アウトドアでのロープワーク一講座:はじめに
キャンプでテントやタープを設営するときに知っていると便利なロープワーク。しかし、ロープの結び方は種類が多い上に複雑です。ついつい後回しにしているキャンパーも多いことでしょう。ここではキャンプで必ず役立つロープの結び方をわかりやすく解説します。
ほどけにくくほどけやすいロープワークが基本
キャンプでのロープワークはほどけやすく、ほどけにくい結び方が基本です。結び方の多さや複雑さは、この基本を守るためのもの。ほどけやすい結び方は役に立ちませんし、ほどきにくい結び方は撤収に手間取ります。ロープワークを会得すると設営や撤収の時間を短縮できますし、仕組みを理解できれば結び方の開発も可能です。
アウトドアでのロープワークの種類
キャンプでテントやタープを設営するときに知っていて便利な結び方は①輪っかを作る②立木などに巻き付ける③2本のロープをつなぐ④張力を調整する⑤大きなコブを作る、の5種類。5種類の中から1つずつ覚えるだけでOKです。
輪っかを作る
輪っかを作るロープワークは使う機会が多いので必ず覚えておきたいですね。ここでは①もやい結びなどのテントをロープで地面に固定するのに便利なロープワークを3種類、ロープの途中に輪っかを作るロープワークを2種類解説します。
立木などに巻き付ける
立木やタープ用ポールを利用してロープを水平に張る結び方を覚えておけば、衣類をかけたり干したりするときに便利です。ここでは2種類の結び方を解説します。
2本のロープをつなぐ
ロープが少しだけ短い!そんな場面は少なくありません。予備の短いロープをつないで長く使うためにも、2本のロープをつなぐ結び方を覚えておきましょう。ここでは2種類の結び方を解説します。
ロープの張力を調節する
テントやタープの設営で大活躍する自在金具。しかし、付属の自在金具だけでは足りなくなる場面は思いのほか多いですね。ロープの張力を調整できる結び方を1種類解説します。
大きなコブを作る
穴に通したロープを止めるのにもっとも簡単な方法は大きなコブを作る結び方です。キャンプだけでなく、パンツやパーカーの紐を抜けにくくするときにも使えます。ここでは1種類の結び方を解説します。
アウトドアでのロープワークの基本
結び方の基本となるのは①ループを作る②通す③引く、の3つです。おや?そんな簡単な動作でいいの?と思われるかもですが、ロープワークの多くはこの3つの組み合わせで完成しているといっても過言ではありません。動作の基本として正しく理解しておきましょう。
ループを作る
ループはロープに輪っかを作る動作です。指でロープをつまみ、ねじりながらループを作るときれいにできます。もやい結びが上手くできないのは、きれいなループが作れていないからです。
通す
ロープを通す動作は少し難しいですね。どこに通しているかを理解しながらロープワークに取り組みましょう。もやい結びが理解できないケースの多くは通す位置の確認不足です。
引く
ロープワークは引くことで完成します。ほどけにくさに作用するのが引くという動作。しかし、レジャーキャンプで力いっぱい引く必要はありません。ほどけなければOKだといえます。
では本題!もやい結びからエイトノットまで、キャンプで知っていると便利なロープワークを解説します。なお、この記事は2020年8月6日現在の情報をもとに作成しておりますが、永久ブックマークレベルの定番の結び方ばかりを解説します。
アウトドアでのロープワーク:もやい結び
【一覧】基本的な結び方だけで輪っかを作る①
もやい結びは必ず覚えておきたいロープの結び方です。キャンプ場でテントやタープをロープとペグで地面に固定するときに必ず使います。予備のロープを使わないキャンプでは、もやい結びさえ覚えていれば大丈夫です。
もやい結びの結び方
【画像1-1】右手でロープの端を、右手でロープの元をつまみます。右手でロープを時計回りにねじりながらループを作りましょう。
【画像1-2】ループのロープが重なったところを左手でつまみ、ロープの端をループの向こう側から通します。輪っかをテントやタープのループに通す場合は、この時点で通しておきましょう。
【画僧1-3】ロープの端をロープの元の向こう側からまわし、手前側からループに通します。
【画像1-4】左手でロープの端と輪っかを、右手でロープの元を引けばもやい結びの完成です。
アウトドアでのロープワーク:ホンダノット
【一覧】基本的な結び方だけで輪っかを作る②
ホンダノットはもやい結びより直感的にできる結び方です。また、もやい結びより結びながら輪っかの大きさを調整しやすいのが特徴。ひと結び引けば簡単にほどけるのもメリットです。1つ目のループをねじる方向と、2つ目のループを1つ目のループに通す方向を間違えないようにしましょう。
ホンダノットの結び方
【画像2-1】ロープの端にひと結びをします。ひと結びはロープの端が抜けなくなるようにするためのものです。
【画像2-2】右手でロープの端を、左手でロープの元をつまみます。ロープの端を時計回りにねじりながら1つ目のループを作りましょう。
【画像2-3】ループのロープが交差した箇所を左手でつまみ、ひと結びとの間のロープをねじって(ねじる方向は問わない)2つ目のループを作りましょう。輪っかをテントやタープのループに通す場合は、2つ目のループに通します。
【画像2-4】2つ目のループを1つ目のループに手前側から通し、ロープの元と輪っかを引けば完成です。ちなみに、2つ目のループが輪っかの大きさとなります
アウトドアでのロープワーク:フリーノット
【一覧】基本的な結び方だけで輪っかを作る③
フリーノットは一般的に釣りで用いられる結び方です。釣り糸がルアーの動きを妨げないようにするための結び方なのですが、キャンプ場でテントやタープを設営するときにも使えます。もやい結びと同様に、ほどきやすいのがメリット。釣りで用いられるだけあって、結び目がスマートです。
フリーノットの結び方
【画像3-1】右手でロープの端を、左手でロープの元をつまみます。右手でロープを時計回りにねじりながら、1つ目のループを作りましょう。
【画像3-2】1つ目のループのロープが交差したところを左手でつまみ、ロープの端との間のロープをねじって(ねじる方向は問わない)2つ目のループを作りましょう。輪っかをテントやタープのループに通す場合は、2つ目のループに通します。
【画像3-3】2つ目のループを1つ目のループに手前側から通します。ここまでは先述したホンダノットと似ています。ロープの端を左手で引けば、輪っかの大きさを調整できます。
【画像3-4】ロープの端をロープの元の向こう側から回し、ロープの元と橋の間に通して引きます。ロープの元と輪っかを引けば完成です。
アウトドアでのロープワーク:よろい結び
【一覧】基本的な結び方だけで輪っかを作る④
よろい結びはロープの途中に輪っかを作る結び方です。タープ用ポールや立木にロープを水平に張り、途中にシェラカップなどの軽い小物を吊る輪っかを作れるのがよろい結び。よろい結びはロープのねじれが少なく、とてもほどきやすいのがメリットです。ハーネス・ループとも呼ばれています。
よろい結びの結び方
【画像4-1】両手でロープをつまみ、右手でつまんだロープを反時計回りでねじってループを作ります。ループのロープが交差したところは左手でつまむとこれから結びやすいですね。
【画像4-2】左手でつまんだループを右手でつまんでいるロープの端に上から被せます。
【画像4-3】画像でループの上側のロープを、右手でつまんでいるロープとループの下側のロープの間に通します。
【画像4-4】通したら、右手で持っているロープを左手に移してつかみ、輪っかを引けば完成です。
アウトドアでのロープワーク:バタフライノット
【一覧】基本的な結び方だけで輪っかを作る⑤
バタフライノットもよろい結びと同様に、ロープの途中に輪っかを作る結び方です。重いものを吊るのに適していて、決めた位置に輪っかを正確に作れるのが特徴。濡れて重くなった衣類をハンガーやペグハンマーを吊るのに適しています。結び方というよりも、あや取りに近いイメージで結びましょう。
バタフライノットの結び方
【画像5-1】右手側のロープを反時計回りにねじって、下向きに大きなループを作ります。
【画像5-2】ループのロープが交差したところを左手でつまみ、ループに右手の指2本を手前側から差し込みます
【画像5-3】右手を時計回りに回転させ、8の字を作ります。
【画像5-4】右手の指2本を8の字の上の穴に手前側から差し込みます。
【画像5-5】右手に巻き付けられた一番下の位置にあるロープを引きます。
【画像5-6】右手の指1本に先ほど引いたロープをかけます。
【画像5-7】右手の指2本でロープをはさみ、下へ引き抜きます。左手でロープの元を、右手で輪っかを引けば完成です。
アウトドアでのロープワーク:ふた結び
【一覧】基本的な結び方でロープを巻き付ける①
ふた結びはロープを立木に巻き付ける結び方です。ひと結びを2回してふた結びというシンプルさでありながら、確実にロープを巻き付けられます。タープ用ポールの天井付近にロープを水平に張り、先ほど解説したよろい結びやバタフライノットで作った輪っかにランタンを吊ってもいいですね。
ふた結びの結び方
【画像6-1】立木の向こう側からロープを通してひと結びします。画像ではロープの端をロープの元の上から回し、下から通しています。
【画像6-2】ロープの端をロープの元の下から回し、上から通して引けば完成です。結び目の確実さに不安を感じるなら、さらにひと結びを加えましょう。立木を通した輪っかの大きさを調整すれば、簡易的に張力を調整できます。
アウトドアでのロープワーク:クローブヒッチ
【一覧】基本的な結び方でロープを巻き付ける②
クローブヒッチは立木に巻いて止めるだけの優しい結び方です。巻き結びとも呼ばれています。力いっぱい引く必要がありませんので、立木を傷つけにくいのがメリットです。しかし、先ほど紹介したふた結びよりロープの長さが必要です
クローブヒッチの結び方
【画像7-1】ロープの元が上、ロープの端が下になるように、立木にロープを巻き付けます(1回目)。ロープの元と交差させ、ロープの端が上側になるようロープを巻き付けます(2回目)。
【画像7-2】ロープの端を2回目に巻き付けたロープの元に通して引けば完成です。これで結び目の確実さに不安があればもう一度巻き付けます。何度も繰り返して巻き付けられますが、レジャーキャンプでは2回で十分強く結べます。
アウトドアでのロープワーク:シート・ベンド
【一覧】基本的な結び方だけでロープをつなぐ①
シート・ベンドは長いロープが必要な時に2本以上のロープをつなぐ結び方です。ほどけにくい割にはほどきやすく、結び方も簡単です。
シート・ベンドの結び方
【画像8-1】橙ロープと緑ロープをつなぎます。橙ロープ(左側)をU字型に折り曲げ、緑ロープ(左側)U字の谷の向こう側から通します。
【画像8-2】緑ロープの端を橙ロープの向こう側へ回します。
【画像8-3】緑ロープの端を緑ロープの元の向こう側へ通し、2本のロープの元を引けば完成です。
アウトドアでのロープワーク:テグス結び
【一覧】基本的な結び方だけでロープをつなぐ②
テグス結びは確実にロープとロープを繋げられる結び方です。フィッシャーマンズ・ノットとも呼ばれています。釣りや登山ではダブルフィッシャーマンズノットが用いられていますが、レジャー目的のキャンプで使うテントやタープでは一重のテグス結びでも十分強固です。
テグス結びの結び方
【画像9-1】橙ロープを通すように緑ロープをひと結びします。同じように、橙ロープも同様にひと結びしましょう。ロープの端が外側を向くようにひと結びすれば見た目がスマートになります。
【画像9-2】緑ロープと橙ロープの元を引けば完成です。ひと結びは強めに結びましょう。ひと結びはほどきにくいので、結び目の強度が必要ない場合はシートベントを用いるのがおすすめです。
アウトドアでのロープワーク:自在結び
【一覧】基本的な結び方で張力を調整する
自在結びはロープの張力を調整できる結び方です。テントやタープの自在金具が足りない時はもちろん、先述した「立木にロープを巻き付ける結び方」の相方としても活躍します。難しそうに見えますが、実は立木を通したひと結びの集合体です。仕組みを理解すれば難しくありません。
自在結びの結び方
【画像10-1】ペグにロープをかけてひと結びします。ひと結びをしたらロープの元に張力を加えましょう。ロープの端は長めにとったほうが結びやすいですね。
【画像10-2】1つ目のひと結びから離れたところに2つ目と3つ目のふた結びをすれば完成です。3つ目からのひと結びは強く結べます。ロープの滑り具合を確認しながら強さを調節しましょう。強度が必要であれば、4つ目…5つ目と増やします。自在結びのポイントは1つ目のひと結びです。2つ目以降の結び方は人によって違いますので、オリジナルアレンジでOKです。
アウトドアでのロープワーク:エイトノット
【一覧】基本的な結び方で大きなコブを作る
エイトノットは大きなコブを作る結び方です。テントやタープを地面に固定するときに張力を調整する自在金具で、ロープの端を止めるのに使います。ファスナーのスライダーにロープを通して引きやすくするのもありです。何かと重宝する結び方ですので、必ず覚えておきましょう。
エイトノットの結び方
【画像11-1】左手でロープの元を、右手でロープの端をつまみます。ロープの端を時計回りにねじってループを作りましょう。
【画像11-2】ロープの端をロープの元の手前側にまわし、8の字を作ります。
【画像11-3】ロープの端を8の字の上の穴に向こう側から通し、ロープの端と元を引けば完成です。ちなみに、ロープを折り曲げでエイトノットを作れば輪っかができます。これは二重エイトノット(キャンプや登山)やチチワ・エイトノット(釣り)と呼ばれています。
アウトドアでのロープワーク一講座:まとめ
キャンプで必ず使えるロープワーク一覧として、結び方を解説しました。ロープの結び方は種類がたくさんありますので、頻繁に使う種類の結び方は会得しておきましょう。どんな結び方があって、どんな使い方ができるのかだけを知識として得ておくだけもあり!必要な時になってからスマホで検索してもいいですね。予備のロープを携行しておくと何らかの役に立ちます。
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ループ