花をドライフラワーにして楽しむ
ドライフラワーを楽しむ、とは?
植物をドライフラワーにするには、シリカゲルを使った方法やグリセリンを使った方法など美しいドライフラワーにするためのいろいろな方法があります。今回ご紹介するのは、買ってきた切り花を家でもう少し長く楽しむためにドライフラワーにする方法。お花屋さんで買える定番の種類から、気軽にドライフラワーにしやすいお花をピックアップしています。
適した花の種類を知っておくと便利
今回ご紹介するドライフラワーは、お花の枯れていく姿を楽しむ、お花の楽しみ方のひとつです。またドライフラワーに適したお花で作った花束は、万が一水を切らしてしまっても姿が変わりにくく腐ったりしにくいので管理も楽。お花をプレゼントするときにも、そんなお花の種類を知っておくと便利かもしれません。
ドライフラワーに適した花の種類は?
肉厚でない花
ドライフラワーに適したお花の種類は、あまり水分の多くない花たちです。ラン類のような水分の多い肉厚のお花は、自宅で自然にドライフラワーにするには少し難しい種類です。トルコキキョウやガーベラなどの茎が柔らかく水分を多く含んでいるお花も、あまり適した種類とは言えません。
カサっとした質感の花
初心者でも簡単にドライフラワーを作るコツは、カサっとした質感の花を選ぶことです。ここでご紹介しないお花でも、カサカサした手触りのお花であればドライフラワーにしやすいかも。また、花びらが多すぎる花はドライフラワーにすると花びらが散りやすく、扱いがちょっと難しい場合があります。
ワイルドフラワーがおすすめ
ワイルドフラワーとは、近年日本でも大人気の、南半球原産のお花たちのことです。オーストラリアやアフリカなどに自生するお花たちで、ネイティブフラワーと呼ばれたりもします。乾燥した環境を好むお花たちで、ドライフラワーになっても固い質感を保ったままで、ぽろぽろと崩れないためドライフラワーにとても適しています。
ドライフラワーにする方法
吊るすだけ!ハンギング
ドライフラワーを作る方法として代表的なのが、お花を逆さに吊るしておくハンギングという方法です。ほとんどの植物がこの方法でドライフラワーになりますが、特に茎が柔らかいお花などに適しています。日陰で風通しの良い場所に吊るしておくと、色が残りやすくなります。
タイミングが重要
美しいドライフラワーにするには、タイミングが大切です。もし最初からドライフラワーにする目的であれば、お花が開き始めた7分咲きのタイミングで吊るしておくときれいな花の形を保つことができます。生けた姿を楽しんでからドライフラワーにするのであれば、花びらが散ったり茎が腐ったりする前に水からあげます。
より簡単!ドライインウォーター
タイミングなど気にしなくとも簡単にドライフラワーにできる方法もあります。それは、花瓶の水を少なくしておいて、自然に水分を蒸発させていくドライ・イン・ウォーターというやり方です。萎れたり腐ったりしにくい、固い茎の植物に向きます。要は花瓶に挿しておくだけ。とっても簡単で手間のかからない方法です。今回は、このドライインウォーターでもきれいになるお花たちを中心に紹介します。
簡単にドライフラワーにできる切り花①カスミソウ
ド定番のカスミソウ
簡単にドライフラワーにしやすいお花でまずおすすめしたいのは、カスミソウです。お花屋さんに行けば必ずあると言ってもいいほど、定番のお花。花持ちもよくボリュームも出る上に、どんな時代でも人を魅了するかわいさがあるお花です。ドライフラワー初心者でもほとんど失敗しない、おすすめのお花です。
失敗しない!簡単ドライフラワー
カスミソウは、ドライインウォーター向きのお花です。吊るすだけのハンギングでももちろんきれいになりますが、ドライインウォーターで仕上げるとカスミソウ特有のふんわりした印象を保つことができます。ドライになったカスミソウは、リボンで束ねて飾っておくとかわいい。カスミソウだけを小さく束ねるだけでもインテリアになる、チャレンジしやすい花です。
簡単にドライフラワーにできる切り花②リューカデンドロン
シックな印象のワイルドフラワー
前回の記事、長持ちする切り花でもご紹介したリューカデンドロン。リューカデンドロンは種類がたくさんありますが、どれもドライフラワーにはとってもおすすめ。特におすすめしたいのは、プルモサスと呼ばれる種類です。松かさのような無骨な実が、ドライフラワーにすると実が開いて綿毛のような姿に。長く楽しめるお花です。
花瓶に挿しておくだけ
リューカデンドロンも、ドライインウォーターできれいなドライフラワーになります。よくお花屋さんで見るサファリサンセットは赤色と緑色のグラデーションが魅力ですが、ドライにするとよりシックな印象に。そのまま花瓶で飾っておいても、スワッグにしてもサマになるドライフラワーです。
簡単にドライフラワーにできる切り花③エリンジウム
シャープなブルーが魅力
エリンジウムとはヨーロッパ原産の植物で、シャープで透明感のあるブルーの花が美しいお花です。アザミに似た花で、5月から7月頃に開花期を迎えます。濃いブルーが美しい種類、白っぽい紫色の花、緑っぽい品種と、さまざまな品種があります。切り花は通年出回っており、普段からお花屋さんで見かけることも増えてきました。
ドライフラワーに適した扱いやすい花
エリンジウムもドライインウォーター、ハンギングで簡単にドライフラワーになります。ドライフラワーになっても粉々になりにくく、とても扱いやすいお花です。色も綺麗に残るので、きれいな青色がアクセントになります。お花屋さんに常に並ぶほどの定番ではないですが、扱っているお店は多くあります。見かけたらぜひ買ってみてくださいね。
簡単にドライフラワーにできる切り花④クラスぺディア
黄色いまんまるがかわいい
クラスぺディアは、ドラムスティックのような形状が特徴のキク科の植物です。グラスペディア、ゴールドスティック、ドラムスティックなどとも呼ばれています。まっすぐ伸びた茎にまんまるの黄色いお花をつけるのがかわいいお花です。ドライフラワーにしても黄色が鮮やかに残ります。
手入れ不要で長く楽しめる
クラスぺディアも、ドライインウォーター・ハンギングのどちらにも適したお花です。茎が細く、ドライフラワーにすると少し折れやすくはなりますが、こちらもとても扱いやすいお花。クラスぺディアも切り花は通年出回っています。一輪挿しに生けたままドライになってさらに長く楽しめる、ずぼらさんにもおすすめのお花です。
簡単にドライフラワーにできる切り花⑤センニチコウ
いつの時代でも愛されるキュートな花
センニチコウは1000日紅色が続くという名前のお花です。色づいている部分は萼(ガク)で、赤、ピンク、紫、白などの色があります。夏の畑の定番でもあり墓花や仏花の定番でもあるセンニチコウですが、時代が巡ってもその愛らしさが人気のお花です。特にいちごのような見た目のストロベリー・フィールズという品種が人気です。
赤系のドライフラワーとしてスグレモノ
センニチコウも、ドライインウォーター・ハンギングどちらでも簡単にドライフラワーにできます。開花時期は5月頃から11月頃までで、切り花としては開花時期によく出回りますがそのほかの季節でも見かけます。ドライフラワーになってもきれいに色が残る赤色系統の花としては、もっとも手に入れやすいお花です。
簡単にドライフラワーにできる切り花⑥パンパスグラス
ふんわりした穂が魅力的
パンパスグラスとは、日本ではシロガネヨシとも呼ばれるイネ科の植物です。巨大なススキのような見た目で、白銀のような美しい穂が魅力。ススキよりも穂の密度が高く、ふわふわとボリューム感があります。ドライフラワーになってもふわふわ感を保つのがよいところ。切り花は夏によく出回り、ドライになった状態でもよく販売されています。
水も要らない、簡単すぎるドライフラワー
パンパスグラスも茎がしっかりとしているので、ドライインウォーターできれいにドライフラワーになります。3、4本を花瓶に入れておくだけで、おしゃれな雰囲気に。買ってきてそのまま水を入れずに花瓶に生けておけば、まったく手間がかからないパンパスグラス。乳白色の穂はどんなインテリアにも合わせやすくておすすめです。
簡単にドライフラワーにできる切り花⑦プロテア
ワイルドフラワーの定番
プロテアとは、南アフリカ原産のインパクトのあるお花。ワイルドフラワーの代表格とも言える人気のお花です。魅力はなんといってもインパクトの大きい花。かっこいい形状と固い質感に、やわらかいピンク色が男女問わずに人気があります。近年は1年を通してお花屋さんで見かけることが多く、扱っているお花屋さんもたくさんあります。
大きい花がドライになっても魅力
プロテアも、ドライインウォーター・ハンギングどちらでもOK。しかし吊るしておくには少し重いので、ドライインウォーターのほうが簡単にできます。お花の開き具合はお好みで、好きなタイミングで花瓶の水を抜いていきます。ドライフラワーにしやすいお花の中ではとても大きいので、スワッグなどに入れると素敵です。
簡単にドライフラワーにできる切り花⑧ユーカリ
シルバーグリーンが美しい
シルバーグリーンの葉っぱが魅力のユーカリ。庭木や鉢植えでも人気の高いユーカリは品種が豊富です。切り花としてはハートの葉が魅力のポポラスや、葉が茎を突き抜けているように見えるツキヌキユーカリ、シルバーが美しい銀世界などがよく出回ります。特にレモンのような香りのレモンユーカリや香りが強めのグニユーカリは、香りも楽しめます。
ユーカリの実もおすすめ
ユーカリもドライインウォーターでもハンギングでもドライフラワーに仕上がります。葉っぱをきれいに上向きにしたい場合にはハンギングが適しています。ユーカリは実も魅力的。10月〜1月頃に出回る小さな実がつくポポラスベリーや、2月〜6月ごろに出回るごつっとした実が魅力のテトラゴナもおすすめです。
まとめ
ドライフラワーの寿命って?
通常ドライフラワーの寿命は、3ヶ月〜1年ほどです。今回ご紹介した花たちは、ドライフラワーの保ちとしても良いほうなので、半年はきれいな状態で楽しめます。ドライフラワーといえど完全に枯れてしまうと、茶色く汚くなってきます。完全に枯れていくまでの姿をたっぷり楽しんだら、また新しいお花を楽しんでくださいね。
関連記事や過去の連載はこちらをチェック
ドライフラワーについては暮らし〜の内でほかにも記事がありますので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。この連載では、お花屋さんで手に入る切り花について、旬の情報や基本の情報などをご紹介しています。気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください。
吊るすだけ!簡単ドライフラワーの作り方!好みの花でアレンジしよう!
ドライフラワーの作り方は、吊るしておくだけでとても簡単です。バラやアジサイ、スターチスやラベンダーなど、ドライフラワーにすることで鮮やかな色...
【連載】3月に旬のお花って?今お花屋さんで買えるお花をご紹介!
春の到来を感じ始める3月は、明るい色合いや甘い香りの花々がお花屋さんに並ぶ季節。3月の代表的なお花で、実際にお花屋さんにあるお花ってどれ?3...
【連載】長持ちする切り花ってどれ?定番からおすすめまで、全10種類をご紹介!
切り花を買うのなら、長持ちする花がほしい!お花屋さんで切り花を買う時には、どんな花が長持ちするのか知っておくと便利です。今回は、お花屋さんで...