アンスリューム(アンスリウム)はどんな植物!
アンスリューム(アンスリウム)は、学名:Anthurium、分類:サトイモ科アンスリウム属、原産地は熱帯アメリカ、西インド諸島で20℃以上が適温の地域で生育しています。その姿から和名が紅団扇(べにうちわ)や大団扇(おおうちわ)で、またユニークなのが牛の舌(うしのした)とも呼ばれています。英名をテイルフラワー、フラミンゴフラワーと呼ばれます。長く細目の茎の先に艶のある緑色の葉と、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ぶ特徴となるハート形の花と見間違う苞は異質な観葉植物として、南国的でトロピカルな趣きを楽しめるために、お祝いの贈り物にも多く利用されている人気の植物です。
アンスリューム(アンスリウム)の特徴
「大団扇(おおうちわ)」とか「牛の舌」などと和名で呼ばれているハート形の特徴的な花形は「仏炎苞(ぶつえんほう)」という呼称で、花は飛び出た棒状の部分(肉穂花序:にくすいかじょ)に多くつきますが、小さいので見分け難いものです。実は丸い球状のイボの様なものが肉穂花序に無数に付きます。苞の部分はニスを塗った様な光沢を帯び、かなりの長期間色落ちせずに生育していますので、個性的な彩りを持つ観葉植物として人気があります。
アンスリューム(アンスリウム)の種類
分布しているアンスリューム(アンスリウム)の種類は約600種に及びます。たくさんの品種があるなかで、仏炎苞の形や色、葉の模様の違いなどで別けられます。アンスリューム(アンスリウム)と同じ構造の花を持つ植物には、水芭蕉(ミズバショウ)やザゼンソウ、ポトスやスパティフィラムなどの観葉植物があります。
アンスリウムの主な品種
現在流通している主な品種としては、別名オオベニウチワと呼ばれ、光沢のある真赤なハート形の苞が特徴的な「アンスリウム・アンドレアヌム」で、トロピカル・ムードを醸し出す魅力的な種です。現在アンスリューム(アンスリウム)の品種は色や形も様々なものが多種に渡っていますので、一般的で特徴的な主な品種をピックアップしてご紹介します。
レッド・チャンピオン
可愛いハート形の仏炎苞(ぶつえんほう)の大きさは中型の多花性で、艶のある濃い赤色は魅惑的で、アンスリウムの鉢植えは贈答用としても多く利用され流通している品種です。
アンスリウム・アンドレアヌム
オオベニウチワと呼ばれるアンスリューム(アンスリウム)の種類中では代表格です。交配によって白、ピンク色などがあります。ベニウチワの和名のシェルチェリアナムと同様に、活け花やフラワーデザインの花材として広く利用されている品種です。
アンスリウム・マグニフィカム
たくさんの色合いを持つ仏炎苞(ぶつえんほう)だけでなく、特徴的で個性的な葉を鑑賞するアンスリューム(アンスリウム)です。非常に丈夫で性質の強いのが特徴です。
オバケアンスリウム
アンスリューム(アンスリウム)の種類のなかでも茎が長く生長し、苞の大きさが人の顔ほどにもなり、色や形が数種ある大型の特徴的な品種です。
アンスリウム・トリコロール
仏炎苞(ぶつえんほう)が乳白色に赤い色が縁取りをする様なグラデーションが美しいエレガントな品種です。
アンスリューム(アンスリウム)の花言葉
アンスリューム(アンスリウム)が日本で一般的に知られる様になったのは、終戦後駐留米軍によって紹介されたことにより、前衛的活け花の流行と共に花材として広まり、その後一般にも流通したものです。ハワイ州ではバレンタインでのプレゼント用の花とされています。名前の由来はギリシャ語の花を意味する「anthosaura(アンサス)」と尾の意味の「oura(オウラ)」が語源です。花言葉は赤色が「煩悩(ぼんのう)」と「情熱」、白色が「熱心」、ピンクはその清楚な色合いから「飾らない美しさ」、グリーンが「無垢な心」と仏炎苞(ぶつえんほう)の色によって意味合いが違う言葉がつけられています。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その①
管理とお手入れ方法:環境
通常アンスリューム(アンスリウム)は、適温20℃以上の環境がベストです。春と秋では室内のカーテン越しに陽が射す明るい場所に置いて管理します。夏場の直射日光は苞や葉が日焼けを起してしまいますから半日影状態を作ってあげましょう。冬場は直接日光に当てる様にします。昼と夜の温度差がなるべく差がない様に管理するのがベストです。夜間の適温は10℃以下にならない様に注意することが株を弱らせないコツのひとつです。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その②
管理とお手入れ方法:植えつけ・植え替え
アンスリューム(アンスリウム)は根の伸長度が早いので、約2年に1回は植え替えを行い同時に剪定をしますが、購入時は鉢の内でかなり根が張っている状態の場合が多いですから、鉢底から根が出ている様でしたら根詰まりを起してしまう可能性がありますから植え替えの必要があります。
植え替えの時期と方法
アンスリウムの植え替えの時期としては、根が活発に生長する5~7月中旬の適温が20℃以上の頃が適期です。用土は市販の観葉植物用培養土で良いのですが、自身で作る場合は、赤玉土(小玉)4:鹿沼土(小玉)3:パーライト3を混ぜ合わせ、水捌けや通気性の良い用土にします。アンスリウムの親株を鉢から抜き、根周りの古い土を指でほぐし落とし、新しく出ている根を傷めない様に注意しながら古い根を整理します。一回り大き目の鉢に植えます。用土を入れたらヘラで良く突きこんでおきます。10日ほどおいたら肥料を施します。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その③
管理とお手入れ方法:水やり
アンスリューム(アンスリウム)は適度な湿度を好むのですが、根周りの過湿は根腐れを起こしますので注意が必要です。春から秋までの時期は用土が渇いていたらたっぷりと与えます。適宜室外に出して葉水を掛けてあげると良いでしょう。葉や仏炎苞(ぶつえんほう)のほこりなども洗い流せます。但し、真夏の日中の葉水はNGです。生長が休眠期に入る冬季は、乾燥気味にして水は控え目にするのが基本ですが、エアコンなどによる乾燥状態が続く時は霧吹きで葉水を与える様にしましょう。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その④
管理とお手入れ方法:肥料
アンスリューム(アンスリウム)の肥料を与える時期は、生長期に入る5月中旬頃から秋中旬頃までの適温20℃以上の時に与えます。アンスリウムは室内に置いて管理しますので、臭いを発する有機質肥料よりも緩効性の科学肥料が適します。月に1度株元から離して固形の肥料を施肥しておきます。液体肥料を与える場合は希釈率を間違えない様にして、10日に1度の感覚で水やり時に与えると良いでしょう。冬季は必要ありません。
ハイポネックス 錠剤肥料 観葉植物用
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その⑤
管理とお手入れ方法:増やし方
アンスリューム(アンスリウム)を増やす方法は株分けや挿し木で簡単に行えます。時期は植え替え時期の5~7月頃の気温20℃以上の適温期に行います。
株分け
アンスリウムの親株の基部にできた子株を取り除き、発根するまで水苔で覆うかバーミキュライトに挿しておきます。2週間ほどで発根しますので、水苔などを根を傷めない様に取り除いて用土に植えつけ、風通しの良い適温(20℃)を保てる場所で管理します。1ヶ月ほど経ち株が落着いた頃に肥料を与えます。
挿し木(取り木)
アンスリウムは長期間鉢のままで放置すると株の基部が伸長して見苦しくなってしまいますので仕立て直し(剪定)が必要となります。その様な伸びた部分を3cmほど茎の表皮を剥き水苔を巻きつけ、上部を空けてビニールで被います。常に水苔に湿り気を与えておくと約20日ほどで発根しますので、余計な下部を切り取って用土に植えつけます。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その⑥
管理とお手入れ方法:剪定
アンスリューム(アンスリウム)は次第に株が立ち上がってしまい、間延びして見た目が悪くなってしまったり、子株がいっぱい生まれていたりします。また、花に見える苞は長持ちしますが、除々に色褪せて枯れた状態になってしまいます。そんな時に剪定をします。
花がら摘み
仏炎苞(ぶつえんほう)の上に立つ棒状の肉穂花序(にくすいかじょ)の色が最初はきれいな黄色ですが、徐々に白く変色し始め、最後は緑色になると仏炎苞(ぶつえんほう)も色が褪せて褐色になって萎れてきます。その時点で茎を根元から切り取ります。肉穂花序に豆粒の様な実が付きゴツゴツした形状になりますが、そのまま放置すると実の方に養分が偏り株が弱ってしまいますので、早めに切り取りましょう。
切戻し(仕立て直し)
アンスリューム(アンスリウム)の株のバランスを考え、一定の大きさを保持する為の方法です。アンスリウムは特徴として、株が根元から伸び上がって、茎から気根(きこん)と呼ばれる根を出して生長させ、たくさんの気根が観葉植物のガジュマルの様に株が地上部分から立ち上がっている様になり見苦しくなる為、増やし方の挿し木の項で前述した方法で切り戻し(剪定)を行います。
剪定のポイント
アンスリューム(アンスリウム)は葉茎や苞の茎も長く伸びるので株が混み合うことは少ないのですが、茎や古い葉が傷んで変色しているのを放置すると病害虫の発生の原因にもなる事と、見た目も悪いですから基部から切り取りをしておくのが剪定のポイントです。
アンスリューム(アンスリウム)の育て方その⑦
管理とお手入れ方法:病害虫
アンスリューム(アンスリウム)は比較的病気には強い植物 ですが、梅雨時などの多湿になる様な時期には葉などに黒っぽい斑点が生じる「黒星病」や褐色の小さい斑点の「褐斑細菌病」が発生する場合がありますので、剪定の折などに発見次第病葉を取り除き、予防の為に殺菌剤を散布しておきます。
殺虫殺菌剤
害虫
アンスリウムは多湿の時期や風通しが悪かったりするとアブラムシ、ハダニ、カイガラムシが発生します。部分的に葉や茎が変色していたり、カスリ状になっているのを見つけたら葉裏にハダニやカイガラムシの発生がある可能性があります。害虫を見つけたら少ない場合は粘着補虫シートやスプレー式殺虫剤などで駆除します。酷い場合は葉を切り取って廃棄処分し、予防の為に殺虫剤を散布しておきます。予防の為には、時折鉢を室外に出してホースなどで勢い良く株全体に水を掛けてあげると良いでしょう。
粘着補虫シート
まとめ
艶があり彩り豊かで美しい「仏炎苞(ぶつえんほう)」や葉も鑑賞できるアンスリューム(アンスリウム)は、その華やかさと長期間その姿を楽しめることから、お祝いの贈り物としても人気がある植物です。そんなアンスリューム(アンスリウム)の特徴や育て方をご紹介しました。適温を保てれば管理がし易い植物ですので、興味を持たれたらお部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。
アンスリューム(アンスリウム)に関してはこちらもどうぞ!
アンスリューム(アンスリウム)については「暮らし~の」のWEBマガジンでも種々の記事を見ることができますので、もっと詳細を知りたいと思われたらぜひご覧になって下さい。
アンスリウムの育て方!初めてでもきれいな花を咲かせるポイントをご紹介
アンスリウムの育て方を初心者にも解り易く紹介します。 独特のホルムと質感で、不思議な魅力をかもしだすアンスリウム。 光沢のある花が美しく...
アンスリウムの花言葉!色別で変わる花言葉の意味と由来をご紹介!
つやつやと光るユニークな花が特徴的なアンスリウム。アンスリウムは、大切な人へのギフトとしても人気が高い観葉植物です。人に花を贈るときには、花...
アンスリウムの花言葉!誕生花や贈り方もご紹介!【花言葉辞典】
アンスリウムの花言葉や誕生花について知っていますか?アンスリウムはかわいらしい印象から、アンスリウムらしい花言葉が付けられています。そんなア...
仏炎苞(ぶつえんほう)と肉穂花序(にくすいかじょ)