燻製とは
スモークウッドやチップで香り付け
燻製とはスモークウッドやチップといった専用のアイテムを使って食材に煙の匂いをまとわせた食べ物です。本来は、保存食として食べていましたが、カツオのたたきのように特有の香りが付くことで、よりおいしくなることからお酒のあてとして大人気です。キャンプやバーベキューとも相性がよくアウトドアでは非常に人気があります。煙の匂いは使用するスモークウッドやチップによって異なり、使うスモークウッドなどを変えるだけで風味も異なりますよ。
メスティンでも燻製可能
大人気クッカー「メスティン」を使うと燻製も簡単にできます。本来燻製はスモーカー(燻製器)と呼ばれる専用のアイテム(装置)が必要です。またスモークウッドの場合は、熱源を使わなくてもいいためスモーカーがなくても段ボールを使って自作できますが、段ボールを加工しないといけません。メスティンなら注意点も多少ありますが、気軽に燻製が作れてスモーカーほど大きくないため持ち運びやすく、ソロキャンプでも気軽に燻製ができます。
メスティンとは
メスティンとは長方形のアルミクッカーのことです。いちばん有名なメスティンはトランギア社のものとなりますが、メスティン自体は100均のダイソー、山善(キャンパーズコレクション)、ニトリ(山善OEM)などからも発売されていますよ。メスティンだけで炊く、煮る、焼く、炒めるなどさまざまな調理方法ができ、バット(網)などを追加することで蒸し、燻製に対応することから非常に使い勝手がよく固形燃料とも相性がいいギアです。
メスティン燻製に必要なもの
バット・網
燻製をするために必要なものです。簡単にいうとスモークウッド、チップを置く場所、具材を置く場所を作るために必要なものとなります。メスティンの形状にフィットするものが理想ですが、蓋と本体の間に網を挟むだけでも大丈夫です。隙間があきますが、きっちりしまっていなくても煙は充満してくれますよ。風が強いときは隙間から風が入り、混ぜられ煙が抜けますが、煙は壁や蓋に当たると反射するため隙間からすぐに抜けることは少ないです。
ちょうどいいサイズのバットとは
ちょうどいいサイズのバットとしてトランギアのラージメスティンに合うものはダイソーの「角バット用水切り網18.8cm×12.1cm」、同じくトランギアの通常サイズ(型番:TR-210)に合うバットは本間冬治工業の「長バットアミ18型」が有名です。その他のメスティンはサイズがそれぞれ違うので焼き網を折り曲げて作ったり、自分で寸法を測って合うものを探してくださいね。
スモークウッド・チップ
スモークウッド、チップは煙を出すために必要な道具です。使うのはどちらか1つだけで大丈夫ですよ。スモークチップは熱源を必要とするため、固形燃料などが必須です。その分コスパもよくオリジナルブレンドなども作れて香りの違いを楽しめます。スモークウッドは線香のようなもので火は上がりませんが、スモークウッド自体がゆっくり燃えていくため熱源不要です。酸素がなくなると火が消えることからメスティンでは少し扱いにくいです。
具材・アルミホイル
燻製にしたい食材を用意しましょう。水分が少ないものが向いていますが、醤油やマヨネーズなども燻製可能です。アルミホイルはメスティンを汚さないようにするためにあると便利な道具です。メスティンをアルミホイルできれいに覆って燻製すると汚れが少なくなります。また、チップを使うときはお皿のようにして底に敷いてからチップを使いますよ。アルミホイルは他にも使いみちがありますが、コツとして後述しますね。
メスティン燻製の注意点
注意点1:火力を強くしすぎない
メスティンはアルミです。料理をするぐらいなら問題ありませんが、燻製は空焼きに近いため火力が強すぎるとアルミが溶けて穴があきます。シングルバーナーなどのガスで長時間燻製を作らないように注意しましょう。火力が弱めの固形燃料では穴があくことは少なめですが、同じように注意しましょう。また、固形燃料でも簡単に曲がるほど柔らかくなり変形する可能性もあります。メスティンで燻製をするときは火加減と変形が最大の注意点です。
注意点2:汚れと匂い
燻製をすると必ず汚れます。前述したようにアルミホイルで覆うと軽減できますが汚れますよ。また、特徴的な匂いのある木を使って燻(いぶ)すため、匂いも残ります。スモーカーなら燻製専用のためあまり気になりませんが、メスティンはクッカーのため匂いが気になる場合もあるでしょう。できるだけアルミホイルで覆ってきちんと処理してから作りましょう。
注意点3:スモークウッドの注意点
前述したようにスモークウッドは、スモークウッド自体が燃えているため完全に蓋を閉じてしまうと酸素がなくなり自然と消火されます。そのためスモークウッドを使うときは、蓋が完全に閉じないように本体と蓋の間に網などを挟んで置きましょう。丸めたアルミホイルでも大丈夫です。また隙間があっても煙により酸素が入りにくいとやはり消えてしまいますよ。空気が入るようにするというのは、スモークウッドならではの注意点です。
注意点4:バーナーパッドを使う
アルミの融解温度は約660度です。金属としては低い温度のため火力調整を失敗すると変形、穴が開くということです。シングルバーナーでも固形燃料でもメスティンで燻製を作るならバーナーパッドを使いましょう。バーナーパッドは、固形燃料やガスの炎が一点集中しないように拡散してくれるアイテムとなり、少しでも熱くなりすぎないようにして燻製を作ることで火力調整に失敗しても穴が開きにくくなりますよ。
メスティン燻製の作り方1:具材準備
コツ:水分が多いものは乾かす
燻製をおいしく作るコツは水分の管理です。内部の水分量まで管理するのは難しいですが、表面の水分は拭き取ったり、干したりすることで管理できますよ。燻製をするときは食材を少し乾かして表面の水分を飛ばしてからしたほうがおいしくなります。ナッツのように乾燥しているものは乾かす必要がありませんが、肉類、魚介類の表面は水分があるので乾かしましょう。特に下味で塩を振ると、どんどんと水分が浮かんでくるので注意してくださいね。
コツ:溶けやすいものは注意
チーズは高温になると溶け出してしまいます。メスティンはスモーカーと比べどうしても熱源に近いため溶け出しやすくなります。そのためメスティンで燻製をするときは直接チーズをバット、網の上に置かないようにしましょう。万が一溶けてもいいようにアルミホイルを網にしいてから、その上にチーズを乗せると少し溶けても大丈夫です。チーズを燻製するときのコツ(注意点)はクリームチーズなどの柔らかいチーズを使わないようにすることです。
生で食べるものは向かない
メスティンでの燻製は半生、生で食べる燻製には向きません。火加減を最小限にしても難しいです。スモークサーモンは焼き鮭の燻製になりますよ。注意点として覚えておいてくださいね。ベーコンなど生で食べないレシピがメインとなります。
メスティン燻製の作り方2:チップ・ウッド
メスティンの準備
食材を乾かしている間にメスティンをアルミホイルで包んでいきます。前述したように汚れと匂い防止のためです。隙間や穴が無いように内側をきれいに保護してくださいね。注意点としては重ねすぎて厚くならないようにしてください。厚くなると前述したちょうどいいサイズのバットでも入りにくくなりますよ。無理に入れるとアルミホイル穴が開き、結局汚れてしまいます。コツは薄くしっかり内側全体を包むことです。
スモークウッドの使い方
アルミホイルをしわくちゃにしたあと広げて、デコボコにしたアルミホイルを底に敷いてその上にトーチなどでしっかり火をつけたスモークウッドを置きましょう。あとはバットや網を入れてその上に準備した食材を置いていきましょう。スモークウッドはきちんと着火させないと自然に火が消える可能性があります。スモークウッドのコツは面全体を炙ってしっかり着火させることです。熱源を使わないためチップより温度が上がりにくいです。
スモークチップの使い方
アルミを敷いてから好きなチップを入れていきましょう。入れる量は特に決まっていませんが一握り程度が目安となります。あとはチップに火をつけるのではなくメスティンを固形燃料、アルコールストーブ、ガスなどにかけて煙が出てき始めたら食材をセットして蓋を閉めるだけです。ガスは火加減に注意してくださいね。火加減が強すぎると穴があいてしまいますよ。メスティンでの燻製のコツは短時間だけ燻すという方法になります。
メスティン燻製の作り方3:燻製完成
チップは短時間で作る
メスティンを使った燻製の作り方は短時間だけ燻すというのがコツです。短時間でできるレシピに向いていて、目安としては5~10分程度燻すだけとなります。チーズは溶け出すことを考えると3~4分にしてもいいでしょう。スモークウッドを使った場合は熱くなりにくいためもう少し長めにしても大丈夫ですが、それでもチーズが溶ける温度になります。スモークサーモンも同様に短時間がおすすめです。
スモークウッドも短時間がおすすめ
スモークウッドは1本(80g)で1時~1時間30分ほど持ちます。通常は燃え尽きるまで放置しますが、メスティンは火加減に注意しないとアルミのため変形しやすく、高さがないため具材にも火が通りやすいことから、短時間だけ燻すようにしましょう。本来はとは違う作り方のため注意してくださいね。
燻製の違いについて
燻製には高温で短時間だけ燻す熱燻、低温で長時間燻す冷燻、中温で少しだけ長く燻す温燻の3種類があります。大きなスモーカーでスモークウッドを使うと気温が低いときは冷燻もしやすくなりますが、難しいです。メスティンの場合小さいためスモークウッドでも温度が高くなりやすく熱燻、温燻に向いていますよ。チップだと熱源を使うことから熱燻となります。短時間で仕上げることで食材に水分が残り柔らかく、ジューシーにしあがりますよ。
チップ選びのコツ
癖のある具材は癖のあるチップを
スモークウッド、スモークチップにはさまざまな種類があります。代表的なものは桜、りんご、なら、くるみ、ヒッコリーです。木の種類によって煙の匂いが異なり具材によって合わないものもあります。燻製は作り方やレシピも大切ですが、チップの選び方も重要です。基本的にチーズや肉のように具材に癖がある場合は、香りの強い癖のあるチップを使うようにします。先程紹介したものの中では桜、ヒッコリーは癖があり、りんご、ならは癖が少ないです。
メスティンならチップがおすすめ
チップはメスティンに合っていて、なおかつ安価で100均でもてにはいります。また、火力が弱めでもしっかり煙でて使いやすいですよ。網はチップでもウッドでも必要になるため、特に理由がない場合はチップのほうがやりやすいでしょう。前述したように変形したり、穴があいたりする可能性が高いため火力は必ず弱めにしてバーナーパッドを使って均一に火が広がるようにしてくださいね。
おすすめレシピ1:肉類加工品の燻製
ベーコンやウィンナーの燻製の作り方
市販されているベーコン、ウィンナーを燻製してみましょう。すでに下味が付いているため買ってきたものをそのまま燻製するだけで非常においしくなりますよ。また、メスティンの燻製は熱燻となるためきちんと暖かくなりおいしいです。ベーコン、ハム、ウィンナー、ソーセージ、コンビーフなど味がきちんとついている肉類の加工品は手軽に燻製に加工でき、そのまま食べるよりも数倍おいしくなることからおすすめです。
コツ
チップの量は桜チップなどを一握りほどいれるだけで大丈夫です。熱で脂が溶け出してチップの上に落ちると煙が出なくなるため、チップの上にアルミホイルで傘を作っておきましょう。生肉を燻製する場合も同じです。チップやウッドを脂から守ってくださいね。また、火力は最弱にして長時間燻さないように注意してください。メスティン燻製は家でする場合でも外でする場合でも火力調整が重要ですよ。
おすすめレシピ2:燻製卵
お手軽くんたまの作り方
材料 (6個)
卵6個
●水150cc
●塩小さじ1
●醤油大さじ4
●みりん大さじ1
●白胡椒少々
市販の味付きのゆで卵、煮玉子をつかうと簡単に燻製卵が作れますよ。味付きを買うとアウトドアでも作りやすくなります。自分で味を付ける場合は、レシピを参考にしてゆで卵を作ったあと調味液に漬け込んだものを燻製にしていきましょう。調味液が表面についている状態で燻してしまうと味が落ちるため、必ず表面の水分をキッチンペーパーなどで拭き取ってから燻製にしてくださいね。市販のゆで卵も同じように水分は拭き取りましょう。
コツ
高い火力で長時間燻すと焦げやすいので注意してくださいね。特にメスティンは熱源と具材が近くにあるため温度があがりやすく特に火加減、燻す時間に注意が必要です。また、熱くなることから半熟くんたまはメスティンでは作りにくいです。
おすすめレシピ3:スモークチーズ
プロセスチーズの作り方
材料 ( 2 人分 )
プロセスチーズ(ブロック)150g
薫製用チップ(サクラ)ひとつかみ
砂糖ひとつまみ
チーズが溶けてもいいようにアルミホイルやクッキングシートを敷いて網に並べていきましょう。アルミホイルしいたメスティンにチップをセットして煙が出てきたら火力を最弱にしてからチーズを乗せた網をセットして、短時間だけ燻します。ザラメ(砂糖)は色付きをよくするためのアイテムです。チップの上にまぶしておくだけでいいので家にあれば使ってみましょう。味には影響しないと言われていますよ。
コツ
作り方は非常に簡単です。ただしレシピ通りつくると小さいメスティンでは、熱くなるのが早くチーズが溶けるので燻す時間を短くするなどの工夫が必要になります。水分量の少ない堅いチーズを使うことで初心者でもおいしく作りやすくなります。前述したように「短時間」が大事です。
おすすめレシピ4:スモークナッツ
スモークナッツの作り方
材料 (作りやすい分量)
ミックスナッツ
30gくらい
スモークチップ(桜)
1/2カップ
アルミホイルに数箇所穴をあけてナッツを広げます。メスティンにチップをいれ、煙が出てきたら網をセットして、ナッツを乗せたアルミホイルを置きましょう。あとは蓋をして短時間燻していくだけです。ナッツはすでに炒られていたり、揚げられているものを使うといいでしょう。乾燥している食材のため失敗することなく初心者でも簡単にできますよ。また、スモークウッドでもチップでも好きな方で作れます。
コツ
レシピの分量だとチップが多いため自分で加減するといいでしょう。中華鍋やスモーカーと比べると小さいためチップの量も減らしたほうがやりやすくなりますよ。製菓用に生ナッツもありますが、つまみとして市販されているナッツを使うと非常に簡単です。生は自分でローストすることで香りと香ばしさがでてきますが、手間がかかります。
おすすめレシピ5:たこの燻製
たこの燻製の作り方
材料 (2人)
たこ150g
めんつゆストレート適量
ほりにしスパイス好きな量
酒適量
たこはビールのつまみに大人気の燻製です。生だと下処理が面倒ですが、スーパーで売られている蒸したこ、茹でたこを買うと簡単に燻製にできますよ。作り方は下味をつけて寝かした後、しっかり表面の水分を拭き取り風通しのいい場所で乾燥させましょう。乾燥がきちんとできていないと煙と水分が混ざり合って味が悪くなります。乾燥が終わるとチップをメスティンにいれて、煙が出ったら網とタコを入れて蓋をして、短時間燻しましょう。
コツ
しっかり乾燥させましょう。家なら扇風機などで風をおこすとより乾きやすいです。アウトドアでは100均などで売られている電池式の小さな扇風機を使うなどの工夫をすると乾きやすくなります。レシピどおり作ってもいいですが、調味料に漬けこまず、塩コショウだけでも美味しくなりますよ。漬け込む時間が待てないという方は塩コショウだけで味付けもおすすめです。
メスティン燻製のまとめ
火力調整しながら短時間仕上げる
メスティンは一台でいろいろな調理方法ができる万能な「アルミ」クッカーです。いろいろな調理方法ができますが空焼きに近い状態となる燻製では強い火力のままだと一回の使用で穴が開くこともあります。メスティンで燻製を作るときはできる限り弱めの火力でバーナーパッドなどを使って底全体に均一に炎が広がるようにして燻製を楽しんでくださいね。いろいろな食材を美味しい燻製にしてくれますよ。
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