岩木山について
岩木山を簡単に説明すると
岩木山は円錐形の成層火山で、火山活動によってできた3つの峰に分かれています。弘前側から見ると右が巌鬼山(岩鬼山、標高1,470m)、左が鳥海山(標高1,502m)となっていますがこれらは火山活動による外輪山の一部で、中央が岩木山です。見る角度によっては文字通り漢字の「山」のように見えます。
その美しい円錐形の姿から「津軽富士」の別名を持ち、太宰治はその山容を「十二単を拡げたようで、透き通るくらいに嬋娟たる美女」と喩えています。
山頂には岩木山神社奥の宮があります
岩木山神社は約1200年前に岩木山山頂に社殿を造営したのが起源とされていて、現在は、百沢登山道入口から参道になっており、山麓に本殿・拝殿があります。毎年旧暦8月1日に行われる「お山参詣」は多くの人々が五穀豊穣を祈願し集団登拝しご来光を拝む津軽地方最大の農作祈願祭です。これは国の重要無形民俗文化財に指定されています。
山頂では岩木山神社奥の宮に参拝しましょう。
岩木山登山の魅力
魅力①山頂からの眺望
岩木山は独立峰ゆえ標高1,625mの山頂からの眺望は最高で、晴れた日には八甲田連峰や白神山地、さらには北海道まで見渡せる景色は圧巻です。その景色を独り占めした時、急坂を登り山頂までたどり着いた達成感は格別でしょう。地図を広げ風景と合わせてみるのも楽しいです。
魅力②岩木山固有種のミチノクコザクラ
ミチノクコザクラは紅紫色の花を咲かせる岩木山の固有種で、ハクサンコザクラの変種といわれます。花のシーズンは6~8月で、鳳鳴ヒュッテ下の種蒔苗代付近で咲いているのが見られ、花の百名山にも選ばれた岩木山のこのシーズンにはたくさんの高山植物が咲き、登山者にも人気です。
おすすめコース①8合目から登るコース
岩木山では標高1,247mの8合目まで有料の「津軽岩木山スカイライン」が開通していて車で行くことができます。歩行距離は1.7km、標高差は145mです。地図を見るとハイキング気分でよさそうですが、急登な岩場が待っていて驚かされるでしょう。8合目から1時間ほどで登頂でき、初心者でも簡単に登頂できるコースです。
8合目からの登山道の概要①
8合目スカイラインターミナルから出発です。もっとお手軽に登頂したい場合は登山道入口の所からさらに標高1,470mの9合目までリフトも運行されています。
8合目からの登山道の概要②
登山をスタートして9合目のリフト乗り場まではブナなどの樹林帯が続きます。眺望はありませんが、森林浴が楽しいです。リフト乗り場、鳥ノ海噴火口を過ぎると斜度もきつくなり、大きな岩がゴロゴロとした岩場になりますので、落石に注意し、濡れていると滑るので慎重に行動しましょう。岩場を登りきると岩木山山頂に出ます。8合目から山頂までの上り時間は1時間ほどです。
迷うような登山道ではありませんが、分かりにくいところがあったら地図で確認しましょう。
リフトについて
リフトは毎週水曜日定休日になっていますので、ご利用の際はご注意ください。
料金は、大人往復1,000円(片道700円)、高校生・中学生800円(片道550円)、小学生600円(片道450円)です。詳細は津軽岩木スカイラインのホームページをご確認ください。
おすすめのシーズン
8合目からの登山に適しているシーズンは4月下旬~10月下旬。春は新緑の登山が気持ち良いシーズンです。6~8月はたくさんの高山植物が花を咲かせているのがみられ、9月中旬~11月上旬は紅葉のシーズンとなり登山客を楽しませてくれます。
※津軽岩木山スカイラインは11月上旬から冬季閉鎖となり、8合目からの登山はできなくなります。津軽岩木スカイラインのホームページをご確認ください。
装備・服装
上り1時間程度の登山といっても急登な岩場を登るので、靴は靴底が厚く、滑りにくい登山に適しているものを履き、服装も動きやすいものにしましょう。天候の急変などもあるので、雨具や登山に必要な地図・飲料水は携行してください。9月下旬ごろからは標高が高くなると寒さを感じることもあるので、防寒具も必要です。
おすすめコース②嶽(だけ)登山道
嶽登山道は初心者向きのコースで、よく学校の登山にも使われる一般的なコースとなります。歩行距離は11.5km、標高差は1,175mです。
嶽登山道の概要①
嶽温泉郷脇にある赤い鳥居が登山道入口となります。ここに入山届ポストもありますので山行届を出しましょう。山頂までの時間は4時間ほどです。
スタートし湯の沢分岐を過ぎ、しばらくブナ林の中を歩きます。時々地図を確認しながら進みましょう。巨木の森分岐を過ぎるとだんだんと急坂になってきますので、最初はオーバーペースにならないように注意が必要です。スカイライン8合目ターミナルが見えてくるとブナ林も低くなり眺望が良くなります。スカイライン8合目ターミナルにはトイレや水がありますので、休憩をとりましょう。
嶽登山道の概要②
スカイライン8合目ターミナルから山頂までは1時間ほどです。9合目のリフト乗り場まではブナなどの樹林帯が続きます。リフト乗り場を過ぎると鳥ノ海噴火口、鳳鳴ヒュッテがあり、ここで百沢登山道と合流。ここから上は大きな岩がゴロゴロする岩場の急登になるので、落石に注意し、慎重に行動しましょう。岩場を登りきると岩木山山頂に出ます。
迷うような登山道ではありませんが、分かりにくいところがあったら地図で確認しましょう。
おすすめのシーズン
嶽登山道の登山に適しているシーズンは4月下旬~10月下旬です。春は新緑の登山のシーズン。6~8月は沢山の高山植物が花を咲かせているのがみられるのと、9月中旬~11月上旬は紅葉のシーズンとなり紅葉が楽しめます。
11月に入ると冬山登山の積雪期ですが、初心者の冬山登山は危険ですので、初心者のみでの登山は避けるべきです。
装備・服装
基本的な夏山登山の装備・服装が必要です。道迷い防止のため、地図・コンパスは携行します。その他、熊鈴、天気予報で雨が降らない予報でも雨具は持ちましょう。9月下旬ごろからは標高が高いところでは寒さを感じる時もあるので、防寒具も必要です。
おすすめコース③百沢(ひゃくざわ)登山道
百沢登山道は、中・上級者向きなコースです。高山植物もたくさん見ることができ、見どころも多く、岩木山で最も人気のあるコースとなります。初心者は上級者の方のサポートと体力に自信がついてきたら挑戦してみましょう。歩行距離は12.5km、標高差は1,445mです。
百沢登山道の概要①
岩木山神社の境内、拝殿に向かって左側に「岩木山神社奥宮登拝口」と書かれた石碑があります。ここが登山道入口です。階段を下りてすぐに入山届ポストがありますので、入山届を出して出発します。
桜林公園、百沢スキー場沿いの砂利道を抜けて、ここより本格的な登山道です。時々地図を確認しながら進みましょう。杉林、ダケカンバの林が続き傾斜もきつくなってきますが登山道はよく整備されていて歩きやすいです。しめ縄が飾られた姥石を過ぎ、またしばらく歩くと焼止小屋に到着となります。
百沢登山道の概要②
焼止小屋を過ぎると沢の近くの登山道を歩く感じになります。焼止小屋より上に行くと大沢に入り、大沢は6~7月でも残雪が多く、アイゼンなどが必要です。初心者は上級者の同行が必要となります。坊主ころばしといわれる急登も長く続くので、慎重に行動してください。また、登山道も分かりにくくなっていると思いますので、地図をこまめに確認しましょう。
百沢登山道の概要③
急登を抜けると沢音と水音が聞こえてきます。岩木山唯一の湧水、真夏でもかれることのない錫杖清水の音です。さらに登ると直径20メートルほどの小さな池がある種蒔苗代に出ます。大沢からこの付近では6~8月まで岩木山の固有種であるミチノクコザクラが咲いているのが見られ、このコースの見所といえるでしょう。さらに急坂を登ると鳳鳴ヒュッテに到着です。ここで嶽登山道と合流します。分かりにくい場合は地図を確認しましょう。
さらに急登が続き、大きな岩がゴロゴロとした岩場になります。岩場を登りきると岩木山山頂です。
おすすめのシーズン
百沢登山道のおすすめのシーズンは、6月~10月下旬。6~8月まではミチノクコザクラなどの高山植物がたくさん咲いているのが見られ、9月中旬~11月上旬は紅葉のシーズンとなり紅葉が楽しめます。
11月に入ると冬山登山の積雪期となります。百沢登山道は冬山登山のコースとしても人気ですが、初心者の冬山登山は危険ですので、初心者のみでの登山は避けるべきです。
装備・服装
基本的な夏山登山の装備・服装が必要です。道迷い防止のため、地図・コンパスは携行します。その他、熊鈴、天気予報で雨が降らない予報でも雨具は持ちましょう。9月下旬ごろからは標高が高いところでは寒さを感じる時もありますので、防寒具も必要です。
このコースは、6~7月は焼止小屋より上の大沢では残雪が多いのでアイゼンなどの装備と上級者のサポートが必要となります。
登山コースの補足
津軽岩木山スカイラインの利用
嶽登山道から山頂まで登り、8合目ターミナルからシャトルバスを利用して嶽温泉郷へ下山をするというのも最近人気があります。体力や天候の急変、時間的になどを見てシャトルバスの利用を考えても良いでしょう。
登り下り別ルートもおすすめです
百沢登山道を登り、嶽登山道を下るというルート(またはその逆ルート)もおすすめです。地図をよく確認しながら下山しましょう。その際は、それぞれの登山口間の距離が約8kmあるので、路線バスを利用することになりますので(岩木山神社前バス停-岳温泉バス停)、バスの時刻表の確認が必要です。ただし、バスの時間を気にしすぎて焦ると事故やケガの原因となりますので、無理な計画はたてないようにしましょう。
各登山道入口へのアクセス
バスご利用の方
公共交通機関を利用する場合は、弘前駅が基点となり、路線バスを利用します。弘前駅からバスに乗る際、徒歩5分のところにある弘前駅バスターミナルが始発、弘前駅経由となりますので、そちらから乗車してもよいでしょう。本数は1~2時間に1本とそれほど多くなく、シーズンによっても異なるので、弘南バス株式会社のホームページを確認してください。
8合目登山口
弘前駅バスターミナルから路線バス(弘前~枯木平線)、所要時間約50分で岳温泉にて下車、シャトルバスに乗換えて所要時間約30分で岩木山八合目ターミナルへ到着します。
往復でお得なチケットも販売されていますので、弘南バス株式会社のホームページを確認してください。
嶽登山道コース
弘前バスターミナルから路線バス(弘前~枯木平線)、岳温泉にて下車します。所要時間約50分です。
百沢登山道コース
弘前バスターミナルから路線バス(弘前~枯木平線)、岩木山神社前にて下車します。所要時間約40分です。
お車ご利用の方
八合目登山口
東北自動車道を利用し、大鰐弘前I.C.へ。大鰐弘前I.C.からアップルロードを経由し津軽岩木山スカイラインを利用し約43kmで岩木山八合目ターミナルへ到着します。岩木山スカイラインは急なカーブを96個登りますので、運転には気を付けてください。
津軽岩木山スカイラインの通行期間は4月中旬から11月中旬。ゲートは8:00~16:00の間で解放され、17:00以降は道路は閉鎖されます。有料となっており、料金(往復)は小型・普通自動車が1,830円です。JAF会員割引もありますので、確認してください。駐車料金は有料道路代に含まれています。
嶽温泉登山道コース
東北自動車道を利用し、大鰐弘前I.C.へ。大鰐弘前I.C.からアップルロードを経由し、約30kmで嶽温泉駐車場へ到着します。
駐車場は、嶽温泉駐車場か嶽温泉登山口駐車場を利用。どちらも無料です。
百沢登山道コース
東北自動車道を利用し、大鰐弘前I.C.へ。大鰐弘前I.C.からアップルロードを経由し、約26kmで岩木山神社へ到着です。
駐車場は、岩木山神社から数百メートル鰺ヶ沢方面にある百沢駐車場か岩木山神社駐車場を利用します。岩木山神社駐車場は参拝者優先となりますので、混雑しているときは百沢駐車場へ停めた方がいいです。どちらも無料となっています。
下山後におすすめな温泉
岩木山登山口周辺には温泉郷があり魅力的な温泉がありますのでご紹介します。下山後ゆっくりと登山の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。日帰り温泉は時間が限られますので、確認をしてください。
①アソベの森いわき荘
百沢登山道入口付近の百沢温泉郷にあり、岩木山神社鳥居前から約1.2kmです。広々とした青森ひばの大浴場と天然岩の露天風呂に癒されます。
アソベの森いわき荘の基本情報
アソベの森いわき荘
- 住所〒036-1343
青森県弘前市大字百沢字寺沢28-29 - 電話番号0172-83-2215
- 公式サイトURLhttp://www.iwakisou.or.jp/hotspring/index.html
②山のホテル
嶽温泉登山道入口がある嶽温泉郷にあります。少し狭い温泉ですが、硫黄の匂いが濃い泉質は上がった後も体がぽかぽかです。同施設、食事処のまたぎ飯もおすすめ。
山のホテルの基本情報
山のホテル
- 住所〒036-1345
青森県弘前市大字常盤野字湯ノ沢19 - 電話番号0172-83-2329
- 公式サイトURLhttp://www.yamanohotel.com/
③縄文人の宿
嶽登山道入口がある嶽温泉郷にあります。こじんまりとした温泉宿で、宿泊すると囲炉裏を囲んでのダイナミックな炭火料理が魅力です。
縄文人の宿の基本情報
縄文人の宿
- 住所〒036-1345
青森県弘前市大字常盤野字湯の沢14 - 電話番号0172-83-2123
- 公式サイトURLhttp://www.dake-onsen.com/jomon/jomon.html
岩木山登山のまとめ
岩木山は春から夏にかけては新緑の中を歩き、高山植物を散策しながらの登山、秋には紅葉を楽しみながらの登山が初心者から楽しめます。下山後も、温泉や弘前市観光、白神山地の「暗門の滝」トレッキングなど楽しみも色々です。また、山麓は春には桜の名所、岩木山スカイラインでは自転車のヒルクライム、冬には百沢スキー場でスキーなどオールシーズンで楽しめます。
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