釣った魚はおいしく食べよう!
ああ、旨い寿司が食べたい。そんな時あなたならどうしますか。ええ、ええ、そうでしょう。お寿司屋さんに行きますよね。回るのも回らないのもきっと選び放題なのでしょう。ところが筆者の住む島にはお寿司屋さんがありません。ま、正確には郵便局以外には雑貨屋さんが1軒あるだけなんですが。つまりお寿司が食べたいとなったら自分で作るしかないのです。でも自分で釣った魚を自分で握っていただくお寿司は感動的に旨いのです。みなさんもぜひ、自宅寿司に挑戦してみて下さい(出前で良いなんて言わないで)。
寿司の握り方の前に道具のチェック
包丁の手入れ(コツ)
料理すべてに言えることなのですが、手入れの行き届いた道具は料理の腕を上げます。それはもう間違いありません。お寿司を握る前にまずは包丁の手入れをしましょう。包丁は別に高いものでなくて良いんです。手入れをすることで手に馴染みますから、それが一番良い包丁なんです。筆者の包丁は筆者が握るとなぜか黒く変色します。「日輪刀」と呼んでいます。はい、手入れをさぼっていました。刃を上に向けて目視した時に、黒い筋が一直線になるまで砥ぎましょう。白い点が刃に残っていたら、そこは「欠けて」います。包丁研ぎのコツです。
キッチン道具は常に清潔に
布巾やキッチンペーパーを用意して、まな板や包丁を常に拭けるようにしておきましょう。せっかく新鮮なお魚を用意してもキッチン用品が汚れていたら何にもなりませんからね。また包丁は砥いだ瞬間からサビ始めます。お魚の仕込みをするのに、一行程ごとに拭き取るクセを付けましょう。もちろん全行程が終わったらきちんと脱脂できるまで洗って水分を拭き取ってしまいましょう。ここで手を抜くと筆者の包丁のように黒くなったりしますから(反省)。
魚の捌き方
三枚おろしのコツ
今回はアジとサバのお寿司を作っていきますが、動画でアジの三枚おろしの仕方を確認して下さい。アジのゼイゴを曳く以外に基本的には同じです。コツは最初に背身に包丁の刃を入れる時に、「45度くらいの角度」を付けて刃を入れることです。ここはつい骨と平行に刃を入れたくなりますが、平行に入れてしまうと刃先が骨に当たらず身が厚く残ってしまいます。まずは角度を付けて刃先でしっかりと魚の骨を感じましょう。
味付けの前に一手間
アジもサバも三枚におろした半身をそのまま使いたいものです。ただ半身の真ん中に細かい「血合い骨」がありますので、それの処理をしなければなりません。魚体が大きければばっさりと血合いを落としてもいいのですが、今回使っているアジくらいですと一本一本丁寧に抜きましょう。その時に使うのが「骨抜き」という道具です。コツはまな板にピタリと置いた半身から「頭の方へ向かって」骨を抜いていきます。真上に抜くと「身割れ」を起こしやすいですよ。
味見は必要
江戸前の寿司は大体ネタに何かしらの仕事(下味付けなど)をしますが、新鮮な魚は素材のままでいただきたいですよね。ですから簡単な味見(つまみ食い)は必要です。切りつけのために落とした端の身などを少しいただき、「うん、これは炙ったりしない方が良いな」とか「あ、軽く塩をするか」などと家人に聞こえるような声でつぶやきましょう。つまみ食いを咎められる確率が減ります。
魚の仕込み①「しめ鯖」
塩で味付け即冷凍
三枚におろしたサバに軽く塩をし、10分くらい置いたら一度流水で塩を流し、水分を拭き取ったら再度軽く塩をします。ラップで包んだら即冷凍庫に保存しましょう。これはアニサキス対策で、最低24時間(アメリカの基準なら48時間)冷凍します。せっかくの新鮮なサバがもったいないと思いますが、寄生虫中毒はとんでもない激痛をともないます。サバに関しては「どうせ酢で締めるのだから」と割り切って冷凍されることをおすすめします。
お酢で締めたら皮を剥く
案外サバに皮があることを知らない方がおられると思います。それはご自宅でサバを食すときは塩焼きや味噌煮が多いので皮を曳く作業が無いからだと思います。自然解凍させたサバの柵を流水でさっと洗い、バットなどに移したら時間にして15分ほど皮を上にして「生酢」で締めます。キッチンペーパーを上に掛け、さらにラップを掛けておきましょう。取り出したらヒレ周りを落とし、頭の方から皮を剥いていきます。まな板にピタリと置き、手で押さえたら丁寧に剥がします。驚くほど簡単に剥けますよ。
しめ鯖の切りつけ
下処理の終わったサバの柵はまな板に皮目を下にして置きます。尻尾の端を切り落として削ぎ切りにしていきます。寿司一貫分の大きさにアタリを付けて削ぎ切りにしますが、初心者の方は1枚目は犠牲にするつもりで刃を入れて行きましょう。そこで大きい小さいを確認してから2枚目から切り分けて行きます。コツは包丁の刃を長く使うこと。根元から刃先までを使ってゆっくり引く感じです。そして切り離す寸前に包丁を立て、身を切り離します。これで角の立った旨そうな切りつけの完成です。
魚の仕込み②「アジ」
アジの切りつけ
アジは大きいものと小さいものとで切り付け方が変わります。豆アジならば半身で1貫もアリです。尻尾を落とし形を整えたら身の真ん中に切れ目を縦に入れるだけで切りつけ終了です。今回使った小アジくらいですと半身で2貫取ります。小アジで1匹から4貫のお寿司が取れる計算ですね。中アジですと6から8貫取れます。普段食べているお寿司がいかにお高いか分かりますよね(悪い笑い)。
切りつけのコツ
一仕事入れるならば血合い部分から背身に包丁を入れ、背身の厚い部分を開いて厚みを均等にします。皮側に飾り包丁を入れますが、コツは「切り分けてから」一枚一枚に包丁を入れて行きます。これを柵のまま入れるとたいがい失敗します。お刺身を切るのならばそれでいいのですが、お寿司の場合はその後「握る」作業が入りますので、握り方に合わせた飾り包丁を「丁寧に」入れましょう。
寿司飯を作る
酢飯の味付け
いつもより気持ち硬めにご飯を炊きます。ご飯一合で10貫から13貫ほど握れますから、二人前で二合のごはんが必要になります。「飯四合に酢一合」が基本になりますから、今回は五勺(90cc)の寿司酢を使います。砂糖や塩で酢に味付けをしなければなりませんが、今は簡単に酢飯の作れる「寿司酢」が売っています。この系統の製品は失敗がないのでおすすめですし、筆者もほとんど既製品に頼っています。
酢飯の仕上げ方
ご飯をバットに移し、お酢をまんべんなくかけていきます。ここでコツと言うか、注意を一つ。まずご飯は熱々のものを使うこと。そして「ご飯を混ぜない」こと。よく「酢飯は切るようにかき混ぜる」という話を聞きますね。これは「酢がまんべんなく米にまわってから」の作業です。まずは米一粒一粒にお酢がまわるように「起こして」行きます。全体に酢が回ったら手早く扇ぎながら(余分な酸っぱさを飛ばす意味もあります)米を切って下さい。
寿司の握り方
自分なりの握り方
基本のポジションを紹介しますが、これは自分の握り方に合わせて多少アレンジしても構いません。キッチンの造りも違いますしね。切りつけたネタを左に置き、飯台兼まな板の手前にワサビを置きます。右に酢飯を置き、手水(酢1:水1)を用意したらいよいよ握りに入ります。
握り方のコツ①
左手の親指と人差し指でネタをつまんだら、右手の指先で飯を取ります。手の平で転がしながら丸い「飯玉」を作り、右手の人差し指でワサビをネタの裏側に塗ったら飯玉をネタに押し付け形を整えます。コツは人差し指で飯を押し付けたら、ひっくり返し、親指と中指で脇を軽く押さえるといいでしょう。
握り方のコツ②
飯台に盛り付ける時に最後のコツがあります。初心者が寿司を握るとぎゅうぎゅう握ってしまいます。「それはおにぎりっ」と突っ込みたくなるくらい握ってしまいます。まず軽く握るのが基本ですが、飯台に置く前に親指の腹で「クッ」と軽く押してやると空気が入り、よりふわっとした寿司ができますよ。
寿司の完成
寿司の並べ方
寿司は飯台に対して直角に並べるより少し「ハス(斜め)」に並べると美味しそうに見えます。その理由は人類永遠の謎とされています(ウソ)。
最後の味付け
アジやイワシには最後の味付けがあります。中心を抜いて薄く輪切りにした白ネギを水に晒したものと、ショウガの擦ったものをトッピングします。これで全行程の終了です。
寿司は美味いじゃなくて「旨い」ですよね!
「美味し~い」「おいし~い」「美味い」「ウマイ」「うまい」など物の美味しさを表す言葉の表記はさまざまありますが、ことお寿司に関しては「旨い」がぴたりと嵌ります。魚へんに旨いと書いて「鮨」と読ませるくらいですから。ぜひご自分で釣ってきた(ないしは買ってきた)お魚でお寿司を作り、「旨っ」と唸ってみましょう。
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