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【連載】釣って食べるシリーズ第15弾!旬の魚を贅沢にいただく!

「旬の魚は旨い」あながち間違いではありませんが、完全に同意することはできません。それは釣り方や食べ方、または旬の意味の勘違いなどからも起こります。今回は南の島で今旬を迎えている魚の釣り方や食べ方の他に、「旬」の意味を今一度深く掘り下げてみたいと思います。
更新: 2021年1月4日
kuma10
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旬ってなんだろう?

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よく「今この魚は旬だから」などと耳にします。しかし旬には色々な意味があり、勘違いされる方もけっこうおられます。では「旬」の定義とは一体なんでしょう。調べてみると「たくさん収獲できる時期」「出回る時期(ハシリ)」「そのものが美味しくなる時期」の3つほどの意味が出てきます。これは野菜でも魚でも一緒なのですが、トマトやキャベツが店頭に並んでいない時期は無いですし、養殖のタイなどが普通に出回り、最近では「旬」の意味があやふやになっていますね。

今回の獲物

特殊な釣り方のウブス

ウブス(スマカツオ)に関しては前回の【釣って食べるシリーズ第14弾】を参考にして頂ければありがたいですが、秋口に群れで入って来る小型のものは遊漁船などで複数針の付いた仕掛けで簡単なトローリングのような釣り方で数釣りをします。これは収穫量の多い旬の釣り方と言えるでしょう。また初春から夏の産卵期前は地磯などからフカセ釣りで狙います。これは大型の物ですと3㎏ほどになり、味の旬をむかえたスマカツオの釣り方になります。

群れで行動するヤマトベ

画像左下の黄色い魚は「ヤマトベ」です。島でヤマトベと呼ばれるこの魚は本名を「ヨスジフエダイ」といいます。これも群れで行動するため釣れる時はかたまって釣れます。フエダイ科の魚は総じておいしいのですが、このヤマトベの美味さは別格です。少し大きくなればお刺身でもイケますが、ちょっと甘めの煮付けにしたらとろける美味さです。今回は「贅沢に」使っていきます。

旬の魚の釣り方

旬の意味で釣り方(獲り方)が変わる


たくさん獲れるという意味での「旬」であれば待ち網や底引き網などで大量に水揚げするのが手っ取り早いのですが、美味しいという意味での「旬」を迎えた魚はできれば一匹づつ丁寧に釣り上げたいものです。また、網などで大量に捕獲したものは網の中で死ぬことが多く、味は落ちます。網を持ち上げる時に下になっている魚はつぶれますし、網の掛け初めに網にかかった魚は何時間もそのままの状態で待たなくてはなりません。手釣りしたものの利点はその場で締めて血抜きなど、美味しさを損なわない処理ができます。

今回の釣り方はアジング

今回使うウブス(スマガツオ)は実はご近所さんからいただいたものです。この方もkuma10同様関東からの移住者で、魚の扱いは関東風です。サバを新鮮なまま持ち帰る「首折り」をしていますね。これでウブス(サバ科)は格段に旨くなります。その他の魚は丁寧に一匹づつ「アジング」で仕留めました。黄色いのがヨスジフエダイ、赤いのがマツカサダイです。首折りの利点は「締める」と「血抜き」が同時にできるところです。手早く美味しくする技術ですね。

旬の魚の贅沢な食べ方①「フライ」

あえて熱を加える食べ方

まずはメインディッシュから。メインディッシュは「ウブス(スマガツオ)フライ」に決定いたしました。お刺身やヅケ(漬け)のような生食向きの魚をあえてフライにするという贅沢(暴挙とも)をさせていただきました。小麦粉と天ぷら粉を1対1で混ぜたバッター液にくぐらせて、荒目のパン粉を付けて170°の油でカリッと揚げました。付け合せはフライの定番キャベツの千切りです。カットライムを添えて。

う~ん、いまいちかな

うん、味は悪くはない。でも思っていたほど美味しくはありませんでした。口に入れた瞬間に「ふわっとじゅわっと」を堪能できると思ったら「ぐしっとがつっと」きました。まるで小サバのフライを食べているようでした。もちろん不味くはないのですが、生食で感じる旨味がフライ衣に消されてしまったようです。旬の時期に獲れ過ぎてお刺身に飽きたらまたやるかも、くらいの味でした。

旬の魚の贅沢な食べ方②「味噌汁」


一椀一匹の贅沢な食べ方

ヤマトベ(ヨスジフエダイ)もまた生食で美味しいお魚です。火を通すとふわふわほろほろあまあまになる身は、濃いめの煮付けの味にもよく合います。しかぁし、今回は「贅沢に」使うのがコンセプトですので、あえて「味噌汁」にしちゃいます。魚+魚になるといけないので、出汁は顆粒コブダシを少しだけ使いました。一度沸かしてから冷まし、食事の前にもう一度沸かす「ダブル沸かし製法」で作りました。このひと手間で驚くほどダシが出ますよ。

沁みる美味さ!

日中のサビキ釣りなどで数釣りできるヤマトベ(ヨスジフエダイ)ですが、アジングで釣れることはまれです。今回一匹目が釣れた時点で「味噌汁案」が浮上しましたので、2匹だけ釣って納竿するよう漁獲調整しました。ええ、あくまでも資源保護のための漁獲量制限です。釣れなかったワケではありません。味噌汁の味は「もう最高!」でした。カサゴの味噌汁が大好きなのですが、出汁はそれ以上に出て、優しく甘く深い味わいでした。

もちろん生の食べ方も

さすがに二人暮らしの我が家でウブス三匹のフライは多いので、お刺身も作りました。「釣って食べるシリーズ第14弾」の時のウブスは氷締めだけでしたが、今回のウブスは首折り締めでした。結論から言うと「首折り」の方が数段上の美味さでした。前回は脂乗りが悪いこともあってヅケにしましたが、今回のお刺身の方が臭みは少なかったと思います。サバ科のお魚全般に言えることですが、お醤油にはワサビのほかにショウガを少し溶かすとさらに美味しくなりますよ。

旬の魚の贅沢な食べ方③「白焼き」

皮ごと焼いて皮は外す

「たしか今回の獲物の中に赤い魚があったはずだが料理画像に映っていないじゃないか」と見破った方、さすがです。でも料理しなかったワケではありません。赤い魚は「マツカサ」で、丁寧にお刺身にすればとても美味しい魚なのですが、皮にクセがあるために焼き魚や煮魚では処理が大変です。そこを今回は皮ごと焼いて、焼けた皮を剥いで中の白身だけ食すという超贅沢喰いにしました。味付けは一切無し。素材の旨味を楽しみましょう。


食べたのはこいつ

皮を丁寧に剥いで(焼くとぶ厚い皮がツルリと剥ける)美しい白身にしたら、指で小骨を抜きながらほぐします。それを猫用小皿にのせたらできあがりです。当家には二頭(あくまでも頭、匹ではない)の猫様がいて、10㎏のわがままボディを持つ「かすり」君がマツカサが大好きなんです。あまり一度に大量に食べさせてもいけないので、一度に半身づつ与えます。この画像はペロリと平らげたあと、おかわりを要求している様子です。誰がやるか!

旬の意味を見極めて食材に合った食べ方をしよう!

初めに述べた通り「旬」には幾つかの意味が含まれます。たくさん獲れるという意味だけの旬であれば、きっとお値段も手ごろでしょうし、いろいろな料理を作って楽しみましょう。春の初ガツオなどはその代表ですよね(カツオは秋の戻りの方が脂乗りが良い)。また旨いという意味の旬にかかった魚を贅沢にいただくのも一興でしょう。もちろん美味くてたくさん獲れる旬(秋のサンマなど)もあります。それぞれ旬の意味を理解したうえで楽しい食卓作りをしましょう!

お魚料理が気になった方はこちらもチェック!

「暮らし~の」でかなり自由に個人的な釣りと料理の記事を書かせていただいております。「釣った魚は責任を持って食す」のがモットーなのですが、逆に釣れないと記事が進まないというギリギリのギャンブルのような物書きです。今回の記事に関連して魚の基本的なさばき方や道具の手入れなども記事にしております。合わせてお読みいただければ幸いです。