はじめに
ヌルデの花はきれい?新芽や実・樹液の活用法とは
ヌルデは庭木として苗が販売されている人気の樹木です。時期や成長によりいろいろな変化を見せてくれるので長く飽きることなく楽しむことができるでしょう。今回はこの植物の花や実の時期から、白い樹液の正体。鑑賞用として見ごろのポイントなどについてご紹介していきます。
ヌルデについて
白い液体の正体をお話する前に、まずはこの木の基本情報や見た目の様子をご紹介しましょう。
ヌルデの基本情報
科・属:ウルシ科ヌルデ属
原産地:東南アジア・日本などアジア各地
学名/英語名:Rhus javanica L.・Rhus javanica L.var. chinensis (Mill.) T.Yamaz./Chinese sumac
ヌルデの樹木・花・実の様子
ヌルデの木といえば白っぽい幹を思い出す人も多いでしょうが、幼い株は樹皮が白くはなく赤っぽい褐色の皮が成長するにつれひび割れてだんだんと灰色に近い白っぽいものに変わるのが特徴。花は白く小さなものがたくさん雄株には雄花が雌株には雌花がそれぞれ咲きどちらも美しいものです。花の時期は夏・7-8月のころ。その後実がなると枝が自然としなってきてしだれる姿も趣きがあります。
ヌルデの白い液は何?利用方法は
さて、それでは早速気になるヌルデの白い液体についてお話しましょう。この白い液体は多くの人が想像するとおり樹液です。じつはこれ、ただの木の液ではなく使い道もちゃんとあります。木の名前の由来もこの白い液体から来ているというのはご存知でしょうか?
白い液の正体は樹木から出た樹液
ヌルデといえば幹から白っぽい液体が出るのがご覧になったことがある人も多いでしょうが、この白い液はヌルデの樹液。まるで漆のように見えますが、ヌルデはウルシ科の植物。似ているのも当然ですね。
ヌルデの樹液の用途は塗料
漆の樹液を塗り物に使うようにヌルデのこの白い液も立派な塗料として用いられます。漆器につかわれる漆はかぶれ成分が強く、ヌルデはそれにくらべてかぶれにくいともいわれます(まったくかぶれないわけではありません)。そのため塗料として使いやすいという利点もあったのでしょう。
ヌルデの名前の由来も樹木の液
漆器の塗料となるヌルデの白い液。この木の名前の由来もここから来ているという説があり、塗る手と書いてヌルデと読ませます。また塗料には関係ないですが、白い液がぬるぬるしているからヌルデだという説も。どちらにせよ、この樹液が名前の元となっているのには違いなさそうです。
ヌルデの葉っぱ等が美しい時期は
ヌルデという木は実用だけでなく観賞樹としても優秀です。季節ごとの美しさ、木の見ごろを順を追ってご紹介します。
ヌルデの見ごろの時期1.新芽のころ
ヌルデは1年を通して何度も見ごろの季節がある木ですが、木の成長から順に見ていくとすれば新芽からでしょう。この植物の新しい若い芽は赤くてとても美しいもの。その付き方も面白くて葉の軸には翼とよばれる装飾性の高い葉がついているのも特徴的。
ヌルデの見ごろの時期2.花の季節
春の次にやってくるのは夏。夏はヌルデの木に花が咲く季節。時期は8-9月。株によりオス・メスがある木なので花の形もそれによって微妙に変わってきますがどちらも円錐花序に花を付けるのが特徴。数ミリの小さな白い花がたくさん枝先に付き、そこに蜂などの昆虫が集まってくるのが見られるでしょう。
ヌルデの見ごろの時期3.紅葉の季節
庭木として植えるなら秋の紅葉の季節も見どころの季節。真っ赤になったヌルデの葉もとても美しいものです。落葉樹は掃除が大変という方もいますが、やはり日本の秋の風景を我が家で感じたいならこのようなきれいな紅葉をする木があると良いもの。そんな風に感じる人にとって秋のこの木は見ごたえがあるでしょう。
ヌルデの見ごろの時期4.実の季節
花後の雌株のヌルデには小さな実がたくさんなり、枝をしならせるのが夏から秋のこと。それは葉が落ちたあとにも枝に残り、餌とするために野鳥がつつきに訪れます。雪がふる頃に茶色く色づいた実がなるヌルデもきれいなものです。また、鳥が訪れる庭とは素敵ではないでしょうか。
ヌルデの虫こぶ
この木の特徴的な作物で利用できるものといえば虫こぶを忘れてはいけません。このような虫が関係してでる実のようなものは他の木でも見られますが、ヌルデの虫こぶは昔の既婚女性がよく使ったものの原料として使われていたことで有名です。
ヌルデに見なれぬ実があったら
ヌルデの葉っぱの間に何やら見慣れぬ実のようなものを見つけることがたびたびあります。木の実にしては不格好で形も不揃いな不思議な物体です。この正体は何なのでしょうか?
ヌルデの五倍子はお歯黒の原料
これは五倍子というもので読み方は"ごばいし"と読んだりそのままふしというときもあり、ヌルデの葉っぱに寄生したアブラムシのコロニーのようなものでいわゆる虫こぶと呼ばれる一種です。割ると中には小さな黒っぽいつぶつぶがたくさん入っており、この粒ひとつひとつが虫の幼虫。虫嫌いな人はこの実のような虫こぶは割らないことをおすすめします。
虫こぶにはタンニンが豊富
虫こぶができることで植物はふだんは作らない成分を分泌するのはよくあるお話です。ヌルデの虫こぶにはタンニン(渋柿などに含まれる渋み成分)が大量に作られているので、これを使って黒い染料を作っておりこれが昔の既婚女性が歯に塗ったお歯黒を作っていました。
実は葉っぱが変形したもの
この虫こぶは中身は虫ですが外側はれっきとしたヌルデの葉っぱ。普通の葉にアブラムシ(ヌルデシロアブラムシ)が特別な成分を注入してわざとこぶを作り、その中でたくさんの卵を産卵するための部屋を作ったもので、そのため見た目も葉っぱのような緑色をしていることが多くつい触って割ったりしてしまう人もいます。中身を知っていると決して開いたりしたくない虫こぶではないでしょうか。
ヌルデは食べることができるか
アウトドアやサバイバルで野草で食べられる野草について注目されている方も少なくありません。この木の若葉や実も食材として利用するという話を聞きますが、どこが食べられるのか食べてはいけない部位はあるのか?ヌルデの食についてご紹介しましょう。
漆の仲間なので食べるのはおすすめできない
野草を食べるのがお好きな方のブログなどで、ヌルデの新芽若芽を食べるものも見かけます。食べられないことはないけれど、ヌルデは漆の仲間であり人によってはかぶれる植物です。誰にでも食べて平気であるという保証はありません。他の野草のように香りが良かったり味が良かったりというものではありませんので、もっと安全な野草を食べることをおすすめします。
果実につく粉はなめてかまわない
ヌルデの実は白い粉がついています。この粉の正体はリンゴ酸カルシウムでサプリメントとしても使われるものです。なめても特に問題はなく、塩分を含んでしょっぱい味がします。周りの粉だけは喉の乾きを鎮めるためになめる人がいます。
別名をシオノミ・シオノキ
この小さな実は昔から塩の代用品として結晶を取ったりするのにも使われてきました。そのためにヌルデの別名をシオノキ、実のことはシオノミなどと呼ぶこともあります。
まとめ
ヌルデは漆の仲間なので注意
季節ごとの見どころがあり、実につく結晶は口に含んで味わうこともできるのがヌルデ。その特徴や白い液体の正体などについても解説してきましたがいかがでしたか?塗料としてお歯黒の材料としても使い道があるヌルデ。庭木として鑑賞するのにもおすすめ。気になった方はご自分でも育ててみてはいかがでしょうか。
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