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【連載】一年ぶりに潜りました!この時期めちゃくちゃおいしいテラダ貝!

釣って食べるシリーズも早何回目か(いいかげん)を迎えまして、今回はちょっと趣向を変えて奄美の食用貝「テラダ」の紹介をいたします。このテラダ貝、南の島では居酒屋などでは定番のおつまみなのですが、今の時期が一番おいしいとされています。獲り方も合わせてのご紹介です。
2020年8月28日
kuma10
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目次

テラダ貝って知っていますか?

まずこの記事を読んでいただく前に「テラダ貝」について少し説明させていただきたいと思います。亜熱帯の海域に分布する巻貝で、静岡以南では見る事ができます。食用として人気が高いのは奄美大島や沖縄などですが、あまりの人気の高さから最近ではフィリピンなどからの輸入物まで出回っています。ちょっと潜れば100や200はすぐに獲れるのにもったいないことです。しかしそれだけに売っても安いので、自家消費のためにしか獲りません。ここで「輸入なんかしなければ良いのに」という矛盾が生じますが、安定供給のためには仕方がないのかも知れませんね。

テラダ貝のいろいろ

テラダ貝のおいしい時期

海開き(今年は2020年3月26日でした)の前後は大潮で、一年の内で一番潮の引く時期です。毎年海開きの日は会社も商店も休日で全員が海で遊びます。午後、島民は潮が引くと干上がった海に腰まで浸かりテラダ貝拾いを楽しみます。持ち寄った弁当やお酒の輪の中心では焚き火でゆでられたテラダ貝が食べられるのを待っています。こんなシチュエーションだからかもしれませんが、春先から梅雨時のテラダ貝は一番おいしいと言われています。

テラダ貝の本名

テラダ貝は地方名で、奄美大島南部の呼び名です。同じ奄美大島でも北部では「トビンニャ」と呼ばれ、長崎県の五島列島や高知県あたりでは「チャンバラ貝」などと呼ばれています。本名は「マガキガイ」。単にマガキと言ってしまうと「真牡蠣」になってしまい別の貝になってしまいます。マガキガイのマガキは「籬」と書き、竹で編んだ垣根のことを指します。貝にそのような模様が認められますね。

テラダ貝の獲り方

必要な物

大潮の干潮狙いならば水メガネで水中を見ながら歩き、柄の長い柄杓のような道具で掬い取るのもいいのですが、KUMA10はそんなまだるっこしいことはいたしません。足ヒレ、シュノーケル、カゴ(今回はタモ)を装備して直接対決に挑みます。

梅雨空に負けずに出動する


日本一早く梅雨入り宣言の出た2020年5月10日、中潮ですがマイナス2㎝まで潮が引きましたので、「ちょっくら潜って来るわ」と嫁さんに言い残して出漁。かなり水は冷たいですが、観光客もおらず透明度は抜群です。海面をシュノーケリングでゆっくりと進みながらヤツらを探します。ここで出漁が早かったことに気付きます。もう少し待てば上げ潮に乗ってぽこぽこと顔を出すはずなのにまったくいません。仕方がないので少し深場に移動して、潜って探す方式にチェンジ。

凶悪な顔は見なかったことに

この水中マスクはどうも人相が悪く映りますね。本当のボクはとても優しい柔和な顔をして・・あんまり言いすぎると逆効果ですね。15分で20個ほどしか獲れませんでしたが、今回は記事用なのでこのくらいにしておきます。何と言っても今季初潜りですし、梅雨空で寒かったものであまり無理はできません。それにしても少なかったですね。例年なら30分も潜れば200個くらいは獲れるんですよ。

生態を把握

この貝は砂地に出てきてどうも合コン的なことをしているようで、1個見つかれば大体何個か塊りで見つかります。画像のように連なって見つかることも珍しくありません。砂の上に歩いた跡が付きますので、その軌跡を追うこともありますが、「トビンニャ(飛ぶ貝)」の名前通り水中をピョンピョン飛びますので、必ずそこにいるとは限りません。

貝に付着している海草や汚れを落とす

本来ならば3日間以上イケスに入れて砂抜きと汚れ落としをするのですが、今回は海水の中でもう、それこそ貝がすり減るんじゃなかろうかというくらいテラダ貝同士をこすり合わせて洗いました。すぐに食べる時は必ずこれをします。

テラダ貝のゆで方

海水と同じ塩分濃度

貝類のゆで方の基本は「海水ほどの塩分濃度の水」で「水からゆでる」です。自分で獲ったテラダ貝の場合は、これを忠実に守ります。つまり「汲んできた海水」でゆでます。このゆで方ができるのも海がきれいだからですね。自然に感謝です。


ゆで時間など

たっぷりの海水から煮ること5分。アクがたくさん出てきます。このアクは掬わなくても良いですが、貝の量が多い時はものすごい勢いで溢れてきますので、ガス台を汚したくない方は小まめに掬いましょう。また、生の海水を使う場合は、中に入っているニガリの成分やカルシウム分が熱で変化し、鍋へのこびり付きが起こることがあります。アクが出始めたら火を弱めましょう。これがゆで方のコツです。全体で約15分ほどでゆで上がりです。

テラダ貝の食べ方

自ら身を差し出すけなげさ

生きている間は「このツメのようなフタさえあればボクは安全さ」などと赤っぽいフタで自分の身を守っているテラダ貝ですが、ゆで方さえ良ければそのツメが食べやすい「持ち手」になります。ピュルっと突き出したツメをつまんで引っ張るだけでアラ簡単、身も内臓もすべてつるりと抜け出てきます。わざわざ食べやすくなってくれるケナゲなヤツなんです。

今回は内臓を外します

3日間ばかり海水に漬けておけば体内の砂を全部吐き出してくれ、その内臓ごといただけるのですが、今回は砂抜きをしていないので内臓は取り除きます。内臓の外し方はティッシュですっとしごくだけです。可食部だけがきれいに残りますよ。

こんな感じ

画像は3個のテラダ貝を処理して食べるだけの形にしたものです。お醤油をちょんと付けていただきます。この食べ方ですとご飯のおかずにはなりにくいのですが、お酒は進みます。ご飯のおかずとしての食べ方としては、身をたくさん集めての「かきあげ」や、「お吸い物」がおいしいですね。でもKUMA10の一番のおすすめの食べ方は、ツメをきちんと外して砂抜きしたテラダ貝を山ほど用意してからの「バター炒め」です。これはうまい。

テラダ貝の注意事項!

アンボイナと間違うと大変!


テラダ貝に良く似た貝に「アンボイナ」がいます。「イモガイ」とも呼ばれるコイツは猛毒を持っていて、水管から毒針を飛ばして獲物に襲い掛かります。石のように動かず、目の前を通った小魚などに針を刺し、動けなくしたところでゆっくりと口から取り込みます。この毒がすさまじく強く、毒性は神経毒。強さはインドコブラの37倍と言われています。生息域がテラダ貝と重なっているために絶対に気を付けなければなりません。

アンボイナの地方名

アンボイナの地方名は「ハブガイ」。これは当然毒蛇のハブのような強い毒を持っているから付けられた名前ですが、実はアンボイナの持っている「コノトキシン」という毒は陸海空のすべての動物毒の中で最強なんです。それがもう一つの別名「ハマナカ」に現れています。これは干潮に貝拾いに出かけて浜を探索中に刺されたら、戻ろうとしても浜の半ばで息絶えるという謂れがあるため。実は海難事故の何%かはコイツが起こしているのではと言われています。みなさんも貝拾いは気を付けてくださいね。

冷凍でもおいしいですよ!

なかなか現地に出向かないと口にできないテラダ貝ですが、最近は冷凍ものなども出回っているようです。元値を知っている私としては「え、高っ!」と思いますが、最近の冷凍技術は進んでいますので味は良いようです。興味を持たれた方はお取り寄せもいいでしょうが、ぜひ現地で食べていただきたい一品です。これからしばらく梅雨が続き、なかなか「釣って食べるシリーズ」が更新できないかもしれませんが、南の島のおいしい海産物などをどんどん紹介していきますね。

珍しい貝が気になった方はこちらもチェック!

今回ご紹介させていただいたテラダ貝も、関東以北ではほとんど見られませんが、珍しい貝類はまだまだたくさんあります。「暮らし~の」の記事中にもとても珍しい貝の記事をみつけました。この機会に珍貝に興味を持たれた方はぜひ下記の記事も読んでみて下さい。楽しいですよ。