スイフヨウとは
習性がそのまま名前に
フヨウは、日本、中国、台湾に分布するアオイ科の低木「フヨウ」の品種です。日本では室町時代にはすでに栽培されている記録が残っています。そして、芙蓉の中で午前と午後で花の色が変わってしまう品種がスイフヨウ(酔芙蓉)なのです。花は大輪で、朝は白い色をしていますがお昼ごろから徐々に色づきはじめ、夕方にはピンク色に染まっていきます。その習性をお酒に酔って顔が赤くなった様子にたとえて酔芙蓉と呼ばれるようになりました。
スイフヨウは日本の風土に合う植物
日本は土壌が酸性寄りで、降雨(弱酸性)量も多く土中のアルカリ成分がさらに流され、より酸性土壌に傾いていますが、スイフヨウは適正土壌酸度の値も日本の土地に適応した弱酸性で日本の風土にピッタリの育てやすい植物です。耐暑性もあり、開花の時期は普通のフヨウよりも長く、真夏の時期から秋まできれいな花を咲かせてくれます。しかし寒さにはあまり強くありません。また同じスイフヨウでも「水芙蓉」は「ハス」の花のことをいいますので間違えないようにしましょう。
基本情報
科名:アオイ科
属名:フヨウ属
学名:Hibiscus mutabilis f. vercicolor
英名:Cotton rose
和名・別名:酔芙蓉(スイフヨウ)
原産地:中国、台湾、日本(四国、九州、沖縄)
スイフヨウの育て方:特徴
スイフヨウはアオイ科の低木ですが、それでも背丈は3mくらいと結構高くなります。花は八重咲きで、まれに一重咲もあり、夏に花が咲き、冬は葉が落ちる落葉樹です。芙蓉よりも寒さに弱く、冬は関東から西の地域では戸外の霜の当たらない場所で管理すれば越冬が可能です。
花の特徴
学名のmutabilisは「変わりやすい」、vercicolorは「色が変化する」という意味がありますが、真夏の時期にスイフヨウが咲くと徐々にピンク色に変化し、一本の木に白い花とピンクの花がたくさん咲いているように見えます。この色の変化はアントシアニンによるものです。また一日花で、花はその日のうちにしぼんでしまいます。
葉と枝の特徴
葉は手のひらのようで、浅く3裂から7裂し、一つの節に1枚ずつ互い違いに付きます。枝は枝分かれしてこんもりと茂り、暑さに強く丈夫で育てやすい樹木です。
スイフヨウの育て方:栽培の方法
丈夫で育てやすい植物ですが上手に栽培するためのポイントがあります。見ていきましょう。
栽培の方法1:日当たりのいい場所で
スイフヨウの栽培環境として日当たりを好みます。暖かい地方ではそれほど問題ありませんが、普通のフヨウよりも寒さに弱いため、それ以外の地域では冬の時期には寒風が当たらない場所に植え付けます。
栽培の方法2:用土
弱酸性の土を好むスイフヨウは日本の土壌に合っていて、暑さに強く育てやすいのですが、夏の乾燥には弱いので保水性のある、水はけのいい肥沃な用土での栽培が適しています。
栽培の方法3:苗植え(地植え)
苗植えの適期は3月下旬から5月上旬です。庭への苗植えの場合、根鉢より一回り大きな穴を掘り、用土に腐葉土や完熟堆肥を十分混ぜ込んで苗植えをします。苗についている土はそのまま、根もほぐさないで植えますが、苗植えの際、深植えしすぎないように気をつけます。地植えにすると生育が早く幹が太くなるので、成長した時をイメージして、苗植えの場所を考えることをお勧めします。
栽培の方法4:鉢植えについて
スイフヨウは生育旺盛で株が大きくなりますので、鉢植えでの育て方は管理が難しく、鉢植えには向かない植物ですが、鉢での育て方をしたい場合は、できるだけ大きめの鉢に苗植えし、2~3年ごとに鉢の植え替えが必要。用土は市販の花の培養土に腐葉土や堆肥を混ぜた後、川砂を1割ほど混ぜ合わせます。作業時期は春先が適しています。
スイフヨウの育て方:管理
スイフヨウの育て方:水やり
地植えの場合は植え替えした後にたっぷりと水やりをしますが、それ以外は特に水やりの必要はなく、降雨のみで大丈夫です。真夏に日照りなどが長く続く場合は、水やりをしてください。鉢植えの場合は、植え替え時にしっかりと水やりをし、根鉢と土を馴染ませます。あとは土が乾いたらたっぷりと与えますが、水のやりすぎには注意しましょう。またスイフヨウは夏の乾燥には弱いので夏は逆に水を切らさないよう注意が必要です。
スイフヨウの育て方:肥料
スイフヨウの育て方として、一般的に植物は夏越し中などバテている時は肥料を施さないのですが、スイフヨウの場合は夏にも肥料を与えます。4月〜5月の成長期の他に、さらに6月から9月頃までの開花の時期に数回に分けて追肥すると花をたくさん咲かせます。また落葉期の12月~1月の間に、寒肥として固形の油粕などの有機肥料を株元に施します。
スイフヨウの育て方:越冬
寒さにあまり強くないスイフヨウは、冬は休眠の時期です。関東以西の暖かい地域であればそのまま戸外で越冬しても大丈夫ですが、寒冷地では、葉が落ちたら根元から20㎝~30cmほどにカットし、根元をビニールなどでマルチングをしたり、ワラを被せるなどして防寒対策をしてあげると来春また芽吹いてきます。
スイフヨウの育て方:増やし方その1.挿し木①
スイフヨウは主に八重咲で、種子ができづらいですが、そのかわり、挿し木での成功率がとても高く、真夏を除く春から秋に、挿し木による増やし方ができます。挿し木に適した時期は3月~4月で、芽が出る前の前年の枝を使用します。5月~6月、9月~10月にも挿し木による増やし方ができ、この場合はその年に伸びた枝を使って挿し木を行います。それぞれの挿し木の方法を見ていきましょう。
前年の枝を利用する増やし方
3月~4月頃、前の年に出てきた枝を15~20㎝程度の長さに切り、上の葉を4~6枚程度残して水揚げをします。用土は小粒の赤玉土や鹿沼土、または市販の挿し木や種まき用の土でもかまいませんが、肥料の入っていない土を使用します。肥料が入っていると雑菌が繁殖しやすいためです。挿し木ができたら日陰で管理し、水を切らさないようにします。庭にじかに挿し木をしてもかまいませんが、最初は大き目の育苗ポットか鉢へ挿すことで管理がしやすいでしょう。
スイフヨウの育て方:増やし方その2.挿し木②
剪定した新芽の付いた枝での増やし方
秋になり、葉っぱが落ち始めたときに剪定します。剪定の後新芽がついた枝を選び、25cm~30cmほどにカットし、ビニール袋に入れて土に埋めておきます。 土の中に埋めるのは剪定した枝が凍らないためと、ある程度の水分がある状態を維持するためです。
挿し木の方法
春になったら、剪定して埋めた木を掘り出し、木の根元の方を確認し切り口を5㎝ほどカットします。25cm~30cmだった木は20cm~25cmくらいになります。その新しい切り口を土に挿して、枝の半分ほど埋めます。 用土は培養土でもいいですが、できれば肥料が入っていない土にします。挿し木の後は乾燥しないように水やりをして管理します。1ヶ月ほどで発根します。
植え替えの方法
順調に生育し葉っぱが3枚~4枚になったら、鉢への植え替えや庭への苗植えをします。剪定した枝を最初から庭の土に挿し木してもいいのですが、アオイ科植物は移植を嫌い、一度植えてしまうと植え替えが困難な植物なので、まずは鉢で株を作ってから、どこに植え替えをするかを考えて、ずっと育てられる場所に苗植えするのがよいでしょう。
スイフヨウの育て方:増やし方その3.種まき
スイフヨウの花は基本的には八重咲です。その美しい八重の花びらは雄しべを改良して作られたため、八重咲のスイフヨウは雄しべ、雌しべとも未発達なことが多く、なかなか実を結びません。その結果種もできにくいのです。しかし希少ですが一重のスイフヨウもあり、花が終わったあとは実を結び、種も採種できますので種まきでの増やし方ができます。
種まきでの増やし方手順
種まき手順1
種まきの時期は10月~11月が適期です。実から種まき用の種を取り出し、水洗いしたあと一晩水に浸けておきます。翌日に水からあげ、発芽しやすくするために種の表面に、軽く傷をつけておきましょう。土は種まき用の育苗箱などにピートモと小粒の赤玉土を混ぜたものを用意します。
種まき手順2
用意した種まき用の土に割りばしなどで軽くスジを入れ、その溝へ間隔をあけて種を蒔き、種の上から土を振りかける程度に軽く被せます。乾燥させないように注意しながら明るい日陰で管理し、発芽したら、弱い苗を間引き、本葉が4~5枚になったら、育苗ポットへ。10~20cmほどに育ったら育苗ポットから、鉢や地面に植え替えましょう。
スイフヨウの育て方:剪定方法
スイフヨウはアオイ科の低木ですが、それでも樹高は最大3mくらいになり枝はよく分枝してこんもりと茂ります。あまり大きくしたくない場合は剪定して整えてあげましょう。
剪定の時期と方法
フヨウの花芽は春に伸びた枝に作られるので剪定の時期は落葉期の11~3月が適期です。重なり合っている枝や伸びすぎている枝などを根元から剪定することにより株の中まで日光が差し込み、花付きがぐんと良くなります。また風通しも良くなり病害虫の予防にもなります。丈夫な性質で年々大きく成長しますのでコンパクトに育てたい場合は、先端の細い枝を切り詰め、樹形全体を小さく整えられます。萌芽力が強いので強剪定でも大丈夫ですよ。
寒冷地での剪定
寒冷地でなど冬に霜が降りる地域では12月頃に高さ20㎝程度までバッサリと切り戻します。この方法で春に地面から新しい芽が出てきます。剪定が済んだら、株元をワラや腐葉土なで厚く覆って防寒してあげます。
スイフヨウの育て方:病気や害虫
スイフヨウには特に罹りやすい病気はありませんが、その反面害虫からの被害は結構多くあります。害虫の種類や対策などを見ていきましょう。
害虫:フタトヤリコヤガ
フタトヤリコヤガという害虫は体長35〜40mmほどで、緑色の体に黄色の縦線と黒斑点が特徴のシャクトリムシのように歩く毛虫状の幼虫です。(若齢幼虫は全身緑色) 毒はありませんが、葉を食害し葉脈も残さないくらい葉を食べつくすこともあります。必ず葉の表にいて目立つので、見つけしだい駆除し害虫の密度を減らすことが有効です。
害虫:ハマキムシ
ハマキムシは、糸を吐いて、くるくるっと葉を丸めて中に隠れる習性から付いた名前です。この害虫は卵からイモムシ(幼虫)、サナギ、成虫の順で、成長し、イモムシの状態のときに丸めた葉の中に潜み、葉やつぼみ、芽などを食害し、植物に害を与えます。葉を巻いて中に隠れてしまうと、薬剤が効きにくくなるので巻いてある葉を見つけ次第摘み取って処分します。また生まれたての幼虫は葉の裏に棲みついているので薬剤の散布はこの時期に行うのが効果的です。
害虫:カミキリムシ
カミキリムシは木に穴をあけるため、テッポウムシと呼ばれることもあります。枝や幹の中を食害し、中に卵を産み付ける害虫です。そのため木は弱り、枝が枯れたり、樹木そのものが枯れたりします。穴が見つかり、その下を見ると木くずのようなものがあったら幼虫が棲みついている可能性があります。殺虫剤を注入するか、針金のような細いもので幼虫を刺すなどして駆除して下さい。
まとめ
ここまでスイフヨウについてお話してきました。時間の経過とともに花色が変わる八重の花びらをゆっくり眺められたら命の洗濯ができそうですね。スイフヨウの花が赤く変化するのはアントシアニンの、抗酸化物質としての働きがあるためで、紫外線のダメージから花を守っているのです。夏に咲く花や、赤道直下の植物に鮮やかな赤が多く見られるのもアントシアニンの影響があるからなのです。スイフヨウの育て方は難しくありませんのでぜひ挿し木で育てて花の色を楽しんでみたはいかがでしょう。
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