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ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)って一体どんな花?特徴や育て方のポイントなどをご紹介!

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)とはヨーロッパからやってきた鮮やかな球根植物です。美しい花を咲かせ、簡単に育つことから広く親しまれています。和風の名前に異国感ただよう姿のヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)。特徴、育て方、植え替え、似た花などを紹介します。
2020年8月28日
e-math
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ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)とは:基本情報

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)とは、梅雨から夏の季節に赤やオレンジの花を咲かせる球根植物です。漢字で「姫檜扇水仙」と書き、和風の印象を受けますが、そのルーツは南アフリカとフランスにあります。南アフリカ原産の2種類の花「ヒオウギズイセン」と「ヒメトウショウブ」を交配して作られたのがヒメヒオウギズイセンです。フランスで観賞用として作られて明治時代の中期に日本に渡来しました。

基本情報

 

分類 クロコスミア属(アヤメ科 ヒメトショウブ属)
学名 Crocosmia x crocosmiiflora(クロコスミア・クロコスミイフロラ)
原産地 南アフリカ
花期 7月~8月

ヒメヒオウギズイセンは「クロコスミア」や「モントブレチア」の名前でも呼ばれます。どちらも属名を指す言葉で、クロコスミアは現在の属名、モントブレチアは旧属名です。お盆の季節に花がたくさん咲くので盆花としても利用されます。梅雨ぐらいの季節になるとお寺の境内などでも見かける花です。

クロコスミアのその他の品種

クロコスミア属に分類される花は世界で広く栽培され、数多くの品種が作られています。その中でも最も一般的なものがヒメヒオウギズイセン(クロコスミア・クロコスミイフロラ)です。その他には、赤い花の「クロコスミア・ルシファー」や黄色い花の「クロコスミア・コロンブス」などたくさんの品種があります。

野生化しつつ世界中に分布

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)は生命力の強さが特徴の一つです。もともとはヨーロッパで観賞用に作られたのですが、その生命力の強さから野生化しているものも多く見られ、現在では世界中に広く分布しています。寒さにも強く、日照時間や湿度などの気候的影響にも耐え、繁殖力も旺盛です。育て方によっては他の生態系への影響が出てしまうので注意が必要です。
 

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)とは:特徴

炎のように赤い花

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の最も特徴的なのが、真っ赤に燃える炎のような花の色。花の大きさは直径2cm~3cmと小ぶりながら、鮮やかな赤い色が存在感を強調します。灼熱の太陽を思わせる花の姿に、原産地である南アフリカの面影を感じます。

剣のようにとがった葉

Photo by alh1

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の葉は剣のように細くとがった形をしています。長さは30cm~50cm、幅は1~3cm程度。葉には線状の筋があり、地面から立ち上がるように伸びて群生しています。細長くすっと伸びる葉はアヤメ科らしい特徴です。

めったに結実しない緑の果実

Photo by Starr Environmental

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)にはめったに種ができません。赤い花が咲いたあとには緑の果実ができるのですが、ほとんどが結実しないままです。結実した場合は果実の中に5mmほどの黒くて丸い種ができています。結実していない果実には、成熟しない白い胚珠が中央部にたくさんくっついている状態です。半分に切った断面はピーマンに似た形態をしています。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)とは:名前の由来

ヒメヒオウギズイセンは属名を指すクロコスミアとも呼ばれますが、ヒメヒオウギズイセンという名前はちょっと変わった響き。名前の由来を知ることで花の持つ個性を感じられるでしょう。


名前の由来①格式のある扇子「檜扇」

檜扇とは、ヒノキの木材で作られた扇子のことです。古くから宮中で使われているもので、時代や年齢や性別などによって様々な使い方があります。葉が広がる様子が檜扇のように見えることから、ヒオウギを使った「ヒメヒオウギズイセン」の名前が付きました。ヒオウギ(檜扇)やヒオウギズイセン(檜扇水仙)も同じ由来の名前の花です。

名前の由来②交配親のヒオウギズイセン

ヒオウギズイセンは南アフリカに分布している花で日本には定着しておらず、国内ではあまり目にしません。高さは1m、花径は3~4cm程度。ヒメヒオウギズイセンの交配親なので見た目も良く似ています。「ヒメヒオウギズイセン」という名前はヒオウギズイセンに似ていて小さめであることを意味します。ヒメ(姫)は「小さい」を表す言葉です。

名前でわかりにくくなってしまった花の実態?

ヒメヒオウギズイセンはアヤメ科に分類される花です。しかし名前にスイセン(水仙)が付いているため、スイセンの一種かと勘違いをしてしまいます。また、赤い花が「緋色」の文字を連想させて「姫緋扇水仙」と書かれることもあります。葉の特徴を示す「檜扇」の要素が名前から無くなってしまい、実態をつかみにくくなってしまうのです。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の育て方:1

場所と地域

生命力たっぷりのヒメヒオウギズイセンは栽培にもあまり手が掛かりません。育て方はやさしめなので初めてでも栽培にチャレンジしやすいでしょう。

日当たりのよい場所が理想!

日当たりと水はけの良い場所が理想的です。半日蔭でも育ちますが、日当たりが良い方が花がよく咲きます。乾燥地や湿地にも耐え、土質も選ばないので幅広い環境に適応します。寒い季節に凍結するような地域では腐葉土や藁敷きで凍結対策をする必要があります。

栽培が禁止されている地域があるので注意

ヒメヒオウギズイセンは、繁殖力の強さゆえに条例で栽培や持ち込みが禁止されている地域があります。日本国内においては、佐賀県で移入規制種として指定されています。栽培をはじめる前に居住地域の条例などを確認しておきましょう。もし栽培ができない場合は、ヒメヒオウギズイセンに似た花で品種の異なるものを探してみてもいいかもしれません。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の育て方:2

季節に応じて水やりの調整をする

Photo bycongerdesign

庭植えの場合水やりはほとんど不要で降雨のみで大丈夫です。鉢植えの場合は用土の表面が乾かないように水やりをします。水やりをする季節は春から秋(3月から10月ごろ)の間。秋になって葉が枯れ始めたら水を減らしてください。秋から冬の季節は休眠期になるので水を断ちます。

肥料はほとんど不要

肥料はほとんど不要です。肥料を多く与えると葉が大きく成長して倒れやすくなります。肥料を与える場合は、庭植えと鉢植えともに春に少量だけ与えてください。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の育て方:3

植え付け・植え替えの季節は春ごろ


3月下旬~5月下旬ごろが植え付け・植え替えに適した時期です。球根または、花のついた株を植え付けます。花のついた株は開花の季節になると鉢植えが出回ります。

植え付け方

Photo by Nursing Schools Near Me

庭植えの場合は、深さ10cmに株間20cm程度で、2~3球ずつまとめて植えます。鉢植えの場合は、深さ5cmに株間5cm程度で植えます。用土は一般的な草花用培養土、または赤玉土7、腐葉土3の配合土などを使います。

植え替え方

庭植えの場合は数年間は植え替えは不要です。株が増えてくると、花が咲きにくくなったり倒れやすくなったりするので植え替え方が必要。その場合は間引いて株を減らしたり、もしくは休眠期にすべて掘り上げて球根の数を減らしたりして植え替えをおこないます。鉢植えの場合は根詰まりを防ぐために1~3年ごとに、株分けしたり分球したりして植え替えてください。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)の育て方:4

Photo byterimakasih0

ほかの花を駆逐してしまうほどの繁殖力

ヒメヒオウギズイセンは育てるのに手が掛からない反面、気づくと庭や花壇の外まで広がっているなんてことも。繁殖が広まりすぎると他の花を駆逐してしまいます。花を育てるだけでなく、増えすぎないように管理するのも栽培のポイントです。

地下茎ごと抜き取って除去する

Photo by Tatiana12

株を持って引いて地下茎ごと抜き取とれば除去できます。引き抜くこと自体は簡単ですが、球根が地中に残っていると、開花時期になって再び育ち始めます。繁殖を防ぐには球根が残らないようにしっかりと除去することが必要です。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)のアレンジ

アレンジ①切り花

ヒメヒオウギズイセンは切り花にしても鮮やかな花を楽しむことができます。さりげなく飾るだけでもインテリアに彩りが生まれてとてもスタイリッシュ。白い壁やテーブルにビビッドなカラーの花がよく映えます。花が咲くのは梅雨の季節。ジメジメした空間でも明るい花が気分を一掃してくれそうです。

アレンジ②高級な香り

ヒメヒオウギズイセンの花を乾燥させてお湯に浸すとサフランの香りがします。サフランとは、料理の香りづけや色づけに使われるスパイスで、サフランの花の雄しべを摘んで乾燥させて作られています。サフランスパイスはとても高級なスパイスですが、ヒメヒオウギズイセンを使ってその高級な香りを楽しむことができます。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)に似た花:1

ヒメヒオウギズイセンに似た花の一つがヒオウギ。鮮やかな花や地面から伸びる葉の形がヒメヒオウギズイセンに似た雰囲気を持っています。

ヒオウギは日本の山野草


アヤメ科アヤメ属に分類される球根植物で、原産地は日本を含む東アジアです。本州・四国・九州に分布していて、カラスオウギ(烏扇)とも呼ばれます。ヒメヒオウギズイセンは観賞用に作られた園芸品種ですが、ヒオウギは山や海などに自然に育っている花です。

ヒオウギならではの特徴は黒い種子

ヒメヒオウギズイセンはめったに結実しませんが、ヒオウギには黒い種子ができるのが特徴です。ヒオウギの花は濃いオレンジ色に斑点模様で夏に開花します。葉の形状はふくらみのある檜扇らしい姿。草丈は40~100cmぐらいです。

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)に似た花:2

こちらは小さめサイズのヒメヒオウギ。6枚の花びら開くその姿がヒオウギに似ていることから、その名が付きました。名前だけ聞くとヒメヒオウギズイセンと同じものだと勘違いしてしまいそうです。名前だけではなく見た目も似た花のヒメヒオウギを紹介します。

ヒメヒオウギには白い花も咲く

ヒメヒオウギはアヤメ科フリージア属の花で、学名を表す「アノマテカ」とも呼ばれます。南アフリカ原産の球根植物で観賞用に作られた品種です。開花時期は春ごろなので、夏に咲くヒメヒオウギズイセンより早めに花が咲きます。ヒメヒオウギズイセンには見られない白色の花を咲かせる可愛い花です。

白いヒメヒオウギはアシンメトリーの美しさが魅力

ヒメヒオウギの花の色は、ピンク、オレンジ、白などがあります。6枚の花びらのうち3枚だけにブロッチ(点)があるのが特徴の一つです。そのブロッチが際立つのが白いヒメヒオウギ。赤いブロッチが映えてアシンメトリーの美しさが魅力的です。草丈は10~30cmで花径は2.5cm程度。葉が細く伸びて赤い花が穂の先に咲く姿はヒメヒオウギズイセンに似たビジュアルです。赤と白の花が一緒に咲くと可愛さがさらに増します。

まとめ

ヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)は南アフリカの花を両親に持つフランス生まれの花。特徴的な赤い花は、異国情緒がありながら、お寺の境内にもなじむ和風の雰囲気もあわせ持っています。和風洋風どちらの空間でも栽培を楽しめるのが、親しみやすさのポイントです。手入れも簡単で切り花にしても美しいヒメヒオウギズイセン(クロコスミア)をぜひ育ててみてください。

クロコスミアの他の品種や似た花が気になる方はこちらもチェック!

クロコスミアにはヒメヒオウギズイセンの他にも様々な品種があります。他の品種が気になる方は是非こちらもチェックしてみてください。アヤメ科のグラジオラスにも、ヒメヒオウギズイセンに似た花の品種があるので併せて参考にしてみてください。