トウモロコシのとは
大人気の夏野菜
トウモロコシ(スイートコーン)は夏に大人気の野菜です。夏野菜はウリ科、ナス科が多いですが、トウモロコシはイネ科の植物となります。野菜として食べられるトウモロコシはスイートコーンとなり、家畜の飼料用のフリントコーンやポップコーンとしておなじみの爆裂種などが種類が豊富にあります。そのうちホームセンターなど身近な場所で苗や種が発売されるのはスイートコーン、ポップコーンが多いです。
家庭菜園でも実は簡単
トウモロコシは草丈が大きく育つため、作りにくそうな野菜と思う方もいるかも知れませんね。実は家庭菜園でもコツや栽培方法を覚えると簡単な野菜です。また背が高くなることから大きな畑が必要になりそうですが、深型プランターでも育てられることからあまり広くないベランダでの栽培もできます。コツには肥料(施肥)や人工授粉などさまざまなポイントがありますが、作業自体は簡単で初心者でも栽培しやすいですよ。
トウモロコシの育て方に関する基本情報
種からでも苗からでも育てられる
トウモロコシは種からでも苗からでも育てられます。適切な時期に種まきすると高確率で発芽してくれるので初心者でも簡単ですよ。苗からだとある程度育っているので栽培がしやすく簡単に植え付けられます。種は赤い塗料のようなものが着いていますが、消毒された証です。種まきしても簡単に腐らないように、鳥に食べられないように、誤って人間が食べないように農薬で処理されている意味になります。
イネ科は連作障害が少ない
夏野菜は前述したように主にウリ科(きゅうり、ゴーヤ、スイカなど)とナス科(トマト、ピーマン、ナスなど)が多いですが、ウリ科もナス科も同じ場所で同じ種類の野菜を何度も育てているとだんだん正常に育てられなくなる連作障害が発生しますが、イネ科のトウモロコシは連作障害が発生しにくい植物です。同じ場所でも気にせず簡単に植え付けられる点も初心者向きと言えます。しかし栽培するコツも多いので紹介していきますね。
トウモロコシの育て方のコツ1:肥料が非常に大切
大きく育てるために肥料が必要
トウモロコシは草丈が高い野菜です。また可食部となる実も大きくなることから肥料はかなり必要になる野菜です。荒れた土地でも育つイメージがあるかもしれませんが、スイートコーンを甘くて美味しく育てるにはトウモロコシを大きく育てる必要があります。元肥が少ないと後から肥料を追加してもあまり効果はなく美味しいものを収穫するのは難しいです。土にしっかり肥料を混ぜ込んでから種まき、植え付けしていきましょう。
元肥は堆肥がおすすめ
種まきや植え付けまえに土に混ぜる肥料は元肥(もとごえ)といいます。手軽で使いやすい化成肥料ではなく、ゆっくり長く効く堆肥を混ぜ込んでおくといいでしょう。最初からしっかり肥料のある場所で育ててくださいね。実ができる前の段階でどれだけ大きく育てられたかで可食部の大きさなどが決まりますよ。深めにしっかり肥料を混ぜ込んでおくというのがコツです。
トウモロコシの育て方のコツ2:同じ種類を植える
風により受粉する
大切なコツではありませんが、黄色一色の品種や、白一色の品種を作りたい場合はどちらか一種類だけそだてるようにしましょう。トウモロコシは雄花、雌花が別れていて風で雄花が揺れることで花粉が飛び受粉する用になっています。混色してしまうとそれぞれの花粉で受粉してしまい黄色と白が混ざったモザイク状のトウモロコシができますよ。特定の色しかない品種を育てる場合は必ず1種類だけ育ててくださいね。
できるだけ離す
色が混ざらないように違う種類のトウモロコシを育てる場合は農家なら50m~100mほど離していると言われています。家庭菜園では距離を保つのは難しいと思うのでできるだけ遠ざけて栽培するようにしてください。隣接させないというのがコツです。
同じ品種をたくさん植える
ベランダ菜園でも1本だけではなく、スペースがあるなら2本、3本とできるだけ多く育てましょう。風に揺れて花粉が飛ぶことで受粉するため雄花の数が多くなるほど受粉する可能性が上がります。畑でも同じようにたくさん植えられるならできるだけ多く植えましょう。
トウモロコシの育て方のコツ3:虫対策
花が咲く時期に虫対策
甘くて美味しいトウモロコシは虫が発生しやすいです。特に注意してほしいのはアワノメイガです。アワノメイガは雄花が咲く6月後半ぐらいの時期から発生する蛾です。先端の雄穂(ゆうずい)から内部に侵入し可食部となる実を食べてしまう厄介な害虫です。無農薬で対処するには常にトウモロコシを観察し、侵入した痕跡がないか確認しましょう。また不要な雄穂はアワノメイガを呼ぶだけなので切り落としてもいいでしょう。
農薬で処理したほうがいい
アワノメイガを完全に防ぐのは難しいです。トウモロコシの茎の中に侵入するためカッターなどで縦にきって見つけ出さないと駆除できません。慣れていない方は農薬を使ったほうが簡単に確実に駆除できます。虫対策、特にアワノメイガに注意して栽培するというのが大きなコツとなります。
トウモロコシのおおまかな育て方
種まきから植え付けまで
種まきのは4月頃からとなります。ポリポットに3粒まいてそだてるか、畑やプランターに直接まいて育てていきます。ポリポットで育てる場合は3月半ばぐらいから温室で育てることも可能です。本葉が3~5枚程度になると成長のいい苗だけ残しほかはハサミを使って間引きして1本だけの苗として育てていきましょう。その後植え付けていくという流れになります。苗だといきなり植え付けられて育てやすいですが複数必要になるため高価です。
肥料について
コツで紹介したように肥料は重要です。適切な時期に2回肥料を追加していきましょう。特に植木鉢、プランター、コンテナなどの容器で栽培する場合土の量が決まっていることから肥料が不足してきやすいです。適切な時期に適量をしっかり与えてくださいね。
トウモロコシは雄穂(ゆうずい)の近くだけ残す
雄花をつける先端の雄穂の近くにできた実以外は取り除きましょう。すべて受粉させてそのままにしておくと栄養が分散され実付きや味が悪くなります。美味しいトウモロコシを作るためにも取り除いてくださいね。
トウモロコシの育て方1:育てる場所の準備
日当たりのいい場所で栽培する
栽培方法で大切になるのは日当たりです。できるだけ南向きの日当たりのいい場所で育てるようにしましょう。野菜づくりは西日を避けて朝日が当たる場所で育てることが多いですが、トウモロコシは西日があたっても大丈夫です。朝も夕方も日差しが当たるような開けた場所がベストになります。ただし大きく育てるのではなく、ヤングコーンの栽培方法ではあまり日当たりがよくなくても収穫できますよ。
ベランダ菜園は風に注意
草丈が50cmを超えてくる背の高い野菜です。平地でも風に注意しないと倒れやすいため支柱などを使って固定していきます。ベランダ菜園だと平地よりも風が強くなりやすいため特に注意してくださいね。ただし風があると花粉が飛びやすいため受粉しやすいということでもあります。台風のように極めて風が強いときはベランダ菜園は容器で育てているため移動できます。屋内に避難させたり風が当たりにくい場所に避難させましょう。
トウモロコシの育て方2:土の準備
プランターは市販の土で大丈夫
プランターや植木鉢で育てる場合は市販の野菜の土で大丈夫です。必ず元肥(肥料)入の土を選んでください。前述したようにどれだけ大きく育てられるかは栽培方法の重要なポイントですよ。自分で作る場合は基本用土となる赤玉土に堆肥などの肥料を混ぜ込んで養分の多い土を作っていきます。容器は必ず深いものを用意してください。トウモロコシは根を深く降ろしていく性質があります。
畑の場合
畑の場合は種まき、植え付け前に深く掘って堆肥を1㎡あたり2kg、化成肥料を120gほど混ぜていきましょう。phは弱酸性でいいのでよほど酸性になっていな限り石灰をまかなくても大丈夫です。適応範囲は広く中性でも育ちますよ。石灰を使うときは植え付け2週間ほど前にまいて、一週間後に肥料を混ぜ込んでください。同時に混ぜ込んでしまうと肥料の成分と石灰が反応して有毒ガスが発生します。
畝を作る
畑では畝を作っておきましょう。栽培方法により株間、条間が異なりますが、株間が30cmとなります。条間は方法によって異なりますが50cmもあると大丈夫です。
トウモロコシの育て方3:種まき
パッケージを参考に
黄色一色、白一色では白いトウモロコシのほうが発芽温度が高く、難易度が高くなると言われています。初心者の方は簡単な黄色い品種がおすすめです。トウモロコシは品種によって発芽温度が変わってくるので種まきをするときは、自分で時期を決めるのではなくパッケージに書かれている発芽温度や季節など正しい時期に植え付けしましょう。
種まきの方法1:ポットにまく
直接畑や容器にまかずにポットにまく方法では温室など暖かな場所で管理できるメリットがあり気温が低い時期からでも栽培できます。まき方は一粒ずつ深さ1cmほどの穴を掘り入れていき、最後に土をかぶせます。かぶせる土の量は隠れるぐらいで大丈夫です。あとは水を与えて土が乾かないように管理してください。品種により発芽温度は多少変わりますが25~30度程度になります。
種まきの方法2:直接まく
直接畑にまく場合も同じです。畝に30cm間隔で穴を掘りそこに種を3粒ほどまいていきますよ。50cmほどの幅がある畝なら一つの畝で2列で穴を掘り植えていきましょう。たくさん植えたほうが受粉する確率が上がりますよ。直接種まきすると植え付けは不要になります。畝を作った段階であらかじめ30cm間隔に穴が空いたビニールでマルチングしておくと防草、防疫になり便利ですよ。芽が鳥に食べられないように不織布をかけて対策しましょう。
トウモロコシの育て方4:育苗・間引き
苗の栽培方法
生育温度も25~30度ほどになります。ポットで3月や4月などの寒い時期は温室などで育てていきます。発芽がするまでは土が乾かないように水を与えて管理していきます。生えてきたら土が乾いたら水を与えるようにしてくださいね。難しく考えなくても発芽温度と生育温度が同じということは、芽が出てきたら育てられる温度となります。
間引きの方法
一度に3粒ほど植えますが最終的に成長度合いのいい元気な苗を一つだけ残し、後はすべて取り除いていきます。最初の間引きは本葉が4枚程度になった頃、草丈が15cm程度になった頃に成長の悪い苗を根本からハサミで切り落とします。根ごと抜くと元気な苗も一緒に抜ける可能性があるため、必ずハサミで気と落とします。最終的には1つの苗にしてください。
トウモロコシの育て方5:植え付け
苗は植え付けから
苗を購入した場合は植え付けからです。ほとんどの苗は間引きされていて1本しかないと思いますが、複数ある場合は間引きして植えていきましょう。植え付け時期は特に決まっていませんが、種まきから半月後ぐらいから1ヶ月後の草丈18cm程度のタイミングが植え付け時期となります。苗だと買ってきたものを植え付けるだけで簡単です。
植え付け方法
ポットの土の部分を根鉢といいます。根鉢より少し大きめの穴ほって、そこに根鉢ごと入れるようにして植えます。間隔は前述したように30cm程度空けてできるだけ2列になるように密集させて植えましょう。直接畑に種をまいた場合は、そのまま育てていきます。植え付け後は水やりをしてください。成長に合わせて支柱をするなど風邪対策もしていきましょう。植え付けた後の水やりは土が乾いたら水を与えてください。
トウモロコシの育て方6:肥料
追肥を必ず与える
トウモロコシは肥料をたくさん必要とする野菜の一つです。元肥だけではうまく育たないため必ず肥料を与えましょう。一回目の肥料は間引きしたときから少し成長した草丈30cm程度、本葉の数が8枚程度のときと言われています。追肥は即効性のある化成肥料がおすすめです。一回目の追肥のタイミングは少し早くても大丈夫です。間引いた後の本葉が5枚程度のときに与える方法もあります。
2回目の追肥
2回目の追肥は先端に雄穂(ゆうずい)が出てき始めた頃になります。化成肥料を与えましょう。プランターの場合は一回目の追肥が終わったあとは2週間ごとに肥料を与えるといいでしょう。
トウモロコシの育て方7:人工授粉・摘果
実は1つだけにする
穂がでて雄花が咲く頃になると可食部となる雌穂(しずい)が1~3本ほど出てきます。雄穂に一番近いものを一本だけ残して後は取り除きましょう。粒がきちんと入ったコーンを収穫するために欠かせない作業です。とった小さなコーンはヤングコーンとして食べられますよ。
数が少ない場合は人工受粉させる
雄穂が出てきたあと少し遅れて可食部となる雌穂(しずい)が出てきます。雌穂とはトウモロコシのひげにあるもので、風により待った花粉がひげに付着することで受粉しますが、もともと雄花の開花時期と雌穂が出てくる時期がずれているため一本では受粉しにくいです。少ない量を栽培しているときは人工授粉が必要になります。やり方は揺らしてみたり雄穂を切り取って直接こすり合わせて受粉させるだけです。
トウモロコシの育て方8:その他の世話
マルチ取り・土寄せ
マルチをしている場合は草丈50cmほどでとりのぞいて根本に土をもる土寄せを行いましょう。根本に土を盛ることで脇芽などが発達しますよ。トウモロコシの脇芽は転倒防止に役立つため放任しておきます。育て方によって多少タイミングが異なりますが、一回目の追肥のタイミングでマルチを取り、土寄せをする育て方もあります。自分がやりやすいタイミングでしましょう。プランターでも同じように土寄せしてください。
収穫について
収穫の目安、タイミングは実についている穂(ひげ)が茶色く変色してきたときです。収穫の仕方は手でもぎ取るようにしましょう。コーンのつけ根の部分を包丁で切るときは固いですが、収穫するときは意外と簡単にもぎ取れます。
トウモロコシの育て方9:害虫対策
雄穂は切る
食害が一番大きいアワノメイガは雄穂に惹かれて集まると言われています。受粉した雄穂やたくさん植えていて不要な雄穂などは切り落とすことで少しでもアワノメイガが発生しないようにしましょう。アワノメイガが実に侵入すると収穫しても実が食べられていて見た目が悪くなってしまい可食部が減ります。常にトウモロコシをよく観察して粉状の物がついていないか、雌穂にイモムシはいないか確認しましょう。
有効な農薬
簡単に駆除する方法はトレボン乳剤、デナポン粒剤などの液体や粒状の農薬を雄穂に振りかけていく方法です。収穫までつかえたり、一定の回数までしか使えなかったりと農薬は使い方が厳格に決まっているため必ず農薬のラベルを確認して使いましょう。収穫前日まで使えるものは残留する心配が少ないですが、収穫の数日前までしか使えないものは残留する可能性があります。
トウモロコシ栽培のまとめ
やることが多いけど実は簡単
トウモロコシの栽培はやることが多いですが実は簡単です。マルチングも必ずする必要はありません。しなくても栽培できます。たくさんあると人工授粉も不要になります。少量栽培だと人工授粉してくださいね。あとは一般的な果樹や野菜と同じで摘果、追肥だけです。害虫対策はほとんどの野菜や果物で必要なることから難易度はそこまで高い野菜ではないですよ。トウモロコシはすぐに鮮度が落ちるので採れたてが一番おいしいです。
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