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【連載】PEラインとPEラインの結束は可能なのか?またその方法は?

春にかけて日本中で大風が吹きます。おかげで釣行できないどころか無理して釣りに行きリールのライントラブルに泣くことも(実話)。風に弱いPEラインがリールスプールに絡まった場合、かなりの量を残して切ることがあります。その時にPEライン同士を結束できるのでしょうか。
更新: 2023年12月4日
kuma10
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PEラインは風に弱い?

まずは言い訳から入らせていただきます。先週から始めた「土日で釣った魚の報告を火曜連載でする企画」が土日の強風で釣行に出られそうもありません(この記事は土曜日に書いています)。ええ、もちろん私は試みましたよ。事実金曜日の深夜12時を過ぎた瞬間「よし、土曜日になった。今日はイカ釣りだ」と意気込んで出掛けたのですから。

強風の中エギを嫁さんと必死に投げました。そこで嫁さんのエギングロッドに異変が。スピニングリールがバックラッシュしてしまい、かなりの量のPEラインを捨てるハメになりました。PEは横風に弱いんです。

PEライン同士の結束は必要なのか?

基本的には必要ありません

PEラインにはとても強い繊維が使われています。PEが「ポリエチレン」の略なのはご存じでしょうか。そう、簡単に言えば「プラスティック」ですね。これを極細い繊維にします。それを4本や8本使い、撚り(より)合わせたのがPEラインです。

プラスティックの特徴として「軽い」「伸びない」「劣化しずらい」などがありますが、その特徴をそのまま繊維でも再現しています。「伸びない」特徴があるため急激な力が掛かるとパチンと切れてしまいます。ですからショックリーダーを付けますが、大概はこのショックリーダーの交換だけで済みます。

特殊な場合はした方がいいかも

またPEラインは、真っ直ぐ引っ張った時の強度は高いのですが、横からの「擦れ(スレ)」には弱いという弱点があります。現場で一番多いのが、魚に抵抗されて根に潜られて切られる「根ズレ」。そしてもう一つがジグなどを投げた瞬間に切れる「高切れ」。これらはどちらも擦れて切れたものです。

この他にリール部やガイド部でのバックラッシュでキンク(巻き捻じれ)が起きてしまいそこで切らざるおえない場合などがありますが、ライン交換するには惜しい量がスプールに残っている場合はどうしても継ぎたくなりますよね。

PEラインが切れる理由とは?

摩擦(根ズレなど)

PEラインはとにかく「擦れ(スレ)」に弱いラインです。ラインに傷(毛羽立せ)を入れ張力テストをした結果がありますが、ナイロンやフロロなどのラインの場合は残存張力が70%近く残るのに対し、PEラインは20%弱しか残りません。

これには理由があり、4本撚り(より)や8本撚りで作られているPEラインでは1本の撚糸が切れたことによるバランス変化が大きいんです。

根ズレ回避テクニック


釣りのテクニック(テクニック?)の中に「ゴリ巻き」というのがあります。とにかく魚が掛かったらリールをゴリゴリと全力で巻く行為です。この一見野蛮な釣り方は実は理にかなっている部分もあるんです。

使用装備以上の魚が掛かった場合、物理的にどうやっても切られるわけですから、根に潜られるよりはマシというわけです。ゴリ巻きで上がらなければ装備以上の魚が掛かったとあきらめることができる爽やかな釣り方です。もちろん筆者はそんな釣りはしませんが。

スプールやガイドの傷(高切れなど)

ジギングなどをしていて、キャストした瞬間にふっとロッドが軽くなりジグがどこかに飛んで行ってしまった経験はおありでしょうか。これが「高切れ」です。

理由は多くありますが、かなりの確率でガイドやラインローラー、スプールヘッドの小さな傷にラインが干渉して起こります。事前に防げる原因ですので、ラインに触る個所の点検補修は常に心がけましょう。

PEライン同士の結束は可能か?

理論的には可能です(画像の上)

ラインとラインを結束させる方法はたくさんありますが、結び目でホールドするタイプなのか摩擦(抵抗)でホールドするタイプなのかのおおむね2種類に分けられます。PEラインは結び目ができるとそこに急激な圧が掛かった場合簡単に切れてしまいます。

ですからもしもPEライン同士の結束をするのならば「摩擦系ノット」になると思います。ただしPEライン自体がとても滑りやすい素材ですので、よほどしっかりと結束せねばなりません。

結びにくいし抜けやすい

実際に結束するとなるとその方法や使い処も問題になってきます。例えば根ズレや高切れで切れた場合はリーダーの追加だけで済むならそれで済ませましょう。

100m巻きの内の20mも30mも短くなってしまう、またバックラッシュで半分位切らなければならないようなら現場でPEラインを追加しなければなりませんが、コシが柔らかくつるつる滑るPEラインはとにかく結びにくいものです。結束場所から抜けて大物を逃すなど本末転倒ですので、ノットは慎重に行いましょう。

PEライン同士の結束方法①「オーソドックスに」

摩擦系強力簡単結束「FGノット」


まずはオーソドックスなFGノットに頼りましょう。この結束方法は利点が幾つかあります。まずは「簡単」なこと。釣り場でささっと結べるノットですので、高切れで紛失した分のPEラインをすぐに継ぎ足せます。

また、高切れにしろ下巻きからの追加にしろライン同士の影響を嫌うPEラインにとって「結び目が小さい」ことも大きな利点です。しかも結束強度はほぼマックスですから、まずはFGノットに頼ってみましょう。

FGノットの動画

とても分かりやすい動画です。ただし簡単そうに見えますが、慣れないうちはなかなかこうはいきません。まずはゆっくり真似をしてみて下さい。このやり方はPEラインの無駄が出やすいですが、釣り場などではとても有効です。

PEライン同士の結束方法②「推奨」

ショックリーダーを入れる(裏ワザ)

ガイドを通る部分の結束ではなく下巻きの追加などの場合、上に巻いたPEラインが150mなど、ほとんど釣りに直接関わらないことがあります。

今回の筆者のリールの場合がまさにそれで、下巻きをもとのPEラインで賄う場合は多少結び目が多くなっても構わないので、PEラインとPEラインの間にショックリーダーを入れてみましょう。今回はエギング専用のリールですので、出ても100mほどしかラインは出ませんので、下巻きの上に150mのPEラインを巻いていきます。

ショックリーダーは長めに

この方法を使う場合、単に「ジョイント」として間にリーダーを入れる訳ですから20cmくらいあれば事足りそうですよね。ですがラインに急激なストレスを与えないために、リーダーは少し長め(1mほど)に取りましょう。※画像は分かりやすいように短くとってあります。

PEライン同士の結束の注意点

しっかりと結束

PEラインとPEラインの結束は本当に緊急の応急処置、または釣りに関係の無い下巻きなどの部分に限って使ってもらいたいと思います。なぜなら「抜けやすいから」です。滑りやすいことが一つの特徴となっている繊維ですから、滑りやすいのは当然ですね。釣り場から戻ったら確認作業はもちろんのこと、交換できるのであれば交換しましょう。

コンパクトな結び目


ラインの結束には様々な方法がありますが、PEライン同士の結束をするのであれば「結束箇所の小さなノット」を選びましょう。

ラインがガイドを通過する時やラインがスプールから吐き出される時に結び目がトラブルの元になってしまっては本末転倒です。特にベイトキャスティングリールなどはライン放出が一定のスピードでないとバックラッシュの大きな原因になりますよ。画像上が「ノーネームノット」、下が「FGノット」です。

出来れば全取り替えを

ここまでPEライン同士の結束の解説をしてきましたが、できればPEラインは接ぐことを避け取り換える時には全取り替えをおすすめします。

もともとトラブルさえなければ持久力のあるラインです。毎日釣行してもショックリーダー付近の1mくらいをカットしながら3ヶ月くらいは使えるでしょ?私だけではないですよね。ですから1ヶ月くらいで交換の必要なナイロンラインと比べても決してコスパは悪くありません。無駄なトラブルを避けるためには全取り替えをおすすめします。

高価なPEラインは節約したい!

安くなったとはいえPEラインはナイロンラインに比べて高額です。なるべくなら補修しながら使いたいものですよね。今回の記事ではPEライン同士の結束をご紹介しましたが、フィールドでの高切れなど緊急時の対応などに貢献できればと思います。

ただ一番の節約は「ライントラブルを起こさない」ことです。ロッドやリールの手入れをするだけでも回避できるトラブルはたくさんあります。キャスティングの腕と道具は常に磨きましょう(ドヤ顔)。

ラインの結束が気になった方はこちらもチェック!

今回はPEライン同士の結束方法をご紹介いたしましたが、釣りで使うノットは数限りなくあります。「暮らし~の」のサイトにも多く紹介されていますので、ここに載せておきます。興味の湧いた方はぜひチェックを!