スイセンノウとは
スイセンノウの特徴
スイセンノウは、ナデシコ科センノウ属の植物です。学名はLychinis coronaria。本来は多年草ですが、日本では一年草、もしくは二年草として扱われています。原産国はヨーロッパ南部で、日本には明治時代の末期に入ってきたと言われています。草丈は30cmから50cm。大きい株は70cmになるものもあります。栽培では高温多湿には弱いですが、乾燥には強くこぼれ種からも花が咲くほど丈夫な花です。
毛織物のフランネルに由来する別名
白い毛が生えたような柔らかな感じの葉は、毛織物のフランネルに似ていることが由来となりで、別名フランネルソウとも呼ばれています。開花の時期は5月頃で、こまめに花柄を摘むと次々に花芽を付け、9月頃まで楽しる丈夫で手間いらず可愛い花です。忙しい方にも育てやすいおすすめの花です。
和名は酔仙翁(すいせんのう)
スイセンノウは漢字で「酔仙翁」と書きます。これは花が赤くて酔っ払っているように見えることが由来となっているのだそうです。ちなみに「仙翁・センノウ」の名称の由来は、昔、京都の嵯峨にあったと言われる仙翁寺(せんのうじ)にこの花が咲いていたことが由来となり、付いた名だと言われています。
咲き方が由来する別名はヒトリヒメ
和名は「酔仙翁」、毛織物のフランネルに葉や茎が似ていることで別名「フランネルソウ」と呼ばれるスイセンノウは、株はロゼット状ですが、開花の時期は長い花茎を伸ばし分枝した茎の頂点に一輪ずつ丸弁の可愛い花を咲かせます。そんな植物学上の特徴が由来となり、「フランネスソウ」の他、「ヒトリムスメ=一人娘」という別名で呼ばれることもあります。
育て方の豆知識
一年草と二年草の違い
「一年草」というのは、種まきしてから1年以内に花を咲かせ枯れる植物のことを言います。種まきの時期によって春まきと、秋まきの一年草があります。「二年草」とは、種まきから1年以上2年以内に花が咲いて枯れる植物です。種まき後1年以上たってから開花します。育て方「一年草」とほぼ同じですが、たとえば春に種まきしたものは夏から冬に茎や葉や根に栄養を貯め休眠し、越冬して翌年花を咲かせます。スイセンノウは「二年草」のものが多いです。
スイセンノウの本来の性質である多年草とは
花づくりの図鑑などでよく見かける「多年草」という言葉。「多年草」は花が終わった後や冬も緑の葉が残って、毎年花を咲かせる植物です。例えばマーガレットやベコニアなどです。ちなみに冬には葉や茎など地上部が枯れ、根だけが残り春にまた芽を出す植物を「宿年草」と言います。例えば水仙やチューリップ、クロッカスなどです。「一年草」「二年草」「多年草」「宿年草」など植物の用語を覚えておくと、ガーデニングの花選びも楽しくなります。
スイセンノウの花の色
スイセンノウの花が「赤い色」と言われる理由
スイセンノウの花の色は濃いピンクが多く、一般的な花色ですが、中には白や薄いピンク色の花色もあります。スイセンノウの花の色はよく「赤」にたとえられます。それは学名の「Lychinis」に由来して「スイセンノウは赤い色」と言われるのです。学名の「Lychinis」は ギリシャ語の「lychnos=炎」に由来したものです。学名の「Lychinis」の意味が由来となり「赤い色の花」とヨーロッパではよく言われています。日本では濃いピンク色の花ですが、ヨーロッパで赤い花と言われる由来は、学名の意味が由来しているのです。
スイセンノウの種類のついて
種類は花の色が違う程度
近年、お花屋さんに行くと、本来の色や花びらの形から品種改良の栽培種の花を見かけますが、スイセンノウの種類には、品種改良された種類はほとんどありません。スイセンノウの種類は花の色が違う種類がある程度です。スイセンノウと言えば一重の丸弁の花で、そして葉や茎全体に柔らかな灰白色の綿毛に覆われた原種のままで種類はありません。
稀に八重咲きの種類もある
スイセンノウの花弁でたまに八重咲きの種類のスイセンノウも見かけます。だた八重咲きの種類は一般的ではありません。花の色の種類でも濃いピンク(紅色のピンクとたとえる研究者もいます)が一般的で、白や薄いピンク、白い花の中心部が薄いピンク色の種類は、スイセンノウの花色の種類の中でも珍しいと言われます。
スイセンノウの育て方1
種まきや苗の植え付けの時期は春と秋
早い場所では5月から開花の時期を迎えるスイセンノウは、花壇や鉢植え、また切り花として楽しむことができます。種からでも苗からでも上手に育てることができるスセンノウは春か秋に種まきするか苗を植えます。種まきや苗の植え付けは、春は4月から5月、秋は9月から11月が最適の時期です。
種蒔きしたら1週間ほどで発芽する
発芽は15℃から20℃くらいが適温で、種まきしてから1週間ほどで発芽します。ただし春に種まきしても、秋に種まきしても、花が咲くのは翌年の5月から6月。スイセンノウは二年草であるのが一般的で、種まきした翌年に花が咲きます。春に種まきしたものは生育期間が長くなりますが、翌年にはほぼ開花します。秋に種まきしたものは寒さが来るまでに苗が十分に育たなければ、翌年に花が咲かない場合もあり、よく翌年にならないと開花しない場合があります。
苗も春と秋に植える
3月の初め頃になるとスイセンノウの苗が園芸店に並びます。苗からスイセンノウを育てる場合、苗の植え付けは、春は3月から6月、秋は9月から11月がよい時期です。植木鉢に植える場合、用土は市販の草花用の用土を利用すると便利です。庭に地植えする場合は水はけのよい場所なら特に土質は選びません。
スイセンノウの育て方2
栽培環境について
スイセンノウは寒さにも強く、また暑さにも強い花で、乾燥しやすい場所でもよく育ちます。ただ多湿に弱い特徴があります。ガーデニングで地植えする場合は、水はけのよい場所を選ぶようにしましょう。湿り気の多い場所に栽培する場合は、軽石などを混ぜて土壌を改良するとよいでしょう。
庭の端にレイズドベッドを作る
レンガや石で囲いを作り床面を高くした花壇を作って栽培するのもおすすめです。この方法を園芸用語でレイズドベッドと言いますが、庭の縁に花壇を作りその場所の土壌の環境を整えて管理します。鉢植えにする場合は植木鉢の底に水はけがよくなるように鉢底石を入れてから用土を入れるようにします。また日当たり良い場所で栽培すると花芽がたくさんい付きますので、日当たりの良い場所を選び、管理してください。
梅雨時期の管理
スイセンノウは本来、多年草の植物ですが、四季があり、また梅雨の季節がある日本の場合は、梅雨時期の長雨が続く時期は、日照不足及び多湿によって株が弱ってしまいやすく、株が腐りやすくなってしまいます。梅雨の時期のように高温多湿が続く時期がある地域では、多湿に気を付け土壌選びをしたり、鉢物は梅雨の時期は雨に当たらない軒下などに鉢を移動して管理しましょう。
スイセンノウの育て方3
水やりについて
スイセンノウは手間のかからない育てやすい花です。ガーデニング初心者や忙しい方にもおすすめです。植物を育てるときに心配な水やりですが、スイセンノウは多湿・過湿を嫌いますので、水やりは土壌や植木鉢の用土が乾いた時にたっぷりと与えるので構いません。特に庭に地植えしているものは、根付いたら自然の降雨に任せ、水を与える必要はありません。植木鉢のものに水を与えるときは、用土が乾いたときに、鉢の底から水が出てくるほどたっぷり与えておけば大丈夫です。
スイセンノウの育て方4
肥料に与え方について
他の植物では、花の咲く時期に肥料を与えて栽培する植物もあります。しかしスイセンノウの栽培では、特に肥料は必要ありません。ただ庭に地植えしたものは、秋に少し肥料を施し、休眠時期に入る冬までに株を大きくしておくと、翌年の花数が増えます。
鉢植えに肥料を与える場合
鉢植えの場合は、市販の花草用の用土には肥料がすでに加わっているので必要ありませんが、鉢の植え替えや植え直しを行うときに肥料切れを起こすと花数が少なくなるので、そのような行為をする場合は秋と早春に肥料を施します。肥料は置き肥なら10月から11月に2回から3回、液体肥料なら5回から6回施し、3月から4月の花が咲き前にも同様に施しと良いでしょう。
スイセンノウの育て方5
気になる害虫や病気について
植物を栽培するのに心配になるのが害虫や病気です。ですがスイセンノウの栽培では、害虫はほとんど付きません。もし虫が付いていても、病気などスイセンノウに有害となる虫ではありませんので、安心してください。栽培中の病気についても特に心配な病気はありません。
多湿には注意が必要!
栽培中に心配なのは高温期、特に日本の場合は梅雨の時期に多湿になってしまうことです。多湿になると株が腐ってしまう場合があります。栽培中に雨降りが続くような場合は、鉢物は軒の下に移動させたり、込み合っている葉を間引きして風通しを良くするように栽培の管理をしましょう。また花芽をたくさん付けたいからと肥料を与えすぎると肥料やけを起こして枯れてしまう場合があります。ご注意ください。
スイセンノウの育て方6
花柄摘みはこまめにしよう
日常の育て方で注意したい点は、花柄摘みをこまめにすることです。開花し花びらが枯れてきた花はどんどん摘んでしまいましょう。花柄摘みは次から次に花を咲かせるコツの1つです。花びらが色あせてきたり、萎んできたものをそのままにしておくと、種を作ることに養分を使ってしまい花付きが悪くなったり、株の寿命が短くなってしまいます。
スイセンノウの花柄摘みは花茎の根元からカットする
ビオラやパンジーのように、花によっては花首の根元を手で摘んでしまえばよい花もありますが、スイセンノウは花茎が長く、分枝した先に花が付いているので、スイセンノウの花柄摘みは、分枝の花茎の根元の部分からカットします。また茎は固いので茎を傷めないためにハサミでカットすることをおすすめします。
スイセンノウの切り戻し方法
タイミングを見て思い切って全部の茎をカット!
5月の中旬から開花し始めるスイセンノウを綺麗に長く楽しむには、日々の花柄摘みのほかに、切り戻ししてあげると9月頃まで長く花が付き、形も綺麗に楽します。切り戻しのタイミングは満開後花が少なくなってきた時や、形が乱れてきた時、あと日本の場合は梅雨入り前が切り戻しの適期です。切り戻しの方法ですが、切り戻しする時は思い切って全部の茎をカットしてします。
切り戻しの時は株元に葉があることを確認!
ただし切り戻しの前には、必ず株元に葉があることを確認してください。葉がないと脇芽が出てこず枯れてしまいます。切り戻しの目的は丈夫な新芽を出させるため、茎をカットします。切り戻しする時は地面もしくは用土すれすれでカットします。まだ茎に花が咲いているものもあるのに、思い切って切り戻しするのは、勇気がいりますが、切り戻しでカットしてしまった花は、切り花としても楽しめます。切り戻しした株は形も整い、またもう一度は花をたくさん咲かせることができます。
スイセンノウの増やし方1
種蒔きでの増やし方
スイセンノウの増やし方は種で増やしていくのが一般的な増やし方です。自分で育てたスイセンノウから種を取り、種まきの時期に種まきする増やし方がポピュラーな増やし方です。種を自家採取する場合は、花の見頃が終わる時期に花柄を摘まずにとっておきます。スイセンノウに種は、花の後にできる実の中に1つだけあります。花後にできる実は熟しても裂けることはありません。小さいので見逃さないように注意してください。
スイセンノウの増やし方2
株分けする増やし方
スイセンノウの増やし方の2つ目は株分けする増やし方があります。ただ株分けする増やし方は、日本の場合はお勧めできません。本来多年草の植物ですが、日本の気候から、スイセンノウは二年草扱いなので、株分けしても株の命は短く翌年又はよく翌年には枯れてしまいます。どうしても色が気に入り同じものを育てたいのなら株分けするより、その株から種を取り、春か秋に種まきの増やし方で楽しむことをおすすめします。
株が大きくなれば株分けは可能
たとえばアジサイのように、株分けでスイセンノウを増やすことはできませんが、大きくなったスイセンノウを株分けしてあげると、株元が蒸れることなく長く楽しむことができます。スイセンノウを株分けする方法は、株を掘り起こして(鉢植えの物は鉢から外し)、根を切り分けて株分けして植え替えて育てます。本来、株分けとは、新しい株を作る増やし方に使う方法ですが、スイセンノウは生長も早いので大きくなった株を株分けしてあげることで、形が整い見栄えが良くなります。
スイセンノウの花言葉
「私の愛は不変」「いつも愛して」
最後に花を贈るときのメッセージ代わりにもなるスイセンノウの花言葉をご紹介します。毛織物のフランネルのような葉や茎を持ち、ビロードのような質感の花が愛らしい、スイセンノウの花言葉は、「私の愛は不変」「いつも愛して」です。「私の愛は不変」や「いつも愛して」という花言葉の由来は、開花した時期から次々と花を咲かせ長く花の時期を楽しめるスイセンノウの植物学的な特徴から由来した花言葉です。
「強い気持ち」
スイセンノウは「強い気持ち」という花言葉も持ち合わせています。この花言葉の由来は、こぼれ種からも翌年花を咲かす生命力の強さが由来した花言葉です。カンカン照りの太陽の下でも、白い毛で直射日光を遮りながら咲き続ける、そんな姿が由来し「強い気持ち」という花言葉が付けられてたと言われています。研究者によってマイナスのイメージの花言葉をシンボルに付けられた花もありますが、スイセンノウは不吉なことを意味する花言葉は持ち合わせていないので、贈る花束に加えるのもおすすめの花です。
スイセンノウを楽しもう
可憐な赤い花と毛織物のフランネルのような灰白色の葉が魅力的なスイセンノウ。ガーデニング初心者や忙し方にもおすすめしたい手間いらずの丈夫な花です。日本では一年草もしくは二年草扱いの花ですが、本来は多年草の植物です、日当たりと水はけがよい場所で、水やりを控えめに、そして日々のお手入れは花柄摘みさえしていれば上手に育てると、たくさん花芽を付け長い期間楽しめ、環境が整えば多年草としても楽しめる場合もあります。可愛らしくそして元気の出る花言葉を持つスイセンノウを育ててみませんか。
初夏に開花する花についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」ではスイセンノウと同じ季節に咲く花の情報を他にもまとめています。スイセンノウと同じようにガーデニング初心者でも育てやすい花の情報をもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。

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