昔ながらの暖房器具・火鉢の使い道や魅力とは
最近では、高性能で簡単に暖房となるエアコンやヒーターなどが主流となってきていますが、古きよき火鉢も粋な暖房器具となります。
火鉢は五徳を使うことで、ちょっとした料理なども作れる便利な暖房器具です。
火鉢について
火鉢は、古くは奈良時代から登場し、昔は薪などを燃やして暖房としていましたが、それだとどうしても煙が出てしまいます。そんな時に、炭を起こして暖房しようと作られたのが火鉢です。
武家や公家などの大きな家で使われることが多かったため、現代では考えられない、数人がかりで移動させなければならない、大型の大名火鉢というものもあったそうです。
江戸時代から明治にかけて一般家庭に普及し、長火鉢や小型の手あぶり火鉢などが登場してきました。長火鉢は、鉄製の頑丈なものから、木製の四角い片付けやすいものに変わり家庭に進出してきました。
火鉢は、部屋全体を温めることは難しいので、小型の手足を温めるための手あぶり火鉢も登場しました。よくイメージされる陶器の火鉢は、ここ100年ほどで登場した新しいものになりますが、いまもおしゃれなデザインの火鉢が販売されています。
おしゃれな火鉢も続々登場
火鉢というと、大きな陶器の壺のようなものをよく見ますが、最近では、おしゃれな火鉢や小型の火鉢なども販売され、古い火鉢のイメージが払拭されてきています。またオフシーズンでは、火鉢を違った使い方をすることで、インテリアとしても活躍します。
火鉢は、炭の保存方法や火箸や灰均しなど、さまざまなアイテムが必要なものがあります。いろいろな火鉢を調べてみて、古きよき暖房アイテムを知ってみましょう。
火鉢を使う際に必要な物
火起こし鍋と炭
火鉢には炭に火をつけることが、どんな火鉢にも必要です。手あぶり火鉢の場合は、1~2かけらほどの炭が必要になります。長火鉢の場合には、3~4個ほどの多めの炭が必要になりますが、バーベキューのように火起こしをすることはありません。
専用の火起こし鍋で、炭にガスで火を付けてから、火鉢に炭を移します。
灰
火鉢には当然のことですが、灰が必要になってきます。灰が入っていない炭を起こしても、うまく固定できないばかりか、火鉢は底が深くなっているので、どうしても暖房機能が弱くなってしまいます。初めて火鉢を使う場合には、しっかりと灰も一緒に購入しておきましょう。
火箸や灰ならし
火鉢の手入れには、火箸や灰ならしが必要になってきます。炭を動かしたりするのに、火箸は必要になってきます。もちろんトングでもいいですが、少し情緒に欠けるので、火箸を用意するのが、火鉢を楽しむうえで重要になります。
灰ならしは、名前の通り火鉢の中の灰を平らにするのに使います。
火消し壺
火鉢を使う際に注意しなければならないのが、火がついた炭の処理になります。炭は燃焼する際に一酸化炭素を出すので、こまめな換気と、近くを離れる際には、しっかり火を消す必要があります。そんな時に、火消し壺を使って密閉すれば、完全消火できるので非常に安全で便利です。
室内で使う時の注意点
マンションの場合には特に換気が必要
普通の一軒家の場合もそうですが、マンションなどの室内で火鉢を使う場合には、こまめな換気が必要になってきます。マンションは、コンクリート造りなど密閉率が高い建物になるので、1時間に2~3回は窓を開けて換気する必要があります。、
一軒家などの室内でも、換気は必要になってきますので、火鉢を使う際には、意識的に換気をおこないましょう。
完璧な暖房器具として見てはいけない
火鉢をエアコンやヒーターなどの現在の暖房器具と同じと考えてはいけません。基本的に火鉢は、人がそばにいて火を管理しながら暖をとるものになります。これは、長火鉢など他の火鉢も同じになります。
火鉢の熱は赤外線になりますので、身体を芯から温められますが、部屋自体を暖かくする効果は弱いので注意してください。
火鉢の使い方
火鉢の設置
設置場所は換気のしやすい場所に
火鉢を設置する場所を選ぶときは、換気ができる部屋に置きましょう。また、寝室などの燃えやすいものが多いところには、置かないようにするのがおすすめになります。火鉢はあくまで身体や手あぶり用なので、部屋全体を温めるように使うのは、使い方として正しくありません。
長火鉢などの大型のものをおける広いスペースで、換気がしっかりと行えるような場所に設置しましょう。
マンションなどの場合は窓際に
マンションなどの密閉率が高い室内でも基本は、換気ができる場所に設置するようにしましょう。そして、長火鉢のような大型の火鉢を置く場合には、燃えやすいものが少ない部屋を選んであげましょう。
火を消し忘れて寝てしまうと、非常に危険なので、しっかりと火を消してから使用をやめるようにしましょう。
灰を整える
火鉢の灰の使い方
火鉢の設置場所が決定したら、火鉢の中に灰を入れて、灰ならしで灰を平にしていきます。灰の量はセット販売されている火鉢を購入した場合には、そのまま入れるだけです。使っていくとだんだん灰が増えてくるので、だいたい縁から5センチは空間を開けるようにしましょう。
また、火鉢の灰の量はあまり知られていませんが、正確な適量を図る計算式がありますので、興味ある方はぜひチェックしてみてください。
【計算式】 〈四角い火鉢〉の場合 幅cm×奥行cm×高さcm÷2160=灰の適量kg 〈丸い火鉢〉の場合 幅cm×幅cm×高さcm÷655=灰の適量kg 〈例〉 幅30cm奥行き30cm高さ15cm の四角い火鉢の場 30cm×30cm×15cm÷2160=6.25kg
火鉢灰セット
火鉢の灰の処理方法
火鉢に使う灰の処理方法は、灰の種類によって異なってきます。火鉢の灰は、木材を燃やして作られた木灰と、セラミック灰の大きく2種類に分けられます。木灰の場合には燃えるゴミで出してしまえばOKです。
他にも木灰の場合は、庭に撒いて植物の肥料にするのもおすすめになります。逆にセラミックの灰の場合には、燃えないゴミとして出す必要がありますので、自分の使っている灰は、どちらかしっかりと確認しましょう。
③炭を起こす
火起こし鍋で炭に火を起こす
火鉢の炭を用意する時に必要になってくるのが、火起こし鍋になります。これは、鍋底に穴が網のように入っているので、炭にガスの火を当てて着火できます。火起こし鍋で炭に火を起こす場合には、大体5分ほど加熱する必要があります。
火起こし鍋を持っておけば、キャンプのバーベキューなどの火起こしも楽になるので、用意しておくのがおすすめになります。
余った炭は炭斗に
炭はまとめ売りされている場合が多いので、どうしても一回の火鉢使用で使い切ることができません。そんな時に活躍するのが、炭斗になります。炭斗はすみとりとよみ、余った炭を保存するため箱になります。
火鉢と炭斗は、セットで揃えて置くと保存に便利なのはもちろんのこと、インテリアとしてもしっくりきます。といっても、炭は使用期限があるので、早めに使い切ってしまうのが、すぐに火を起こすことのコツになります。
火鉢の使い道①暖房として
手あぶりくらいにする
暖房として火鉢を使う場合には、部屋全体を温めるエアコンのような使い方ではなく、手あぶりくらいに思っておきましょう。手あぶりとは、炭に手をかざして、まるで炙るように手を温めることです。
炭は熱気で温まるのもありますが、どちらかというと、燃焼の際に発せられる赤外線によって身体を温めるので、温める箇所を炭にかざすのが、暖房としては一番効果的になります。
湯を沸かして室温をあげる
火鉢は、種類によってはお湯を沸かせる暖房器具です。また発生する湯気によって、室内を温めるという使い方もできます。
茶道などで沸かすように、鉄のヤカンで湯を沸かすので、普段のガスで沸かすお湯とは違う味わいがあり、火鉢を使う時は、お湯をわかせるように道具を揃えて置くと便利です。
火鉢の使い道②五徳を使って
五徳を用意してお湯を沸かす
火鉢に五徳を乗せることで、鉄のやかんでお湯を沸かします。炭を使ってお湯を沸かすので、ガスで沸かしたお湯とは一味違ったホットドリンクを楽しむこともできます。
五徳を用意することで、小型の火鉢や長火鉢でちょっとした網焼きが楽しめるので、火鉢を使う場合には、ぜひ五徳を用意してみてください。
五徳を使うときの炭の配置
五徳を使って、火鉢でお湯を沸かしたり、ちょっとした料理するときには、炭の配置を変える必要があります。火鉢の中で炭を移動させて、ちょうどいい火加減にする必要があります。
といっても、炭は轟々と燃えているわけではないので、長火鉢などの大型の火鉢の場合には、ちょっと炭を端に寄せて、五徳用の炭を作れば大丈夫になります。小型の場合には、五徳ではなく、単純に網を用意するだけでもOKになります
火鉢の使い方のコツ
火箸を使って火力を調整
火鉢の中で火力を調整するには、火箸を使って火力を調整します。火力を強めるには、炭の赤くなっている部分を隣合うようにして五徳の中央にまとめ、火力を弱める場合には、片方の炭を赤くなっている部分を五徳の外側に向けるようにすれば、火力を調整できます。
おしゃれに火鉢を使いこなしましょう。
火箸の保管は湿気に注意
火鉢の保管ですが、おしゃれな火鉢の場合には、火鉢自体に火箸を保存する場所が付いているおしゃれ火鉢もあります。保管場所が設けられていない場合には、木箱に乾燥剤を敷いてから布を敷きます。先に火鉢の汚れを落としてから保存するようにしましょう。
オフシーズンには、時々箱を開けて風通しよくしてあげると、錆びることなく保管ができます。
火鉢を使った後処理は火消し壺が重要
火鉢を使用したあとの後処理は、火消し壺で行うことが安全でおすすめになります。火消し壺とは、燃焼し終えたまたは、炭の形を残した状態の炭を保存、消火するための密閉率の高い陶器の壺になります。
この壺に入れると、炭の中央が燃焼し続けたとしても、空気がなくなると燃焼できなくなり、自動的に消火され、再び翌日燃焼させて暖をとることが可能です。火消し壺のデザインもおしゃれなものが多いので、火鉢と一緒に購入してみてください。
灰の保存方法について
火鉢のオフシーズンになると、中に入っている灰を保存するか、捨てるかしなければなりません。灰自体は、1kgで100円から2000円くらいまでピンキリなので、シーズンごとに買い換えるのもいいですが、折角ですので、捨てない保存方法を知っておきましょう。
使い終わった火鉢の灰を、目の細かいザルで細かなゴミを取り除いて行きます。そして、日当たりのいい場所でカラリと乾燥させてから、乾燥剤を加えてジップロックなどで保存すれば、翌年も使うことが可能です。
少し固くなっていても、火で乾燥が進むに連れて柔らかさが出てくるので、使いながら灰の扱いも覚えて置きましょう。
オフシーズンの使い方
火鉢のオフシーズンである夏場には、倉庫の肥やしになってしまい、改めて季節が巡ってきたとしても、出すのが億劫になってしまいます。
そこで、オフシーズンにも火鉢を活用して、火鉢を常に生活に活かすようにしてあげると、火鉢の価値が薄くなることがなく、倉庫の肥やしになることもありません。
オフシーズンには水槽に早変わり
ちょっとおしゃれで大きな骨董品店の前に、壺のようなものが水槽になっているのを見たことはありませんか?
実は、壺の水槽は火鉢を活用して作られたのが始まりです。ちょっとした水草を火鉢の中いっぱいに水を入れて、金魚やメダカといった淡水魚を泳がしてあげれば、おしゃれな火鉢水槽の完成になります。
部屋で映えるおしゃれな火鉢
まん丸火鉢
マンションなどの洋風の部屋にも合う、おしゃれ火鉢も登場してきてます。
室内のインテリアのバランスを崩さない、おしゃれなデザインの丸い火鉢になります。ちょっとした手あぶりに使えるので、大仰な火鉢や長火鉢ではなく、おしゃれな洋風インテリアの火鉢が欲しい方に、おすすめの火鉢になります。
木製長火鉢
おしゃれな長火鉢が欲しい方におすすめなのが、アンティークショップで販売されている年季物の長火鉢になります。
長火鉢自体は、火鉢ショップで新しいものを購入できますが、自然な傷がついた木製の長火鉢を手に入れるには、骨董品店やアンティークショップに足を運ぶことが重要で、慣れてくると探して歩いてみるのも面白いものです。
小型火鉢
小さな火鉢を使って、手あぶりをして暖まりたい方におすすめの、サイズはΦ13cm(内径10cm)×H10cmくらいの小型火鉢になります。
室内で邪魔にならないのはもちろんのこと、ちょっとした労力で手足をあぶって楽しめるので、マンションなどの狭い室内や、本格的な火鉢は高級過ぎるといった方におすすめなのが、小型の火鉢になります。手軽に火鉢を体験してみたい方に、ぜひおすすめです。
ピンク ミニ火鉢
小型火鉢は調理向き
小型でお手軽に購入して楽しむことのできる火鉢は、マンションなどの室内で換気をしながら、ちょっとした炭火焼調理をするのに向いています。といっても、流石にバーベキューのような、煙がモクモクと出るものをマンションなどの室内で行うことはできません。
きのこを焼いたり、里芋などの炭火で焼くと、ちょうどいいお酒のつまみにもぴったり。換気しながら楽しめる、小型火鉢もあるので探してみてください。
まとめ
いかがでしょうか?今回は、室内で火鉢を使う上での注意点や使い方を紹介してきました。火鉢は古きよき暖房器具になりましたが、ヒーターやエアコンの普及により、ほとんど見る機会も減りました。
しかし、実際の炭の火だからこそ、身体や手足を芯から温める効果を得られ、デザインもおしゃれなものが増えてきた火鉢です。古き時代に愛された火の暖かさを、火鉢で体験してみてください。
炭が気になる方はコチラもチェック!
今回は、マンションなどで火鉢の使い方を紹介してきましたが、火鉢でも七輪でも炭を扱うには、十分に気を配らなければなりません。
炭は燃焼時間も長く、強火で料理を美味しくしてくれる便利な燃焼材になりますが、室内で炭を起こす場合には、しっかりと換気する必要があります。このように便利ですが、気を付けて使わなければなりません。炭の使い方が気になる方は、コチラの記事もチェックしてみてください。
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