【ジャクソン特集】アキアジ（鮭）に効く！「鮭男爵」を開発者の立場から徹底解説！

アキアジ（鮭）の釣りは晩夏から秋にかけて北海道の風物詩となっています。お店さんでも広いスペースでアキアジコーナーを展開しており、その釣りの人気の高さを感じられます。そんな、アキアジ釣りにおすすめの鮭男爵という変わったルアーについて、解説させていただきます。

2020年8月27日

釣り具

河西幸彦

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アキアジ釣りのシーズンはいつ？

アキアジ（鮭）の釣りは晩夏から秋にかけての北海道の風物詩的な釣りです。ルアーメーカーに勤務する私も、お盆を過ぎると北海道の釣具店とはこの話一色になります。各釣具店も広いスペースでアキアジコーナーを展開しており、その釣りの人気の高さを感じられます。2019年はアキアジの接岸が遅れ気味との話も聞きますので、まだしばらく楽しめそうです。

アキアジ釣りに有効な鮭男爵とはどんなルアー？

岸からのアキアジの釣り方として主な釣法としましては、ウキスプーン釣り、フカセ釣り、ブッコミ釣りなどがあります。この中でルアーを使うのはウキスプーン釣り。この釣り方は中通しのウキからリーダーをとって、タコベイト（ここにエサを付けたりもします）付きの大きなスプーンを使います。

平坦な形状の異色のスプーン

鮭男爵はこの釣法用に開発されたスプーン。形状はラウンドタイプとスリムタイプの2種類で、重さはそれぞれ45ｇと50ｇがあります。鮭男爵と他のスプーンとの大きな違いは、通常のスプーンはカップ形状であるのに対し、鮭男爵はフラット形状であるということ。スプーンとしては異質な完全に平らな形状なのでスプーンとは思ってもらえず、発売当初は「これは何？」との声もあった異色のスプーンです。

鮭男爵がフラット形状の理由

ウキスプーンの釣りでのスプーンの役割は主に仕掛けを遠投するためのオモリ、タコベイトを動かして魚を誘う、フラッシング等、光りでの集魚効果などです。実はフラット形状はこの３つの要素の全てにおいて、カップ形状の通常のスプーンより物理的に優位に立てる形状なのです。では、項目ごとに解説してみましょう。

フラット形状のメリット1：鮭男爵の高い遠投性能

遠投性能について考えると、同じ重さのものならば空気の抵抗は少なければ少ないほど優位に立てます。カップ形状にすると必然的に投影面積が増えるので空気抵抗が増してしまい、キャスト時の失速スピードが早まります。当然飛距離は低下し、さらにカップがあることによって空気の流れを大きく乱しやすいので飛行姿勢が崩れやすく、失速をさらに早めてしまいます。しかし鮭男爵は空気抵抗の少ないフラット形状であるだけではなく、素材自体もメタルジグと同じ鉛を使っているので、同じ重さならば体積もコンパクト。表面積も少ないので空気との摩擦自体も軽減しております。

フラット形状のメリット2：鮭男爵のレスポンス

動きを作り出すという面ではどうでしょう。カップ形状の通常のスプーンは必ずカップの凸面が進行方向に向かいます。移動し始めると凸面で水を受け、左右均等に水を分けていきます。スピードが増してくるとカップ裏面にカルマン渦ができ、その渦に引かれる形で左右にボディを振り始めます。ここでやっと『動いた』という状態になります。

わずかな水流でも動くフラット形状

タコベイトやエサが付いているのでスプーンの動きを抑える抵抗が大きいので、スプーン単体での使用に比べ、かなり移動スピードを高めなければ『動く』ことができません。これがフラット形状だとどうでしょう。移動を始めると平らな面で水を受け、一方方向に全て受け流そうとします。つまり、極わずかな水流でも不安定な状況になってしまうのです。カルマン渦に頼ることなくスライドしたり回転したりしますので安定していられません。『安定できない』＝『動く』なので、カップ形状に比べて圧倒的にレスポンスに優れます。

ウキスプーンに特化した不規則なアクションを実現

カップ形状は元々、スプーン単体で使用し、小魚を模したような左右に規則正しい動きを再現するために作られてきたもの。しかしウキスプーンの釣りにおいてはタコベイトやエサを動かす役割なので、規則正しい動きは必要なく、レスポンスの高さの方がはるかに重要。鮭男爵は、単体の使用を前提としたものをウキスプーンに流用したのではなく、開発のスタートからウキスプーン用に作られたものなのです。

フラット形状のメリット3：鮭男爵のフラッシング

フラッシングについては、曲面に当たった光りは広角に反射するので広い範囲にやわらかく反射します。これに対し平面に当たった光りは狭い角度にまとまって反射するので、より強い反射が得られます。

カラーの使い分けで効果的なアピール力を発揮

光りはその日のコンディションや時間帯により、強い方が良い場合も弱い方が良い場合もあります。鮭男爵では裏面に樹脂ミラーを貼ったカラーとマイラーシートを貼ったカラーがあります。樹脂ミラーを貼ったカラーはカップ形状の生み出す反射よりもはるかに強い反射を生み出し、マイラーシートを貼ったカラーではより弱い反射を生みます。ですので、カラーの使い分けにより、通常のスプーンよりも反射の強弱の振り幅が広いので、より効果的なアプローチが可能になります。