【連載】釣って食べるシリーズ第17弾!勇者kuma10ついにあの魚を!

【連載】釣って食べるシリーズ第17弾!勇者kuma10ついにあの魚を!

先に答えを言ってしまうと、今回さばいていくお魚は「イスズミ」です。私の田舎ではこいつは絶対に口にしません。なんせ臭い、いや、臭すぎるからです。しかし全国的には食す地域もあるようで、熟成させればまあまあイケるとの報告もあります。今回は熟成イスズミの食べ方です。

記事の目次

  1. 1.イスズミってどんな魚?
  2. 2.今回の釣行記
  3. 3.熟成イスズミの作り方①「外でさばく」
  4. 4.熟成イスズミの作り方②「水分抜き」
  5. 5.熟成イスズミの作り方③「低温熟成」
  6. 6.熟成イスズミの作り方④「お刺身にしていく」
  7. 7.熟成イスズミ食後レポート

イスズミってどんな魚?

現在住んでいる場所では「マルガラ」と呼ばれています。ガラは南方系アジの総称なので、昔は丸いアジに見えたんでしょうね。他に地方によっては「ウンコタレ」「ババタレ」などとも呼ばれています。これは釣り上げるとほぼ例外なく肛門から茶色い臭いやつをぶりまくからです。それだけでも充分嫌われる理由になると思いますが、実際に全体的に臭みがスゴイんです。どんな食べ方も受け付けません。メジナやチヌのフカセ釣りの外道としてよく見かけますが、何となく姿が似ているのが腹立たしい魚です。

今回の釣行記

新月の大潮前の中潮

新月の大潮に向かって潮位の上がり始める若潮から中潮になる10月12日(月)の深夜。日付は変わって13日。干潮からの上げ2分。深夜2時ころ出撃。一旦足場の良いフェリー桟橋に向かうが、やはり潮が低くて釣りにならない。家の近くのいつもの桟橋にUターン。この桟橋は実は「浮桟橋」で、満潮だろうが干潮だろうが桟橋と海面の高さはいつも同じ。自作の2メートルのタモが充分届く。常夜灯があるのでいつでも釣りになるが、屋根と柱がうっとうしい。

夜間桟橋アジング

常夜灯の下で第一投。ロッドはエギングロッド。ばしゃばしゃしていないので魚食魚が近くにいる感じは無し。なので2gのアジングヘッドをゆっくりとディープに落としていく。フエダイやオオモンハタが喰ってくれば儲けもののつもりでスローリトリーブ。するといきなり強い当たり。チヌか、と思ったらイスズミ。リリースしようと針を外していると好奇心キラキラの目で嫁が「食べたい」とのたまった。ああ、食わせてやるさ。どうなっても知らねぇぞ。

熟成イスズミの作り方①「外でさばく」

まずは下処理

う、もう臭い。きちんと血抜きをしたつもりでも何の処理もせずに冷蔵庫に入れておいたらまた血が出てきました。これが(何となく)臭い。ああ、先が思いやられる。実はこの記事を書いている時はまだこのイスズミを食しておりません。ここまで書いて「臭くて食べられませんでした」はイヤだなぁ。どんな食べ方だったら臭くないんだろう。何とかなってくれと祈りながら下処理をします。

カヌーの腹がキッチン

本当は釣り上げた時にすぐに内臓処理をしなければいけなかったのですが、切れる刃物が無かったために翌日の作業となりました。切れない刃物でやると内臓を傷付けてしまい臭みが全身に回っちゃいますからね。で、まさか臭いと口コミ件数ナンバーワンの魚を家の中でさばく気にもなれず、外作業となりました。キッチンは愛艇カナディアンカヌーの腹。シャワーヘッドの付いた水道ホースを近くに待機させての作業となりました。

内臓を抜いてよーく洗う

ウロコ剥ぎで丁寧にウロコを剥いだら内臓とエラを抜きます。とにかくこいつは内臓がでかくて臭いので、破らないようにハサミや包丁を駆使して処理して行きます。うむ、この内臓の形、見たことあるぞ。何となく「アイゴ」の「渦巻き内臓」に似た大量の内臓が出てきました。アイゴの内臓もたいがい臭いのですが、あれを焼いて食べる地域もあると聞きます。それを考えるとイスズミの刺身なんぞ何するものぞ。

熟成イスズミの作り方②「水分抜き」

キッチンペーパーを大量に

包丁の刃を立てて皮表面をこそげるように掃除したら、お腹の中をよーく掃除していきます。身のしっかりした魚なのでかなりガシガシと洗っていきます。ここできちんと掃除ができているかどうかで、美味い不味いが決まる(たぶん)はずですので丁寧にやっていきます。表面と内部の水分を拭き取ったらお腹の中にキッチンペーパーを大量に詰めていきます。

ラップで包む

お腹の中にぱんぱんにキッチンペーパーを詰めたら、魚体全体もキッチンペーパーで覆ってしまいます。全て覆われたらラップでぐるぐる巻きにしていきます。寝かしている間に温度差ができるといけないので均一に巻いていきます。ここまでやって不味いものができたらどうしようなどと弱気になりながら黙々と巻いていきます。

熟成イスズミの作り方③「低温熟成」

魚の熟成について

魚を熟成させると旨くなるというのは最近の常識で、昔は魚は獲れたて新鮮なものが美味いと言われていました。イケスから取り出してそのままお刺身にして出す手法ですね。その後「浜締め」という手法を使うと美味い刺身になると言われ、現在は熟成させることによって魚のタンパク質をアミノ酸分解させると旨味が上がることが分かりました。ただしタンパク質が分解されるので食感は柔らかくなります。もちろんやっていい魚と悪い魚はあるので気を付けなければなりません。

冷蔵庫のパーシャル機能をつかう

一番良い熟成のさせ方は氷漬け(約0度を保つ)らしいのですが、家庭では毎日クーラーボックスの氷の管理などなかなかできませんので冷蔵庫のパーシャル機能を使います。通常2~3日の熟成期間をもうけますが、毎日キッチンペーパーは取り換えるようにします。魚の生臭さは水分にありますから、水抜きがきちんとできるように管理します。美味いも不味いも臭いも臭くないもこの管理で決まります。

熟成イスズミの作り方④「お刺身にしていく」

いよいよさばきです

魚の熟成は通常2日くらい寝かせて行われますが、コイツに関しては4日寝かせました。白状するとどうしても口にしたくなかったので、そのまま忘却の彼方に閉じ込めてしまう気が半分はありましたから取り出すのが遅れたのもあります。表面を触ってみると指をパンと弾く弾力。文化干しの一歩手前ほどまで水分が抜けているのがわかります。恐る恐るペーパーを剥いで臭いを嗅いでみるとほのかな磯の香しかしませんでした。

ん?あんまり臭くないぞ

いよいよさばきに入りますが、まずは三枚おろし。食べてはいけない臭いがするのではと身構えましたが、逆に魚特有の美味そうな香りが漂います。おや、これは案外イケルかも。身をぐっと押してみると整った繊維がきちんと指を押し返します。4日では腐らないことが確認できました。

怖いから腹骨は大きめに取る

ここまで一番のネックだった臭いに関してはオールクリアと言っても良いでしょう。しかし敵の攻撃が身を口に入れてから過激になる場合も想定しておかなければなりません。普段ならなるべく薄く腹骨を漉(す)くのですが、ここは大きめに漉きます。何と言ってもあの巨大クサクサ内臓をホールドしていた部分なのですから。血合い骨も血合いを少し贅沢に切り取って外しました。

皮を曳く

血合いを外して五枚に柵が取れたら皮を曳いていきます。イスズミの食べ方のオーソドックスなものに「焼霜造り」や「煮付け」がありますが、色々な方のブログなど拝見しても「臭い」「不味い」しか感想が載っていませんでした。このことから実は皮が臭みの一番の原因なのではと疑っておりましたから、今回は皮をすべて曳いてのお刺身にしていきます。実際にマツカサなども刺身では美味しいのに煮付けると不快な臭いがします。臭い魚には火を入れずに勝負した方が良さそうな気がします。

とてもきれいな身

きれいな柵がとれました。イヤな臭いはありません。あとはお刺身に切るだけなのですが、ここまで手間を掛けたのですから「臭い上等!」と厚めの削ぎ切りにしました。保険に実食前日に釣れたギンガメアジのお刺身も添えて一皿としました。いよいよ実食です!

熟成イスズミ食後レポート

ワサビを溶かした醤油をたっぷりと付けて、こわごわ口に運びます。う、美味い!なんだこの旨味は。臭さなど皆無。モチモチの食感からあふれ出る旨味。強いて例えるならば「寝かせたワラサ」のような味。嫁の「お寿司でもイケたんじゃない」の言葉が美味さを現しています。画像手前にちょっと見えているのはキムチです。臭かったらこれでごまかすつもりで用意しましたが、まったく必要無し。次回からイスズミが釣れたら絶対に捨てないと誓いました。熟成調理、ぜひ皆さんも試してみて下さい。

【火曜連載】が気になった方はこちらもチェック!

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kuma10
ライター

kuma10

神奈川県の三浦市で漁師の家に産まれ、その後生鮮魚介類問屋として魚に関わる仕事を続けてきたおかげで魚に関しては誰にも負けない知識があります。アウトドア好きが高じて離島に移住して20数年。釣りとカヌーとバイクが好きな不良オヤジです。


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