はじめに
画角や焦点距離とは?望遠やズーム・広角を使い分ける
カメラレンズの広角や望遠ズームなどを利用すれば普段人の肉眼で見るのとはまた違った風景が撮影できます。写真や映像の撮影をはじめたばかりで画角による画像の違いを知りたい方向けに、画角ごとの撮影物を紹介しつつその特徴を紹介していきましょう。
画角による比較に覚えておきたい基本の撮影用語
ここでは主に下の6つの言葉を使用してカメラで撮影された写真を説明していきます。日常的に使う言葉でない場合は、実物を見ないとピンとこない場合も多いのでここではある程度理解できた程度で良いでしょう。
画角
画角というのは単純に写真撮影が可能なサイズとも取れますが、正しくはカメラのレンズで撮影可能な範囲を角度で表現する方法のことです。画角が大きければ広角で小さくなると望遠となります。それにより撮影できる範囲が代わり違った写真が撮影できます。
被写界深度
画角と焦点距離というのはレンズや絞り値が固定されていればフィルムによって一定の数値になっていますが、この絞り値を調整することによって画角に関係なく焦点距離を広げ広角に撮影することができ結果的に画角が広がる(と言われる)状態にすることができます。深い・浅いという言葉で表現され深いと実際にピントがあっていなくても広い画角でピントがあった状態になり、浅いとピントが合う範囲が狭くなり他の撮影物がぼんやりと映ることになります。
デジカメの被写界深度
フィルムカメラでの撮影では一般的な被写界深度もデジタルカメラの場合は操作はマクロなどを使用して行うことになるでしょう。一般的なスマホや携帯に付いているカメラやデジカメにおいて被写界深度は深くほとんどすべてのものにピントが合うかまたはすべてがピンぼけになる状態になっています。
望遠
望遠とは遠くのものにフォーカスをあわせて近くにあるように撮影できるモードのこと。ズームともいわれています。カメラのレンズでこの望遠操作をするということは画角と焦点距離の関係に大きく関わってきます。
広角
望遠とは逆の効果で遠くにあるものでも広く全体的に撮影できるようにするモードのこと。こちらも画角と焦点距離の関係によって変わってきます。それぞれの写真の写り方は後ほどご紹介します。
焦点距離
焦点距離とはそのものズバリピントが合う距離のことで、遠いものが望遠で近くなら広角ということになります。フィルムにより画角の広さによってこの焦点距離が変わってきて、そのため同じ場所を撮影したとしても違った写真となります。
絞り
カメラのレンズのF値のことで、開くことによりたくさんの光を取り入れたり被写界深度を浅くすることが可能。逆に絞りを小さくすることで逆に被写界深度は深くなり撮影した写真にもその変化が現れます。絞りとはレンズが覗ける穴の大きさと考えると良いでしょう。人の目で例えるなら目を細めて見るとピントがあったり、ぼやけたりするのと同じ原理です。
画角による撮影された写真の違い・比較1.
標準的な画角で撮影されたイメージ
街から少し離れた小高い丘などから風景を撮影。標準レンズを使用した場合にはだいたいどの写真もこのように撮影できるでしょう。ここでは、大きくて目立つビルを入れて広角と望遠の見え方の違いを見ていくようにしていきます。
ふだん見ている見慣れた景色
標準的な画角は倍率の基準ともなるもの。人が肉眼で見ている画角とほぼとなっています。スナップ写真などに向いており、よく見慣れた景色で特に代わり映えしない反面、違和感もなくすんなりと誰でも受け入れることができる写真となっていますね。
画角による撮影された写真の違い・比較2.
35mmレンズの画角で撮影されたイメージ
広角ぎみなカメラレンズ35mmを使ったイメージです。さきほどよりも少し広い範囲で撮影されているのがわかりますね。他の家と比較しやすくて、ビルの大きさが理解しやすいのではないでしょうか。
広角は焦点距離が近くなるため広く撮影される
このように広角になると画角が広く映ると同時に焦点距離も短くなります。かなり広角にならないとその違いが如実に現れたと感じることは少ないですが、集合写真や街の風景など広い範囲を撮影したいときには画角を広くしたこのような撮影が向いています。
画角による撮影された写真の違い・比較3.
18mmレンズの画角で撮影されたイメージ
これが18mmレンズくらい画角が広くなるとかなり標準的な写真との違いがハッキリとしてきます。被写界深度が深いので全体にピントがあったように撮影されており、そのためビルより手前の家々の方が大きい分目立っています。
全景を撮影するのに向いている画角
目的物としたビルは街の一部といった感じで、全体の風景になじんできています。風景写真として状況がわかりやすい一方で、ビルを目的に撮影する場合には少し不向きといえるでしょう。
画角による撮影された写真の違い・比較4.
ここからはズームした写真イメージとなります。ズーム倍率が上がるとよりビルに近づいた画像になるのが特徴です。焦点距離が長くなることにより画角が狭まり映る範囲が限られてくるのがよくおわかりいただけるでしょう。
85mmレンズの画角で撮影されたイメージ
85mmレンズは標準と比較してズーム倍率は約3.5倍程度。それでもかなりビルに寄った写真イメージとなります。写真のコツは三角形を作るようにという一般的なセオリーがありますが、ビルを中心にしない方がよりビルの大きさを確認しやすく写真としても安定感が出ておしゃれなイメージとなります。
建物紹介のパンフレットなどで使いやすい大きさ
ビルだけ撮影してもそのビルがどれだけ大きな建物なのかというのはあまり伝わらないものです。ビルの形や色などを確認できる大きさで、なおかつ周りの建物との大きさ比較ができる画角としては良い大きさなのではないでしょうか。
画角による撮影された写真の違い・比較5.
105mmレンズの画角で撮影されたイメージ
85mmとあまり違いは感じないかも知れませんが、より対象物に寄ったイメージとなっています。このあたりの望遠になると好みといえる範囲かも知れませんね。ズーム倍率は約4.2倍程度となっています。
微妙な画角の差では違いがわかりにくい
広角の時もそうでしたが、微妙な画角の差ではその違いが出にくいと感じるでしょう。画面右手のアパートのような同じ形の集合住宅が並んでいる部分を見ると画角の違いがわかりやすいですが、望遠にすることで逆にビルが霞んできているような印象も受けます。
画角による撮影された写真の違い・比較6.
200mmレンズの画角で撮影されたイメージ
200mmといえばかなり画角がせばまっておりほぼ8度(カメラのピントがあっているポイントからの角度)程度の範囲となっています。反して焦点距離は伸びるのが特徴。近くのものはこの角度で撮影するとずいぶんと接写したものが撮影できるでしょう。
遠くからでも窓の中まで覗けそうに
標準ではまったくといっていいほどわからなかったビルの窓の中のものまで、うっすらとその影が見えるくらい大きく写っています。200mmといえば望遠でもまだ超が付くか付かないかのギリギリのライン。さらにもっとズームして写すことで雰囲気もずいぶんと変わってくるでしょう。
画角と併用したい写真撮影テク比較1.魚眼
さて、画角と写真の雰囲気やズームの具合などはご理解いただけたのではないでしょうか。ここからはただ広角や望遠にするだけでなく併用して使っていきたい面白い写真撮影のテクニックをいくつかご紹介しましょう。
写真を歪ませて広く写すカメラやレンズ
少し以前に流行った鼻デカペット写真などで見慣れた人も多いであろう魚眼レンズ。一般的な写真は広範囲を撮影してもできるだけ被写体の比率を変えずに写すことを目的としていますが、魚眼レンズは中心から離れるほど大きく写ります。出始めのころのワイドテレビで画面の端の方が大きく写って見えたという現象はこれと似ています。
超広角レンズと同様の範囲を撮影できる
魚眼レンズの特徴は物の比率が変わって面白い写真になるという他に、広範囲を撮影できるというところにもあります。さきほどのワイドテレビの話もしかり。 広い範囲でワイドに撮影されたものを左右からギュッと押しつぶしたような印象になる写真となります。
画角と併用したい写真撮影テク比較2.ぼけ
日本人がはじめた印象的に見せる方法
小さな画角で撮影するときひとつの対象物をアップに撮影することになるでしょう。そんな画角が狭いイメージをより効果的に表現する方法として日本人が考えた撮影テクニックがぼけというものです。花の写真やポートレートなどで見たことがある方も多いでしょう。
被写界深度を浅くするのがコツ
被写界深度を浅くすることでピントが合うものを限定できます。写真撮影技術としてはじまりましたが、最近は映画やアニメの映像技術でもよく見かけるようになりました。背景をぼかし見せたいものを強調させ印象付けてください。
画角と併用したい写真撮影テク比較3.パンフォーカス
すべてをハッキリ写す
パンフォーカスは被写界深度を深くすることで撮影できる写真のことで、切り取った風景や人物が端から端まですべてピントが合っている(ように見える)イメージとなります。観光地のスナップ写真で人物だけがハッキリ写ってせっかくの周りの景色がぼやけていたら少しもったいないですよね。そんなことを避けるためにこのパンフォーカスを利用すると良いでしょう。
ぼけと逆の効果
効果は画像を見てわかるようにぼけとはまったく逆ですべてのものがハッキリと写ることです。スマホや携帯のカメラはこのパンフォーカスに優れており、旅行時のスナップ写真や集合写真に向いているということができるでしょう。
画角と併用したい写真撮影テク比較4.トランジション
だんだんとぼける背景を撮影する
トランジションとは距離によってぼけの具合が変化する方法です。撮影の仕方は手前にピントを合わせぎみにして被写界深度を浅めに調整します。このことによって奥に行くにしたがって背景が徐々にぼけていく写真となります。
より自然に写したいものを強調できる
背景を含めた写真で主役となる対象物が小さい場合、あまりにぼけが激しいと不自然さの方が勝ってしまってあまりピンとこない写真になってしまうこともあるでしょう。トランジションを意識することによって背景が自然にぼやけて意識してそれを見ようとしている人の目で注目しているようなイメージとなり、すんなりと受け入れやすくその写真の意味を理解してもらいやすくなます。
画角と併用したい写真撮影テク比較5.後部ピント
手前がぼけた写真でおしゃれ感アップ
さきほどは見せたいものが手前にあった場合で、今度は奥に注目させたいときにピントを調整して手前をぼけさせます。たとえば奥に人がいてその人を撮影したいけれど手前に邪魔なものがあるときなどに効果的ですが、それだけでなくぼけたものが写り込んでいることでおしゃれな写真というイメージを与えることもできます。
被写界深度が深いと手前が大きく写って目立つ
さきほどの画角比較の写真でも全体にピントがあっていると手前の家々が大きくうつって奥のビルが目立たなくなったものがありましたね。奥のビルを目立たせるにはそんな手前の大きな家をぼけさせることで視線が移動します。このように画角だけでなく被写界深度を浅く調整することで自分が写したいものを目立たせ印象深い写真を撮影することができるでしょう。
レンズの違いによる画角比較
最後になりますが、レンズの違いによる画角比較を数字でご紹介しましょう。各レンズの分類についてはwikiの情報を参考にさせていただいています。
超広角レンズ
PENTAX 超広角レンズ smc PENTAX-DA14mmF2.8 ED[IF]
画角を広くしたいなら広角レンズを使用することで焦点距離が近くなり、映る画角の範囲が広がります。超広角レンズの画角は180°かそれ以上になるでしょう。
広角レンズ
一般的に広角レンズと言われるのは画角100°から60°程度の範囲で、標準倍率を1とするなら0.5倍程度ということになるでしょう。
標準レンズ
ペンタックス 標準レンズ FA43mmF1.9 Limited ブラック
標準的なレンズの画角はだいたい50°から 25°。このくらいの範囲が人がふだん見ている画角とだいたい同じといわれています。
望遠レンズ
標準よりも遠くのものにピントが合う望遠レンズの場合、画角は15°から 10°とかなり狭くなります。レンズはほぼ135mm程度となりズーム倍率は5.6倍ほどとなる計算です。
超望遠レンズ
焦点距離200mm以上になると超望遠レンズといわれます。その画角は8°から 1°。フルサイズ換算で200mmレンズであればズーム倍率は約8倍程度の計算です。
まとめ
画角は焦点距離で決まる!ズームや望遠を使いこなそう
いかがでしたでしょうか。画角による同じ場所を撮影した写真の違いやそれをさらに印象深くする被写界深度の使い方例などをご紹介してきました。最近はSNSなどにアップする写真を趣味で撮影される方も多く、他の人の素敵な写真はどのような撮っているのだろうと疑問に思われることも多くなったのではないでしょうか。何も高価な一眼レフカメラでしかできないことではなく、スマホや携帯のカメラでも可能です。これらのカメラはほとんどが強制的にパンフォーカスになっていますがマクロ設定でぼけを表現することも可能になっているものも。ふだんは触らないエフェクトや設定・マクロという部分をいじってみると面白い写真が撮影できるかも知れませんよ。
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