今回の獲物はこれだ!
どうです、美味しそうなヒラアジでしょ?さて、今回はこのアジを、ではなく、赤い方がメインになります。「え、そっちかーい」と思われる方も多いでしょう。実はこの赤い魚いろいろな釣りシーンに登場して参りますが、「リリース対象魚」に指定されているゴマヒレキントキと申します。キントキ界「最マズ」と噂されているキントキです。こいつを美味しく食べられれば釣り自体がもっと楽しくなるはずですので、今回はコイツに合った料理を作っていきます。
ゴマヒレキントキの釣り方
今回の釣り場「桟橋」
いろいろ釣行にも制限の掛かる昨今ですが、kuma10の住む島では夜8時を過ぎて出歩く人なんか最初からいません。どこまで行っても人の姿はありません。当然家から徒歩3分の桟橋もワンマンで釣りが楽しめます。常夜灯も点いて釣り心地抜群。屋根もあるので多少の雨ならしのげます。もちろん長所が短所になることもあります。それが「ロッドの取り回しの悪さ」です。屋根とその支柱の隙間を縫ってロッドを振らなければなりません。特に手返しの多いアジングの時は気を付けます。
今回の釣り方「アジング」
桟橋に行く時には大体「エギング・アジング・ライトショアジギング」の3種類の釣りができるように用意をしていきます。キントキ狙いの場合は白っぽいワームを使ったアジングが有効です。1.5gのアジングヘッドをなるべく遠投し、中層より下まで落とします。ロッドの先をふるふると震わせる「トゥイッチ」を入れながらゆっくり巻くとコンッとあたりますから軽く合わせます。トゥイッチが長くなると飲まれることが多いですが、確実にフックしますよ。
今回の釣り方基本情報
新月の大潮あとの小潮。満潮が午前2時40分から50分だったので家を午前1時に出発。この時間なら誰もいない(ほとんど24時間いないんだけど)だろうからいろいろ安心して釣りができる。潮の動く潮周りでは無いので、まずはエギングで底に居るモンゴウイカ狙い。叩いてこないのでアジング。キントキ2匹釣ったところでライズ。14gのジグに替えて遅めのワンピッチジャーク。ヒラアジゲットするもランディングネットにジグが絡み納竿。釣果3匹。
ゴマヒレキントキのさばき方①「下ごしらえ」
ヒレを落とす(コツ)
ゴマヒレに限らずキントキのウロコは細かく強い結束力を持っています。普通の魚のようにウロコが剥がれると思ったら大間違いです。そのためにかなり強めにウロコひきの行程をしなければなりません。魚のウロコひきはさばき方の中で一番怪我をする確率の高い行程です。その原因が「鋭いヒレ」の存在です。まずはヒレをハサミで落としてしまいましょう。これで安全にウロコ取りができます。
なるべくウロコを落とす
ゴマヒレキントキの体色がおかしいと思われた方はなかなか目の付け所がよろしい。この魚は本当にウロコがはがれにくいために、釣れたらすぐに一旦ウロコ剥ぎに取り掛かります。釣れたての方が剥ぎやすいですからね。でもこの程度しか剥がれません。煮魚で美味いことは分かっていますが、このウロコの処理が面倒なためあまり煮魚に向かない魚になってしまいます。ウロコがあろうが無かろうが皮を剥いていただくお刺身を基本とした食べ方をおすすめいたします。
ゴマヒレキントキのさばき方②「三枚おろし」
ケガをしないように(コツ)
キントキ類はとにかく皮が硬いので、包丁の刃が滑らないように気を付けましょう。首に縦に包丁を入れたら包丁の刃のとっかかりを付けるためにハサミでチョンと頭側に切れ込みを入れてから出刃を入れて行くと楽ですよ。背側と腹側に切り込みを入れたらシッポ側から出刃を入れ、骨沿いに滑らせます。シッポ側は最後に開きましょう。
こんな感じ
この形になったら腹骨を漉(す)き、皮を曳いていきます。シッポ側から包丁を入れてまな板に皮を押し付けながら曳きますが、キントキは皮が硬いので皮引きはらくちんです。ほとんど血合いが無いきれいな白身ですから、血合い骨が見つけにくいでしょうがこれもきれいに漉きましょう。柵に取ったら削ぎ切りのお刺身にしていきます。これで今回の料理の下ごしらえの終了です。さばき方自体はどのお魚でもおおむね変わりませんが、皮やウロコ、骨の付き方などでその都度さばき方を変えていきましょう。
今回は「ゴマヒレキントキカルパッチョ」
薄切りのお刺身を並べます(コツあり)
今回作って行く料理は「カルパッチョ」になります。これにはちょっとだけ理由がありまして、高級なチカメキントキのお刺身をいただいた時にスダチを絞って出されたことがありまして、「ああ、キントキには柑橘系なんだ」と盲目的に信じた14歳の春。それ以来キントキには酸っぱい味付けをほどこすようになりました。そこで今回のカルパッチョになるわけですが、お刺身をお皿に並べる前に半分にカットしたにんにくの切り口をお皿になすっておくひと工夫をしておきましょう。
カルパッチョレシピ
今回使用する調味料の紹介をします。①オリーブオイル大さじ2。②レモン汁大さじ1。③塩胡椒適宜。④お醤油小さじ1。⑤ねりわさび2㎝。となります。和風カルパッチョですね。
調味液作り(コツあり)
調味料を全部ボウルに入れ、泡だて器でシャカシャカします。これは簡単に言えば「マリネ液」作りです。コツは泡立てずに切るように混ぜ、とろりとさせ(乳化)ます。カルパッチョは後からオリーブオイルやレモン汁を掛けるやりかたもありますが、今回は付け合せを美味しくするためにマリネ液を作りました。
新タマの季節ですね
さてその付け合せですが、新玉ねぎの美味しい季節(この記事は2020年5月5日に書かれています)ということで、オニオンスライスを付け合せました。繊維に逆らって薄切りにした新玉ねぎをさっと水に放します。本当は水に晒さなくても甘いのですが、胃腸の弱い人にはアリシンが効きすぎてしまい胃痛を起こす場合がありますので、一応晒しましょう。
調味液と合わせてマリネします
玉ねぎをザルに揚げ、よく水を切ってキッチンペーパーで水気を拭いたらマリネ液に絡めます。玉ねぎの周りが少しとろりとしたらできあがりです。ここで味見をして薄いようでしたら塩か醤油を足します。
盛り付けます
マリネ液をお刺身に回しかけたら真ん中にマリネした新玉ねぎを乗せます。あ、もうお気づきだと思いますが、ヒラアジもお刺身に切ってカルパッチョにしています。食べ比べが楽しみです。最後に乾燥バジルを振りかけてできあがりです。
ゴマヒレキントキの地方名(ひどい!)
キントキの由来
キントキダイの仲間は数が多いのですが、それらはすべて「スズキ系スズキ亜目キントキダイ科」に入ります。キントキの名前の由来は足柄山の金太郎のモデルになった「坂田金時」から来ています。歌舞伎で坂田金時が演じられる時、その衣装が「赤」であることから、「キントキ」イコール「赤」になったと言われています。歌舞伎の演目としては「怪童丸」ですね。
島での呼び名
この魚は臭いと言われていて、その臭いが元になった名前が沖縄にはあると聞き及び調べてみましたが、あまりにひどい名前なのでしょう。どこにも書かれていませんでした。しかしKUMA10の住む場所にはきっちりとそのような名前が残っています。それが「ナンクスハーユー」です。ゴマヒレキントキには口臭があり、それがこの名前の元となっています。まったくひどい話ですよね。え、意味ですか?「ナン」は「お前」「ハーユー」は「赤い魚」、問題は真ん中の「クス」ですが、「ウ〇コ」のことです。
ゴマヒレキントキだって立派な食材!
今回ゴマヒレキントキを生食してみて思った事は、「不味くない」ということです。あまりに周りが「臭い」だの「不味い」だの言うので警戒しましたが、まず臭みはまったくありませんでした。身質はぷりぷりで歯ごたえがあり、上品な甘さも感じられました。旨味自体は薄いのですが、イコール不味さにつながるものではありません。新鮮なゴマヒレキントキを手に入れたら、ぜひお試しください。
キントキダイに興味を持たれた方はこちらもチェック
今回は近場で釣れるキントキの記事でしたが、深場でしか釣れない「美味しい」キントキもいます。「暮らし~の」の記事にも発見いたしました。本当に美味しいとされているキントキの釣り方などに興味を持たれた方はこちらも併読ください。

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