南国のお正月は魚介類必須
日本のお正月には「おせち料理」が欠かせません。地域によって内容や出され方などさまざまですが、南の島にもお正月料理はあります。お吸い物とお刺身からなるお祝い料理で「サンゴン(三献)」と呼ばれ、三種類の膳からなります。一の膳では魚介ダシを中心としたムチズイムン(お雑煮)、二の膳は白いお刺身、三の膳は肉のダシを中心としたお吸い物。なぜかお吸い物が二膳出されます。お正月前になると、一の膳で使う魚と二の膳で使う魚を求めて皆海をウロウロします。
強風時のジギング
最近の釣りではタックルを組む時に当然のようにPEラインを使います。アタリが取りやすく、ライン撚れも少なく、しかも強いのがその理由でしょう。しかしこいつには絶対的な弱点があります。それが「強風に弱い」こと。この時期の釣行はその弱点をなんとか克服しながらの釣りになります。
サーフジギングは短時間で決める!
今回はお正月のお刺身とお椀ダネをゲットするための釣りですから、白身魚がターゲット魚になります。できればお鍋にも使いたいので狙いは「GT(ジャイアント・トレバリー)」系のお魚か「チヌ」にしようと思います。しかし我が家の下に広がるサーフは北向き。当然この時期は朝から晩まで風が吹き荒れています。こんな時は「フッ」と風が止んだ瞬間を狙い、サッと投げてサッと釣ってサッと帰るに限ります。この「サッと釣法」を行うには「サッと仕掛け」で挑むしかありません。
対強風時サーフジギングの仕掛け
ここで登場するのが「投げサビキ」と呼ばれる仕掛けです。このサビキ仕掛けはよく「ボウズのがれ」などと銘打たれて売られているものの仲間です。重め(今回は40g)のジグを「飛ばしオモリ」の代わりに使い、三本付いているサビキをジグが追いかけているようなアクションで魚に錯覚を起こさせ、近くにいる魚の食い気を誘います。なぜこの仕掛けが良いのかというと、とにかく勝負が早いこと。特にサーフでは岩礁地帯などと違って探る時間がほとんどいりません。「居れば喰う、居なければ喰わない」に特化したこの仕掛けが一番効率的なんです。
今回の釣行「サーフジギング」
けっ!がんばってもダメな時はダメさ(一匹目)
朝マヅメの上げ潮狙いで早朝6時から砂浜に降りロッドを振る。相変わらずの北風。風の緩まる瞬間を狙って何投かしていると。グン、ググンとのっそりしたアタリ。一度大きくあおりフッキングさせ、リールを巻く。「ん?」なんだか変だ。重たいは重たいけれど生体反応が薄い。海草か?いや、時々イヤイヤをしている。うむ、分かった。生きている海草だ。うわ、まだ暗い海辺でそんなものにでっくわしたら恐怖でいろいろ漏れてしまう。結局上がってきたのはクサフグ。毒持ちなのでお引き取り願う。
けっ!がんばってもダメな時はダメさ(二匹目)
日の出が7時15分ころなので、それまでに何か「良い」魚が釣れないかなと強風の中ひたすらジグサビキを投げていると、明るくなり始めた頃キタキタ!ドン、という強いアタリ。緩めに設定しているとはいえジージーと鳴るドラグ。気になる点と言えば頭を回頭させる気配が無いこと。つまり真っ直ぐバックしている感じだ。またぞろ気持ちの悪いヒキ。ドラグを締めひたすら巻く。上がってきたのはアオヤガラ。こいつは苦手だ。頭部の粘液が手に付いたら落ちない。味も無いので、あまり触らないようにしてお帰りいただく。
けっ!がんばってもダメな時はダメさ(三匹目)
すっかり陽の上がった午前8時ころ。落としてはシャクり、シャクっては落とすを繰り返しているとクンクンクンと軽快なアタリ。ふ、見なくても分かる。オキエソくんだろう。案の定上がってきたのは小さなオキエソ。この後何度アタリがあってもすべてオキエソ。ち、ダメな時は何をやってもうまくいかない。オールリリースで納竿。夜の堤防エギングに賭ける!
強風時のアオリイカエギング
強風、特に真横や真向いからの風の時にエギングは苦労します。アンダースローで風の影響を受けないように投げることはできます。しかし問題はその後です。糸ふけを取ってラインメンディングをしようにもPEラインが沈んでいってくれません。でもどうしてもお正月にはアオリイカが食べたい!
重め(沈みやすい)のエギで勝負
そこで強風時に扱い易い重めのエギをチョイスするのですが、このエギはラインを結ぶための「アイ」が2か所に付いています。普通にダートさせるためのアイと真下に落とすためのアイです。これはティップランエギングにも使えるよう少し沈みが早く作られています。これを堤防エギングに使用すると慣れるまでは使いずらいですが、慣れれば風の影響を受けにくく、強い武器になります。
夜間堤防ジギングでサイトフィッシング!
さて釣り方ですが、真向いからの強風が吹き荒れる中で探り釣りは現実的ではありません。その場合は常夜灯のある堤防などでのエギングが一番効率が良いでしょう。目に見える範囲にベイト(この日はネンブツダイ)が群れている場所を見つけ、じっくり目を凝らして水中を観察します。もちろんその間エギを投げるのは構いませんが、とにかく水中観察を怠らないように(サイトフィッシング)しましょう。※画像はアオリイカを捜す嫁。
「してやったり!」イメージ通りにアオリイカゲット!
12月23日、潮汐は小潮。ほぼ満潮を迎えた午前0時ころ。リコン(偵察)隊長である嫁から打電。「アオリイカノカゲアリ、シキュウオウエンモトム」。ここで私の出番。眼鏡っ子の私が嫁の指差す海上を必死でアオリイカを捜す。嫁のイライラが私に伝わった頃イカ発見。エギをアオリイカの「後方」に落とす。自らの波紋からエギが逃げるようなアクションを一度だけ入れ、あとは自然沈降に任せる。エギが見えなくなってから3カウントしてゆっくり聴き合わせ。グンっとロッドを曲げたのは500gのアオリイカ。「してやったり!」
ここで裏ワザを一つ「イカの締め方」
ここで裏ワザを一つ紹介しておきます。エギンガーの皆様はイカを釣ると即締めすると思いますが、案外そのやり方で苦労されているようです。多いのは目の上の外側から斜めに締め具を入れるやり方。ベテランの方でも二度三度刺しなおしている光景をよく見ます。ところがこれ、簡単に失敗無くやる方法があるんです。目の上からスッとハサミを入れ、身の内側と肝の近くを繋いでいる神経を切断するだけです。ただしこのやり方は片身づつしか神経が切れませんから、左右二回ハサミを入れましょう。
お正月のお刺身はゲットできました!
今回北からの強風の中何とかアオリイカはゲットできましたが、この時期本当に釣りが厳しくなります。特に一番得意とするカナディアンカヌーフィッシングがまったくできないのが痛いです。しかしそんな中でも何とか釣果を上げていくためにいろいろと試行錯誤して参ります。単純に風裏の釣り場を目指すのも手なのですが、狭い島の中では他所から人が来て釣りをすることを心よく思わない方もいます。あるもの、居る場所など与えられているものを最大限利用して釣りに挑まなければならないのが離島の釣りです。これからも良い釣り記事をなんとかお届けできるよう努力いたします。本年はありがとうございました。来年もまたよろしくお願い申し上げます。
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「暮らし~の」のサイトで今年初頭から始まった連載企画。火曜日を担当させていただいておりますkuma10と申します。釣り好きが高じて南の離島に移住して早25年になります。内地のアングラーではあまり目にできない魚や、独特の釣り方・食べ方などライブ感をもって記事をあげていこうと思っています。【火曜連載】の記事に興味が湧きましたらこちらも覗いてみてください。
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