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【連載】釣っ食べ第22弾!シメ鯖よりうまい。シメダツのすすめ!

最近では関東地方でも見られるようになった「ダツ」という魚。さばき方や食べ方さえ知っていれば美味しい魚なのですが、なかなかの外道扱いを受けていると聞き及んでおります。今回はイカのヤエン仕掛けに掛かったダツの美味しい食べ方とコブシメのさばき方のコツなどの紹介です。
更新: 2021年5月17日
kuma10
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目次

ダツってどんな魚?

温帯から熱帯までの海域に生息する細長い魚で、特に南西諸島などでは食材として重宝されています。「尖った口吻でダイバーに突き刺さり死亡事故を起こした」などの情報は皆さんもご承知のことでしょうが、釣り味や食味はあまり知られていないように思います。元が白身でサンゴ礁の中で生活している魚ではないので臭みはありませんが、旨味は少ない魚です。釣り味はバツグンなのですが、獰猛な上に鋭い歯と硬い口吻で仕掛けをズタズタにする悪者です。最大で120㎝くらいにはなります。

ダツの釣り方

オーソドックスな釣り方

ダツを狙って釣ることはあまりありませんが、もし狙って釣るのであればルアー釣りが一番オーソドックスな釣り方です。エサ釣りでも狙えますが、エサ釣りは他のターゲットの外道の意味合いが強いですね。ルアーではジグやスプーンでの表層引きやポッパー、フローティングミノーなど、とにかくトップでの釣りになります。そういう意味ではゲームフィッシングとしてとても楽しめる魚です。

今回の釣り方

今回はコブシメのロケット(ヤエン)釣りをしていたところ、3~4匹の小さなダツがベイトを追い駆けまわしていたので厄介祓いのつもりで狙いました。仕掛けはロケット釣りのまま。つまり泳がせ釣りです。エサはその場で釣ったネンブツダイ。活きエサの場合、サッと引ったくって持って行くことをしません。その場でモグモグやる様子がなんとも可愛いのですが、合わせるのがなかなか難しく(なんせ口がくちばし状なので)、何度か闇雲に合わせて釣り上げました。

ダツのさばき方

さばき方①「ウロコを剥ぐ」

どうせ皮は剥いてしまうのでウロコは剥がしても剥がさなくてもどちらでも構わないのですが、できれば剥がしましょう。さばいている間に身にウロコが付くことを回避できます。


さばき方②「ガイドを入れて一気に」

背側と腹側に包丁を入れるガイドを入れましょう。45°位の角度で中骨に当て、そこから包丁を寝かせて中骨の中心近くまでガイドを入れます。両側のガイドが入ったら尻尾側から包丁を突き刺し、中骨の上を滑らせるように一気に引き切ります。

さばき方③「三枚ならぬ三本」

こんな感じに三枚、いえ、三本に切り分けられます。とてもきれいな白身ですが、いかんせん味が薄い。骨周りを見ていただければお分かりになると思いますが骨が「青い」。ちょっとキモいですよね。この二つの理由からあまりお刺身ではいただきません。

さばき方④「腹骨を漉いて皮を曳く」

腹骨の周りには細い針のような小骨が存在します。シメダツを作る理由の一つにこの小骨をお酢の力で溶かすことがありますが、それでも小骨が口に入るとイヤなものです。腹骨は少し厚めに漉きましょう。皮はとても曳きやすい魚ですので、包丁で失敗しても指で剥くことができます。他の魚の練習台のような軽い気持ちで剥きましょう。

お酢でシメる

塩で水分・臭み抜き

皮側と腹側に塩を軽く振りましょう。あまり臭みの無い魚ですが、お酢でシメる前に臭み取りと水分抜きをします。15分から20分置くだけで表面から水分がじんわりと出てきます。

塩抜きしたらお酢でシメる


軽く水洗いしたらキッチンペーパーなどで水分を拭き取り、いよいよお酢でシメます。このお酢は特別な物や味付けは一切いりません。普通の醸造酢のみで結構です。気を付けるのは「合成酢」を使わない、くらいです。浅い容器を用意し、容器の大きさにダツをカットしてひたひたになるようにお酢を注ぎます。この時お刺身の大きさに切ってしまわないようにしましょう。お酢焼けしてパサパサになってしまいます。

味のレポート

この大きさ(厚さ)のダツですと30分も付けておけば充分です。軽くキッチンペーパーでお酢を落とし、お刺身でいただきました。小骨まで軟らかくなっているので食べやすいのはもちろん、味は抜群の上品さでした。まるで「新子(コノシロの幼生)」のようです。次は絶対お寿司にします。※食べてから撮影するのを忘れていた事に気付きました。ごめんなさい。

コブシメのさばき方

冷凍庫から出して解凍する

アニサキス対策のために24時間以上冷凍庫に入れておいたコブシメを水に放して解凍します。ここで識者からは「さばいた後のイカを直接水に入れるなんて!」とお叱りを受けそうですが、kuma10は「ふふん」と鼻で笑います。イカとエビは直接水で戻しても味落ちはほとんど無いと断言致します。特にイカはこの後薄皮を剥いてしまうので、まったく水っぽくなりません。ちなみに販売用の冷凍イカを冷凍する場合、日本の規定では24時間以上ですが、アメリカでは48時間以上となっています。

薄皮を剥く

このひと手間をやらない釣り人のなんと多いことか。これをやるのとやらないのでは味に雲泥の差が出来ます。また冷凍を水で戻したこともこの手間で解消され、墨などで汚れた身もきれいになります。一石三鳥ですね。まず表の頭部に包丁を入れます。身の7割ほどに刃が入ったらひっくり返してそこを起点に薄皮を剥いていきます。

旨さ倍増!

ほらほらこんなにきれいな身が出てきました。一気にピッと剥いても良いのですが、失敗が怖いので、親指を身と皮の間に差し込むように丁寧に剥きます。これはコブシメだけでなくアオリイカでも同じです。これで美味しさ150%アップ(当社比)です。薄皮を剥かない(剥くことを知らない)で「このイカ硬い」とアゴを鍛えている方はぜひ剥いて下さい。どんなに細かく飾り包丁を入れてもこの柔らかさは出ませんよ。

もったいながらず両面剥く


ここまで剥いたら今度は皮の終わり手前に包丁を入れ、ひっくり返して表側の薄皮も剥いていきます。残った薄皮はキッチンペーパーなどで丁寧に処理しましょう。端の硬いところは包丁で落とし、剥いた皮(ちょっと身付き)と一緒にフライパンなどで炒めたら最高のおつまみになります。

飾り包丁を入れお刺身に切る

薄皮をきちんと剥いたイカは本来飾り包丁はいりません。そのままお好きな厚さでお刺身にすればいいのですが、ほんのちょっとの醤油とほんのちょっとのワサビで味を楽しむために私は飾り包丁を入れます。歯切れがよく(コブシメの解凍物はねっとりとしている)少しの醤油がお刺身全体に回り、舌で感じる味がぐんと引き締まります。よく噛んで食べる方は飾り包丁はいらないかもしれませんね。

絶対おすすめ!シメダツ!

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ダツは釣り人にとっては外道ですし、漁師さんにとっては仕掛けを壊すやっかいものです。また、漁獲があったからといって高値で取り引きされる物ではありません。ですから伝統的にダツを食べてきた南西諸島以南の食卓でもテーブルに乗せられるのは唐揚げか塩焼きばかり。あまり喜んでいただくたぐいの魚ではありません。ところがひと手間お酢でシメるだけでコノシロやシンコのような味わいが楽しめます。全国の釣り人に私は「シメダツ」をおすすめいたします。この記事が元で高級魚にならなければいいな、と心配するほどの旨さですよ!

釣ったお魚を美味しく食べたい方はこちらもチェック!

連載火曜日を担当させていただいております。海釣りを中心に釣り方や仕掛け、食べ方など、自分で経験したことのみ記事にさせていただいておりますので、偏った物言いになってしまうこともありますが、ライブ感をお伝えしたいと思っておりますのでご勘弁ください。釣って食べることに興味のある方は「暮らし~の」のサイトの中の記事を覗いてみてくださいね。