はじめに
セロリとは
セロリはヨーロッパ原産のセリ科の植物です。古代では食用よりも万能薬として広く使用されていました。日本へは加藤清正が文禄・慶長の役の時に持ち帰ったと言われ、戦後食生活の欧米化に伴い広く食べられるようになりました。セロリは茎や葉はもちろん、根・実・種のほとんどの部分を食べられます。また漬物やスープ、肉料理の香味野菜など調理の仕方も多岐にわたり、豊富な栄養素が含まれる万能な野菜として注目されています。
セロリの栄養素と効能①体の調子を整える
ビタミンA(βカロテン)
セロリには多くのビタミン類が含まれています。ビタミンは他の栄養素がうまく作用するための潤滑油のような栄養素で人の健康を維持するためになくてはなりません。また体の中ではほとんど作られないので食べ物から摂る必要があります。βカロテンは植物に含まれる色素で、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。抗菌作用があり、皮膚や粘膜の保護、免疫力の強化や視力の維持、美容に効果が期待できる成分です。
ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性の栄養素で、糖質(炭水化物)や脂質からエネルギーを作ります。特に脳へのエネルギー補給は糖質から行われるので頭を使う仕事や勉強をする時に必要となります。不足するとエネルギーにならないので、疲れやすい、食欲がないといった症状が出ます。更に疲労物質である乳酸を分解する効能もあるので疲労回復に効果を期待できます。ビタミンB1の多く含まれる代表的な食材は豚肉です。
ビタミンC、ビタミンE
ビタミンCはコラーゲンの合成を助け体の組織を丈夫にし、活性酸素やストレスによる悪影響を抑える効能があります。抗酸化力の強い成分で、シミやシワの防止、肌にツヤやハリを与えるなどの美容効果が期待できます。抗酸化力がとても強いビタミンEはビタミンCと協力して活性酸素を除去し、血管を健康に保ち、血中のコレステロールの酸化を抑制する効果もあるので男性、女性に関わらず是非摂ってほしい成分です。
ビタミンK
ビタミンKはパセリや納豆などに多く含まれている栄養素で、出血した時に血液を止める、骨を丈夫にするといった働きがあります。ビタミンKが不足すると出血した時に血が止まりにくくなったり、鼻血が出やすくなったりします。骨の健康にも重要な役割をする栄養素なので慢性的に不足すると骨粗しょう症になり、骨折しやすくなる恐れもあります。ビタミンKは脂溶性のビタミンで油脂に溶けるため、油と一緒に摂ると吸収がよくなる特徴があります。
ビタミンU
ビタミンUはキャベツの絞り汁から発見された成分で、別名を『キャベジン』とも呼ばれます。市販の胃腸薬としても有名で、正式にはビタミンではありません。しかし、ビタミンと似たような作用をすることからビタミン様作用物質と言われる栄養素です。ビタミンUの効能は胃の粘膜細胞の血流を促進し胃腸の粘膜を修復する、胃酸の分泌を抑えるなどで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防する効果が期待できます。
セロリの栄養素と効能②むくみの解消
カリウム
カリウムはミネラルの一種で体内の余計な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。スイカに含まれているイメージが強いですが、実はセロリにはスイカの3.4倍ものカリウムが含まれています。塩分を排出することでむくみの解消や高血圧、長時間の運動による筋肉の痙攣を防ぐ効果があります。ただし、腎機能が低下している人が摂り過ぎると尿と一緒にカリウムを排出しにくく、高カリウム血症になる可能性があるので注意しましょう。
セロリの栄養素と効能③便秘解消
食物繊維
食物繊維はカロリーの割に満腹感を得られるためダイエット食として利用されます。食物繊維には血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑えるといった効果の他、腸内の善玉細菌を増やし、便通を良くするという効果も期待されています。セロリに含まれる食物繊維は不溶性の食物繊維で腸を活発にして働きを良くし、便を促す効果があります。整腸作用やコレステロールの低下でダイエットや健康に効果があります。
セロリの栄養素と効能④リラックス効果
アピイン、セネリン
セロリには独特の香りがありますが、40種類の香り成分が含まれています。代表的な香りはアピインやセネリンという香り成分です。アピインはポリフェノールの一種で精神を落ち着かせ、リラックスさせる沈静効果があります。セネリンには頭痛や耳鳴りを抑え、香りを嗅ぐだけでもイライラを抑える効果があります。これらの成分は茎よりも葉の方に多く含まれており、入浴時に葉を刻んで入浴剤として使用するとリラックス効果に加えて湯冷めしにくくなります。
ピラジン
セロリの葉の部分に多く含まれているピラジンは、香り成分の一つで血液をサラサラにする効能があります。セロリの香りを嗅ぐことで血流が良くなり血中のコレステロール値を下げ、動脈硬化などの生活習慣病の予防になると期待される他、体の隅々まで血液が運ばれるので冷え性の改善にもなります。更にピラジンには鎮静・鎮痛作用があり、自律神経の乱れを整え気持ちを落ち着かせるとともに、頭痛や生理痛を和らげる効果もあります。
セロリの栄養素と効能⑤滋養強壮効果
アンドロステロン
セロリにはアンドロステロンという男性ホルモンが含まれており、昔から性的活力を高める滋養強壮剤として知られています。男性ホルモンを増やす方法としてコレステロールを摂取する方法がありますが、コレステロールが多く含まれる食品の過剰摂取は動脈硬化、心筋梗塞、脳出血、高脂血症などの病気につながるため注意が必要です。セロリは食物繊維や香り成分の効能でコレステロールの吸収を抑えながらアンドロステロンという男性ホルモンを増やせるので健康的です。
セロリの女性に嬉しい効能
セロリとダイエット効果
便秘解消を促す効果があるという意味でもダイエット効果がありますが、セロリは食品が持つエネルギーよりも、その食品を消化する時に必要なエネルギーの方が多い食品です。ダイエットは基本的に摂取するエネルギーよりも消費したエネルギーが上回らなければ成立しません。セロリはこの状態が成立するため、お腹がいっぱいになってもカロリーは消費している、という状況になりダイエットに有効とされています。
セロリと美容・美肌効果
セロリはどれかの栄養素が特別に高いというわけではなく、ビタミン類がバランスよく含まれているという点で優れています。特に女性が求める美肌作り必要なビタミンACE(エース)、つまりビタミンA(βカロテン)・ビタミンC・ビタミンEを一度に摂取できるところがメリットです。その他にもこれまで紹介してきたように便秘の改善、ストレスの緩和、血流の改善などその他色々な効能で美容・美肌に効果を発揮します。
効能を活かすセロリの摂り方
セロリのサラダ
セロリの茎は水分が多く食感がシャキシャキしているので、長細く切りスティック野菜として好みのディップソースをつけて食べると美味しいです。ただし、セロリの栄養素は細胞の中に含まれてるのでそのまま食べる場合は良く噛んで食べる事が大切です。シャキシャキした食感や味が苦手なら、茎を輪切りにしてドレッシングと和えればスティックよりも食べやすいです。また、生では食べにくい葉も小さく刻んで一緒にドレッシングに和えると食べやすくなります。
セロリのスムージー
茎よりも栄養分の多い葉をそのままサラダとして食べる事に抵抗があれば、スムージーにして飲むという方法があります。サラダと同様、匂いが苦手な人には飲みにくいかもしれません。自分で作るなら、りんごやバナナ、はちみつなどセロリと相性の良い食材を組み合わせて自分好みの味に調整すれば飲みやすくなります。葉も茎も一緒に摂れるのでおすすめの方法です。
セロリのスープ
スープはセロリの食感や匂いが苦手な人にもおすすめの食べ方です。ビタミンC、ビタミンU、カリウムなどの栄養素は熱に弱く水に溶けやすいため、成分の溶け出したスープを飲むことで丸ごと栄養を摂取できます。セロリに含まれるβカロテンやビタミンEは油との相性が良いので、煮込む前に油で炒めておくとより効果的です。もちろん茎も葉も残さずスープに入れ、ミネストローネやポタージュ、中華スープなど味付けを変えれば様々なバリエーションで食べられます。
セロリを食べる時の注意点
セロリの食べ過ぎに注意
美容・健康に良い野菜とはいえ、セロリばかり食べていると同じ栄養素の過剰摂取でデメリットが生じます。セロリに含まれる食物繊維は不溶性のもので、便の量を増やして排便を促します。しかし過剰摂取をすると便を詰まらせてしまい逆に便秘になります。便秘解消には不溶性と水溶性をバランスよく摂る必要があります。また、セロリは水分を多く含むため食べすぎると体を冷やします。冷え性の方や妊婦さんは食べ過ぎに注意しましょう。
セロリの一日の摂取量
成人男性、女性が一日に食べられるセロリの量を知っておきましょう。ここで目安になるのがカリウムの一日の摂取量です。成人男性で2500ml、成人女性で2000mlです。セロリ以外の食べ物からもカリウムを摂ると考えて、一日分の半分をセロリで補うと換算すると、男性は最大で3本、女性は最大で2.5本です。これは結構多い量なのでかなり食べなければ食べ過ぎにはなりませんが、最大限に食べる必要もありません。毎日1本でも続けて食べた方が健康的です。
セロリを食べる時間帯
セロリは健康・美容に良い野菜であると紹介してきましたが、食べる時間帯には注意が必要です。セロリには光に反応する物質、ソラレンが多く含まれています。食べてから約2時間で全身にまわるので外出する日の朝食や昼食で食べてしまうと日焼けしやすくなります。ソラレン自体に害は無いので紫外線の関係ない夕方以降に食べる事をおすすめします。
まとめ
セロリには嬉しい効能がたくさん
セロリは昔から万能薬として使用されてきましたが、現在でも美容やダイエット、生活習慣病予防などの効果を期待できる野菜として注目されています。女性はもちろん、男性も疲労回復や免疫力を上げる、コレステロールを下げるといった健康効果も期待できるのでおすすめの野菜です。独特の匂いに苦手意識を持つ人も多いですが、スープにすれば匂いをごまかすこともできます。これを機会に是非積極的にセロリを摂ってみてはどうでしょうか。
セロリの育て方や食べ方が気になる方はこちらもチェック
万能野菜、セロリを自分で育ててみたい方、サラダやスムージー、スープ以外のセロリの美味しい食べ方が気になる方はこちらを参考にしてください。
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