育て方が気になるアサザとは
ミツガシワ科アサザ属の浮葉性植物
池の水面を眺めれば、優雅にまん丸な葉っぱを浮かばせているアサザ。このとても魅力的な植物は、ミツガシワ科アサザ属の種類です。自然の湖沼や公園でも見かけられるこの特殊な浮葉性植物は育て方を知れば、自宅で栽培することもさほど難しくはありません。
万葉の時代を偲ばせる存在
いにしえに奈良の都が賑わった時代より以前から、アサザはずっと日本で親しまれた植物でした。屋外の環境だけでなく、「万葉集」という古典からもアサザが見つかります。独特な葉っぱや花の風貌が好まれ、幾多の和歌によまれてきました。育て方を実践すれば、万葉人に思いを馳せられる植物です。
アサザの名前
浅沙・阿佐佐の由来
アサザ(浅沙)の名前の由来を調べたら、浅い水辺に生えるところから 「浅く咲く」からきている。また、「朝早く咲く」から「朝咲」、「あさざ」と転訛した説もある。この名前は平安時代から呼ばれていたそうです…
— のびひよ (@yonobihi) September 29, 2019
漢字にしてみれば、浅沙や阿佐佐となるのがアサザ。この奇妙な名前の由来は、水中に息づくアサザの生態が由来しています。水の浅いところに咲くので浅咲→浅沙になった説もあるし、あるいは朝早くに咲くので朝咲から浅沙になった説も。育て方を学ぶと、どちらも正解と言えることが分かります。
アサザの別名
アサザ(阿佐佐) 別名:ハナジュンサイ(花蓴菜)
— mnaeskeig (@Masegi_Ken) March 11, 2016
浮葉性の多年草の水草です。アサザの語源は 水深の浅い所=浅沙(アササ)に生育することから。平安時代から呼ばれていた。https://t.co/z3GjtCFTx8 #植物写真 pic.twitter.com/qtyYIu03C4
このアサザ、よく似た植物にまつわる別名も持っています。それが花蓴菜(ハナジュンサイ)というもの。ジュンサイと言えば、あの独特なヌルヌル感で知られる、酢の物に使われる植物のことです。アサザと葉っぱがよく似ていて、しかも食べられることで花蓴菜の別名が付いたのでした。
アサザの特徴①生息地
温暖な世界の各地
特に珍しい種類でもなく、世界各地に分布しているのがアサザです。ユーラシア大陸の湖沼を初めとして、北米、南米などの温暖な気候を好んで繁殖、あるいは栽培がされています。したがって日本の沖縄から北海道に至る。温暖な時期を含む地域であれば育て方も容易です。
穏やかで綺麗な水に定着する
自然の中でアサザが見られるのは、湖沼のほか小河川や水路。増えすぎるほど繁殖するのは、風による波がない穏やかな環境であり、逆に波浪が強いと栽培は難しくなります。育成には比較的に綺麗な水質が必要になり、汚濁したような水では繁殖も厳しいです。
アサザの特徴②クローン成長
匍匐茎(ほふくけい)で増える
暖かな時期にはアサザの葉がどんどん増えると同時に、水中に茎がどんどん伸びるのが分かります。これは匍匐茎、または走出枝と呼ばれるもの。これを四方に伸ばし、先端から葉っぱや根っこを出す方法で、アサザはどんどん増殖します。だから育て方が正しければ、アサザはモリモリ成長する植物です。
クローンが生み出される
このアサザの繁殖の方法は、専門用語ではクローン成長と呼ばれるもの。クローンなので、アサザはどんなに水面に増殖しても、全てが完全に同一の遺伝子を持っている特徴があります。育て方を実践すれば自然界のクローン増殖を目の当たりにするという意味でも、面白さを感じてしまうわけです。
アサザは膨大な数でも1個体
そんな特徴的な繁殖方法であるため、アサザは全世界に膨大に葉を伸ばしても、個体数はとても少ないという特徴もあります。日本生態学会によれば、日本国内におけるアサザの個体数はわずか61体しかなかったという調査結果も。なかなか非現実的な印象を感じられます。
アサザの特徴③葉っぱと根っこ
丸い浮葉
パッと見ですぐにアサザだと見分けが可能なのは、まん丸や楕円の葉っぱがあるからです。緑の丸い葉は直径が5~10cmで、水に浮き上がるので浮葉と呼ばれます。一ヶ所に深い切れ込みがあって、まるでパックマンのよう。植え替えからの育て方が順調ならば、葉っぱを無限に増やし始めます。
若葉は食用にも
先程はアサザの別名の花蓴菜が登場してきましたが、食べられる部位というのは葉っぱそのものです。葉っぱの中でも、芽が出て水面に出てきたばかりの若葉が、柔らかくて蓴菜のように美味しいとされています。育て方では食用の若葉を目的にしてみるのもいいですね。
水底の地面に伸びる根
全体が水にぷかぷかと浮いているのかと思いきや、実はアサザは水中で地面に根っこを張っている植物です。根っこはタコ足のように無数に地面に食い込んでいるので、抜いてその様子を観察してみたいところ。育て方は後に紹介しますが、アサザを相応しい土壌に根付かせる方法は重要になります。
アサザの特徴④花
花の蕾
葉っぱが旺盛な具合に水面を飾り始めると、アサザは水中から花茎を伸ばし始めます。植え付けなどでの育て方を進めていれば、水中に花の蕾が現れるという、なんとも不思議な光景が見られるのも、アサザ栽培の楽しみ。蕾は徐々に伸びて、開花前に水面に顔を出します。
花の特徴
集散花序と呼ばれる形で水面に花をつけるアサザは、1日にわずか1つだけの真っ黄色い花を、朝方に咲かせる1日花です。花は直径3~4cmと小さく、5枚の花びらの周囲は細毛化している特徴もあります。蕾の段階のまま花が咲かない個体もあるので、育て方は気難しさも感じがちな植物です。
開花時期
例年暖かな6月の時期を迎えると、アサザは黄色の花を咲かせ始めます。開花時期は温暖な南方が早く、花のピークは8月の頃。日本列島では初秋の10月にかけて開花しています。したがって名だたるアサザの群生地にお出かけする場合、夏の時期を選んでみるとよいでしょう。
アサザは絶滅が心配
準絶滅危惧種に指定
池の中から顔を出すアサザの花。ゴーヤーの花に似ています。
— えぬ (@michienu) August 11, 2018
万葉の時代から親しまれてきた本州九州の夏の花ですが、同一個体からのクローンが多く、遺伝子を見ると、日本には61個体しかないそうで、複数の個体があり種子のできる生育地は、日本では霞ヶ浦だけだとか。準絶滅危惧種だそうです。 pic.twitter.com/3vIJ3xmeaY
近年になり、全国でアサザの個体数が激減し始めました。それは2005年から特に顕著で、霞ヶ浦では絶滅が報告されました。しかし同時に、アサザを守る取り組みも活発化しています。今や準絶滅危惧種に指定されるほどなので、自宅での育て方をしようにも採取ができなくなるのではと不安なところです。
アサザが減少した理由とは
国交省の水位操作開始以来減少した霞ヶ浦のアサザがついに絶滅、生態系は悪化の一途。福島第1原発事故により湖に放射性物質が流れ込んだが。これからの都合の悪い真実については触れようとしない。現実を見ない無責任な官民が都合の良い話し合いを行う世界湖沼会議が10月に土浦つくばで開催される。 pic.twitter.com/GYMm8KsgrC
— アサザ基金 飯島博 (@asazaiijima) September 4, 2018
何故アサザが極端に減少するかの理由は、様々にありました。1つには湖沼に汚染物質が流れ込むなどの水質汚染で、護岸や水底工事が理由との指摘も。絶滅した霞ヶ浦では、水害対策の水位調節が原因であるとされました。いずれも人間が原因なのが実情で、正しい育て方をする上でも気になる話です。
アサザの育て方①環境
植え付ける場所
まずアサザを植え付ける場合、綺麗な水が第一に求められます。濁った池で育てるなら、澄んだ状態にすることが必須。簡単な育て方では、適当なサイズで手入れもしやすい水鉢を使うのがベストです。植え替えにも最適となる、水深のある水鉢は、プラスチック製や焼き物製の安いものを購入できます。
植え付けの土壌は育て方で大切
栽培する土壌については、田んぼの土が育て方に最適と言われるのがアサザ。近所で田んぼの土を貰ってくる方法が一番ですが、それが無理ならば植え付けには赤玉土を使います。植え替えするなら、アサザを採取した場所の土をそのまま使う方法も、アサザにとって負担がありません。
植え付けの容器が育て方で重要
池や水鉢とは別に、アサザを植え替えるのに使える、水に沈める容器を準備しても良いです。栽培容器はプラスチックではなく、重量がある小さな焼き物が最適。容器に土を入れて植え付けたら、手入れしやすい深さの池や水鉢の底に置きます。水やりをするときには、土がこぼれないよう注意です。
日当たりを気にする育て方
さらに気をつけたいのは、アサザを栽培する日当たりです。日光が強すぎると、植え付けた後のアサザに悪影響が出ることも。やや日光が当たる、半日陰の風通しの良い場所を選びます。室内栽培なら、日中はお日様に当てることです。半日陰にすると、真夏に水分が蒸発することを防ぐ効果も得られます。
アサザの育て方②手入れ
水やりと水位が育て方に影響
手入れをする基本は、アサザの葉の水位をチェックすることです。植え替え後に水やりを忘れて、水が蒸発して枯れるといった不都合は回避する必要があります。育て方では、水位はちょうど葉っぱが浮く高さまで水やりで調節します。根っこや葉っぱに、負担がかからないようにする手入れ方法が大切です。
葉っぱを切除する手入れ
傷んだ葉っぱが増えすぎては、水質汚濁を招くので良くありません。アサザの植え付け後に葉っぱが増えすぎたら、枯れたり腐ったり見栄えが悪い葉っぱは、取り除く手入れが不可欠。増えすぎた葉っぱを無くす育て方で全体の見た目も良くなったり、水やり時に水質チェックしやすい効果も得られます。
アサザの育て方③増やし方
株分けでの増やし方
とても簡単なアサザの増やし方としては、株分けの方法があります。これはクローン株がどんどん増えるアサザの匍匐茎を、単純に分割する増やし方。繁殖力が強い植物なので、2年に1回位の頻度で株分けができます。増やし方では、新たに水底に沈める鉢を用意するのがベストです。
放っておく増やし方でも
別に手作業で分割する増やし方をしなくても、アサザの育て方では匍匐茎のまま放置してもOKです、増えすぎるまでなったら、手入れをして植え替えや処分をするのみでも構いません。ただ放置の栽培方法の場合は水質が悪化したりする問題もあるので、水やりも適度にして注意して見る必要があります。
種からの増やし方は?
花が咲き誇るアサザなので、種からの増やし方ができるのではと期待してしまうところ。しかし実はアサザはどんなに育て方を完璧にしても、果実ができにくい植物です。それは周辺に咲く花が同一株のものの為。遺伝子が異なるアサザの花とかけ合わせなければ、正常な種の増やすのが難しいようです。
アサザの育て方④時期
植え付け時期は育て方で知っておきたい
元気なアサザを適切な土へと植え付ける時期は、春先が最適です。まだ気温の寒さや水の冷たさが残る3~4月は、アサザが芽吹く前のこと。この頃はアサザが力を蓄えているので、植え付けの育て方も容易になるのです。これは別の栽培用容器に植え替えをする場合も同様です。
夏から冬の植え付けは?
では夏から冬はアサザの植え替えはだめなのかと言えば、必ずしもそんなことはありません。夏に開花するアサザにとって、夏に植え替えをされるのはとても不都合なことで、体力がない真冬も同様。しかし開花が終わった後の秋なら、植え替えはさほど問題はなく、育て方もスムーズです。
アサザの育て方⑤食害対策
アサザの食害
人が調理しても美味しく感じるアサザなので、栽培中に手入れをおたれば様々な生物が浮葉を食い荒らしてしまいます。その種類はネクイハムシ、ハスモンヨトウ、オンブバッタなどの昆虫類を始めとし、ソウギョなどの魚類、水鳥など様々。食害の対策した育て方が不可欠となります。
駆除の方法
アサザの害虫ではあるけど、いい虫。 pic.twitter.com/j8AjWfNAfW
— Shizuma (@yokoyama_070821) June 12, 2016
ブーンと飛んできてアサザに付着する昆虫については、水やりの時などに見つけ次第、追い出す、つまみ取ると手入れが必要です。育て方ではアサザを食べる生物を水に絶対に入れないなどの方法は勿論のこと、水鳥に狙われないような工夫も必要になります。
アサザの育て方⑥共生
一緒に育てて良い水生動物
裏手に有る小さな水鉢にはアサザが植えてありメダカやタニシ、ミナミヌマエビも越冬して元気に生きている。
— Minoru Noda (@Minoru_Noda) April 6, 2018
最近の暖かさで水温も上がってきたのかメダカの動きが活発になってきた。 pic.twitter.com/MnnOhdXqHF
単純にアサザだけ栽培しても構いませんが、植え替えると同時に色んな生物も飼い始めてみるのもおすすめです。小魚がいればアサザを害虫から守ってくれるし、春以降の蚊の増えすぎまで抑えてくれて一石三鳥。育て方では水やりやエサやりなど手入れ機会も増えますが、楽しさも倍増です。
おすすめの水生動物
SNSでは、アサザと一緒に育ててみるのにおすすめな動物が紹介されていました。魚ならアサザを食べない小さなメダカや金魚、ミナミヌマエビ、昆虫ではタニシなど。育て方では水量と水質を保つ水やりは重要で、あまりに数が増えすぎないようにすることも大切になります。
アサザの花言葉
花言葉1「しとやかな」
アサザ(浅沙)
— yuzu_kan (@rei_0327) November 24, 2016
池や沼に生える浮葉植物
花言葉……しとやかな、平静 pic.twitter.com/tYVAGlggAu
「しとやか」は女性に対する褒め言葉によく使われますが、アサザの花言葉にも含まれていました。育て方を始めてみれば、水面にまあるい葉っぱを浮かばせるたたずまいで、黄色い花を咲かせるアサザ。そんな栽培中にも見える落ち着いた姿が、女性的な花言葉につながっているようです。
花言葉2「平静」
常に平常心を保っていられることも美徳とされる世の中で、アサザの花言葉には「平静」がありました。増えすぎたとしても、もの静かな様子のアサザにはぴったりする花言葉です。増やし方や水やりをして順調な育て方をしていれば、人の心も花言葉のように平静になれそうです。
花言葉3「信頼」
※
— ✿「風 Ⅱ」✿ (@kimagasenohaha) June 25, 2018
きょうの一句
浅沙咲く沼に童はたも翳し
(あさざさくぬまにわらべはたもかざし)
Blog「畦夢の写真俳句」
季語;浅沙の花(夏)
浅沙(アサザ)「花言葉」やかな・信頼https://t.co/BlXpXMI7j4 pic.twitter.com/4eoprRNnNs
どんな時でも自分を信じられることは大切ですが、アサザの花言葉には「信頼」があります。アサザにはどこか水の上に浮くことや、毎年のように黄色い綺麗な花が期待できる意味で、信頼感を感じられます。アサザに信頼の花言葉を付けた人の思いは、どんなものだったでしょうか。
アサザの名所
都立小山田緑地(東京)
PENTAX KP/smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR
— みけ (@PENTAXXER) June 20, 2019
小山田緑地、梅木窪分園のアサザ池。
途中で会ったおばちゃんに「名前の通り昼になると萎んじゃうよ!早く行きな!」と急かされて急ぎ足で行ったけど全然大丈夫じゃないか(^^;#アサザ #花蓴菜 #オオシオカラトンボ #小山田緑地 #PENTAX pic.twitter.com/21nSEbpH26
いま東京でアサザの名所と言えば、都立小山田緑地が有名です。町田の高原にヤマザクラやつり橋の風景があり、標高123m地点のみはらし広場からの絶景もあります。アサザ池は夏の時期、見事なまでに増えすぎたアサザを鑑賞できるので、育て方のアイデアも浮かんできそうです。
基本情報
【所在地】東京都町田市下小山田町361-10
【電話】042-797-8968
【営業時間】24時間
国営越後丘陵公園(新潟)
里山の初夏を彩るアサザが満開
— katagiri (@santogun) June 22, 2019
里山の初夏を彩るアサザは、新潟県の絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。一面に咲く群生風景は珍しいとのことでした。
撮影月日 2019/06/21
撮影時間 13:22
撮影場所 長岡市国営越後丘陵公園にてhttps://t.co/KcwGvJNjXH pic.twitter.com/cHqycJHAWY
もう増えすぎと思えるほどのアサザの群生を見られる名所が、新潟の国営越後丘陵公園です。園内はアスレチック、水遊び、BBQなど遊びが詰まった場所。180haの里山フィールドミュージアムに行けば、育て方がバッチリ見事な程のアサザの群生、そして新潟の森の中の多彩な植物を楽しめます。
基本情報
【所在地】 新潟県長岡市宮本東方町字三ツ又1950
【電話】0258-47-8001
【営業時間】9:30~18:00
アサザを育ててみよう
水鉢で小魚と共に
まん丸な葉っぱと、夏の時期の独特な花を見せるアサザは、たしかに栽培してみたい魅力がありました。育て方では水やりや植え替え、増やし方など手入れを入念にしてみたいところ。アサザを取り入れて、花言葉のように心に平穏をもたらしてみませんか。
水辺の植物が気になる方はこちらもチェック!
当サイトでは育て方が興味深いアサザの他にも、水辺の植物の情報が満載です。自宅で増えすぎな程に水生植物を育てたい方はチェックしてみてください。

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