ロードバイクを塗装してみよう
ロードバイクをはじめ、自転車の塗装は劣化する
自転車のフレームに施されている塗装は、見た目をよくするだけでなく車体を保護する役割も担っています。しかし問題は、雨風などが次第にそれを剥がしてしまうことです。フレームの塗装が剥がれることは金属素材だとサビを、カーボン素材だと最悪の場合破断を招きます。
塗装が剥げてしまったらカスタムペイントに挑戦
塗装が落ちるのは仕方ないことではありますが、そのまま放置するのはよくありません。塗り直すことで見栄えをよくし、防サビ・防水・防汚性能の向上を目指しましょう。ロードバイクは分解の仕方がわかりやすいため、DIYでカスタムペイントするのもアリです。
そこで今回は、DIYでフレームをすべて塗装するオールペイント(以下オールペン)の仕方を紹介していきます。カッティングシートを使って模様・ロゴをつける方法も紹介するので、あわせて見ていきましょう。
ロードバイクの塗装にかかる費用
ロードバイクの塗装にかかる費用①専門業者に頼む場合
専門業者に頼んだ場合、フレームの形・デザイン・技法・塗料など、条件によって異なるものの少なくとも数万円は払うことになります。場合によっては10万円以上することも。また分解費や組み立て料が別途必要なことも多いので気を付けましょう。
ロードバイクの塗装にかかる費用②DIYでやる場合
DIYを選ぶ場合、塗料などの購入費用で1万円~数万円ほどかかります。一見すると業者に頼むより安いように思えますが、手間と時間がかかるため一概にそうとも言えません。経験が浅い人にとっては上手く仕上げられるかどうかも不安材料です。これらのことをふまえて業者に頼むかDIYでカスタムペイントするか、よく検討しましょう。
ロードバイクの塗装にかかる時間
ロードバイクの塗装にかかる時間①専門業者に頼む場合
カスタムペイントを専門業者に頼んだ場合、塗装完了まで数か月かかることもあります。知識と経験豊かなプロに見てもらうには、費用と時間を要するようですね。そのぶん見た目の美しさや調整による安全性などの面で、安心して任せられるでしょう。
ロードバイクの塗装にかかる時間②DIYでやる場合
塗装を剥がしてのDIYの場合、剥離1日・下地1日・塗装1日・仕上げ1日、さらに乾燥時間も考慮すれば最短でも4日はかかります。慎重に作業を進めればそれ以上、具体的には1週間以上かかることも珍しくありません。
きちんと乾燥させないまま次に進めばそれまでの努力が台無しになってしまいます。そうならないよう作業時間をたっぷり確保しましょう。オールペンなら乾かす部分も多いのでなおさらです。
ロードバイクの塗装に必要な道具
脱脂剤
フレームについたオイルなどの油脂分を落としてくれます。余計な油脂分がついたままだと塗料のノリが悪くなるので、欠かせないアイテムといえるでしょう。比較的手軽に扱えるシートタイプの製品もあるので、自分に合うものを選んでください。
剥離剤
もともとの塗膜を剥がしたいときに使用します。といっても剥離剤を使えるのはアルミなど金属素材のフレームであり、カーボン素材は対象外なので注意しておきましょう。塗装剥がしに使うだけあって強力で危険な薬品なので、使用するときは防毒マスク・ゴム手袋・保護メガネを絶対に忘れないでください。
ワイヤーブラシ
その名の通りアルミやステンレスなどの金属でできており、塗装やサビを落とすのに使うブラシです。フレームの各部分を傷つけず塗装や汚れを的確に落とすためには、柔らかめのアルミ素材や硬めのステンレス素材を使い分けていくのがポイントになります。
ミニサンダー
サビや塗装を研磨する道具で、カーボン素材のフレームを扱う人にとっては重要アイテムの一つです。上記の通りカーボン素材の塗装剥がしには脱脂剤を使えないため、このミニサンダーで削っていきます。このミニサンダーでしっかり磨き上げることで、仕上がりが綺麗になるのです。
プライマー・サーフェイサー
プライマーは最初に下地として塗布しておくことで、あとでスプレーする塗料を剥がれにくくしてくれます。一方サーフェイサーは細かな傷のある部分をカバーしてくれる、これまた頼もしい存在です。今はプライマーとサーフェイサーが一つになった「プラサフスプレー」が販売されているので、そちらの使用も検討しましょう。
耐水ペーパー
やすりがけをしたいときに役立つのが耐水ペーパーです。名前の通り防水加工が施されており、水をつけて使用できます。このため削りカスの飛散や目詰まりのリスクを軽減しての作業が可能です。耐水ペーパーは粗さ#220~1,000あたりを目安に、複数枚用意しておきましょう。
ウレタン塗料
丈夫で色落ちしにくい、強い塗膜をつくれる塗料です。ハケで塗るタイプとスプレータイプの製品のうち、初心者には比較的取り組みやすいスプレータイプをおすすめします。フレーム塗装、特にオールペンは塗料をかなり消費するため、スプレーを3本は用意しておきましょう。
マスキングテープ
マスキングテープは色を塗らない部分をガードしておくためのアイテムです。他の部分の色付けが終わったらテープを剥がし、その部分に着手していきます。別途模様・ロゴをつけたい部分がある場合は特に必須アイテムとなるでしょう。
カッティングシート
模様やロゴなど作るときに、ステッカーとして使うのがカッティングシートです。伸び縮みに優れるので、加工しやすく簡単に貼れます。カッティングシートを使う人は、加工用にマットとマスキングテープも手元に置いておきましょう。
またカッティングシートを購入するとき、プリンター用のラベルシートは選ばないようにしてください。シートの縁の部分が白く、妙に目立ってしまうからです。
ウレタンクリアー
塗装の仕上げにスプレーする塗料で、キレイなツヤをもたらしてくれます。ツヤがあると一気に気品あふれる佇まいになるので、力を入れたいところです。ただしウレタンクリアーにはツヤがない製品もあるので、注意して購入・使用しましょう。
ロードバイクの塗装方法
ロードバイクの塗装方法①カスタムペイントの仕上がりをイメージする
どんな色合いがいいか、模様やロゴも入れるならカッティングシートをどう使うかなど、完成形をしっかり思い描いておきます。イメージしやすくなるように絵を描いておくのもおすすめです。
出来栄えを想像するだけでもワクワクします。オールペンなら雰囲気もガラッと変わるので、現状と作業後のギャップを楽しみにするのもいいでしょう。これもDIYの魅力といえますね。
ロードバイクの塗装方法②ロードバイクを解体する
ロードバイクを塗装するためににはまず車体を分解し、フレームだけの状態にしてあげる必要があります。前・後輪、チェーン、ブレーキ、ワイヤー、クランクまでは外すようにしておきましょう。
慣れていないうちは、車体とパーツの写真を撮影しながら解体する仕方がおすすめです。組みなおすときに「このパーツはどの部分に使うんだっけ…」という事態に陥るのを防げます。
ロードバイクの塗装方法③フレームを脱脂する
次は皮脂やオイルなど、フレームについた油脂分の除去です。油脂分がついたままだと塗料がうまく定着しなかったり剥がれたりする原因になるので、入念におこないます。オールペンなので余すところなくやる必要があり少し大変ですが、これも美しい仕上がりのためと思って感張りましょう。
ロードバイクの塗装方法④必要に応じて塗膜を剥離する
もとの塗装を剥がしたい場合には剥離剤の出番です。オールペンなので、全ての塗装を剥がしていきます。剥離剤を塗布して塗料が浮き出てきたら、ブラシでこすり塗膜を剥がしてあげましょう。
ちなみにカーボン素材のフレームの場合、金属素材のように塗装を溶剤で落とせません。これは仕方ないことなのでミニサンダーやペーパーやすりなどを使い、丹念に塗膜を削っていきます。
ロードバイクの塗装方法⑤下地の処理をする
塗料のノリをよくするために、プライマーとサーフェイサーを使って下地をつくっていきましょう。スプレーの仕方としては遠くからまんべんなく、「シュー」と吹き付けるのがコツです。スプレー後の乾燥は丸1日以上、焦らず待ちましょう。
スプレーが完全に乾燥したら、耐水ペーパーで足付け作業をします。足付け作業は、耐水ペーパーで塗装面を意図的に傷つけるものです。このあと吹く塗料をうまく定着させる効果があります。
ロードバイクの塗装方法⑥フレームを塗装していく
いよいよスプレータイプのウレタン塗料を使った重ね塗りです。下地のときと同様に、遠くからまんべんなくスプレーする仕方を意識しましょう。そして色ムラが出ないようしっかり乾燥させてから、2回目の塗料を吹きます。完全に乾くまで丸1日はかかるので、時間をたっぷりとるようにしてください。
塗装中にホコリ・ブツが付着してしまった場合、完全に乾燥させてから耐水ペーパーでブツ取り・バフ磨きをしておきましょう。
ロードバイクの塗装方法⑦模様やロゴをつける(塗料)
自転車に格好いい模様やロゴが欲しいという人も多いのではないでしょうか。つけるならオールペンが完了してから取り組むことになります。フレームの細さを考えてワンポイント程度のものにするのがおすすめです。
塗料を使う場合の工程としてはまず、フレームが乾燥しきってからマスキングテープを模様の形にして貼りつけます。続いて塗料をスプレーしたあとテープを剥がす、他の部分にテープを貼り模様部分を塗装、という手順です。
ロードバイクの塗装方法⑦模様やロゴをつける(カッティングシート)
模様やロゴを作るのにカッティングシートを使う方法もあります。PCで作成したデータをカッティングシートにプリントし、それを切ってステッカーにする仕方です。プリントはプロの印刷業者にやってもらうとキレイに仕上がります。
フレームは曲線でステッカーを貼るのは難しいので、カッティングシートの貼り付けは慎重にやりましょう。カッティングシートの両面をピンと引っ張っぱる仕方で、納得いく位置になるよう調整します。
ロードバイクの塗装方法⑧カスタムペイントの仕上げ
カスタムペイントの仕上げとして、まずウレタンクリアーの吹きつけです。完全に乾いたら耐水ペーパーで足付け作業をし、さらにもう一度ウレタンクリアーを吹きましょう。重ねてスプレーすることで塗膜が厚くなり、剝がしにくくなります。
最後にまた耐水ペーパーで仕上げです。オールペンを長持ちさせるのはもちろん、もしサビがあっても落とす効果も期待できます。
ロードバイクの塗装方法⑨車体を組み直す
カスタムペイントによって鮮やかな色のフレームが完成したら、もとのロードバイクの形に戻していきましょう。組み直しの際おすすめしたいのが専門業者に頼ることです。ある程度まで部品を組んだら、その先はサイクルショップに調整を依頼しましょう。
自転車をきちんと組み立てられるかは見た目や乗り心地だけでなく、安全面にも関わります。そのため経験が浅く自信がないなら、専門家に見てもらった方が安心です。
ロードバイクの塗装を長持ちさせるコツ
塗装を長持ちさせる方法
わざわざDIYで綺麗に仕上げた自転車なら、できるだけ長持ちさせたいですよね。そのためにはまず雨ざらしにしないこと。冒頭でも述べた通り、雨風はロードバイクの塗装を剥がし劣化させます。ガレージなど屋根のある場所に置いて、それらを防ぎましょう。
また傷を防止するための保護テープも販売されています。このような商品も組み合わせ、カスタムペイントで出した色合いを守っていきましょう。
それでも剥がしてしまったら部分補修
とはいえ転んだりして塗装を剥がしてしまうことはありえます。これはもう仕方ないことですが、またオールペンとはいかないまでもきちんと処置しておきましょう。
一番いい補修の仕方は専門業者に頼むことです。業者に依頼する場合はひとまず応急処置として、補修部分にマスキングテープやステッカーを張っておきましょう。傷が小さければ自動車用のリタッチペンやコンパウンドでも補修できます。
DIYでロードバイクを塗装してみよう!
自分好みにカスタムペイントしてみよう
思い切ってオールペンに踏み切れば、愛車の雰囲気をガラッと変えられますね。この記事ではDIYでおこなうロードバイクのカスタムペイント、特にスプレー塗料を使ったオールペンの仕方を紹介してきました。
コツは一つ一つの作業を丁寧にすることです。塗料は乾くまでに1日かかることもあるので、焦らずにいきましょう。また模様やロゴをつけるときは、塗料を使うかカッティングシートを使うかを選択してください。
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出典:photo-ac.com