燻製とは
食材を煙でいぶして食べる簡単な料理(調理法)
燻製は葉や木を不完全燃焼させて出る煙で食材をいぶす調理法です。本来は保存食として食べられていましたが、保存技術が進歩した近代では料理として食べることが多くなりました。煙でいぶすことにより独特の風味と飴色と言われる照りがある茶色い色が食材に付き、誰でも簡単に美味しく作れます。燻製の面白いところは使用する植物によって煙の香りが異なるため、最終的には出来上がった燻製の味に大きく作用しますよ。
お茶でも可能
煙で味をつけるということなので、試しに作ってみたいという方は専用の道具を買い揃えなくても緑茶、紅茶、コーヒーでも燻製はできます。サバイバル志向の強いアウトドアを楽しむという方は落ちている葉っぱでしてみるというような話も聞くぐらい身近な植物でも可能です。ただし全ての植物で燻製が「美味しくできる」とは限らず、そのへんの落ち葉を利用するようであればスモークウッドなどの専用の道具があるといいでしょう。
室内でも簡単
燻製は煙がでるので屋外でするものという固定観念があるかもしれませんが、室内でも換気扇の下などで作れます。煙でいぶすためあまり煙が鍋などから出ていかないようにするのがポイントとなり意外と排出される煙の量は少ないです。一昔前のように七輪で魚を焼いていたほうが煙の量は多いでしょう。
ダッチオーブンとは
燻製もできる万能調理器
鉄、ステンレスなどの金属でできた深くて重たい鍋です。燻製にはスモーカーと呼ばれる専用の燻製器もありますが、ダッチオーブンはアウトドアで何でもできる万能調理器なのでキャンプで愛用している人が多いギアです。ただしダッチオーブンは本来は蒸す、焼く、炒める、揚げるといった料理方法に適していて圧力鍋のように気密性の高いものなので使い方に工夫しないと、スモークウッドなどの道具を使っても燻製はできません。
燻製もできるけど手入れが大変
ダッチオーブンの一種であるスキレットでもダッチオーブンと同様に燻製ができます。ダッチオーブンのような深さがないことと、ダッチオーブンのように蓋がないのでダッチオーブンより難易度は上がりますよ。また専用のスモーカーと比べると手入れの面を考えると、キャンプで急遽燻製を作りたくなったというときだけダッチオーブン、スキレットで作るようにしたほうがいいですよ。
ダッチオーブンに汚れがびっしり
ダッチオーブンが悪いというわけではなく、調理方法の関係でどうしても汚れてしまいます。煙が汚れとなるのでダッチオーブンの内面全てによごれがなんてことも。ステンレスならまだ手入れは簡単ですが、鉄製のダッチオーブンだとかなり大変なことにります。
ダッチオーブンでできる燻製について
できる種類・できない種類
燻製は複数種類があり、ダッチオーブンでできる燻製は1種類となります。冷燻は30度以下を保ち長時間燻製する方法ですが、ダッチオーブンはガスコンロや炭火で使うものなので適していません。容量も専用のスモーカーと比べ小さいのですぐに30度以上となり難しいです。温燻は30度以上80度ぐらいでやや長時間管理するとできます。これならダッチオーブンでもできそうですが、気密性や使う道具の種類からダッチオーブンでは難しいです。
ダッチオーブンは熱燻が基本
熱燻は80度以上の高温で短時間だけ食材をいぶす方法で、熱源を使用しないと無理です。熱源を使用するということでダンボールでできたインスタントスモーカーではなくステンレスや建材として建物などに使われているガルバリウム鋼板を使用したものが必要です。ダッチオーブンは焚き火や炭、ツーバーナーなどでいろいろな熱源で使えるので使用後はダッチオーブン全体に手入れが必要ですが、熱燻に向きます。
ダッチオーブンでできる熱燻について
水分が残る方法
他の方法より煙を当てる時間が極端に少ない方法なので食材の水分が失われず、しっかり残っているのでジューシーな燻製になります。逆に食材の水分が抜けないということは保存食としての効果はあまりなくできるだけ早く食べたほうがいいとされる簡単な燻製です。80度の高温ということで完全にスモークサーモンのように生で食べる料理には向いておらず、ベーコンのように食べる前に熱したり燻製時に完全に火が通るようにして食べます。
火力調整が大事
熱燻は簡単ですが、火力調節、時間が大切です。温度が高いため長時間、火にかけてしまうと食材が炭のようになります。詳しい方法、レシピは後述しますが短時間と食材に合った火力調節をしましょう。アウトドアではいろいろな熱源がありますがツーバーナー以外は自由に火力を変えるというのは難しいので、初心者のうちはツーバーナーを使って火力調節が簡単にできる状態でダッチオーブンでの燻製をしたほうやりやすいです。
ダッチオーブンを使った燻製で必要な道具について1
底網(底上げ網)
ダッチオーブンの経にあった網が必要です。本来は焦げ付き防止用として使う網ではあるのですが、燻製するときに網の下にスモークウッド、スモークチップを敷きます。そして網の上に食材を並べますよ。網は純正のもでも社外製でも入れば大丈夫です。
割り箸など
蓋がきっちりしまり圧力がかけられるところがダッチオーブンの特徴ですが、燻製には圧力は不要で通気性が必要です。蓋がきっちり噛み合わないように割り箸を挟むことで過度な煙と水分は排出できるようになります。これをせず燻製をするとおいしくなくなると言われていますよ。燻製を失敗する最大の理由は水分なのです。
アルミホイル
スモークウッド、スモーチップをそのままダッチオーブンに入れるのではなくアルミホイルを敷いてから入れます。その上に網、食材というふうになります。またスモークウッド、チップに油が落ちると失敗しやすいので、スモークウッド、チップに蓋をするかのように網の下にもう1枚敷くこともあります。
ダッチオーブンを使った燻製で必要な道具について2
スモークチップ
熱燻専用みたいなもので発煙させるには熱源が必要です。アルミホイルを敷いたダッチオーブンの底に一握りほど入れて使いますよ。チップ状になった木(ウッド)でいろいろな種類があります。レシピや食材によって木(ウッド)の種類を変えたりブレンドしたりしてアレンジすることも可能です。熱源がいるので簡単さでは後述するスモークウッドに軍配があがります。
スモークウッド
木くずを固めたブロック(タブレット)状のもので、線香のようにスモークウッドに火をつけて使うことから熱源がなくても使用でき、薪のように炎をあげながら燃えるものではないので温燻に使われています。そのためダッチオーブンで使うことは少ないです。スモークウッドは通気性が悪いと燃えるために必要な酸素が絶たれ消えてしまいます。よって二重の意味でダッチオーブンには向いていないでしょう。
ピートモス・ザラメ糖
なくてもいいのですが、あるときれいな飴色に発色するため使う方も多いです。レシピや食材によって合う合わないがあると言われていますが、基本的には色味を付加するものです。ピートモスに関してはウィスキーでも使うもので特有の風味が付きます。これも時間と火力調節が大切になります。
ダッチオーブンでの燻製のしかた・コツ1
1:アルミホイルを敷く
直接スモークチップを入れてもいいのですが、炭になるので捨てやすさ、使用後のメンテナンスなどを考えるとアルミホイルを敷くのが基本と言われています。バーベキューで人気の厚手ものではなく家庭用のアルミホイルで大丈夫です。不安なら二重にすればいいだけのことです。シワシワになっても問題ありません。
2:脚部を作る
底上げ網で高くなるのはせいぜい数cm、これだと低い場合もあります。このようなときは適当にアルミを丸めて押し固め、高さを稼ぐパーツを作るという方法もありますよ。要するにスモークチップ置く場所から網までに高さが稼げたら何でもいいです。網の脚が長いという場合はそのままでも大丈夫です。
3:火にかける・網と食材セット
何でもいいので熱源の上にダッチオーブンを載せて火力は強めで熱していき煙が出るまで待ちましょう。香りが出てきて煙が見えたら網と食材をセットして、火力を弱め蓋をして適当に待てば完成です。どれくらいの時間いぶすのか、どれくらいの火力なのかというのはレシピによって変わりますよ。また先に網を載せて加熱するなど作り方によって細かな部分は変わりますが基本となるやり方は同じです。
ダッチオーブンでの燻製のしかた・コツ2
食材に合わせて対応
油がでないものはスモークチップの上に蓋は不要です。またチーズのように溶けてしまうものは網の上にアルミホイルを敷いてからおいたり、蓋をして煙を充満させてから弱い火力で短時間だけいぶすなどの工夫をしましょう。割り箸などで蓋を完全に閉まらないようにするというのも忘れないように。レシピの時間や火力を守るのが大切です。
食材に合わせてチップを変更
市販されているチップのパッケージをよく見てみると、チップごとにおすすめの食材がかかれています。例えば「桜」には肉類がおすすめとなっていたり、「クルミ(ヒッコリー)」はいろいろな食材におすすめされていることが多く、オールマイティーに使えあまり香りが強くない分色づきがいいなど、樹種によっておすすめ食材や効果がさまざま。大きいダッチオーブンでもスモークチップは中央に平にして入れるだけ大丈夫です。
ダッチオーブンでの燻製のしかた・コツ3
加工食品の利用
熱燻は色づきもよく火が完全に通っているか確認しづらいため食中毒が少し気になります。アウトドアなのですぐに病院に行くのは難しいため、少しでもリスクを減らす方法としておすすめなのが加工食品の利用です。ベーコン、ハム、ウインナーなどに加工食品は温まれば美味しくだべることができるので燻製の風味(燻味)が付くぐらいの短時間でも大丈夫です。
しっかり火を通す
前述しましたが、自家製ベーコンなど生肉を使った場合、燻味を付けた後適当な大きさに切って火を通して食べるようにするか、燻製中にかならず仲間で蒸し焼き状態になるようにしましょう。短時間すぎても長時間過ぎても失敗しするので初心者のうちは上記のように加工食品が簡単です。
食材の表面の水分にも気をつける
表面に水分がある状態で作ってしまうと、何でも美味しくできるダッチオーブンでもまずくなります。キッチンペーパーなどで拭き取ってから作るようにしましょう。
ダッチオーブンでの燻製におすすめ食材・レシピ1
加工食品を燻製(ウインナー、ベーコン、ハム)
前述したように初心者でも簡単にできる燻製となるので誰でも作れますよ。作り方はアルミホイルを敷いてスモークチップおいて煙が出てきたら網と一緒にウインナーやベーコンなど調理されているものを載せます。蓋をして好みで8分~15分ほどいぶしていくだけです。火加減は弱火程度で大丈夫です。火力調節が難しい場合5分程度強いままであとはダッチオーブンを火から降ろして10分程度保温調理するなどの工夫をすれば大丈夫です。
加熱調理済みだから安心
ベーコンやハムは加熱調理済みだから安心です。また味もついているので、下処理の必要はなく簡単で香りをつけるだけで美味しくなりますよ。火加減と時間だけは注意してくださいね。油が出る食材はチップにかからないようにアルミホイルで蓋を作りましょう。
ダッチオーブンでの燻製におすすめ食材・レシピ2
最初から作るスモークチキン(鶏肉)
加工食品ではなく生の鶏肉を使ってダッチオーブンでスモークチキンを作る本格的なレシピになります。生を使うので時間や火加減を守って生焼けにならないように注意してくださいね。ダッチオーブンだからこそ作りやすい豪快なメニューです。
材料 (ダッチオーブン1台分) 鳥もも。胸肉どちらでも2枚 塩大さじ1~2 スモークチップ(なければほうじ茶で)一掴み ザラメ(なけば普通の砂糖で)スプーンに一杯
作り方
表面に穴を開け塩を刷り込み余分な水分を出した後、表面の水分をしっかり拭き燻製にしてきます。後の作り方は変わりません。アルミホイル敷いてその上にスモークチップ、ザラメの順に入れます。次にアルミホイルを適当に丸め高さを稼いでから網をセットし肉をいれて火にかけましょう。その後レシピではグリルに入れてしまうので、アウトドアでは蓋の上に炭を置くなどすれば同じ要領で作れますよ。
ダッチオーブンでの燻製におすすめ食材・レシピ3
最初から手作りベーコン(豚肉)
スモークチキン同様に生の肉を使って最初からベーコンをつくるレシピです。下準備に4日ほどかかるのでキャンプでしたいときは予め用意しておかないとできませんが、一から作るベーコンは美味しいですよ。油がかならず落ちるのでチップにかからないように蓋をしましょう。
材料 豚バラ ブロック肉500g 塩(肉の5%)25g 砂糖(肉の1%)5g コショウ少々 ローリエ3〜4枚 ローズマリー4本 スモークチップ一つかみ
作り方
ハーブ以外の調味料を合わせておき豚バラ肉ブロックに刷り込み、密封できるパックにハーブと一緒に入れ4日寝かしたのち、水に入れて塩抜きします。ここまでが下準備となりますよ。後はアルミホイルの上にチップ、使用したハーブを載せその上に網と肉を置きます。肉はよく乾かしておきましょう。あとはいぶしていくだけですが、火力調節がポイントとなり細かく調整していくのでレシピをよく確認してくださいね。
ダッチオーブンでの燻製におすすめ食材・レシピ4
川魚の燻製(魚介類)
川魚を燻製にするだけのシンプルな料理で、非常に簡単なレシピです。作り方の工程が少ないので急遽燻製がしたくなっても簡単できおすすめです。キャンプに行くと釣り堀があったり、つかみ取りができたりと意外と川魚が手に入ることも多いですよ。マスや鮭だけではなくタコやホタテなどもおすすめです。
材 料(4人分) マス4匹 スモークチップ(さくら)適宜
作り方
内臓の処理をしたあと水分をしっかり拭いておきます。あとは基本の作り方と同じでアルミホイルを敷いてチップを入れてその上に網を置き魚を入れていくだけです。焚き火を使用していることから詳しい火加減はわかりませんが、生で食べないように気をつけてくださいね。魚介類は燻製に合いますが水分を拭いておくことを忘れないようにしましょう。
ダッチオーブンでの燻製におすすめ食材・レシピ5
スモークチーズ
ダッチオーブンでもスモークチーズは作れます。ただし高温なので柔らかいチーズはすぐに溶けてしまうのでおすすめは硬いチーズです。他の燻製より難易度は少々上がりますが、柔らかいチーズでも作れる短時間で一気にいぶすレシピを紹介します。
材料 カマンベールチーズ1個 ベビーチーズ6個 スモーク用チップひと摑み
作り方
基本的な作り方は同じです。アルミホイル敷いてその上にチップ、そして網とチーズを置き短時間だけいぶしましょう。長時間は絶対にNGとなります。煙が出るまで熱したのち素早く網とチーズを入れてもいいでしょう。
ダッチオーブンできる燻製のまとめ
ダッチオーブンの燻製は色々なやり方がある
ダッチオーブンの燻製にはいろいろなやり方、方法がありますが共通するのはアルミホイルをしいてその上にチップを置く、短時間だけいぶす、熱燻となります。ベーコンなどを一から作った場合生肉なので必ず火が通っているか確認して食べるようにしましょう。ざらめやピートモスは色付けをさらによくしたり風味をよくしたりするもので大切なのはチップです。いろいろな種類があるので試しながら作っていくと楽しいですよ。
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