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ノキシノブとは?着生植物ってなに?その種類・特徴と育て方を解説!

ノキシノブは鉢植えにして観賞用にして人気がある植物ですが、それだけでなく野鳥が枝に止まって葉を食べる姿が見られたり薬草としても用いられています。着生植物という変わった形で生え増え方・見た目にも特徴があるとても面白い草。今回はノキシノブの生態について紹介します。
更新: 2021年6月16日
佐藤3
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はじめに

ノキシノブとは?種類や育て方を解説!

ノキシノブはシダ植物の仲間で葉の裏に付いたソーラスが特徴的な草。それだけでなく草の形も他の種子で増えるものとは大きく違って、観賞用としてもとても個性的な姿を見せてくれるため多くの人から栽培されており人気。今日はこのノキシノブという植物の特徴や胞子の様子・育て方を詳しく解説します。似たようなシノブ科の種類の見分け方もご紹介しましょう。

ノキシノブについて

この植物の原産地や学名。別名などからまずはご紹介しましょう。ノキシノブのウラボシ科はこの植物の特徴を表す分類となっているのがおもしろいところです。

ノキシノブの基本情報

科・属:シダ植物門ウラボシ科ノキシノブ属
原産地:日本をはじめとするアジア各国
分布:北海道南部から沖縄まで
学名/英語名:Lepisorus thunbergianus(Kaulf.) Ching/weeping fern

ノキシノブの別名

ノキシノブといえば葉の裏の胞子嚢が特徴的で、それにちなんだ別名で呼ばれることが多いです。その中で有名なのが七星草、金星草、落星草など星がついた名前。すべて胞子嚢を星と見立てて名付けられています。

ノキシノブは人気のシダ植物

中国や朝鮮半島南部など広範囲で自生している植物ですが、特に日本では古来から人気が高く観賞用として鉢植えにして愛されている観賞植物の一種。

ヒヨドリなど野鳥が食べる

地面の上には見られず岩や他の樹木の幹・太めの枝などに生える着床植物で、その葉はヒヨドリなど野鳥の食料としてたびたび食べる姿が観察されます。

ノキシノブの特徴

子供のころに学校で種まきをして育てた朝顔や、街路樹としてよく見かけるイチョウなどの植物と比べるとあちらこちらが違うところばかりの草ですが、その特徴を3つに分けて解説します。

特徴1.浅く根を張る

土に根を降ろさない植物でさきほども申し上げたように岩・幹あるいは人家の軒下に着床して葉を伸ばし増えていきます。地面のように深くまで根を下ろす必要もないので、浅く広くランナーを伸ばして増えていきます。

特徴2.根茎から単葉が出る

植物の多くが芽が出て茎が伸び葉が付き、花が咲きという成長の仕方をしますがこのノキシノブは根茎というランナーから葉が直接出てきます。その葉も茎がないので枝分かれなどせずランナー・1枚の葉・ランナー・1枚の葉と広がっていくのが特徴。

特徴3.胞子で増える

もうひとつ前述の別名でも名前の由来となった胞子の姿も他とは大きく異なったところで、その色形で同種類と見分けられるほどです。シダ植物全般の特徴として花・実はつかず胞子で増えます。

ノキシノブのような着生植物とは

着生植物の特徴


この草のように地面ではなく他の有機物や無機物の表面に付いて成長するものを着生植物といいます。似たようなところに生えるものに寄生植物というものもありますが、それと大きく違うのはついたものから栄養を取らないという部分。特にノキシノブのおもしろいところは森の奥などでひっそり生えているのではなく民家の軒などにも着生するというところです。

着生植物の風流さは人気

変わったところから生えてくる植物はそれだけでも人の目をひきつけるでしょう。それが変わった形のものであればなおさらです。ノキシノブは付くものの養分を必要としないので、軒だけでなく石垣の隙間からも生えてくることも。その姿を見て変わった植物だ、風流だなと感じる人が多く観賞用として自宅でも栽培されます。

ノキシノブのソーラスとは

ソーラスはシダ植物にできる袋状の塊

ソーラスは胞子嚢とよばれる袋のことで胞子で増える植物では珍しいものではありません。しかし、その形はいくつかの種類に分類できソーラスの付き方によって分類されているといっても過言ではありません。

シダ植物の分類にも役立つソーラス

ソーラスはシダ植物だけにつくものではなく、コケであったり菌類にあるのも確認することができます。ノキシノブの仲間でもこのソーラスの大きさ・付き方・色などによって分類するときの役に立っています。

ソーラスの中身は胞子

ソーラスは胞子が大きくなるまではしっかり守るようにできている胞子のゆりかごのようなものです。成熟していくにつれ葉の色とは大きく異なるためにとても目立ち、葉裏についているものでも表からでも確認できるようなものも少なくありません。

ノキシノブの名前の由来とシノブについて

ノキシノブの名前の元となったシノブという植物

ここまでの解説でノキには軒に通じるのだろうとご想像がついている方も少なくないでしょう。ではそのあとしのシノブは?というと同じシダ植物から由来しています。このシノブという植物にも軽く触れてみましょう。

シノブの基本情報

科・属:シノブ科シノブ属
原産地:アジア
分布:日本・台湾・朝鮮半島南部・中国
学名:Davallia mariesii・Davallia mariesii Moore ex Baker
*日本で見られる代表的な着生植物

軒から下がる着生植物だからノキシノブ

シノブは形はノキシノブとはまったく違い、よく知られるシダの葉の形をしている植物です。見た目が違うのに〇〇シノブと名付けられたのは生える様子が良く似ているからに他なりません。シノブのような岩や木に付いて生える草で軒にも付くものという意味で付けられた名前となっています。

ノキシノブの育て方1.置き場所

ノキシノブの生態やその名前の由来などはおわかりいただけたところで、ここからは自分でも育ててみたいという方のために育て方をご紹介しましょう。まずはこの植物をどこにどのようなことに気をつけて置いたらいいのか?置き場所についてのご説明です。

ノキシノブは日当たりが好き

軒だけでなく石垣にも生えるこの植物は日当たりが好き。シダというと半日陰のジメジメしたところに生えているイメージがありますが、やはりある程度の日光がないと成長が遅くなってしまいます。

シダ植物は直射日光がきらい


しかしこの葉は直射日光に当たり続けると葉焼けしてしまうという弱点があります。自生するものならそのような場所に着生してしまったら絶えるのも致し方ないこと。それが人が場所を選んで栽培するならわざとそのようなところに置いておくのはかわいそう。夏場など日差しが暑い時期は特に、日陰に入れてあげたりはじめから半日陰のような場所に置くようにしてあげてください。

きれいに長く育てたいなら鉢植えに

またある程度の耐寒性は有する植物とはいえど、霜にあたることも苦手とするのにも注意してください。霜の被害がない地域であれば冬場でも屋外で育てることは可能ですが、きれいなまま長く育てたいという場合は鉢植えにして冬は屋内に入れてあげるのがよいでしょう。

ノキシノブの育て方2.土

ノキシノブが好む土壌

ノキシノブは着生植物なので苔玉に仕立てて垂れ下がるように仕立てると生える植物です。コケの生えた岩などに着床させるのも風流でおすすめ。

シダ植物の土の配合例

植木鉢で育てたいという場合は、ケト土にピートモス・鹿沼土をブレンドしたものを用いると良いでしょう。水苔は必ずしも必要というわけではなく、土でも十分育ちます。

初心者にもおすすめのノキシノブの土

田宮園芸 ケト土(2L)

出典:Amazon

この植物のような着生植物の中には寄生するものと違い、自分で根元に腐った葉などを抱えた種類もあるくらい湿り気・養分がある土が少量あれば良いとするものが多いです。ケト土はこのような肥沃で水分の多い土が粘土状になったもの。着生植物用の土としては適したものといえるでしょう。

ノキシノブの育て方3.日常管理

シダ植物の水やりは

Photo byannawaldl

ジメジメした場所が好みのシダ植物ですが、あまり水やりをしすぎるとそんな植物でも根腐れをおこします。水やりの目安は葉が縮れてきたらあげる。日中は水やりせず朝か晩の涼しい時期に水撒きをするというところでしょう。

水やりよりも葉水を積極的に

葉のおもしろさを鑑賞する植物なので、葉がしおれていてはその価値は下がってしまいます。水やりよりも葉水を積極的におこなってください。葉の表面のホコリを洗い流したり、害虫が付くのを防ぐ効果もあります。

シダ植物の肥料

冬場を除く春から秋の成長期に緩効性肥料を株元に置いておくか、液体肥料を10日に1度くらいのペースであげるとよいでしょう。

ノキシノブの仲間・種類

ノキシノブにも種類があり似ているけれどよく観察すると違うものがあります。ここでは特によく似ており見分けの付け方が難しい2種類をノキシノブと比較してご紹介します。

種類1.ヒメノキシノブ

ヒメノキシノブの特徴は葉がまばらに出てくるところ。根ごと抜いて観察してみるとその葉の出てくる間隔に大きな違いがあるのがわかるでしょう。葉先は丸く、ソーラスの形は小さく葉の先の方だけにしか付きません。

種類2.ミヤマノキシノブ


葉の出方は似ているけれど、いくぶん葉柄(根茎から出ている葉の芯の部分)が長いのが特徴的。葉先はヒメよりはとがっていますがいくぶん丸みをもった形をしています。胞子嚢の大きさは中くらいで葉先を中心に付いていくのでノキシノブと見間違いやすい種類。

ノキシノブの種類の見分け方はソーラスで

植物にはその成長環境により個体差がありますが、ソーラスの付き方や大きさを見ると違いがわかりやすいでしょう。1つだけで見分けるのは難しくても並べてみるとわかるというものが多いです。

ノキシノブを食べる

薬草になるノキシノブ

Photo by 羽諾

野鳥が食べることから口にしても悪いものではありません。直接食べるというよりも煎じて飲むことでその有効成分を摂取することが可能となっています。

効能・効果

Photo byPexels

ノキシノブを生薬にしたときの名前は瓦葺と書いてがいと読みます(かわらぶきではありません)。主な効果として利尿に効くとされていますが、その利用範囲は非常に広く煎じたものを1日3回食間に服用すると良いでしょう。

利尿、止血、解熱、消腫、消炎などの作用があるので浮腫、腎臓炎、ぼうこう炎などの利尿薬とします。小児の高熱、神経痛、リウマチ、腰痛、婦人病などにも用います。

日本農業新聞 ノキシノブ 利尿や止血、解熱作用

ノキシノブを薬草として食べることができるか

ノキシノブは葉を食べるのではなく煎じて有効成分のみを取り込むようにしてください。その使い方は瓦葺の1回量は2-4グラム。コップいっぱい分程度の水から煎じて服用する他、湿布薬として利用する場合は乾燥した葉をこまかく切り、ごま油と混ぜて1ヶ月ほどそのまま放置して成分が十分出たものを貼って使います。

まとめ

胞子嚢が特徴的なノキシノブで雅を感じよう

出典: https://shop.r10s.jp/ishidaseikaen/cabinet/sanyaso037/201908_igp8418sq.jpg

細い葉が軒や樹木から垂れ下がって生えるこの植物。変わった生態や育て方・薬草としての利用方法などをご紹介してきましたがいかがでしたか?観賞用としても苗を手に入れることが可能ですので、和風な観葉植物にご興味のある方は是非育ててみてはいかがでしょう。

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