侮るなかれ、カーネーション
切り花の定番ラインナップ
日曜連載、今回のテーマはカーネーションです。カーネーションといえば母の日に贈るお花の定番で、日本でも広く知られているお花です。1年を通して出回っているのでお花屋さんにはたいてい並んでいて、花束やアレンジメントでよく使われています。花保ちもとても良いので、おうちに飾るのにも、プレゼントにするにも重宝するお花です。
おすすめしたい!カーネーションの魅力
定番ではありますが、とってもおすすめのカーネーション。実はカーネーションはカラーバリエーションが非常に豊富で、今流行りの絶妙なくすみカラー、かわいいパステルカラーにかっこいい渋めの色合いまで本当になんでもあるのです!しかも、長い間楽しめる優れもの。今回は、カーネーションの魅力についてたっぷり書いてみたいと思います。
カーネーションとは
分類
カーネーションとはナデシコ科ナデシコ属の植物で、原産地は南ヨーロッパ〜西アジアなどの地中海沿岸です。16世紀にはイギリスで品種改良が始められ世界中で発展し、今では3000種を超える品種があります。日本には明治時代に本格的に広まり、現在は長野県や愛知県をはじめとして生産されています。
花名と由来
カーネーションとは英語名で、「Carnation」と表記します。 名前の由来は諸説あり、冠飾りに使う花=「Coronation Flower」から訛ったとか、肉の色の花という意味で、肉を意味するラテン語「Carn」からきたといった説が唱えられています。日本ではオランダナデシコなどと呼ばれていました。
品種改良
カーネーションは現在でも世界中で品種改良が行われており、さまざまな新しい品種が生まれています。色や咲き方はもちろん、さらに花保ちの良い品種なども開発されています。母の日のプレゼントとしては切り花が主流ですが、ポットカーネーションと呼ばれる鉢植えのカーネーションの品種改良も進んでいます。
値段の相場
カーネーション1本の値段は、お店や出回り量などによる変動もありますが、だいたい150〜300円前後です。希少な品種は300〜400円することもあります。また母の日は需要も高まるため、一般的に値段が少し上がります。ポットカーネーションの価格相場は、5号鉢で3000円前後です。
母の日とカーネーション
母の日の起源
母の日の発祥はアメリカです。ある女性が亡くなった母の追悼集会で母親が好きだった白いカーネーションを配ったというのが起源とされています。その後、その女性により「母の日」が提唱され、1914年に記念日として定められました。日本では1950年代に広まったと言われています。
世界の母の日
日本ではアメリカの風習がそのまま受け入れられ、5月の第2日曜日に決められた母の日にはカーネーションを贈るのが一般的です。ただ世界を見ると母の日の風習はさまざまで、日付も違えば贈る花も国によって違ってくるようです。
カーネーションの種類
大きく分けて2種類
カーネーションはさまざまに品種改良され、現在は本当にたくさんの種類があります。切り花の種類をまず大きく分けると「スタンダード」と「スプレー咲き」の2つ。スタンダードは1本の茎に1輪お花がついているもので、スプレー咲きは1本が枝分かれしてたくさんお花がついているタイプを指します。
咲き方・色
花弁の形にも種類があります。花弁がギザギザしている剣弁咲き・ギザギザがない丸弁咲きが代表的です。ギザギザの度合いにより、お花の印象にも違いがあります。花の色は、赤・白・ピンク・オレンジ・黄色・緑・紫・青・ベージュ・絞り・複色など多岐に渡ります。どの色も濃い色から淡い色など本当にさまざまです。
カーネーションの種類:赤色
定番の赤系
母の日のイメージといえば、赤色のカーネーション。赤色といっても明るい赤・暗い赤・真紅・緋色など色合いはさまざまで、実に多様な赤色カーネーションがあります。母の日には、いろんな赤色のカーネーションを束ねたブーケなども素敵かも。
シックなボルドー系
同じ赤色系統でも、ボルドーなどの濃い目のカーネーションも品があります。ボルドーなどの濃い色のカーネーションは、丸弁咲きだと柔らかく上品に、ギザギザの強い剣弁咲きだとかっこいい印象になります。
カーネーションの種類:ピンク〜ベージュ
どんなピンクでもある!
さらにバリエーションが豊富なのがピンクのカーネーションです。淡いピンク、濃いピンク、蛍光ピンク、ピンク×オレンジ、ピンク×白の複色など、非常にさまざまなピンク色があります。同じピンクでも印象がかなり変わるので、お気に入りのピンクカーネーションを探してみても楽しいかも。
最近の一番人気はベージュ
近年人気なのは、ベージュのカーネーションです。黄色っぽいベージュ、オレンジベージュ、ピンクベージュ、濃いめのベージュなど、絶妙な色合いの美しいカーネーションが本当にたくさんあります。おしゃれなニュアンスカラーが人気の今、花束やアレンジメントにはベージュのカーネーションが欠かせません。
カーネーションの種類:白〜緑色
母の日の起源・白色
母の日の起源となった白いカーネーション。目も冴えるような真っ白のカーネーションもあれば、温かみのあるやさしい白色のカーネーションもあります。オフホワイトや、ほんのりピンクがかった白色のカーネーションなどは気品のあるかわいらしさがあります。
グリーンのバリエーションも豊富
カーネーションは、緑色も豊富です。ミントグリーンや蛍光グリーン、濃い黄緑などがあります。基本的には黄緑をベースとしたカラーで、濃い緑色などはありません。爽やかなフラワーギフトにぴったりのカーネーションたちです。
カーネーションの種類:オレンジ〜黄色
オレンジも多種多様
オレンジ色は、濃いオレンジから薄いオレンジまで、こちらも多種多様なバリエーション。オレンジベージュやピンクオレンジ、アプリコットなどニュアンスカラーもたくさんあります。あのエルメスのオレンジをイメージした「エルメスオレンジ」という品種もあります。
黄色系はレモンイエローも人気
黄色のカーネーションは、元気をくれそうなビタミンカラーの黄色をはじめ、優しいレモンイエローやクリーム色などの種類があります。爽やかな黄色のカーネーションは、老若男女問わずに贈りやすい色合いのお花。家に飾ると、パッと部屋を明るくしてくれます。
カーネーションの種類:紫〜青色
ビビットな紫色
紫色のカーネーションは、品種改良が進んだ19世紀には流通していました。カーネーションの紫色というと、赤紫色の種類が主流です。マゼンタのような色合いの品種が多く、アクセントになるビビットカラーです。紫と白の複色や、クリーム色との複色もあります。
世界初・青色カーネーション
カーネーションにはもともと青色の色素はなく、紫色といっても赤紫系でした。そんな中サントリーが開発した世界初のカーネーション「ムーンダスト」シリーズは、青紫色の品種です。青色のカーネーションとも言われます。希少なので、ほかのカーネーションに比べると少し値段が上がります。
おしゃれでかわいいカーネーションたち
お気に入りを探してみて
カタログを見ているだけでも楽しいくらい、カーネーションの色は本当に豊富です。そんなカーネーションの中から、おすすめしたいおしゃれでかわいいカーネーションたちをピックアップしてみます。しかしカーネーションは品種が多く入れ替わりも激しいので、花屋さんで品種指定するのは難しいかもしれません。色合いの参考にしてみてくださいね。
人気のピンクベージュ
これは結構定番の品種、「クレオラ」です。ピンクベージュのようなアンティークカラーがおしゃれなカーネーション。こういったニュアンスカラーは季節や産地によって色の出方が変わって、緑っぽくなったりピンクが強くなったりもします。
シックでおしゃれなブラウン系
秋になると人気なのが、赤茶っぽい色合いのカーネーションです。こちらはベージュとワイン色の絶妙なカラーリングがとってもおしゃれな「ワインカバー」という品種。ほかにもワイン色やベージュ、茶色がベースの深みのある色合いの品種はどんどん増えているので、ぜひ見つけてみてくださいね。
個性的な複色カーネーション
カーネーションは絞り模様の入った品種や複色品種もかなり多く、色合いによってはとても個性的。好き嫌いは分かれるかもしれません。この「サイバースペース」などは、名前もなんだかイケてる感じのカーネーション。他のお花との合わせ方によっても印象が変わるかもしれません。
2020年注目品種のカーネーション
かっこいいカーネーションならこれ
これ本当に生花?!と疑いたくなっちゃう、「スリル」シリーズ。紫色〜黒っぽい色合いをベースにブロンズが混じったような「ブロンズスリル」や黒が強い「ナイトスリル」など、かっこよくってとてもおしゃれなカーネーションです。2019年の新品種で出回り量は少ないですが、見かけたら絶対に買ってみたいカーネーションです。
スター咲きの魅力
香川県のオリジナル品種「ミニティアラ」シリーズは、スター咲きと呼ばれる咲き方のスプレーカーネーションです。一見カーネーションには見えない個性的なかたちが特徴。繊細な色やニュアンスカラーもあって、色数も豊富です。花束に入れても、数本花瓶に飾ってもかわいい!
カーネーションの花言葉
カーネーション全体の花言葉
カーネーション全体の花言葉は、「無垢で深い愛」「魅惑」「魅力」「愛情」「名声」「女性の愛」「感動」など。ほかにも形や色によって日本では5月の誕生花として扱うことが多く、アメリカでは1月の誕生花に、フランスでは10月の誕生花になっています。
色によって違う花言葉
花言葉は同じ花でも色や形によって違うことがあります。カーネーションは花色がとても豊富なので、色による花言葉もたくさん。簡単に表にまとめてみました。特に個別に花言葉や誕生花がないものもありますが、基本的には愛情に関する花言葉が多く見られます。
花言葉 | 誕生花 | |
---|---|---|
赤色 | 母への愛、母の愛、深い愛、敬愛 | 1/21、5/10など |
濃い赤色 | 私の心に哀しみを、欲望 | - |
白色 | 純粋な愛、純潔、尊敬、可愛くて愛らしい | 1/29、5/9、10/31 |
ピンク | 女性の愛、熱愛、上品、感謝の頃 | 1/11、5/10、5/15 |
黄色 | 軽蔑、拒絶、拒否、嫉妬、美、友情 | - |
オレンジ | 熱烈な愛、純粋な愛、清らかな慕情 | - |
紫色 | 誇り、気品、変わりやすい、気まぐれ | - |
青 | 永遠の幸福 | - |
絞り・複色 | 愛の拒絶、私はあなたの奴隷になる | 2/16 |
スプレー咲き | - | 1/3、3/10、5/13 |
カーネーションと『ダメな色』
『ダメな色』とは
色別に花言葉がついているので、「母の日に贈ってはいけない『ダメな色』はどれか」という話になったりもします。ヨーロッパで粋な計らいとして流行した花言葉。日本でも結構根付いているもので、花屋の店頭にいると1〜2割くらいは気になさる方がいらっしゃるなという印象です。
黄色はなぜネガティブ?
カーネーションに限ったことではないですが、黄色のお花にはネガティブな花言葉がつけられています。これは、キリストを裏切ったユダの服が黄色だったということから由来していて、キリスト教文化が背景にあるためです。日本ではむしろ黄色は高貴な色だったので、あまりなじみのない文化でもあります。
相手が喜ぶものを
しかし実際には、黄色のカーネーションはビタミンカラーとして人気です。花言葉よりお花自体の印象のほうが大きいですもんね。花言葉はあくまでもお花を贈る際の「粋な遊び」くらいの感覚でいるのがいいかなと思います。ただ気にする方には一言添えるか、避けるのが良いかもしれません。
本当に避けたほうがいい『ダメな色』
それよりも、贈るときに避けたほうがいい『ダメな色』があります。それは、くすみカラーのカーネーション。今人気のくすみカラーは若い方にはとっても喜ばれるのですが、ご年配の方の中には枯れているように感じる方も。どれもすごく素敵な色合いなので『ダメな色』と言うのは忍びないですが、ご年配へ贈る母の日には、明るくてはっきりした色か淡い色のカーネーションがおすすめです。
さいごに
カーネーションは、すごい
母の日シーズンは特にたくさんのカーネーションが出回るので、いろんなカーネーションを発見できるかもしれません。気に入った色合いのカーネーションを見つけたらぜひ手にとってみてくださいね。生産者さんたちのテクニックと愛が詰まったカーネーションたち、本当におすすめです。
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この日曜連載では、お花屋さんをもっと楽しもうをテーマに切り花を中心にしたお花について書いています。過去の連載では、今買えるお花や長持ちするお花などについても記事にしています。おうちでもお花を飾って楽しんでみてくださいね。
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