登山保険について知ろう
登山保険とは
「登山保険」とは、山登りの途中でけがをしたり遭難したりした際、救助費用をサポートしてくれる保険のことです。とくに想定外の遭難や最悪の事故の場合、ヘリコプターで助けを呼ぶことも考えられます。雪山や難易度の高い山だけでなく、低山を登る際にも注意は必要です。登山前に、保険についてはしっかりと調べておきたいですね。
(この記事は2021年3月30日時点の情報をもとに作成しております。)
1年間の登山遭難件数
警察庁のまとめによると、2019年に日本全国で起きた山岳遭難の発生件数は、2531件です。遭難した人は年間2937人で、そのうち299人が亡くなったり行方不明になったりしています。2020年7~8月の間だけでも、541人が山で遭難しているのが現状です。
楽しい登山時には、事故に遭わないのが一番ですが、遭難した人の数を見ると、身近な問題として感じられます。日帰りの登山だったとしても、もしもの時に備えて、保険加入を比較検討しておきましょう。
登山で遭難した場合の費用
では実際に遭難してしまった場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。山で遭難した場合、まず110番や119番通報をします。家族などが通報するケースもあります。警察や消防による捜索費用は、基本的にはかかりません。
しかし、地元の山岳会や民間団体が一緒に捜索することも比較的珍しくありません。登山ルートや事故が頻繁に発生するポイントは、地元の人の方が詳しいからです。山岳会の場合、1日あたり1人2~3万円ほどが目安。最低でも1日20~30万円ほどがかかります。
ヘリコプターが出動した場合の費用
注意したいのがヘリコプターでの救助活動です。近くにある警察署や消防署がヘリコプターを持っていて、救助にあたってくれればいいのですが、維持費の高いヘリコプターを持っている公的機関は多くはありません。
その場合、民間の企業に救助を依頼します。民間企業や団体の場合、相場は1日2時間の捜索の場合で約160万円程度。数日間遭難してしまい、ヘリコプターを5日間飛ばすとなると費用は800万円にも膨れ上がります。
保険入会のすすめ
予期せぬ事故や災害は、初心者から上級者まで、どんな山に登る際にも起こり得ることです。本格的な登山をする人から、日帰りのハイキングや軽登山に行く人まで、リスクはゼロではありません。安心して登山を楽しむためにも、保険について知っておきたいですね。
登山保険の種類は
加入する期間
登山保険への加入を考えるとき、種類は大きく分けて2つあります。日帰り登山や2~3日の登山など短期で契約するタイプと、年間で加入し、契約するタイプです。
1年間に10回以上など登山する機会が多い人には年間単位の契約がおすすめです。時々しか山に登らない人や、予定を決めてから契約したい人は単発の短期契約がおすすめです。
加入の方法
保険への加入の方法もさまざまです。インターネットから簡単に申し込みできるものも多いです。登山の前日や当日に入れるのはうれしいですね。
スマートフォンのアプリを通して加入できる保険、携帯電話会社が提供しており手続きは簡単な保険もあるので、事前に保険の種類や契約内容を比較してみるといいと思います。
登山保険を選ぶポイント
自分にフィットする保険を
登山保険を選ぶ際に、最も重要なことは、自分にフィットする保険に加入することです。登る山のレベルや、何日の行程か、自分の体力などを総合して考えてみるといいでしょう。
難易度の高い山の場合には、死亡時や後遺障害が残った場合の補償などが付いてくるプランが多いです。日帰りなど短期の保険では、カメラなど身の回りの持ち物の破損を補償してくれるプランもあります。
具体的な補償の内容もチェック
基本的には、登山中の遭難や事故の際のレスキューが対象となります。やはり、救助用ヘリコプターの費用やけがをした時の入院費用は、高額になることが多いので、保険に入っていると安心ですよね。
補償内容には、救助や捜索に特化したプランから、入院費用を負担してくれるプラン、スマートフォンなど身の回りの持ち物の破損や故障まで補償してくれるプランまで多くの種類があるので、しっかり比較した上で選ぶことが大切です。
おすすめ登山保険(短期)ランキングTOP5
短期保険について
ハイキングや軽登山、日帰りでの山登りをする方におすすめなのが、単発で加入できる短期の保険です。1日単位で入れるものや、登山シーズンだけ加入できる月額のプランもあります。
基本的な捜索や救助のほか、カメラや登山アイテムなどの携行品を補償してくれるものもありがたいですね。それでは、短期加入できるおすすめの登山保険をランキング形式で比較して紹介していきます。
短期保険ランキング⑤ソフトバンク保険
携帯電話会社のソフトバンクが手掛ける「スポーツ・レジャー保険」です。月額プランはスポーツやレジャー中にかぎらず、日常生活におけるおケガや賠償事故なども補償の対象です。
1日プランは全3種類です。いずれも日帰り登山を想定した基本的な捜索や救助、入院費や通院費をカバーしています。「しっかり」プランには携行品の損害最大10万円までの補償が付きます。
期間 | 1日または月額 |
費用 | 1日300~600円、月額530~750円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | ソフトバンクまとめて支払い |
短期保険ランキング④yahooちょこっと保険
大手検索サイトヤフーが提供する「yahooちょこっと保険 山大好きプラン」です。契約者本人の加入のほかにも、夫婦型や家族型があり、家族で登山する時にもおすすめです。
全3種類あり、最低限の救助やけがを補償、携行品も最大10万円まで補償する「スモールセット」が人気です。日帰り登山以外にも、階段で転んだ時や、ジョギング中に骨折した場合など日常のアクシデントにも対応しています。
期間 | 月額 |
費用 | 月額330円~1110円(本人のみ加入の場合) |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | Yahoo!ウォレットによる月払い |
短期保険ランキング③ドコモ アウトドア保険
携帯電話会社のドコモが提供している「AIほけん アウトドア保険」です。手続きが簡単な点が人気で、本人名義のdアカウントを持っていれば、ドコモユーザーでなくてもログインするだけで手軽に申し込みができます。
全3種類です。日帰り登山の基本的な捜索や救助に対応した「ライトプラン」のほか、携行品を最大10万円まで補償する「スタンダードプラン」も人気です。
期間 | 月額 |
費用 | 月額290円~2120円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | ドコモ払い(携帯電話料合算払い)またはクレジットカード |
短期保険ランキング②YAMAP登山保険
登山用の地図アプリYAMAPが運営する保険です。多くの登山者に親しまれている人気の保険の一つと言えます。最短で翌日から補償が可能なため、日帰り登山の予定がある際に、インターネットアプリから気軽に加入できます。
全3種類あり、基本的な遭難や事故に対応する「レスキュー保険」、入院費や通院費を補償する「ケガ補償セット」が人気です。「ケガ&アイテム補償セット」は、カメラなど携行品を年間最大10万円まで補償してくれます。
期間 | 1日または30日単位 |
費用 | 1日280円~、30日単位で480円~1050円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | クレジットカード |
短期保険ランキング①モンベル野あそび保険
アウトドアメーカーのモンベルが提供する保険です。モンベルメイトへの無料入会が必要となります。日帰り登山に行く際、比較的安い費用から、もしもの時の備えができるのでおすすめです。
全部で5種類あり、日帰りを想定した「1泊2日まで」のほか3タイプで、いずれも基本的な遭難や救助を補償しています。入院費や通院費も最大7万5千円までカバーしてくれる点も人気が高いポイントです。
期間 | 1泊2日~6泊7日 |
費用 | 1泊2日250円~500円、6泊7日まで500円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | クレジットカード |
おすすめ登山保険(長期)ランキングTOP5
長期保険について
年間を通して多くの山に登る人におすすめなのが、年間単位で契約する保険です。ヘリコプターでの捜索、救助以外にも、死亡時や入院時の補償が手厚い保険が多いのも特徴です。また、家族や団体で入れるプランや、3年や5年単位で入れるプランもありおすすめです。
それでは、年間で加入するタイプのおすすめの登山保険を、ランキング形式で比較して紹介していきます。
年間保険ランキング⑤モンベル野外活動保険
幅広いアウトドアを対象にした保険です。休暇中の活動を対象にした「就業中対象外」のプランと、すべての日常生活での事故を補償してくれる「24時間補償」のプランがあります。加入にはモンベルメイトへの入会(無料)が必要です。
大きく分けて全3種類あり、仕事内容の危険度に応じて加入するプランが変わってきます。年間だけでなく3年や5年契約など幅広いタイプがあり比較的人気です。
年会費 | 3190円~65130円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | クレジットカード |
年間保険ランキング④会員制捜索サービスココヘリ
山間部でのヘリコプター捜索と救助に特化している、会員制のサービス「ココヘリ」です。“保険”という枠組みからは外れますが、もしもの時の助けとしては魅力的な仕組みです。発信機型の会員証を持っていれば、最長16km離れた地点から受信し、捜索してくれる評判の良いサービスです。
登山中の山間部では、圏外になってしまうことも多いですが、GPSでは不可能な山中でも、比較的短い時間で発見してくれる仕組みが人気です。
年会費 | 4015円~9350円 |
申し込み方法 | インターネットから |
決済方法 | クレジットカード |
年間保険ランキング③レスキュー費用保険
登山やアウトドアでの遭難と救助に特化した保険です。滑落や雪崩だけでなく、道に迷ったり疲れたりなど遭難の原因を問わずに補償でサポートしてくれます。死亡時や通院時の補償は付かないので、生命保険などで別の保険に加入している人におすすめです。
最大300万円までの捜索、救助費を補償してくれます。遭難時に駆け付けた家族の交通費や宿泊代を定額5万円支払うサポートも付いているので、もしもの時に安心できます。
年会費 | 4000円 |
申し込み方法 | インターネットまたは書類 |
決済方法 | クレジットカード、コンビニ払い込みなど |
年間保険ランキング②やまきふ共済会
初心者から上級者まで多くの登山者から長年支持されている人気の保険です。登山計画書を家族や警察に提出することで、幅広い遭難事故に対応してくれます。
全3種類あります。遭難時の補償はいずれも同じで、救助費用は最大500万円(登山計画書を提出している場合は1千万円)まで補償してくれるのも魅力的ですね。入院費や通院費、後遺障害へのサポートがプランによって異なります。
年会費 | 4000円~10000円 |
申し込み方法 | インターネットまたは郵送 |
決済方法 | クレジットカード、ゆうちょ銀行の払込取扱票 |
年間保険ランキング①jRO(ジロー)
会員の相互扶助による補償制度「jRO(ジロー)」です。日本山岳救助機構合同会社が運営しており、メンバーなら遭難を防ぐための講習会に参加できるのが特徴。専門医や救急救命士、プロガイドが、遭難しないための対策や救急法、搬送法などを教えてる講習会はおすすめです。
比較的安い年会費で、安心できる講習会に参加できるのも人気のポイントです。プランは基本的に1種類で、基本的な遭難時の捜索、救助費用をサポートしてくれます。
年会費 | 2000円 ※別途入会金2000円が必要 |
申し込み方法 | インターネットまたは郵送 |
決済方法 | クレジットカード、各銀行振り込みなど |
登山保険を検討しよう
保険は登山者のお守り
今回は日帰りから入れる人気の短期保険や、年間契約の長期保険を比較して紹介しました。予想しないトラブルに巻き込まれたとき、周囲に迷惑を掛けないためにも、登山保険の加入は、登山者のお守りとなり、最低限のマナーとも言えます。この機会に、見直してみてはいかがでしょうか。
契約時に気を付けること
登山の人気に合わせて、今回紹介した以外にも多くの登山保険が登場しています。加入する際には、補償内容や期間、費用などをしっかりチェックし、登山に備えてくださいね。自分の登山レベルや登山コースに合った保険を選ぶことが一番重要です。
「入っていたつもりが、補償の対象じゃなかった」なんてことが、ありませんように。
知ってて便利な情報が気になる方はこちらをチェック!
今回紹介した登山保険以外にも、アウトドア活動の時に知っておくと便利な情報はほかにもあります。知ってて得する情報が気になる方は、下記の記事を参考にしてみてくださいね。
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出典:ライター撮影