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サンカヨウの謎めいた特徴や由来についてご紹介
濡れると透明になるとても不可思議な特徴のあるサンカヨウは、山野に自生する多年草です。その不思議で幻想的な特徴や濡れると透明になる理由や由来はいったい何なのでしょうか、また、幻想的な姿を見せてくれるサンカヨウの花の開花時期や季節ごとに見せてくれる特徴は何でしょうか。
ガーデニングで楽しみたくなったら、育て方や増やし方にポイントがあるのでしょうか。今回は、花言葉についても交えながら、サンカヨウについてご紹介します。
サンカヨウの特徴
小さな白い花をつける
サンカヨウは、湿地や山の奥の方に自生する多年草です。北海道から中国地方に生息し、草丈は50cm前後もありながら、花径は2cmほどの小さな白い花をつけます。花が終わると紫色の実をつけますが、この実は食べることができます。
サンカヨウの大きな特徴として、雨に濡れると花が透明になることで、その姿はとても幻想的で美しく、サンカヨウに会いに山を登る人も少なくありません。
サンカヨウの名の由来は?
サンカヨウは山荷葉の字を当てます。サンカヨウの名の由来はいくつかありますが、その由来のひとつがこの漢字の名前です。中国で「山荷葉」とはユキノシタのことで、サンカヨウとユキノシタを間違えたというのがその由来です。
また、もうひとつの由来は、サンカヨウを「山の荷葉」とするものです。つまり、ハスの葉を意味する「荷葉」が由来だとする説ですが、実際にはサンカヨウの葉はハスの葉というよりもフキの葉に似ています。
いずれの由来にせよ、その幻想的な姿にうっかり騙されたと考えると、このサンカヨウの名はふさわしいといえるのかもしれません。
サンカヨウの種類は?
サンカヨウは、双子葉植物に属するメギ科の植物で、サンカヨウ属に分類されます。北アメリカ、東アジアにも分布していますが、山の奥深い場所や湿気のある山野に自生しているため、園芸種としてさまざまな種類があるわけではありません。
サンカヨウの生育環境が整えば育てることは可能ですが、そうではない場合、サンカヨウに会いにいかなければ見ることはなかなかむずかしいといえます。
サンカヨウが濡れると透明になる理由とは?
濡れるだけでは透明になるわけではない
サンカヨウは濡れると透明になるという特徴がありますが、ただ濡れるだけでは透明になるのではありません。透明になるためには、ある程度の時間、しっとりと濡れる必要があります。つまり、水をかけただけでは透明になるわけではなく、ゆっくりと濡れることで透明になっていきます。
濡れると透明になる理由ははっきりとわかっていない
サンカヨウがジワジワと濡れることで透明になる理由について、専門家でもまだそのメカニズムはわかっていません。ただ、花弁が薄く、花弁がジワジワと濡れることで水分を吸収しますが、光を吸収しないため、透明に見えるのではないかと想像できます。
たとえば、白いティッシュが水に濡れると、ティッシュが水分を吸収し、ティッシュそれ自体は透明に見えます。完全に同じではないにせよ、サンカヨウが濡れると透明になる理由はこのメカニズムに似ているのかもしれません。
だから乾くと白い花に戻る
ゆっくりと時間をかけて湿っていったサンカヨウの花弁は、乾燥すると元のとおり、白い花に戻ります。濡れると透明になる理由も、乾いたら白く戻る理由も、はっきりとわかりませんが、だからこそサンカヨウが貴重な花で、会いに行きたくなるともいえます。
サンカヨウに会いに行くというのもハイキングやトレッキングに出かける大きな理由となります。開花時期が近づき、陽気な季節が訪れたら、さっそくサンカヨウに会いに出かけましょう。
サンカヨウと出会える場所や季節
北海道や本州で出会える
なかなか出会えないサンカヨウ。具体的にはどんな場所で出会えるかというと、北海道では夕張岳、支笏湖周辺、砥石山、恵庭市の山林など、各地で見られたという情報があります。
本州では群馬県や福島県の尾瀬湿原、志賀高原や戸隠森林植物園など長野県の高山各地、岐阜県北部の天生(あもう)峠付近、兵庫県の六甲高山付近、島根県の大万木(おおよろぎ)山、鳥取県の大山などに生息しています。
陽気な季節が訪れたらぜひ会いに出かけよう
サンカヨウの季節といえば、春先から初夏にかけてです。この季節になると、白い花が顔を出しはじめます。透明で美しいサンカヨウに会いたければ、朝露で美しく輝く瞬間がおすすめですが、早朝に山中へ訪れるのはなかなかむずかしいです。
関東近辺でしたら、サンカヨウの季節になったら尾瀬のキャンプ場で宿泊し、早朝散策でその美しい姿と対面することができるかもしれません。
サンカヨウの開花時期
開花時期は5月~7月
サンカヨウの開花時期は、5月~7月ごろです。この開花時期は、サンカヨウの見頃となりますので、花を見に行くにはこの季節がチャンスとなります。この開花時期のころは、サンカヨウのほかにも多くの花が顔を出しはじめる季節です。
したがって、この開花時期に山林へと出かけると、さまざまな草花に出会うことができます。サンカヨウだけではなく、ほかの草花も楽しみたいという方は、この開花時期のころに出かけることをおすすめします。
強い雨の日は花が落ちてしまうことも
ただし、この開花時期はちょうど梅雨のころに当たります。梅雨のシトシトト降る中でガラスのような美しいあの特徴的なサンカヨウの姿を見ることができますが、強い雨や風に当たると、その繊細な花びらが落ちてしまいます。
したがって、サンカヨウの開花時期にお出かけを考えてらっしゃる方は、天候を十分に考慮する必要があります。
サンカヨウの育て方①
サンカヨウの好む環境下で育てるのがコツ
サンカヨウは、冷涼な環境で育つ高山植物です。ご自宅で育ててみたいという方は、サンカヨウの特徴に合った環境を見つけることが先決です。鉢で育てる場合、風通しがいい日陰で育てましょう。
地植えで育てる方は、木の下や軒下など、涼しくて直射日光が当たらない場所を選びます。山で自生する植物であるため、夏の暑さには弱いものの、冬の寒さには強いという特徴があります。
夏場の管理がいささかむずかしくなりますが、まずはサンカヨウの好む環境を作ることが育て方の重要なポイントです。
苗は3月中旬ごろから出回る
サンカヨウ
サンカヨウの苗は、3月中旬ごろから出回ります。苗で購入したら、4月以降に植え付けましょう。鉢で育てる場合も地植えで育てる場合も、サンカヨウの特徴に合った場所を選びましょう。種から植える場合、花が咲くまでかなり時間がかかります。
とりあえず苗を購入して、生育環境があっているかどうかを確認してみてはいかがでしょうか。まずサンカヨウが生長する環境を作ることが育て方の第一歩です。
サンカヨウの育て方②
水はけのいい土を作る
サンカヨウの育て方で大切な土づくり。なるべく水はけのいい土で育てましょう。
赤玉や鹿沼土などに、市販の土を混ぜるのもおすすめです。土を準備する際、水はけをよくしておかないと、よく育たなくなることもありますので、土の準備はしっかりと行いましょう。元来、涼しい環境に自生している高山植物ですので、なるべく同じような環境にしてあげることが大切です。
水は1日1回程度でいい
鉢植えでサンカヨウを育てる場合、基本的な水やりで問題ありません。土の表面が乾くのを待って、たっぷりと水やりをします。1日1回で十分ですが、発芽するまでは乾燥しすぎないように注意する必要があります。
地植えの場合、とくに水やりをしなくてもいいですが、雨が降らない日が続いたら、水を与えた方がいいでしょう。暑さに弱いので、夏が越えられるかどうかが育て方の重要なポイントとなります。
サンカヨウの育て方③
花の後に紫色の実が成る
開花時期が終わると、ブドウのような紫色の実が成ります。この実の中に種が入っていますので、うまく花が咲き、実ができたら種を収穫しておくと、サンカヨウを増やすこともできます。実の中には種が9~10個ほど入っています。
種からサンカヨウを育てる育て方はかなりむずかしいのですが、花が終わった夏から初秋にかけての季節が種まきの季節となります。種から育ててみようという方はぜひ植えてみましょう。
植え替えの必要はない
山野に自生するサンカヨウを育て、秋の実の収穫が終わったら、植え替えを考える方もいらっしゃるかもしれません。サンカヨウは、山奥で自生する植物ですので、植え替えをして根を傷つけると、枯れてしまうこともあります。
土の状態がよくないなどの理由がある場合は、9月~10月ごろになったら取りかかりましょう。毎年、土を植え替える必要はありませんので、もしも花がきれいに咲いたら、そのまま育てていったほうがいいでしょう。
サンカヨウの増やし方①
種で増やす増やし方に挑戦
サンカヨウの増やし方には、種で増やしていく増やし方があります。あの美しい幻想的な花が終わった後、紫色の実がなりますが、その実の中にある種を収穫し、花が終わったころから初秋までに種まきを行う増やし方に挑戦してみましょう。種をまいたら軽く土をかけ、芽が出てくる春先まで水やりを行いながら涼しい場所で管理していきましょう。
発芽は春ごろだけど
サンカヨウの芽が出てくるのは春先です。ただし、種から増やす増やし方でサンカヨウを増やしていっても、なかなか花が咲かないこともあります。
サンカヨウのように山奥で自生している山野の花はなかなか育てるのがむずかしく、環境が合わなければ育ちません。サンカヨウが自生している環境を作ってあげながら、気長に花が咲くのを待ちましょう。
サンカヨウの増やし方②
元気がない場合は肥料を
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サンカヨウの増やし方のポイントは置き肥です。山奥に咲く花ですが、春先に肥料を施すと、花が元気よく咲きます。肥料の種類は化成肥料でも有機肥料でもかまいません。木陰や花壇の隅など、直射日光が当たらないような場所に置き、緩効性の肥料を与えると、毎年、神秘的な花をつけてくれます。
病気や害虫に強い
サンカヨウは自然環境の厳しい中で自生する花だけあって、病気や害虫に強いという特徴があります。夏に虫がつくことがありますが、特別な病気になることもなく、環境が合っていれば大きく育っていきます。
種で増やす増やし方がうまくいったら、毎年、初夏にはかわいらしい姿を見せてくれますので、継続して育てていきましょう。
サンカヨウの花言葉①
「清楚な人」や「親愛の情」の理由
サンカヨウの花言葉のひとつに「清楚な人」や「親愛の情」があります。この花言葉は、小さな白い花びらで可憐に咲くサンカヨウの姿が由来とされていますが、まさに清楚な印象があります。また、山野に咲くその姿には親愛の情を感じることから、そのまま花言葉となっています。まさにサンカヨウの咲く姿そのものですね。
花言葉に思いを託す方法
ハイキングやトレッキングでサンカヨウに出会う瞬間、清楚な人だと思う相手や親愛の情を持っている相手といっしょにいたいと思うものです。サンカヨウの花言葉にかけて、何かメッセージを伝えたいと考えてらっしゃるのであれば、そんな思いを抱いている相手を誘ってみるというのも手ではないでしょうか。
花言葉の由来について話をしてみたら、思いが伝わるかもしれません。
サンカヨウの花言葉②
「幸せ」の由来はその不思議な特徴
サンカヨウの花言葉のひとつである「幸せ」。濡れると透明になるそのガラス細工のような美しさとであることに、幸せという言葉が思い浮かばない方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
サンカヨウは、ただ濡れただけで透明になるわけではありません。ある程度の時間をかけて水分が浸透していくことで透明になるのです。もしもガラスのように輝くサンカヨウの姿を目にしたら、幸せという言葉が思わず出てしまうのは当然ではないでしょうか。
幸せになってほしい方へ贈る花として
サンカヨウのこの花言葉は、幸せになってほしいだれかのため、幸せをともに感じたいだれかのために贈りたいものです。身近にそんな人がいらっしゃったら、ぜひサンカヨウを贈ってみてはいかがでしょうか。
いっしょにサンカヨウの花を見に行って、その瞬間をともに過ごしたら、「幸せ」な気持ちがさらに深まるはずです。
サンカヨウの花言葉③
「自由奔放」という意味もある
サンカヨウには「自由奔放」という一風変わった花言葉もあります。これは、サンカヨウの特徴をそのまま表しています。
つまり、サンカヨウは、必ずしも濡れたら透明になるわけではなく、ジワジワと濡れて、ゆっくりと水分を吸収したら、花びらが透明になっていき、乾いたら白い花びらに戻っていきます。このサンカヨウの特徴は、まさに「自由奔放」です。
サンカヨウのように捉えどころのないあの人へ
朝露でガラス細工のように美しく輝いたかと思ったら白い野花に戻ったり、雨が降ったから透明になるかと思ったら白い花のままだったりと、自由気ままに咲き乱れるサンカヨウは、そんな捉えどころのない大切な人に贈りたくなります。
神秘的で不可思議で、でも何だか気になる人がいたら、ぜひいっしょにサンカヨウを見つけに出かけましょう。きっとすばらしいひとときを過ごすことができるはずです。
サンカヨウで有名な植物園は?
サンカヨウと出会える植物園をいくつかご紹介しましょう。開花時期に訪れれば、その神秘的な姿に出会えるかもしれません。ぜひその美しい姿を見に訪れましょう。
北海道・支笏湖国立公園
北海道千歳市にある支笏湖。札幌から1時間ほどにある支笏湖国立公園でサンカヨウを見ることができます。とくに国立公園内にある標高1320mほどの恵庭岳では群生したサンカヨウの姿が見られます。登山が好きな方、ぜひサンカヨウに会いに挑戦を。
栃木県・日光植物園
栃木県日光市にある日光植物園は、東京大学の教育実習施設です。入園料を払えば見学可能で、サンカヨウは園内のロックガーデンに植えられているのだとか。
個体数は少なく、花の寿命も長くはないため、必ずしも見ることができるというわけではありませんが、観光などで日光を訪れたら、開花時期にぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
基本情報
【住所】栃木県日光市花石町1842
【連絡先】0288-54-0206
【開園期間】4月15日~11月30日
【休園日】月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日、月曜から連休の場合は最後の祝日の翌日が休園日)
【開園時間】9時~16時半
【入園料】大人500円/子ども150円
【アクセス】JR日光駅または東武日光駅よりバスにて10分ほど「日光植物園」下車、徒歩2分ほど
長野県・戸隠森林植物園
長野県戸隠市にある森林植物園は、長野駅からバスで1時間ほどに位置します。こちらの植物観察園ではサンカヨウの花を見ることができます。ただし、戸隠森林植物園は、奥の野鳥が生息しているほか、クマ生息地でもあるため、注意して訪れましょう。
基本情報
【住所】長野県長野市戸隠3510-35
【連絡先】026-234-9522
【開園期間】4月第4土曜日~11月30日
【休園日】月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)
【開園時間】9時半~17時
【アクセス】JR長野駅よりバスで1時間
兵庫県・六甲高山植物園
世界や日本の高山植物と出会える植物園で、ガーデンテラス、アスレチック、オルゴールミュージアムなどが近くにあります。サンカヨウがよく見られ、透明になる神秘的な姿も見学することができます。六甲山一帯の観光の足でぜひ立ち寄りたい植物園です。
基本情報
【連絡先】078-891-1247
【休園日】4月2日(木)・9日(木)・16日(木)・23日(木)、7月2日(木)・9日(木)・16日(木)、9月3日(木)・10日(木)・17日(木)・24日(木)
【開園時間】10時~17時
【入園料】大人700円/子ども350円
【アクセス】六甲ケーブルにて六甲山上駅下車
サンカヨウに会いに出かけよう
ユニークな特徴や由来があり、シトシトと降る雨に濡れると透明になる不思議な花、サンカヨウ。その不思議なメカニズムの理由もはっきりとわからないという神秘的な花ですが、環境が合えば家庭でも育てることが可能です。まずはサンカヨウに会いに出かけましょう。そして、家庭でも栽培にチャレンジしてみましょう。
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