SCノットってなんだろう?
この結束方法はまだ歴史が浅く、開発から10年ほどしか経っていません。作ったのは新潟方面の釣り船の船長さんだと言われています。釣り船の「船上」は時合に当たると「戦場」になります。そんな時に強力なショックリーダーの結束を素早くする方法はないものかと試行錯誤されたのでしょう。基本の縛り方がとても簡単で、船上であわてていたとしても、組むのに3分も掛からないでしょう。それを今回1分以内で組めるように工夫したのが「キーホルダーノット」です。一応kuma10オリジナルですが、類似品は山ほどあります。
SCノットの基本
摩擦系ノット
PEラインとショックリーダーの結束方法は大きく分けて「摩擦ホールド系」と「結び目ホールド系」の2種類になります。SCノットは摩擦系のノットで、ドラグチェッカーでは100パーセントの強度を誇ります。これは二重にしたPEラインをさらに折り返すことで実質四重に編んでいるからでしょう。編み方の基本はPEラインをまずは折り返して二重にするところからです。用意としては、PEラインのクロスしたところにショックリーダーを沿わせますが、慣れるまではPEラインもリーダーも長めに取りましょう。
絞りは慎重に
SCノット、ちょっと練習したら良い感じ。締め込みをしっかりしないとダメやね。リーダーの端を口に加えて本線をゆっくり引いていけばしっかり締まる。PE0.6にフロロ10ポンドで25回で抜けない。 pic.twitter.com/Av9uOGNEcG
— バンビ (@accuge) August 21, 2018
摩擦系ノットで気を付けなければならないところは、「きちんと絞る」ことです。必ず「ライン締め液(ツバ)」をたっぷりと付け、ゆっくりと締めて行きます。これを怠ると、締める時の摩擦でラインが切れてしまったりします。最悪は傷が付いたことに気が付かずに実釣に使用してしまうことです。自分の手落ちでラインブレイクしても誰にもあたれないのはつらいですよ。
SCノットを簡単に①「キーホルダーを使う」
道具を使う
まずはPEラインを20㎝ほど折り返してください。そこにショックリーダーを沿わせます。ショックリーダーの端糸は5㎝ほど出しておきます。ここで登場するのが「キーホルダー」です。これ実は登山などで使う「カラビナ」でやる方法が一般的で、世間的にはすでに「カラビナノット」という名称で実践されています。つまり私の方が「類似品」なのですが、実際にノットを編むだけの目的でカラビナを用意するのは不経済だと思うんですね。タックルボックスに用意しておくのもムダが多い気がしますし。であれば普段使いしているキーホルダーが適材ではないでしょうか。
しっかりと押さえる
これはナイロン3号のショックリーダーにPE1号の本線を巻くところです。巻く時のコツは、とにかくPEラインの二重になっているところとリーダーの重なっているところ(画像の親指位置)にギュッと力を入れること。PEラインはとても滑りやすい材質ですので、キーホルダーの回転に耐えられるよう持ちましょう。あ、あと注意事項が一つ。普段使いのキーホルダーを使う時は、必ず自宅キーやカーキーは外してから使いましょう。押さえたつもりでグルンと回した瞬間すっぽ抜けてキーホルダーが海中へドボン、なんてことにならないように気を付けましょう。
巻き数はラインの太さに応じて
この結束の良い所は、「ラインの太さに関係なく使える」ところです。それこそ0.4号のPEラインでも5号のPEラインでもまったく同じように編めます。気を付けるのはキーホルダー(カラビナ)の回転数だけです。細めのラインの場合は多めに巻きましょう。目安はPEライン1号で30回前後、3号で20回前後、あとは太さに比例して増やしたり減らしたりしてください。
SCノットを簡単に②「自然に編める」
リーダーの端糸をPEに通す
さて、くるりんぱと回転させてショックリーダーにPEラインを巻きつけたら、次はいよいよ編み込みです。ショックリーダーの端糸を5㎝ほど残しておきましたね?それをキーホルダーを引っ掛けた穴に通します。ですからここでの注意事項はキーホルダーを掛ける穴を「巻き切らない」ことです。目安を作るなら、巻いた長さの半分位の長さの輪を残しておくのが一つの目安になります。
端糸を咥える
キーホルダーを通していた輪の中にショックリーダーの端糸を通したら、それを歯で咥えます。一旦仮留めをするために、7割程度まで締めましょう。締め方は、端糸、リーダー、PEライン本線でYの字を作り、PEライン本線とリーダーを軽くしごくように締めて行きます。
SCノットを簡単に③「最速最強」
三方向に引き締める
7割程度締ったら結束部を濡らし、本締めに入ります。今度は三方向のラインをいろいろな角度と力で締めて行きましょう。締め込むメインは「本線とリーダー」です。仮締めの時と違い、PEライン本線の端糸と共に三方向に引きます。最後に本線ラインとリーダーをギュッと引っ張って確実に止まっていることを確認したら実は結束自体はこれで完成です。文章で書くと長いですが、ここまで30秒ほどしかかかっていません。
留め結びでフィニッシュ
PEライン本線とリーダーを引っ張ってみて強度に問題が無さそうなら、リーダーの端糸を2mmほど残してカットします。カットして余った部分をライターの「遠火」で炙り、玉を作ります。これでほとんど抜ける心配が無くなりましたが、できればPEラインの端糸を本線にハーフヒッチしましょう。回数は前通しと後ろ通しを交互に2回づつもすれば充分です。最後は留め結び(エンドノット)で締めましょう。ここまでやれば完璧ですが、約2分の行程です。
焼玉留めが分かる画像
ショックリーダーの端糸をライターで炙って焼玉留めしてあるのが分かる画像です。焼きコブを作ったら必ずハーフヒッチを何回かして、「焼きコブが本線に干渉しなくなるまで」巻きましょう。コブの擦り切れでリーダーを失うことは結構ありますから、ここはギュッと詰めて巻きます。
オーソドックススタイル
急なラインブレイクに
磯釣りでランガンなどをしていてタックルボックスとの距離があったり、巻きつける道具を持っていなかったりということはあると思います。そのためにキーホルダーを使わずに手指だけで編む方法も説明しておきますね。SCノットはもともと船上であっという間に結束させるために釣り船の船長が考え出したノットですので、オーソドックススタイルもそんなに難しくはありません。ちなみにSCノットの「SC」は「ショックアブソーブド・キャプテンノット」の略です。
SCノットを動画で確認
結局は同じことをするのですが、キーホルダーやカラビナを使う理由は3つの利点があるからです。まずは30回とか40回巻く時の手間が省けますね。次に、巻くために「重力」を使いますから、きっちりときつく巻けます。手指では押さえながらでなければなかなか硬くは編めませんからね。そして最後に、「二重巻きになりにくい」という利点があります。指で緩く巻くと、時々締めなければ緩んだ部分が重なることがあります。これはノットでは絶対タブーです。キーホルダーノットではほとんど重なることはありません。
キーホルダーノットで差を付けろ!
船上や釣り場でラインブレイクした時に、さっとキーホルダーやカラビナなどをポケットから取り出し、くるくるっと巻いてすぐに次の釣りに向かう。それ自体が効率的でカッコイイのですが、きっとこのノットを釣り仲間が目の当りにしたら「教えてくれ」と言われることは必至です。釣果を上げつつ釣り場のヒーローになるためにも覚えておいて損の無い結束方法です。がんばって覚えましょう!
いろいろなノットが気になった方はこちらもチェック!
今回簡単で強力(最強の呼び声も)なSCノットのキーホルダーを使った編み方をご紹介させていただきましたが、釣りをする方はそれぞれ自分の信頼するノットを持っているものです。「暮らし~の」の情報には釣り用ノットの詳しい記事がたくさん掲載されています。いろいろなノットに興味を持たれた方は下記に併載しておきますので、ぜひご覧ください。ご自分の釣りスタイルに合ったノットを探すのも楽しいですよ。
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