枝打ちの目的と必要性
枝打ちとは
森林などで木を育てる、つまり林業の中では「枝打ち」の名前で呼ばれている作業があります。その枝打ちとはいったいどういった作業でどんなも目的なのかと言うと、一言で言い表せば「余分な枝や、いわゆる枯れ枝などを、手斧やノコギリなどの道具を使って伐って落とす作業の事を言います。これら伐採された木材に節が残らないようにするため、根に近い枝を切る作業のことです。
枝打ちの目的
枝打ち作業は、枝打ちを行って木々の間がすっきり見通すことが出来るようにすることを目的としており、この作業の結果森林の見栄えが良くなる効果があります。その結果、森や林の管理が大変楽になり森林の見栄えアップ。間伐などの伐採作業時も、木の選別もしやすくなり作業の時間短縮にもつながります。
枝打ちに必要な道具と注意点
枝打ちの方法と使う道具と手入れ
枝打ちに使う道具は、ナタや手斧(ヨキとも言います)と手ノコです。これらはよく研いだ刃物で枝を伐り落とします。この際、枝を切った跡が残らないように慎重に切る位置を見極める必要があります。またナタや手斧を使う場合は、振り落とす位置の違いで上手く切れない場合や刃が欠けたりもします。枝打ちはまさに熟練の技術が必要なのです。
枝打ち道具
枝打ち道具は使い分ける事が大切
手ノコはナタや手斧と比べると切る場所を間違うことはありませんが、これら2つの道具と比べると多少時間がかかってしまいます。実際に使う場合は現場でこれらの道具を使い分けて使用します。また高さ2M以上の高さにある枝を切る場合には、そこまで登るための梯子や安全帯を使います。梯子と言っても一本梯子と言ってアルミ製の棒のわきに足かけようのステップが付いた林業用の梯子です。安全帯を使う目的は転落防止のためで、体を木に固定するために用います。
木によじ登る方法は危険
木に縄を渡して、よじ登っていく方法もありますが、転落事故が多く危険なので現在ではほとんど行われていません。これらに使う縄やロープは一見太く丈夫に見えますが、使うほどに切れやすくなります。そのため使うたびに点検する慎重さが求められます。
大切な事は道具の手入れ
ナタや手オノなどの刃物は充分い手入れを行います、よく研げていない刃物は枝が切れないばかりか、時には欠けたりして破片が飛んでくることがあり危険です。1日の仕事を終えて家に帰ってからは勿論の事、現場でも頻繁に研ぐことが大切です、作業者の中には「ひげが剃れるくらいまで研ぐ」という人もいます。それ程道具の手入れは大切で、手入れを行うことによって得られる効果は目に見えたわかります。
枝打ちに必要なの装備
枝打ち作業は刃物を道具として使う事と、高所での作業を行うため、注意していないと大変な事故につながります。一般的に枝打ち作業を行う場合の服装は、長袖シャツに長ズボンといった作業着に、頭にはヘルメット、腰には安全ベルトや刃物といった重装備をした上で木に登ります。
枝打ちの方法と効果と目的
枝打ちの大きな効果と目的
このような装備をして行う枝打ちの効果というと、一般的に住宅などの建築物に使う木材は、節がないものが高級とされています。木材を住宅などの用途にする場合、真っすぐであることは勿論の事、見栄えを考えて大きな節が見えないようにすることが大切なのです。つまり、枝打ちは製品としての木材の質を高める効果を有する重要な仕事です。このことで木の節がない「無節」の状態にして木材の値打ちを高める効果が得られます。
枝打ちは環境保全に役立つ
枝打ちを行った結果、木の病気である虫食いから木を守ることが出来たり、枝打ちを行ったことで太陽の光が地面まで届くようになり、結果地表の土壌分解が促進されます。そのため灌木類が豊かに茂っていきます。このことで森や林の環境保全に役立ちます。つまり枝打ち作業は森林の環境保全に不可欠な作業なのです。
枝打ちを行う時期
枝打ちの時期
枝打ちに適した季節というものは、昔から早春、つまり木の芽時期に始まり、秋の深まった時期つまり晩秋が良いとされています。そしてしてはダメな時期は新緑の頃と言われています。つまり細胞分裂が盛んな時期である新緑の時期に枝打ちを行うと、その場所に未熟な新組織が形成され、結果幹にキズが付きやすくなるわけです。そしてこの傷が大きく拡大されてしまうので、この時期は枝打ちを行うのはダメとされています。
枝打ちは計画的に
冬の季節は前述のように木の細胞分裂が止まります。そのために枝打ちには向いているように思われますが、木は厳冬期になれば固くなるため、枝打ちの道具の刃が傷むだけでなく、作業効率そのものも低下し、作業には不向きな時期と言われています。枝打ちには計画性が必要です、思いつきや中途半端なやり方はムダとなったり、かえって材価を悪くし大きな損失を招くことになりますので注意しましょう。
枝打ちは危険
枝打ちは危険な高所作業
枝打ち作業の枝の高さは、植樹された年数で変わってきます。例えば杉の木なら、初めての枝打ちを行う場所の高さは、10年経過した高さ2メートルの位置で実施します。2回目の12年から13年経った頃3メートルの高さでおこない、3回目になると18年から20年経過した頃に行うため、これらよりも高い場所での作業となります。
枝打ちのコツとは
実際に枝打ちをするコツは、木の低い下の方から上の方に作業を進めていきます。切り落とす枝が細く、太さが1.5cm以下の場合は、ナタを振り下ろして伐ります。太い枝の場合は、根元から少し離れた場所に、枝の下から上向きに枝の太さの7割ほどまで打ち込み、その後上から太さの3割打ち込んで枝を落とします。つまり太い枝の場合は下から先に切り込みを入れたあと、上側から打ち込むと、効率よく枝を伐り落とすことが出来ます。枝打ちは経験を積むことによって上達することができます。
枝打ちはロープ高所作業
もともと、枝打ち作業は高所作業とみなされていない作業でしたが、平成27年に労働安全衛生規則で、ロープ高所作業は危険という改正が行われたため、高さ2mを超える場所での作業が「高所作業」と解釈されるようになりました。この法改正によって高所作業を行う場合は教育が必要となりました。
枝打ちを行う場合の特別教育
つまり、労働者をロープ高所作業に関する業務に就かせるときは、作業の安全を期するため特別教育が義務となりました。林業の仕事は脚立や昇柱器を使って作業したり、木登り用の靴及びワイヤーを使って枝打ち作業を行うため安全対策が必要になります。つまり枝打ちの素人が行う場合は道具として、安全帯そしてヘルメットなどの装備が必須です。
枝打ちと間伐の違い
間伐とは
枝打ちと間伐の違いは、間伐とは端的に表現すれば、植えた木の中から幾本かの木を抜き伐りすることです。つまり生えている木の感覚を広げる作業です。農業でいうところの間引きに相当しますが、単純にそうと言い切ることが出来ません。本来「林業の要諦は間伐にあり」ともいわれるほどで、間伐とは奥深い技術なのです。それにも関わらず現状は、野放図で思いつきに近い間伐方法を行われているのが現状です。
枝打ちと間伐のおおきな違い
枝打ちと間伐の大きな違いは、枝打ちはその木の下枝を払い、太陽の光が木の根元に届くようにする事及び風通しや、光線の通り具合を良くして、根の成長を高める事です。この枝打ちと違い、間伐は森林全体を見て、樹と樹の間隔を広げて木の成長を促進する技術の事を言います。つまり、森全体の管理を行う作業が間伐です。
間伐の必要性
植林して10年以上経つと、林の中が混み合ってきます。そのため十分な光が当たるように、生育する樹木の本数を調整する必要が出てきます。また10年も経つと、同時期に植えた木でも、成長が悪かったり二股に成長してしまったり、曲がってしまうものも出てきて同じ時期に植えた木でも1本1本違いが出てきます。それらは成長しても 良質な材とならないため伐って、他の木の成長を進めるために行うことが必要なため間伐を行います。