検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

奥秩父の「甲武信小屋」とは?登山者が気になる宿泊施設やテント場をご紹介!

甲武信ヶ岳は奥秩父地方を代表する山として有名であるため、毎年多くの登山客が訪れます。山頂付近には山小屋があり、登山客にとってはうってつけの宿泊場所です。今回は甲武信ヶ岳の登山客に人気のある甲武信小屋について、内部施設やテント場を中心にご紹介します。
2020年8月28日
ナオティ
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

甲武信3県にまたがる甲武信小屋にようこそ

国土の多くが山岳という日本には、富士山をはじめ多くの山がそびえています。そして山々には、登ってくる人たちのために設けられた山小屋も多いです。これらの山小屋は登山の際に休息できる場であるとともに、災害時にも安心して避難できる場所になっています。

埼玉・山梨・長野の3県にまたがる場所にある甲武信ヶ岳も、登山で人気があるところの1つです。そしてその山頂近くには登山客の間で人気が高い山小屋である甲武信(こぶし)小屋があります。今回は甲武信ヶ岳登山で非常に便利な甲武信小屋についてご紹介しましょう(文中の情報は2020年5月10日現在)。

甲武信小屋はそもそもどこに位置している?

甲武信小屋はそもそもどのあたりにあるのでしょうか。山の天候は変わりやすいため、万一の場合に役立つ情報を持っておく意味も含めて、小屋の場所や特徴を知っておくことは大切です。ここではまず、小屋のある場所や営業期間についてご紹介します。

奥秩父の甲武信ヶ岳に位置している山小屋

甲武信小屋は標高2475mを誇る奥秩父の甲武信ヶ岳にある山小屋です。山頂からは直線距離にして200mほど南東、標高も2440mと山頂に比べるとわずか30m程度しか変わりません。なお正確な住所は、埼玉県秩父市大滝3638-8となっています。奥秩父にて営業しているため、山小屋を経て山頂付近までやってくると、広大な関東平野のパノラマを楽しめる場所です。

営業期間は4月下旬から11月下旬の時期

山々にある山小屋は、基本的に冬季を除いた登山の繁忙期に営業しています。甲武信小屋の場合も、例年4月下旬から11月下旬までの7ヶ月間が例年の営業期間です。言い換えれば、GWから11月の終わりあたりまで開設されており、その期間中に山を登る人々のために営業しています。

初心者などは甲武信小屋で宿泊する方が無難

登山の際は、山頂に向かう前に小屋で1泊するのがおすすめです。実は甲武信ヶ岳は坂の勾配が非常に急で、慎重さが求められるところが多く存在します。小屋から山頂へ登る場合も、わずか30m程度登るだけとはいえ、勾配がきついことで有名です。加えて登山慣れしている人でも、甲武信ヶ岳の登山を日帰りで踏破するのは、よほど足腰に自信のある健脚な人でなければ難しいといえます。

このため初心者が登山する場合は、山麓から山頂を経て日帰りで戻ってくるのは困難です。もし山にあまり慣れていない状態で登山に出かけるのであれば、じっくり山を散策したり、高所の空気に体を慣れさせたりする意味でも小屋での1泊がする方がおすすめでしょう。

甲武信小屋へのアクセス手段には何がある?

安全に山登りを楽しむためにも、甲武信小屋へのアクセス方法を知っているとなおさら安心できます。アクセスは山梨県側の主な入口である西沢渓谷からのルートと、長野県側の代表的な入口である毛木平(もうきだいら)からアクセスするルートの2通りがメインです。

西沢渓谷登山口からアクセスするルート

西沢渓谷からの場合、JR中央本線の山梨市駅や塩山駅から車やバスを使って登山口の駐車場か、その手前の「道の駅みとみ」にある駐車場まで移動します。駐車場から先は徳ちゃん新道などを使って進み、全体で約7時間から8時間ほどの所要時間です。なお、奥秩父など埼玉県方面からアクセスする場合も、このルートがおすすめでしょう。

毛木平登山口からアクセスするルート

長野県の毛木平登山口からの場合は、まずJR小海線信濃川上駅から車で30分移動し毛木平駐車場に向かいます。毛木平から先は滑(なめ)滝や山頂を経由すれば小屋に着くルートで、全体の所要時間は約5時間から6時間程度です。

甲武信小屋の宿泊施設とはどのようなもの?


小屋で宿泊する場合、どのような施設になっているのかは出かける前からしてで気になるでしょう。ここでは小屋にどのような施設が備えられているのかについて、名物や評判も含めてご紹介いたします。山小屋利用の際にぜひとも参考にしていただければ幸いです。

収容人数は150名を誇る

山小屋自体は木造で、看板も手作りとなっていて可愛らしさを感じられます。中には全部で3部屋あり、合計150人が相部屋で泊まれる仕組みです。具体的にはチェックイン時に渡された番号のスペースで寝泊まりします。なお宿泊の際は、素泊まりと食事付きの2種類から選べる仕様です。ちなみに山小屋の評判は登山客の間でもいたって良好で、ご主人が自身で淹れた温かい飲み物を出してもらえます。

宿泊施設以外にも売店やトイレなどがある

宿泊施設のほかにも、売店やトイレも備え付けられていて便利です。売店ではカップラーメンやおでん、お酒類も多く、高山登山の際に非常に助かるという点でも高い評判を得ています。お酒類に関してはビールやワインなど品揃えが非常に豊富であるため、星々がよく見える夜空を眺めながら1杯やるのも楽しみの1つです。

実はカレーライスも名物として評判がある

食事の際に提供されるカレーライスが絶品であることも、小屋の評判が高い秘密になっています。カレーライスはこの小屋のメニューとなっているうえ、お代わりも自由です。家庭的な手作り感が特徴である分、味わいも温かく優しさが込められているため、評判が高いとされています。

テラスでの自炊も可能

小屋で振舞われるカレーライスを食べる以外にも、備え付けのテラスで自炊も可能です。テラスの周辺は基本的に森に囲まれているものの、一部開けた場所があるため、雄大な景色を見ながら食事や宴会のひとときを味わえます。空も開けているため、ここで星空を眺めながら過ごすと印象的な思い出になるでしょう。

甲武信小屋のテントサイトを利用するには?

甲武信小屋ではテントサイトも利用できます。テントサイトが持つ特徴や、利用時のメリットとしてどのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、小屋近くに設置されているテントサイトについていろいろとご紹介いたしましょう。

テントサイトも事前予約制

テントサイトは全部で30張を設置できるスペースが用意されています。ただし、テントの大きさによっては40張り近くを設営できるため、比較的多くの登山者が利用できるといってもよいです。なおテントサイトの利用は2020年5月までは先着順でしたが、以降は事前予約制となっています。このため、宿泊する場合と同じように事前に電話などで予約が欠かせません。

強風の心配が少なく、初心者でも安心

テントサイトは小屋のすぐ近くに設けられています。周りが森に囲まれているため、夜風をしのぐにはうってつけの場所です。加えて強風でテントが飛ばされる心配もあまりありません。このため初心者であっても安心して利用でき、この点でもこの小屋の評判が高い理由の1つとなっています。

山頂などへのアクセスにも優れている

またテントサイトは、アクセス面が優れている点も大きなメリットである評判となっている点です。具体的には山頂まで約15分で、近くにはレスキュー用のヘリポートも設置されています。特に2000m以上もの高所に位置し、天候や体調もいつどのように変化するのかがわからない環境にある中で、緊急時に使えるヘリポートが近いのは大助かりな点です。

甲武信小屋を利用する際の注意点とは?

Photo bygeralt

小屋を利用する際は、いくつか守るべき注意点があります。登る最中に後悔せずに済むように、事前に注意すべき点について理解しておくことが大切です。主なポイントとして、以下に挙げられる水が有料である点など4点があります。

宿泊もテント利用も水は有料


まず、宿泊・テント利用どちらの場合も関係なく水が有料である点です。高所では水は貴重で節約に迫られるため、大量利用が難しくなっています。もし水が必要な場合は、小屋の中で営業している売店で1リットル50円で購入する決まりです。加えて飲料水についても、なるべく自分で持参した方がよいでしょう。

入浴施設や携帯の充電器はない

ほかにも入浴施設や携帯の充電器も備え付けていない点も注意すべきです。山麓に下山するまでお風呂は我慢することになります。携帯の充電器についても、緊急時のみ貸してもらえる仕組みとなっているため、自分で用意するのがおすすめです。なお携帯の電波も通信会社によっては届かない場合もあるため、事前に確認しておくべきでしょう。

宿泊予約は遅くとも登山口にて

Photo byPexels

宿泊する場合は、事前に予約が必要です。夏場やGW以外の閑散期で当日に予約する場合でも、遅くとも登山口を出発する前までに予約を済ませておくように案内されています。もし予約なしで山小屋に着いても、宿泊を断られる場合があるため、事前にきちんと予約したうえで向かうようにするのがベストです。

冬季はテントのみ利用可能

GWから11月いっぱいが小屋の営業期間となっているものの、甲武信ヶ岳は奥秩父では冬山登山でも人気があります。もし冬山登山をする際に小屋を利用したい場合は、テントサイトのみ利用可能です。ただ小屋が閉鎖中のため、売店やトイレも利用できません。このため、食料や寝具以外にも用を足すための手段も必要です。

甲武信小屋や甲武信ヶ岳におすすめの時期

奥秩父の名峰である甲武信ヶ岳に出かけるうえでおすすめの時期とはいつなのかは、登山好きな方や山の自然を満喫したい方にとって非常に気になるところでしょう。特にシャクナゲが咲く5月から6月にかけての時期や、ほかよりも比較的登山しやすくなっている冬季などがおすすめです。

シャクナゲが咲き誇る5月から6月

5月から6月にかけて咲き誇るシャクナゲは登山中最大の見どころに数えられます。シャクナゲが見られるのは、長野県側は十文字小屋より、山梨県側は徳ちゃん新道と、同じく登山道である近丸新道の合流点より山頂側です。場所によってはまるでアーチをイメージさせるかのように咲き誇るため、深い森とシャクナゲが満開の姿を一緒に楽しめるでしょう。

比較的涼しく山登り向きの夏場

最大の繁忙期が夏場です。2000mを超える標高となっているため、多くの登山客が真夏でも涼しい気候を求めて訪れます。この時期では別種のハクサンシャクナゲが咲くため、登山道を散策しながらじっくりと美しい姿を楽しめるでしょう。なお小屋の方も繁忙期ということで非常に混雑するため、宿泊する場合はいち早く予約を入れておくとよいです。

紅葉の美しい秋

秋の甲武信ヶ岳は、奥秩父でも有数の紅葉の名所として知られています。ただし標高によって最適な時期が多少異なるのが特徴です。山頂や甲武信小屋が最も早く9月に見頃を迎えます。その後は十文字峠など標高が比較的高い地帯では10月前半に、それよりも標高の低い登山道などが10月から11月が最適です。

小屋が使えない冬季も比較的人気が高い

冬場は山の周辺の空も真っ青になりやすいため、富士山などさまざまな山々の姿をよくとらえられます。ただし比較的雪が降る時期が長引きやすい傾向にあるため、冬用の装備をしっかり整えてから登山するのがおすすめです。

甲武信小屋周辺に温泉や小屋はあるのか?

Photo by amika_san

甲武信ヶ岳を堪能して山を下りている最中にはお風呂が待ち遠しい気分になるでしょう。実は甲武信ヶ岳の麓には登山の前後でゆったりできる温泉施設がいくつかあります。加えて、同じく山小屋である十文字小屋も設置されており、宿泊地の選択肢の1つになるでしょう。

西沢渓谷側であれば「みとみ笛吹の湯」

山梨県側には「みとみ笛吹の湯」があります。国道140号線沿いに位置している温泉施設であるため、登山口に行く途中や登山の帰りに立ち寄りやすいです。露天風呂からは笛吹川が長年にわたって形成した渓谷を見られるため、特に登山帰りで疲れた心身をじっくり癒せます。


「みとみ笛吹の湯」の基本情報

【住所】山梨県山梨市三富下釜口9447
【連絡先】0553-39-2610
【アクセス】JR中央本線山梨市駅よりバスで40分

毛木平側であれば「海ノ口温泉和泉館」

甲武信ヶ岳山麓のうち、長野県側のエリアで最もおすすめの温泉施設です。毛木平への最寄り駅であるJR信濃川上駅から北に行ったところにあります。1世紀以上を誇る歴史と海ノ口温泉の源泉かけ流しが特徴です。加えて35度程度の低い温度であるため、熱いお湯が苦手な方でもじっくりと浸かっていられます。

「海ノ口温泉和泉館」の基本情報

【住所】長野県南佐久郡南牧村海ノ口933
【連絡先】0267-96-2106
【アクセス】JR小海線佐久海ノ口駅より徒歩4分:信濃川上駅より車で18分

毛木平側には十文字小屋もある

西側の十文字小屋は、標高2000m程度の場所にある一方毛木平から比較的近く、体を高山の気候に慣らすにはちょうど良い立地です。加えて小屋の客室も3段ベッドであるため、自分が落ち着けるプライベート空間を確保できます。

十文字小屋の基本情報

【住所】埼玉県秩父市大滝十文字峠
【連絡先】0267-96-2106
【アクセス】中央自動車道須玉I.C.より車で毛木平駐車場まで1時間、駐車場より徒歩2時間

まとめ

奥秩父にある甲武信小屋は、甲武信ヶ岳登山では欠かせない宿泊施設です。静かな環境の中で落ち着いた夜を過ごしつつ、体調が良好な状態で山頂へのアタックに望めます。ご利用の際は時間に余裕を持って予約してから出かけてみてください。

甲武信ヶ岳や周辺の登山はこちらがおすすめ

甲武信ヶ岳自体も登山客の間では非常に人気のある山で、登山で感じられる魅力がいろいろと詰まっています。また近くには八ヶ岳もあり、こちらも富士山が遠くに見えるなど絶景の多い山です。もし甲武信ヶ岳や八ヶ岳にも興味を持っていたり、出かける予定があったりする場合にはこちらの記事も読むとよいでしょう。