自転車防犯登録の解除には手続きが必要
日常生活で自転車は買い物やサイクリングの際、非常に便利な乗り物です。特に近年では健康維持や運動不足の解消にうってつけの道具として注目が集まっています。ところで自転車には地元警察名が入った防犯登録シールを貼るのが一般的です。そして防犯登録は廃棄や譲り渡しの際に解除します。自転車の防犯登録を解除するやり方や申請をご紹介いたしましょう。
正式には「防犯登録抹消手続き」
まず防犯登録の取り消しは、正式には「防犯登録抹消手続き」と呼ばれます。紛失や盗難を防ぐために、警察をはじめ公的機関が管理する防犯用の番号を取り消してもらうのが目的です。またこれは、自転車関係で届け出た情報で何らかの変更が起きたときに行われます。買い替えなどのタイミングに備えて、その内容を知っておくことは重要です。
そもそも自転車の防犯登録とはどんなもの
防犯登録は、自転車を買う際に説明を受けるのがごく日常的な風景といえます。ただあまりにも何気なく一般的に行われるため、何の目的で存在するのかがよくわからない方もいるでしょう。防犯登録がいったい何のためのものなのかを見ていきます。あらためて理解することで、日頃から盗まれないように意識できるでしょう。
自転車の防犯登録は義務
実は防犯登録は、法律で義務付けられています。具体的には自転車法12条に明記してあるもので、窃盗や紛失を未然に防ぐのが目的です。このため自転車を買ったときは、必ずといってよいほど申請を行い、合わせてシールを貼ることになります。登録を怠った場合の罰則は明記されてないものの、車体を狙った窃盗への対策になるため、なるべく登録しておくのがよいでしょう。
路上で警察が確認することも
日常生活で利用するケースが非常に多い一方、自転車を狙った犯罪の件数も多いです。ちょっと目を離したすきに勝手に持っていかれるケースが頻繁にあります。
このような事情から、警察もパトロールの一環で防犯登録の確認を行うことが多いです。チェックしたときに番号がなければ、どこかで盗んだものと疑われるでしょう。身に覚えのない疑いをかけられないようにする意味でも防犯登録は不可欠な存在です。
自転車防犯登録の解除を行うべきタイミング
具体的な解除の申請に適切なタイミングはいつなのでしょうか。タイミングには、以下の3つが主に挙げられます。自転車を他人に譲ったり転居したりする機会は人生の中で割と多いため、解除すべきタイミングはぜひ知っておくのが賢明です。
ケース①:自転車を誰かに譲渡するとき
まず自転車を別の人に譲り渡す場合、現在の持ち主が一度解除し、次の持ち主があらためて申請を行います。個人が所有する場合は、1台で1つのナンバーが与えられるためです。また所有者の氏名や住所などの個人情報との紐づけによって、窃盗を防ぐ意味で所有者をしっかり把握できるようになります。このような理由があるからこそ、譲り渡すたびに届け出が欠かせません。
ケース②:自転車を廃棄する場合
自転車を処分してもらうケースでも取り消しは義務です。これは業者に廃棄してもらう前に悪用され、結果的に元の所有者が容疑者として疑いを受けることを防ぐ目的があります。廃棄処分の結果が冤罪になればあまりにも不幸といえるでしょう。警察による疑いや取り調べを避ける意味でも、廃棄の際は忘れずに申し出ておくべきでしょう。
ケース③:引っ越した場合
さらに引っ越すときも申請が不可欠です。自転車の防犯登録は県単位で管理するとともに、他県で使えないようになっています。つまり他県に転居し住所が変更になったときは、新住所のある県であらためて新しい番号をもらう手順です。例えば東京都から千葉県に引っ越す際は一旦削除し、転居先の千葉県であらためて登録します。
一定年数以上経過している場合は解除は不要
自転車の防犯登録は、申請から一定以上の年数が経過していれば取り消さなくてよいです。一定の有効期間が設けてあることから、期限を過ぎていればわざわざ申し出る必要がありません。ただ盗みや紛失に遭うようなケースに備える意味でも、再登録の申請は行うべきでしょう。
地域により有効期間はさまざま
なお有効期間は県ごとに異なります。例えば茨城県や埼玉県であれば8年、東京都や北海道であれば10年、福井県で7年というようにさまざまです。また県により無期限というところもあります。ちなみに有効期限が過ぎているのであれば、あらためて登録の申請がおすすめです。
自転車の防犯登録はどこで解除できるのか
ここからは具体的に登録を取り消す手順を見ていきます。最初にどこで申請が可能なのかを知ることが大切です。防犯登録を随時受け付ける自転車店やお住まいのエリアから近い警察署・交番で行えます。ただし県によっては交番や駐在所ではできないケースもあるため、実際の申請前にチェックが必要です。
防犯番号を登録できる自転車店
まず防犯登録の申請を受け付ける自転車店が代表的です。基本的に地元警察から指定を受けたところでできるため、街中の自転車専門店やホームセンターであれば番号を解除できます。最もわかりやすいのが、日頃行きつけの自転車店でしょう。スタッフに事情を話して申し出るのがおすすめです。
最寄りの警察署や交番
ほかにも自身がお住まいのエリア最寄りの警察署や交番でも登録解除できます。署であれば生活安全課の窓口でできるほか、署内に自転車防犯協会があればそちらで申請するのが便利です。もし署が遠くても近くに交番や駐在所があれば、警察官が立ち会える状態であれば申請ができます。
自転車防犯登録を解除する際に必要なもの
登録の取り消しには携えるべき持ち物が数点あります。防犯番号は個人情報と紐づいているため、以下に挙げる持ち物は欠かせません。持っていくべきものとして、登録を削除してもらう自転車の本体と防犯登録カードの控え、持ち主を証明する身分証が挙げられます。
防犯登録を抹消してもらう自転車
最初に登録を取り消してもらう自転車が必要です。車体番号が登録されている防犯番号と紐づいているため、これがなければ手続きを進められません。加えてシールも外し、間違いなく抹消した証明とするため、なおさら自分で自転車をこいだり運んだりすることになります。
発行してもらった防犯登録カードの控え
買ったときに発行された防犯登録カードの控えも同じく必要になります。防犯番号が車体番号や持ち主の個人情報と記載されているため、抹消の際に必ず確認されます。なお控えは抹消以外にも、盗難に遭ったときの照会でも役立つため、紛失しないようにわかる場所に保管しておくことが大切です。
身分証
さらに持ち主を示す身分証の持参も大切です。具体的には運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード、学生証などが当てはまります。自転車店などで申請者が持ち主であるかどうかを照らし合わせるため、いずれか1枚を忘れずに持っていくように心がけるべきです。
防犯登録カードの控えを紛失した場合は
登録抹消の際、防犯登録カードの控えは特に重要といえます。ただ発行されてから家で保管するうち、どこにしまっておいたのかすら忘れる方もいるでしょう。このため、控えが見つからなかったり紛失したりして困るケースがあります。実は控えを紛失しても、代わりに使える手段があります。
解除する自転車の保証書や領収証でもよい
控えがすぐに見つからないのであれば、代わりに保証書や領収証を持っていくのがよいでしょう。ポイントは自転車の車体番号が記載してある点で、これを店舗にある控えと照らし合わせれば、普通のやり方と同じようにスムーズに進められます。
自転車商防犯協会で手続きする方法も
上記以外にも、各県の自転車商防犯協会にて決められた届け出を行う方法も1つの手です。決まった書式の「抹消・廃車届け」に記入・提出すれば、自転車を扱う店舗で行うものと同じようなやり方で抹消できます。もちろん、協会や警察で保管してある登録データも抹消される流れです。
自転車防犯登録の解除を代理で行う場合は
持ち主自身が仕事などで時間が取れない場合、ほかの人に届け出てもらいたいと思うでしょう。もし持ち主ではなく代理人が申請するときは、どのような方法で行うのでしょうか。実は代理で削除してもらう場合は、家族であれば問題ありません。
持ち主の家族に限って代理人になれる
持ち主が出向けないときは、その家族に限り代わりに申請できます。家族が代わりに届け出るのであれば、上記の持ち物以外にも持ち主が作成した委任状が必要です。加えて代理人は、持ち主との続柄を証明するものを持参します。ただ原則として、持ち主自身でなければ申請ができない仕組みのため、極力代理人を立てずに持ち主が自分で出向くべきでしょう。
放置自転車の防犯登録を解除する方法とは
一昔前から駅前や公道に自転車を止めっぱなしで立ち去る「放置自転車問題」。定期的に役所の手によって回収され、特定の区域で保管されます。この放置自転車も私有地に放置すれば、防犯登録の解除を考えることになるでしょう。放置自転車の防犯登録をどのように解除すればよいのかを見ていきます。
盗難で紛失した自転車かどうかの確認が必要
まず私有地に放置されている場合、登録番号を確認のうえで最寄りの警察署に照会すべきです。窃盗で紛失し被害届が出ていることもあります。つまり盗難車にもかかわらず無断で廃棄すると、逆に罪に問われる可能性が出てくるでしょう。このため最初に警察に被害届が出ていないかどうかの確認が重要です。
自治体や専門業者に放置自転車の廃棄を依頼
警察に確認した結果、被害届がなければ自治体や専門業者に依頼・処分してもらいます。自治体は公道に放置された場合のみに対応するものの、無料で引き取る点がメリットです。一方業者についてはある程度費用を求められるものの、放置されたところが私有地であっても処分してもらえます。
自ら放置自転車を廃棄するのも1つの方法
自分自身の手で廃棄するのも1つの方法です。まず、2週間や1ヶ月などと期間を定めて警告します。期間中に持ち主が名乗り出てくれば放置自転車を返すだけで事足りるでしょう。警告期間が過ぎても誰も名乗り出ないときは、予定通り廃棄する流れとなります。なおケースによっては民事訴訟につながることもあるものの、事前に登録番号を控えるなど証拠を残せば対策として十分です。
解除手続き後に発行される譲渡証明書とは
自転車の防犯登録を解除した後、譲渡証明書を発行します。この証明書は、自転車を他人に譲った旨を書面の形で証明するものです。いわば持ち主が変更になったことを示すため、自転車の新しい持ち主が正式な手続きを通じて自転車をもらったことを証明するうえで欠かせません。そしてこの譲渡証明書は、元の持ち主が申請に合わせて作成する必要があります。
譲渡証明書は自由に発行できる
譲渡証明書の作成は自由にできるものです。このため必要な項目さえあれば、手書きやパソコンソフトで簡単に作成できます。譲渡証明書を発行に必要な項目は、「譲渡証明書」の題目と譲った相手の名前・住所、さらに「譲った年月日に間違いなく譲渡した」旨を示す文言です。加えてその下に前の持ち主の名前・住所・電話番号・防犯登録番号を記し、最後に印鑑を押します。
自転車商防犯協会によってダウンロード可能
なお都道府県の自転車商防犯協会によっては、公式サイトに書式が載せられているため、ダウンロードとプリントアウトで簡単に作成できます。書式に悩んだり1から作成したりする手間が省けるため、可能な限りダウンロードして発行するとよいでしょう。主に東京都をはじめ一部の地域でダウンロードできるようになっています。
もし自転車をもらった場合は再登録も必要
自転車を他人から譲り受けた場合は、防犯登録のし直しが欠かせません。抹消し終わった自転車をそのままの状態で乗るのはリスクが伴うためです。同時に譲られた場合は、前の持ち主から譲渡証明書を必ずもらいます。実は登録し直す際は譲渡証明書も欠かせないためです。
場所は自転車店のみ
再登録の場合は、受け付ける場所が自転車店だけという点に注意を要します。抹消の手続きとは異なり警察署や交番・駐在所は利用できません。このため、近所にある自転車店やホームセンターの自転車売り場で登録を行います。
再登録の際に持参するものとは
再登録の際も持参すべきものがいくつかあります。まずは再登録対象の自転車や持ち主本人を確認できる身分証です。また前の持ち主が発行した譲渡証明書も一緒に持ちます。さらに再登録では登録手数料も必要です。手数料は地域によって金額が異なり、500円のところや700円のところなどがあります。なお消費税は発生しません。
自転車の解除手続きが放置されていたら?
前の持ち主が解除を行わず放置した場合はどうなるのでしょうか。この点についてはタイミングにもよるものの、すでにもらった人の手元に自転車があれば、新しい持ち主が申請を行うことになります。この際に新しい持ち主が前の持ち主とやり取りすることが欠かせません。
もらった人が解除手続きすることに
譲られた人が自転車の登録抹消を行う場合、まずは前の持ち主に防犯登録カードの控えを送ってもらうべきです。手続きを行うのが新しい持ち主であっても、控えがなければ何も進められません。このとき譲渡証明書も一緒に送ってもらえば、新しい登録番号を付けられ手間が省けます。ただ新しい持ち主が行うよりも、譲り渡した側が行うのが理想形です。手元に届く前に念を押しておくとよいでしょう。
もし自転車防犯番号を解除し忘れると?
防犯登録の解除し忘れたまま別の人に自転車を譲ると、どのようなことになるのでしょうか。もし忘れると、自転車を譲った側も譲ってもらった側も場合によっては、警察から取り調べを受けるといった不利益を被ることがあります。
もらった自転車で悪用されるケースも
もし解除を忘れると、自転車をもらった側が犯罪に悪用するケースもあります。具体的には譲った人がひったくりなどの犯罪に利用する場合や、回収される前になくなる場合などです。このようなケースでは警察の取り調べによって、犯罪に使われた自転車の所有者として容疑をかけられることもあります。あらぬ疑いを避けるためにも、解除を忘れないようにするべきです。
もらった人が窃盗の容疑者になることがある
またそのまま自転車を譲ると、何も知らずに使っているもらった側が窃盗の容疑者として扱われることがあります。仮に路上で警察から番号を見せるように言われた際、元の持ち主が持っていた番号のものであった場合は盗まれた車両とみなすためです。もらった側が迷惑を蒙らないように、きちんと解除し証明書を発行しておくべきでしょう。
自転車防犯登録では変更が必要な手続きも
防犯登録については引っ越しなどの際に行う解除以外にも、個人情報が変更になったときに行う手続きも重要です。具体的にどのような個人情報が変更になった時に必要なのかを知っておくと、いろいろと便利でしょう。主に住所や電話番号が変更になったときと、結婚などで姓が変わったときがあります。
住所や電話番号が変更になった場合
住所や電話番号が変更になるケースは、同じ県内や市内での引っ越しや携帯電話の機種変更などいろいろあり得ることです。もし何らかの理由でこれらの情報が変更になった場合は、そのたびに最寄りの自転車店で変更手続きを行います。この申請を怠ると、何かあった場合の連絡でかなりの手間がかかってしまったり注意を受けたりするため、忘れないで行うべきです。
結婚などで姓が変わった場合も変更手続き
また結婚を契機に姓が変わった場合も、変更が必要です。結婚や離婚では、姓に加えて住所や電話番号が変更になるケースも多く見られます。名前・住所・電話番号はいずれも登録番号と密接に紐づくものであるため、姓が変わったときも忘れずに申請が大切です。
まとめ
自転車の防犯登録は、紛失や窃盗に遭ったときなどに備えるために行うものです。そして自転車の廃棄や譲渡を行うときも、忘れずに番号の解除手続きが必要になります。もし忘れると容疑者とみなされるケースもあるため、注意すべきです。
自転車の盗難対策についてはこちら
防犯登録をしていても、日常生活で使用する機会が多い分、盗難や紛失に遭うリスクもあります。だからこそ日頃から自転車の紛失といったトラブルへの対策を自分で立てておくことが大切です。以下にご紹介する記事では、自転車にある番号や盗難保険についてご紹介しております。何かあった場合に備えて、ご一読してみてはどうでしょうか。
自転車の車体番号はどこ?番号の意味や製造番号や防犯登録の位置をご紹介!
普段まったく意識しないけれど意外と大切なのが、どんな自転車にも縁のある車体番号です。この番号、いったいどこにあるのか、そして意味などはまるで...
自転車のおすすめ盗難保険を比較!盗まれたときの補償金額や条件などを解説!
自転車の販売台数は年々増加傾向にありますが、悲しいことに盗難車の数も増えています。大事な愛車を盗まれて大損しないためにも、これからの時代は自...