フィッシュアンドチップスって何?
イギリスに旅行されて味覚の違いに驚かされた日本人は多いと思います。中には「何を食べても美味しくなかった」などとおっしゃる方もおられます。その中にあってイギリスの伝統的ファストフードである「フィッシュアンドチップスだけは食べられた」とおっしゃる方もおられます。簡単に言えば「魚のてんぷらとフライドポテト」なのですが、これが実に奥が深い。使う魚の鮮度や塩加減で味がまったく変わります。タラやオヒョウなどの白身魚の漁獲量の多いイギリスならではの伝統食です。イギリスではモルト酢やタルタルソースでいただきます。
今回の釣行「大潮の上げ3分」
常夜灯の下でアジング
2020年6月20日土曜日、新月の大潮。ずっと降り続く梅雨の雨。早朝5時すぎが満潮のため釣行はあきらめていたところ午前2時ころ雨がピタリと止んだ。「これならいける」と、いつ雨が再開しても良いように屋根付きの桟橋まで走る(もちろん車で)。エギングとアジングとショアジギングの道具を掴んで常夜灯の下まで走る(今度は自前の足)。常夜灯の下にはベイトの群れがわんさか。観察するとどうも動きに落ち着きが無い。「これは魚食魚が近くに居る」と判断。※画像はイメージです。
今回の獲物
アジングに決定。PE0.8号にナイロン3号のリーダーを付けて、2gのアジングヘッドにアジキュートといういつものスタイル。1投目でギンガメアジの30㎝。2投目でメアジの30㎝。ちっちゃなギンガメアジと大きなメアジが仲よく回遊しているようだ。ところがお刺身用のお魚はここで終わり。あとはポツリポツリとマツカサばかり揚がって来る。小さいのはリリースして大きめのだけ4匹確保。ロッドアクションは無し。1秒間にリール1巻き半のタダ引きでした。
フィッシュアンドチップスの作り方①
マツカサをさばく(裏ワザあり)
マツカサやオジサン、ブダイのようなウロコの大きな魚は、ウロコ取りが必要ありません。尻尾の付け根にある小さなウロコをめくり、あとは指をそろえてゆっくりと圧を掛けながら逆撫でしていきましょう。キレイにウロコが剥がれますよ。
頭を落として三枚におろす
マツカサの頭の両側に切り込みを入れたら、真上から包丁をあてて骨を切断しておきます。次に肛門から包丁の刃先を入れ、むなびれまで切り込みを入れたら、頭と胴を両手で持ち、二つ割りにします。これで内臓はすべて頭の方にくっついていきます。
下味を付ける
三枚におろせたら表裏両面に軽く塩を振り、15分くらいおきましょう。しばらくすると表面にぷつぷつと水分が出てきますから、それをキッチンペーパーで押さえて新たに胡椒を振ります。これでお魚の下ごしらえは完了です。
フィッシュアンドチップスの作り方②
ゆで卵たっぷりタルタルソース
マツカサの水分抜きをしている間にソースを作って行きます。作るソースは「タルタルソース」。まずは茹で卵を作ります。茹で加減は固ゆで。水から約15分茹でましょう。茹であがったら包丁の腹で卵の全体をぺしぺしと叩き、全体にヒビを入れます。そこで水に放して、水の中でカラを剥くとツルンと剥けます。
たまねぎのみじん切りは水にさらす
たまねぎ8分の1をみじん切りにしてから水にさらしておきます。新玉ねぎの季節ですから、新玉ねぎを使う場合は水にさらさなくても良いでしょう。
ピクルスを入れる
ここで登場するのが我が家自慢のキューリのお漬物。別名「キューリのkumaちゃん」。キューリのkumaちゃん5~6切れをみじん切りにします。以前愛知県で幼少時代を送ったと書いたことがありますが、近所に「東海漬物」の本社があってキューリのQちゃんは主食でした。中毒の私は、キューリが安い時に大量に購入して自分で漬けているんですよ。
全部をまぜまぜする
潰した卵、マヨネーズ大さじ3から4、チューブのにんにくをパチンコ玉1個分、さらした玉ねぎのみじん切り、キューリのお漬物。これらすべてをボウルの中でまぜまぜします。卵の黄身が乳化するくらいまで混ぜた方がうまいですよ。最後に味を見て足りないようならば塩胡椒で味を整えます。これでタルタルソースの完成です。
フィッシュアンドチップスの作り方③
チップスを作る
フィッシュアンドチップスのもう一つの主役、チップスを作って行きます。ポテトを使ったチップスですので「ポテトチップス」でいいのでは?と疑問を持たれる方もおられるかもしれませんが、フィッシュアンドチップスのチップスはホクホクのじゃがいもフライです。中型のじゃがいもなら20等分くらいにくし型やスティック状にカットして、水にさらしてから水分を拭き取って170°の油で揚げていきます。縁がカリッと焦げ色が付いたら一旦上げておきます。
二度揚げでカリッと
先にメインの魚のてんぷらを揚げ、その間冷ましておきます。魚が揚がったら魚の油切りをしている間にじゃがいもを二度揚げしていきます。今度は油の温度を180°ほどに上げて、ポメラニアン色に色付くまで揚げましょう。外はカリッ、中はホクッの美味しいチップスのできあがりです。熱いうちにサッと塩胡椒を振っておきます。
フィッシュアンドチップスの作り方④
てんぷら粉は炭酸で溶く
よく西洋てんぷら(フリッター)は粉をビールで溶く、と言われます。ビールの炭酸がカリッとした衣を作るのですが、これは重曹でも単に炭酸水でも可能です。それよりも使用する粉が大変で、薄力粉にコーンスターチ、重曹、ベーキングパウダー、片栗粉などを混ぜて作ります。ここで裏ワザ。「コツのいらないてんぷら粉」や「混ぜるだけのてんぷら粉」などの名称で売られているてんぷら粉を使用しましょう。てんぷら粉50gに炭酸水50ccくらいを合わせたら揚げ粉のできあがりです。
すばやく衣をまとわせる
てんぷら粉に炭酸水を混ぜたら、泡の力で揚げ粉がぶわぶわしているうちに下ごしらえの終わっているマツカサにたっぷりと揚げ粉を絡め170°の油に投入します。
すばやく油に投入
フライパンに2㎝ほどの深さに油を敷き、170°ほどに温度を保ちます。これはフライパンに直接当たっている部分が平たくなり、また色付きも良くなるからです。油の中で泳がしてチリチリの衣を付ける日本のてんぷらと違うところですね。両面がポメラニアン色になったらできあがりです。
おまけのアジ刺身と煮付け
卵が入っていたので
マツカサの頭を外した時に内臓の中に魚卵を見つけました。甘辛く煮つけるとご飯のおかずにもお酒のアテにもピッタリの一品ができますので、こいつは煮付けました。魚卵の上から醤油、酒、みりんをすべて大さじ1づつの「同割り」で合わせたものを掛け、小さじ1の砂糖とチューブの生姜BB弾1個分を鍋に入れ沸かします。落し蓋をして3分煮ればできあがりです。
アジはお刺身に
ここのところ釣りに行けていなかったので、とにかくお刺身が食べたくてアジ2種類はお刺身にしちゃいました。画像上がメアジ、下がギンガメアジです。ツマは大根、トッピングはミョウガです。夏のお刺身はミョウガでいただくと美味しいですよね。
コツは「両刃の剣」気を付けましょう!
今回裏ワザ(コツ)もいくつかまじえて説明して参りましたが、経験の無い裏ワザなどを使う時には気を付けましょう。例えば「すばやく油に投入」などでは油ハネで火傷をしたり、「指でウロコ剥ぎ」などは手指がズタズタ(画像)になることもあります。便利な分、何らかのリスクがあると思って下さい。ちなみに今回kuma10の負ったリスクはギターのアルペジオが弾けなくなりました。
味の決め手はタルタルソース!
本場のタラで作ったフィッシュアンドチップスが美味しいのは当然のこととして、マツカサのフィッシュアンドチップスはどうだったでしょうか?実はこれがバカうま!お刺身で食べるとけっこう上品な甘みのあるマツカサですが、塩胡椒で味付けされ熱を通されるとしっかりとした旨味がジュワッと口に広がります。そこへあっさり系のタルタルソースが旨味アシストをしてくれます。たっぷりのタルタルソースで召し上がってください!ちなみに嫁からも「グッド」をいただきました。
釣って食べるシリーズが気になった方はこちらもチェック!
いつもお世話になっております。「暮らし~の」、今年の初頭から始まった【連載】ですが、釣って食べるシリーズの中に今回使ったマツカサや近縁種のキントキの記事がありました。興味を持たれましたら、そちらも合わせてごらん下さい。
【連載】マツカサって食べられる?釣って食べるシリーズ!実はうまいんだ!
マツカサという魚をご存じですか。カッチカチの鎧を着たような真っ赤な魚です。夜釣りをしているとこのマツカサが時々掛かります。ただ釣れても料理方...
【連載】釣って食べるシリーズ!え、そっち?「ゴマヒレキントキ」美味い!
今回は桟橋夜釣りで釣れたものを料理していきます。獲物は「ゴマヒレキントキ」。キントキの仲間は何種類もいます。中には旨いと定評のある高級キント...