすすめの登山ルート③:鳳凰山(ほうおうざん)
「鳳凰山」は、南アルプス北東部にある地蔵ヶ岳(2,764m)と観音ヶ岳(2,841m)、薬師ヶ岳(2,780m)の三つ山の総称で、「鳳凰三山」と呼ばれることもあり、「日本百名山」や「新日本百名山」、「新・花の百名山」、「山梨百名山」に選ばれています。
特に地蔵ヶ岳の頂上には、「オベリスク」と呼ばれる大きな岩が縦に重なった塔があり、それが鳳凰のくちばしに見えたことから山名の由来となったとさており、このオベリスクは山の象徴的な存在で、他の峰や麓の甲府盆地からも注意してみると見えるそうです。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
鳳凰山の登山道の脇には多くの高山植物が咲いており、赤紫のタカネビランジや鈴蘭のような白いマイヅルソウ、また稜線にはイワウメや黄色いウサギギクなどが登山者を元気で付けてくれて、山頂に着くと、白峰三山や富士山、薬師岳などの絶景が見られます。
登山は「ドンドコ沢ルート」を使い、青木鉱泉からドンドコ沢砂防ダム、南精進ヶ滝や鳳凰滝、白糸の滝、五色の滝などの滝巡りをして鳳凰小屋から地蔵岳に向かいます。その後アカヌケ沢の頭、鳳凰小屋分岐を観音岳に向かい、薬師岳、御座石を経て中道ルート登山口から青木鉱泉に戻る1泊2日のコースで、山小屋かテント泊となります。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 初心者、中級者 |
鳳凰山
- 住所〒400-0241
山梨県南アルプス市芦安芦倉 - アクセス「韮崎駅」からバスで「青木鉱泉」まで約1時間
南アルプスで人気の登山ルート【中級者向き3選】
南アルプスでおすすめの登山ルート①:聖岳(ひじりだけ)
「聖岳」は、南アルプスの中でも南に位置する長野県と静岡県の県境の奥深い場所に立つ標高が3013mの山で、裾野から山頂まで緑に覆われたどっしりとした山容が美しく、南アルプスの名峰と呼ばれ「日本百名山」にも選定されています。
主峰の聖岳の東側には奥聖岳があり、南側には小聖岳を従えていて、山頂からの景色は素晴らしく、南アルプスや北アルプスの峰々、そして富士山など360度の大パノラマが広がり、時には見事な雲海も発生し、登山の疲れも癒されます。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
また山頂の周辺と南側の標高2,300mほどの所にある「聖平」には、大規模な高山植物の群生する花畑があり、初夏の季節にはクモイコザクラなどの花々が咲き誇り、秋には赤いナナカマドが色づき、例年9月中旬頃から紅葉シーズンが訪れ見ごろとなります。
便ヶ島の「聖光小屋」から出発し、西沢渡を通り、薊畑分岐を聖平小屋方面に行き、薊畑分岐から小聖岳を経て聖岳山頂へ。帰りは奥聖岳まで行き、聖岳に戻り、小聖岳経由、登ってきた道を下り、「聖光小屋」まで戻る1泊2日のルートです。コース途中には山小屋や聖平の近くにキャンプ地があります。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 中級者 |
聖岳
- 住所〒399-1401
静岡県静岡市葵区南信濃木沢
南アルプスでおすすめの登山ルート②:光岳(てかりだけ)
「光岳」は、南アルプスの深南部にある標高2592mの山で、「聖岳」とは峰続きとなっていて縦走コースもあり、山全体が緑の樹木で覆われていますが、山頂付近には、日に照らされ白く光って見える光岩(てかりいわ)という石灰岩があり、そこから「光岳」と呼ばれるようになり、「日本百名山」にも選らばれています。
山頂は樹林に覆われて眺望ができませんが、山頂の近くにある「センジガ原」の広大な草原や「イザルガ岳」からの360度のパノラマ展望は素晴らしく、特に幻想的な富士山の姿が見られることもあります。また稜線の途中には、「光小屋」という山小屋があり、キャンプ地が併設されています。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
「光岳」の登山最適時期は6月下旬から10月中旬頃までで、7月〜8月の季節には登山道の木道の脇にはミヤマムラサキやシナノキンバイなどのさまざまな花が咲き誇り、また10月頃からは美しい紅葉の景観を楽しむことができます。
登山ルートは、「易老渡」を出て、面平標識を小ピーク方面に向かい、易老岳や三吉平、光小屋経由、光岳山頂へ。帰りは光小屋から三吉平、易老岳、小ピークへと来た道を易老渡に戻る、1泊2日のコースです。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 中級者 |
光岳
- 住所〒399-1401
長野県飯田市南信濃木沢 - アクセス「飯田IC」から車で110分
南アルプスでおすすめの登山ルート③:塩見岳(しおみだけ)
「塩見岳」は、南アルプスのほぼ中央にある山で、山頂は100mの間隔で東峰と西峰に分かれていて、東峰の標高が3052mで西峰が3047mとなっています。また「仙丈ヶ岳」から続く長大な「仙塩尾根」の最南端にあり、「日本百名山」や、「新日本百名山」、「信州百名山」に選定されています。
塩見岳は南アルプスのほぼ真ん中に位置しているので、山頂からの素晴らしい眺望が最大の魅力となっていて、遥か彼方の北アルプスや中央アルプスの折り重なる連峰の息を呑むほどの眺めや、いろいろな表情の富士山を見ることができます。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
また頂上付近は冬の季節には雪で覆われ、春から秋にはイワウメやクルマユリ、ツガザクラ、ミヤマキンポウゲなどの高山植物の宝庫となっており、シーズンには美しい花々見ることができ癒されます。また雷鳥の生息地となっていて、歩いていると出会うこともありますよ。
登山ルートは人気の定番コースで、「鳥倉登山口」を出て、豊口山間のコルから塩川ルート分岐を三伏峠方面に向かい、本谷山、塩見小屋経由、塩見岳山頂に到達し、素晴らしい景観を楽しみ、帰りは来た道を戻る、1泊2日のコースです。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 中級者 |
塩見岳
- 住所〒396-0406
長野県伊那市長谷杉島 - アクセス車の場合は鳥倉登山口」手前の駐車場に停め、登山口まで約50分歩きます。
南アルプスで人気の登山ルート【上級者向き3選】
南アルプスでおすすめの登山ルート①:北岳(きただけ)
「北岳」は、南アルプスの北部にある標高が3193mの山で、富士山に次いで日本で第2位の高峰であり、その山容は堂々として美しく「南アルプスの盟主」とも呼ばれ、「日本百名山」や「新・花の百名山」、「山梨百名山」にも選定されています。
冬は雪に覆われた姿が美しく、古くから多くの和歌などにも詠まれ、また日本で第三位の高さの「間ノ岳」や「農鳥岳」と共に白峰三山と呼ばれ、これらの峰を歩く縦走コースは、南アルプスを代表する縦走路として登山家の人気となっています。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
東側斜面にある岩壁は「北岳バットレス」と呼ばれ、ロッククライミングのクラシックルートとなっています。また北岳山頂からの眺めは素晴らしく、特に富士山の景観は定評があり、さらに山全体が高山植物の宝庫となっていて、また雷鳥の姿も見られます。
登山ルートは、「広河原」から出発して白根御池分岐で白根御池小屋に向かい、草すべり分岐や小太郎尾根分岐、北岳肩ノ小屋、両俣分岐を経て北岳山頂を目指し、帰りは来たルートを戻ります。途中は特に危険な個所はありませんが、ある程度の体力が求められ、北岳肩ノ小屋かキャンプ場で一泊します。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 上級者 |
北岳
- 住所〒400-0241
山梨県南アルプス市芦安芦倉 - アクセス「甲府駅」からバスで「広河原」まで
南アルプスでおすすめの登山ルート②:間ノ岳(あいのだけ)
「間ノ岳」は、南アルプスの北岳や農鳥岳と共に「白峰三山」と呼ばれ、二つの山の間にあるので山名の由来となり、標高が飛騨山脈にある「穂高岳」と同じ3190mあり、日本で第三位の高さとなっていて「日本百名山」や「山梨百名山」に選らばれています。
この山も高山植物が豊富ですが山頂付近は地すべりによってできた岩場となっていて、植物は少なくなっていますが、見晴らしは抜群と評判で、特に冬の雪に覆われた白峰三山の景観は、いつ見ても引き込まれる美しさです。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
登山の際は、麓から直接山頂に立つ登山道がないので、白峰三山や南アルプスを縦走しながら登ることが多く、また特に危険な個所はありませんが、山頂までの稜線の道は吹きさらしになっているので、風の強い時は風向きを読みながら危険を避けて歩きましょう。
「白峰三山縦走ルート」を行く場合は、「広河原」を出て、白根御池小屋や小太郎尾根分岐を通り、北岳肩ノ小屋から北岳を目指し、その後、縦走して間ノ岳山頂へ。続いて農鳥小屋から西農鳥岳山頂を経て、大門沢、森山橋の吊橋経由、奈良田第一発電所から「奈良田」へ下る、2泊3日のコースです。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 2泊3日 |
登山難易度 | 上級者 |
間ノ岳
- 住所〒400-0241
山梨県南アルプス市芦安芦倉 - アクセス「甲府駅」からバスで「広河原」まで
南アルプスでおすすめの登山ルート③:赤石岳(あかいしだけ)
「赤石岳」は、長野県と静岡県の県境にある標高が3121mの山で、南アルプスでは4番目の高さで、山名は山頂に露出している赤色の岩盤に由来しており、またその名が南アルプスの別名「赤石山脈」にも転用され、「日本百名山」や「新日本百名山」に選らばれています。
山頂の周辺には、日本国内では最南端の氷河の痕跡や南西斜面には「ゴーロ帯」と呼ばれる岩石氷河の地形が見られる日本でも希少な山で、山頂の下には「赤石岳避難小屋」が造られており、登山者の安全が図られています。
テント泊や日帰りでも絶景が楽しめる!
また山頂の周りには、高嶺マツムシソウやリンドウ、高嶺ツメクサなどたくさんの高山植物の花畑が広がっており、ライチョウの生息地にもなっていて登山者の目を楽しませてくれます。また山頂からは、富士山や奥秩父、八ヶ岳、遥か遠くには槍ヶ岳まで見える絶景が広がります。
登山ルートは、「椹島(さわらじま)」を出て、上の林道跡に進み、尾根を巻く地点から赤石小屋、富士見平、北沢源流を経て赤石岳山頂へ向かい、帰りは来た道を戻る1泊2日のルートです。
南アルプスの登山情報【住所、アクセスなど】
登山最適日数 | 1泊2日 |
登山難易度 | 中級、上級者 |
赤石岳
- 住所〒428-0505
静岡県静岡市葵区田代 - アクセスR「静岡駅」からバスで、「畑薙第一ダム」まで行き、東海フォレストの送迎バスで椹島まで。
南アルプスの登山を満喫しよう!
【難易度別】南アルプスのおすすめ登山ルートのご紹介、いかがでしたか?南アルプスには、3000メートル級の高峰や、「日本百名山」に選ばれている名峰が多く、登山するのに魅力の山が多いですね。また姿も個性的で季節によって山の表情も違っていて、さらに初心者から上級者向けのルートが揃っていますので、是非、登山にチャレンジしてください。
南アルプスの他の情報が気になる方はこちらもチェック!
南アルプスの高山植物や山小屋や、登山口などの情報が気になる方はこちらもチェックしてみてください。
タカネビランジとは?南アルプス高山帯に咲く高嶺の花の基本情報を解説!
タカネビランジとはどのような植物かご存知でしょうか?南アルプスの高山帯に咲く花で、自生しているものは登山をしないと見かけない為、見たことがあ...
南アルプスの山小屋「北岳山荘」!宿泊の混雑状況やテント場情報をご紹介!
北岳山荘は、北岳と中白峰の鞍部である標高2,900mの場所にあります。北岳登山や白峰三山の縦走には、欠くことのできない山小屋になっています。...
南アルプス北岳の登山口「広河原」のアクセス方法は?登山ルート含めて解説!
南アルプス登山の要所、広河原は北岳・鳳凰三山の登山口として有名な土地ですが、南アルプス交通規制もありマイカーで行くこともできません。広河原へ...